【IS】 転生したので普通に働こうかと思う   作:伝説の類人猿

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調子がいいのでもう一本。
無理なく更新したいな・・・。


意外な一面

毎度まいどどこかしらの場所を掃除するたびにこの学園の異常性が分かってくる。

たとえばトイレ。

IS学園は世界各国の技術の粋を集めて作られた場所で当然のことながらその技術はどれも最先端のものばかりである。

その法則はたとえトイレであっても例外ではない。

 

なんとこの学園のトイレ、非常時には水飲み場になるのだ!

いや誰が飲むんだよ!

絶対に誰も飲まないから。

 

そう思って山田さんに聞いてみたのだが、

 

「さすがにトイレの水は誰も飲みたくないですよね~」

 

「えっそうですか?非常時ならばみんな飲むと思うんですけど・・・」

 

うん。多分きっとその時の俺の目はかわいそうなものを見ている目だったのだろう。

いや、さすがにそれはないよ山田さん・・・。

ちなみに山田さんとは学園で一緒に遭難して以来仲良くなった。

仲間意識ってやつだろう。俺も山田さんもともに地獄のような説教という名の戦場を潜り抜けたいわば戦友なのだ。

 

まぁ、本当にみんながトイレの水を飲めるのかは横においとくとしてだこのように何かしらこの学園は常識とかけ離れているところがある。

その中でも顕著なものが髪の色だろう。

今回は髪についてのお話だ。

 

*****

 

あれはつい先日のことだった。

実は昨日入学式が行われたのである。

 

普段はあまり表に出てこない俺たち清掃員もこの時ばかりは後ろのほうだが入学式に出席する。その理由としてはまぁ、顔合わせだ。

あなたたちの学校がきれいなのはこの人たちのおかげなんですよ~だから感謝してくださいね~というのを暗に伝えるためだ。

こうでもしないとそこらじゅうを考えなしに汚されまくってたまったもんじゃないのだ。

まったく、清掃員はつらいよ。給料安いし・・・。

 

ちなみに清掃員の中に男がいるのは生徒に自分は女子であるということを自覚させるためらしい。こうすることによって完全な女子高化を止めれるんだとか。

 

女子高は・・・まぁ男どもの想像とはかけ離れている。一言で表すと「世紀末」。

言っとくけどこの話又聞きだからね?俺の考えじゃないよ。

 

でだ、今年は女子しかいない学園に男子が入ったことがかなり騒がれていたが俺にとってはそんなのは些細な問題でしかない。

だって男が来ることを原作知識で知っていたし・・・。

それよりもアンビリーバボーなことはここの生徒の髪の色である。

 

ざっと見渡しただけでも赤に緑に青に黄色に・・・。

 

「色の玉手箱やぁ~」

 

・・・おっといかん。誰か別の人間になった気がする。

びしりと頬を叩いて気持ちを正す。

とにかくこの学園の生徒や先生はおよそ人間らしくない髪の色をしている。

いや、まぁ黄色は普通に外国に行けばいるけどさ。

というか緑とか青の色をしている人なんて初めて見た。

あれは地毛なのだろうか。

 

「これが普通の高校だったらまず間違いなく退学だな」

 

まぁ、地毛だったら仕方がないよね。

一応ここって異世界なんだから髪の色が違うことぐらいナンクルナイサー。

でも俺は知っている。

この中に(少なくとも)一人髪の色を偽っている奴がいることを!

 

ん?誰かって?

実はな、生徒会長の更識楯無なんだよ。

入学式が始まる二日前に生徒会室の前の廊下を掃除していたんだけどさ、その時生徒会室のドアが少しあいていたんだわ。で、そこから声が少し聞こえたんだ。

その時の声が、

 

「はぁ、みんな私が生徒会長だということを知らないのよね・・・。なんでだろう私影が薄いのかな・・・。イメチェンしてみようか・・・な・・・?」

 

まずは髪の色かしらとか言いながら青色のカツラを取り出すのを見て俺は

 

『現実に負けるなよ』

 

と心の中で応援しながらこっそりとドアを閉めるのであった。

 

どんなに完璧に見える人でも悩みはあったりするものである。

そんなことを考えながら俺は新入生の前でおもいっきりはっちゃけている生徒会長の姿をとそれに着いていけなくて固まっている新入生の様子を眺めているのだった。

 




果たして生徒会長が報われる日は来るのだろうか。いや来ない(反語)
会長さんはわたわたしているのが似合うと思う。
IS学園って学園自体もそうですけど髪の色もなかなかですよね。

誤字訂正 盾無→楯無
何やってんだ私は・・・。継承者さん御指摘ありがとうございます。

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