東方暁暴走録 〜暁メンバーが幻想入り〜   作:M.P

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初投稿です。拙い文章ですがよろしくお願いします。

文章を一部修正しました。



暁、幻想入り
1.デイダラ


幻想郷、そこは忘れられたものが行き着くところ。そして、今日もまた外の世界で忘れられたある組織が幻想郷に行き着いた。

 

 

 

その日の幻想郷は雲一つなく太陽が燦燦と降り注いでおり、薄着ですむ気温である。

そんな暖かくひまわりが一面に咲き誇っている畑の中に一人の男が寝転んでいる。その男は黒地に赤い雲が描かれた外套を着ている。

 

「……どこだここは?あの世じゃねぇなぁ、うん」

 

青い目に金髪のその男は照り付ける日の光に眩しさを感じながらゆっくりと起き上がると辺りを見回した。男の発言はあの世を知っているかのようにに聞こえる。

 

「あそこはもっと殺風景なところだ。こんなに明るいところじゃねぇなぁ、うん」

 

男の名はデイダラ。()()()()()()では彼が住んでいた国の禁忌に触れたこと、爆破テロを起こしたことで国を追われる身となっている。

 

「しかしオイラは何でここに……!そうだ思い出した、オイラはあの時自爆して……、それから穢土転生って術で蘇って……オイラはまた死んだのか?」

 

デイダラは彼がいた世界のとある国の忍と交戦し、追い詰められて自身の忍術で自爆した。その後、穢土転生と呼ばれる死者の魂を縛り蘇らせる術によって現世に蘇り戦争の道具として扱われた。

 その後、術者が穢土転生を解除したことによって魂たちはまたあの世へと還っていきデイダラも解放された魂の一つであり眠りについているはずだが、何故今ここにいるのかは見当がつかない。

 

「……!そういやまだサスケの野郎生きていやがったな。オイラのあの芸術(自爆)で死ななかったのか!くそっ!」

 

デイダラは自爆による心中で相手を爆死させようとしたがことがある。しかし、致命傷には至らず息の根を止めることはできなかった。

 デイダラがそのことを知ったのは穢土転生によって蘇っていた時だった。

 

「サスケめェ、あいつはオイラの芸術に何の興味も示さない。オイラの芸術は完璧なんだ!最高なんだ!究極なんだ!……なのにオイラの芸術には見もしない……、ッ……驚嘆しろよ、謳歌しろよ!称賛しろよ!!クソーーーッ!!」

 

 デイダラは知らず知らずのうちに拳を握りしめていた。熱くなった手のひらは汗ばみ下へ下へ伝っていく。

 

「……ハァ、ハァ……」

 

 彼の怒りは空を切るばかりだが、その矛先がいない為にすぐに落ち着いた。

 

「……サスケがここにいない以上あいつにオイラの芸術を見せることができねぇ、……それにここはどこだ?岩の国じゃねぇし……、川の国か?」

 

 首を傾げ思考するが答えは出てこない。今いる場所がどこか分からないからだ。考えても仕方ないと、デイダラは一つの答えを出した。

 

「……とりあえずはここから移動するか」

 

 巨大鳥型の粘土を取り出そうとしたデイダラは眼前に広がる自身よりも背が高いひまわり畑に目が向く。

 

「……そういやコレ(ひまわり)を爆破させたことはねェな、一度やってみるかな……うん」

 

 デイダラの芸術は完成されたフォルムを爆発によって昇華させる一瞬の美だ。今までにデイダラはありとあらゆる生物や建物を爆発させてきたが植物はあまり爆破させたことはなかった。

 

「すくすくと育ち子孫を残そうと頑張っているその姿、オイラの芸術(爆発)によって美しく儚く散っていく姿……まさに芸術だ。うん!」

 

 自分の美を語りひまわりへと近づいて行き、腰に下げた粘土が入っているバッグに手を入れようとするが……

 

「うん?……無い、……無い、無い……無い!オイラの粘土が無い!」

 

 腰に下げてあったはずの粘土入りバッグが無く自分の体をまさぐるデイダラ。

 デイダラの忍術は()()()()()()()()に粘土を食わせ自身に存在するチャクラと呼ばれるエネルギーを混ぜて起爆粘土を作り上げる。この起爆粘土を巧みに使い戦うのだが、粘土が無ければデイダラの忍術はほぼ使えないに等しい。

 

(まずい、まずいぞ……。粘土が無きゃオイラの術がほとんど使えない。……いや、待てよ)

 

 粘土が無いということに慌てたデイダラだったが一旦落ち着きを取り戻し、手のひらの口から蜘蛛型の起爆粘土と巨大鳥型の起爆粘土を取り出した。

 

(......これだけか。しかもC1だけだ。いや、無いよりマシだな。うん)

 

 手のひらの口から出てきた起爆粘土は大小合わせて八個。蜘蛛型が六個に巨大鳥型と鳥型の起爆粘土が1つずつである。

 

(ここがどこかも分からないのに粘土を無駄に消費する訳にはいかないな、それに敵がいないとも限らない。サスケの野郎と出会ったら殺してやるんだがな)

 

 数少ない起爆粘土を徒らに使えるはずもなく、デイダラはひまわりの爆破を断念しなければいけなかった。さらに、デイダラはとある犯罪組織に所属しており組織以外の人は基本敵である為今は起爆粘土は1個でも惜しいのである。

 

「もう少し粘土があったらコレ(ひまわり)をオイラが芸術に変えてやれたのになぁ......。とりあえず今は粘土を探さねぇとな」

 

 ひまわりの畑を後にする為にデイダラは巨大鳥型の起爆粘土を手に取り、他の起爆粘土は外套の中にに仕舞い込んだ。

 手に持った起爆粘土をひまわり畑の開けた場所に放ると起爆粘土は人が乗れる程の大きさになった。

 

「そういやぁ、他の奴らはどうなったんだ?死んだはずのオイラが生きてるってことはサソリの旦那や、あの不死コンビもイタチの野郎もここにいるかもしれねぇなぁ。まっ、オイラはまず粘土を探すことからだがな……うん」

 

 そんな言葉をひまわり畑に残しながら巨大鳥型の起爆粘土はデイダラを乗せて飛び立っていった。

 デイダラの言葉を最初から聞いていた存在を知らないまま。

 

 

 

「……今のは……人間?」

 

 

 




大蛇丸とトビとゼツとあの人は出てきません。登場するメンバーはその人達を抜いた8人です。


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