「.....言い訳を聞こうか?」
「アスタルテに縁日を体験させたかった、それだけだ」
「そうか、楽しかったか?アスタルテ」
「肯定。待たせてしまい、申し訳ありません」
「楽しめたなら構わん」
その時、飛翔してくる物体を、零の第六感が捉えた
「来たみたいだ」
「そのようだな。アスタルテ」
「命令受諾。執行せよ、薔薇の指先」
アスタルテが眷獣を召喚し、通り抜けざまに叩き折られた鉄塔を支えた
「博麗霊夢の能力」
そう呟くと、零は生身で空を飛び、仮面憑きと戦い始めた
「くっそ、全然効かねぇな。知ってたけどよ!霊符[夢想封印]!」
零は夢想封印を放つが、仮面憑きにはダメージが無いようだ
「那月ちゃん、鎖は!?」
「無理だ、アスタルテの眷獣だけでは、倒れかかっている二本の鉄塔を支えきれん!」
那月は虚空より鎖を召喚し、アスタルテとは別の鉄塔を支えていた
(まだアレは使いたくない。予言通りなら、明日使うことになるが....それまでは、誰にも知られたくないからな)
零は攻撃をかわしながら、対策を練っていた
が、その時。祭りをやっている方角から飛翔してくる何かが、零と戦っていた仮面憑きを殺した
「な!?仮面憑きがもう一体...!?しかも、この霊力波動は....」
その、結果的には零を助けた仮面憑きの仮面が外れ、顔が見えた
「夏音!」
それは、叶瀬夏音の顔。零の恋人だった
そして、夏音は、自分が殺した仮面憑きに目を向け、口を開いた
「待て夏音、やめろ...!」
零が飛んでいくより、夏音の行動がはやかった
仮面憑きを喰ったのである
「夏音ー!!」
そして夏音は、飛んできた方向へと戻っていった
「叶瀬賢聖か.....夏音の父親がやった可能性があるな」
『...零、メイガスクラフト行こ?』
「弧亜が調べたあいつの家、か」
そう言いつつ立ち上がり、スキマを開いた
「手がかりがありゃいいんだがな」
メイガスクラフト・本社
「.....夏音の霊力波動、熱源反応は無い。不在だな」
『...どうするの?』
「あの受付ロボットに、叶瀬賢生について聞くか」
数分後
「なんか、そこで待ってろって言われた」
『...何でだろう、ね?』
「さぁ...?」
さらに数分後
「ごめんなさい、お待たせしてしまったかしら?」
「そう思うなら早めに来てくれ」
尚、妖櫻は零の中に入ったもよう
「改めまして、開発部のベアトリス・バスラーです。叶瀬賢生の....そうですね、秘書のようなことをしています。本日は賢生のどのような御用件で?」
「う〜む、本人にしか言えねぇな」
「そうですか.....とはいえ困りましたね、賢生は今島外の研究所にいるんです」
それならばと零は答えた
「その研究所ってところに行く。場所さえわかればな」
「そうですか.....ここです」
そう言いつつベアトリスは取り出した地図の、ある一点を示した
「ほう?そうか、ありがとう。無駄な時間を過ごさせたな」
「結界があるので、魔術では入れませんし出られません。うちの飛行機でご案内しましょう」
ベアトリスがそんなことを提案してきた
零は少し考えたあと、
「じゃあ頼む」
「かしこまりました。少しお待ちくださいね」
ベアトリスは、そういってどこかに行った。零は騙されたふりをしてある島に行ったのだった