幻想郷ではお金の単位は円、銭、厘とします。
お金の価値は次の通りです。
(現在の)1円=(幻想郷では)10000円、(幻想郷での)1円=100銭、1銭=10厘。
(幻想郷での)1銭=(現在の)100円。
NARUTOのお金の単位 1両=(現在の)10円。
となります。
地霊殿
広く壮大な建物の廊下を一人の男が歩いている。床は赤と黒の市松模様となっており、若干暖かい。建物は西洋風の構造となっており、男にとっては珍しいのか、廊下を見回している。
男の名は角都。先程、霊烏路空という何者かとの一悶着あったが何とかその場を抜け出した。
(……やはり、ここはどこかの施設、もしくは建物だったか……)
角都は建物の中を歩きながら路空の言葉を思い出す。
◆
角都はあの時、路空が口から漏らした「侵入者」という言葉に耳を傾けていた。
『侵入者』という言葉はあのような場所で使われるはずはなく、普通建物や施設の中に入った者に言われる言葉だ。だが、路空はその言葉を使った。
ここがどこか確かめる為に角都は行動を起こした。
土遁の術を使った角都は近くにあった三メートル程の大岩の根元を硬化した足で割り、そのまま硬化した足で路空に向かって蹴った。
路空は角都の肌の色の変化に気を取られていて、飛んできた大岩に気付くのが遅れた。
角都は路空が自分の体の
路空はいきなり飛んできた大岩を破壊したが、角都は大岩を硬化した脚で蹴ることで亀裂を入れて大岩が破壊しやすくなるようにし、粉塵が撒いやすくするようにしたのである。
路空は大岩を破壊したことにより路空の周りを粉塵が包まれる。その間に角都は急いでその場を離れた。
路空が粉塵を振り払った時にはすでに角都は建物の中へ続く道を歩いていた。
◆
いつまでも続きそうな広大な廊下を歩いていく角都だったが、どこまで行っても先が見えない。
(……どこまで続くのだ、この廊下は)
廊下を歩いているうちに角都はある危機感を抱く。
「どこかに閉じ込められているかもしれない、ですか。フフッ、それはちょっと違いますよ」
「⁉︎」
角都はいきなり話しかけられたことに、そして
話しかけてきたのは見た目は少女のようでもあるが、雰囲気は子どものそれではなく妖怪のようだ。
その幼い存在の薄紫の髪が特徴的だが、一番目に入るのはいくつものコードに繋がった異様な目である。
「何なんだこいつは、ですか。答えましょう。私は古明地さとり、この地霊殿の主です。……地霊殿とは何だ?……ああ、貴方が今いる
角都は自分の考えていることが全て目の前の子どものような存在に読まれていることに気が付く。
「……私は見た目通りの年齢ではありませんよ。貴方よりは大分長く生きていますよ。角都さん」
「‼︎」
角都は名前を言い当てられてこれ以上心を読まれるのはマズいと判断するが、さとりはそれすらも読む。
「……私を殺すとここから出られなくなりますよ」
「……どういうことだ?」
「この廊下はさっきまで貴方がいた所から地霊殿に繋がっています。そこを繋ぐこの廊下は本来誰もあそこに近づけさせない為の仕掛けで、私が解除しない限り辿り着けないものなんですが……貴方を閉じ込めてしまいましたね」
角都とさとりが今いる廊下はさとりが言った通り、ある場所に近づかせないように来た道から反対側に辿り着けなくなるという仕掛けがあったが、角都はそのとある場所側から来てしまったので仕掛けがそのまま発動して地霊殿の中に入れなくなったのだ。
「……早くここから出せ、と。慌てないで下さい、今貴方に起きていることを説明しますよ」
「…………」
さとりは人差し指を立て、角都に微笑んだ。だが、角都はさとりを警戒し、隙があれば殺しそうな雰囲気である。
「まずここは幻想郷と呼ばれるところ、貴方がいた世界とはまた違う世界ですよ。…………あまり驚かれないのですね……ああ、一度死んでいるのですか。ですが、ここはあの世ではありませんよ。まぁ、地獄という意味ではある意味正しいですが」
さとりは独り言のように話しているが、これは彼女の心を読む能力により会話をせずとも相手の考えていること、思っていることが読めるのである。しかし、その能力故に多くの人から忌み嫌われている。
「……どうやら貴方がいた世界にも心もしくは記憶を読める人間がいるようですね。貴方は私に心を読まれることを少し嫌っているみたいですが、なるほど私に喋らせることで情報を得ようと……そうする人は私は初めて会いましたよ。フフッ、面白い人ですね」
「…………」
心を読まれることに不快な角都だったが、情報を得る為、そしてここから出るには目の前のさとりの協力が必要なので仕方なくさとりと会話(?)しているのである。
「……貴方はこれからどうするおつもりですか?……まずは金……ですか、まぁ正しい判断ですが
「⁉︎」
角都は衝撃を受けた。金に強い執着心がある角都は自分が今持っている金が使えないとなるとこの先どうすればいいか、と思案していると……
「……地上には外の世界のお金をこちらのお金に変えてくれる店がある、と聞いたことがありますが……あぁ、地上とは何だ、ですか。すいません、言い忘れてましたね、ここ地霊殿は地下にあるんですよ」
「…………」
「……そう怒らないでください、ちゃんとここから出してあげますから。……さっきから殺す気満々ですね……そこまで私を殺そうとするなら私も抵抗しますよ」
殺意を抑えない角都に対抗しようとさとりは角都の記憶を覗いた。
「……貴方は色んな人と闘ってきたんですね。……千手柱間、ペイン、金角銀角兄弟」
「⁉︎」
角都は今まで出会った、もしくは闘ってきた相手の名前を上げられさとりに対する警戒を強めた。
さとりはその様子を見て自分が見た記憶が角都にとってどれ程の相手かを把握する。最も、闘っている時の記憶も見たので顔を見る必要はあまりなかったが、さとりはあえて角都の顔を見る。
「……その様子だとかなりの手練れのようですね。おおよそ(貴方も含めて)人とは言い切れない人間ばかりですが……」
「…………」
「私は能力を使って他人の記憶を再現することができますよ。貴方が私を殺そうとするなら私は貴方の記憶にある人物で抵抗します。聡明な貴方ならどうすればいいか分かりますよね?」
さとりは笑顔で角都に話しかける。角都はしばらく考えたのち、殺意を抑えてさとりにしばらく従うことにした。
「フフッ、何もしなければ地上まで案内しますから。そう警戒しないでください。ああ、もう仕掛けは外しましたよ。では、地上まで案内します」
「…………」
角都に背を向けて歩くさとり、角都は先を進むさとりを見てどう殺すか迷っているとさとりよりも奥の方から誰かがやってきた。
「さと、り、様〜〜〜‼︎」
「あら、お燐。どうしたの?」
二人の前に現れたのは頭の上と顔の横に耳がついた赤髪の少女だった。
お燐と呼ばれた少女は息も絶え絶えな様子であり、顔がかなり赤い。
「ハァ、ハァ、さとり、様。き、旧都で、鬼とその、に、人間が、あの、その」
「お燐、落ち着きなさい。深呼吸して、伝えたいことを考えなさい」
相当慌てて来たのか、お燐は上手く伝えることができずにいた。
「ハァ、ハァ……はい」
「…………旧都で人間と鬼が喧嘩……でもそれだけではないはず」
「はい、今旧都で喧嘩が起きてるんですが、どうも様子がおかしいんです。……うん?そちらのお客さん、格好が……」
お燐は角都の方を見て、おや?と思う。何故なら……
「……角都さん、どうやら貴方のお仲間の飛段、という人が