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こんにちは、私は清く正しい新聞記者射命丸文です。
幻想郷では誰もが知っているあの『文々。新聞』を発行しています。え、知らない?そんなことはないでしょう。
幻想郷での異変、住人達の日常といったものを面白おかしく書いているんですが、何故か評判はイマイチという謎の評価です。
最近幻想郷では何もないので記事を書くのに苦労します。あー、何か事件起きないかなー、異変起きないかなー。そうなったら面白い記事が書けるのになー。
私はもたれていた机から顔を上げて、白紙の紙が散らばっているのが目に入る。もう一週間近く記事どころか文字も書いていない。そろそろ何か書かないと記事の書き方が鈍って大変なことになる。
まぁ、家に閉じこもってばかりではいけないですし見回りしますか。
私は外へ出て情報収集するために色々と準備をする。あ、そろそろ河童達にカメラの点検をしてもらわなくてはいけないな。写真を撮ったけどカメラが壊れて使えませんじゃ話にならない。……買い換えようかな。
さて、と。今日はどこを飛びましょうか。
私は玄関の扉を開けて優雅に広がる幻想郷の空へと飛び立った。
「暑っ⁉︎」
そういえば夏だった。
◆
魔法の森 付近上空
結論で言えば、何もなかった。幻想郷は平和そのものでした。
私は自宅を出て幻想郷をグルリと回ってみたが、特にこれといったことはなかった。博麗神社には
……ええい!
うーん、やはりこの辺りは苦手ですね。瘴気は天狗といえども吸えば危ないですし。
こっちに来たのは間違いでしたか。いや、今日はこの辺りで何かが起こる。私の勘がそう囁いているからだ、多分。
そんなことを思っていると何かが視界に入る。
……うん?あれは……
人間の方は何か大きな鳥に乗ってますね。それに見たことのない格好をしてますね。
私は目の前の光景が少し信じられなかった。人間の方は恐らく迷い人、なのに風見幽香を相手にできる程の人物……これはスクープの予感⁉︎
……あれっ、うわー、風見幽香が本気を出してる。というかメチャメチャ怒ってる?あの人間は一体何をしたんでしょうか?まあ大体予想付きますけど……
うん?あの人間は何を投げて……って爆発した⁉︎一体あれは……はっ‼︎見てばかりじゃなくて写真撮らないと……
風見幽香にバレないように慎重に……
まずは一枚、そしてアングルを変えて数枚。うん、中々に良いところを撮れーーあっ、人間が地上に降りた。……なるほど、目くらましをしてその隙に偽物と入れ替わる、と。ほー、あの人間もやりますね。
人間は結構巧妙であの風見幽香に引けを取らない……決めた!後であの人間に取材を!
おっと、考え事してる暇はない。決定的瞬間を逃さないようにしないと……おっ、風見幽香が人間の偽物に引っかかった。あれは粘土?あの幽香が抜け出せないとなるとかなり厄介なものですね。おお、狼狽えてる狼狽えてる。シャッターチャンス!
私は風見幽香が動かなくなったことをいいことに距離を縮めた。カメラを向けて写真を撮ろうとした時、大きな鳥が爆発して風見幽香が爆発に包まれた。
ド オ オ オ オ オ ン ‼︎
「ほぎゃあああああっ⁉︎」
危なっ⁉︎もう少しで巻き添えを食らっていた。あの人間はやはりかなりのやり手ですね。尚更取材しなくては、地上に降りたということはあの爆発から逃れるためですね。ということは、あの人間は生きている!よし!早速話をーー
「アアアアアッ‼︎おのれっ‼︎おのれーーーっ‼︎」
ぬおあああっ⁉︎嘘っ⁉︎あの爆発で生きてる⁉︎……ヤバい、隠れないと。
私は風見幽香の視界に入らないように、って……あっ!今気づいたけど風見幽香は半裸(下着だけ)‼︎しかもまさかの上下白!黒だと思ってたけど。
……ぐへへ、目の保養目の保養、おっと写真写真。
パシャシャッ!
……バレてないですよね。さぁーて、後で現像しちゃいましょう。殺されるから新聞には絶対に載せないけど。
あ!あの人間を見失った。マズいなー、早く見つけて独占取材をしないと……待てよ、そういえばあの人間の攻撃方法は爆発。この辺りを飛び回っていればその内爆発が起きるはず。その時に取材しましょう。
「うふふ、今日は良い記事が書けそうです」