【IS】 転生したので普通に働こうかと思う   作:伝説の類人猿

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「あっおい地球をまっもっるためぇ~E・D・Fのしゅつどおだぁ~」
『よんてん、いっちはてごわいぞぉ~』
「どうくつくらすぎわっらっえない!!」

「てぇきがおおはばきょうかされぇ~」
『ひっとっりもいきてはかえれないっ!!』

ヘクトルさん強すぎです・・・。


お酒

「はぁ・・・最近肩がこっちゃって・・・」

 

「また何か問題でもあったんですか?」

 

皆の者わたしだ。清掃員だ。

例によってここは秘密基地。今日も今日とてここでお酒を飲んでいる。

一緒に飲んでいるのは山田さん。

ちなみに俺も山田さんも酒は弱い。

もっともさっき飲み始めたばかりだから俺も山田さんも全然酔ってないのだが。

弱いのに酒なんかを飲むのかって?

まぁあれだよ、雰囲気作りだよ。

 

「う~ん・・・まぁその・・・生徒たちの人間関係?で」

 

「なんで疑問形なんですか・・・。まぁいいや。それでなんかあったんですか?」

 

まぁそれなりに難しい問題が・・・、と言いながら山田さんはため息を吐く。

 

「教師と生徒の関係は特に問題はないんですけどね。ただ生徒同士の関係がなかなか・・・。特に宗教関係のものが多くて・・・」

 

「あぁ・・・イスラム教とかキリスト教とかですか?」

 

「はい。代表候補生たちは特に問題ないんですけどそれ以外の留学生たちがなんとも。・・・いや普段はみんないい子たちなんですよ!ただちょっと喧嘩とかになると宗教の違いなんかを持ち出すんです。もっともただの罵倒でそんなに深い意味はないんでしょうけど・・・それに喧嘩だってすごく軽いものだし・・・」

 

そう言う光景なら前に一度見たことある。最初はちょっとした注意だったのだが相手がそれに反発して・・・あとは売り言葉に買い言葉。双方ともに罵倒を言いあう。

その罵倒の中に宗教の話が出てきた。

ちなみにその罵倒は「は、これだから○○教は」とかそんな感じだった。

 

それを聞いた相手はさらに強い罵倒を言う。もう完全に最初の目的を忘れてたなあの様子は。

二人の間に割って入って俺が直々に説教したよ。

いくら頭に来たからと言って文化の悪口を言ってはいけませんって。

まぁ叱ったと言っても十分にも満たないが。

 

もともとその喧嘩してた子たちは仲がいいからね。しょっちゅう一緒にいるのを見かけてたし。多分喧嘩するほど仲が良いってやつなんじゃないかな。

 

「ただ生徒のことにまで教師が口を出すとなるとなると・・・しかも宗教関係のことですからね・・・」

 

「まぁどちらにしろ一筋縄ではいかないでしょうね。なんせ文化の違いですし、おいそれと他者が口を出せるものじゃないですね。それにそこまで大きな衝突は起こってないんでしょう?なら精々仲良くしなさいって注意することしかできませんしねぇ・・・」

 

「そうなんですよぉ・・・。私としてはみんなで仲良く三年間を過ごして欲しいのですが・・」

 

そう言いながら山田さんは考え込む。

 

「う~ん・・・親睦会でも開いたらどうです?ほらよく言うじゃないですか、”うまいものに国境はない”って。おいしいご飯でも作ってみんなで食べたら仲良く・・・なるかなぁ・・・」

 

いかん、自分で言ってて自信がなくなってしまった。

ていうかそんなことで仲良くなれたら外交術なんて必要ないものなぁ・・・。

第一そんなんで喧嘩してた人間がいきなり仲良くなれるとも思わないし。

 

「うぇ~ん・・・どうしましょう・・・。どうしたらみんな仲良くなるんですかぁ~」

 

「そういう人たちはごく少数だと割り切って・・・割り切れそうにもありませんねその顔は」

 

捨てられた子犬みたいな顔で山田さんが俺を見てくる。

なんだあれか、俺に助言してほしいのか?

『みんなで幸せになろうよ』って言うその考えは素敵だと思うが俺宗教なんてよく知らんもんなぁ。

 

「・・・やっぱ飯ですかね。さっきは無いなって思いましたけど、全人類がほぼ共通した意識を持ってるのは食か金かぐらいですし。あぁでもなぁ・・・」

 

いかん、こんなんじゃ堂々巡りになってしまう。

あぁ、もういいや。

 

「山田さん!!」

 

「は、はい!?」

 

「飲もう!!」

 

そう言いながら俺は酒瓶を手に持って掲げる。

うん、こういう時は飲むのに限る。

大体宗教がなんだってんだ。そんなことでごたごたぬかすような奴には「聖☆おにいさん」を読ませてやる。

日本人なめんなよ、こちとら正月あってクリスマスあってお盆があるんやぞ。

もう色々ありすぎて凄いカオスになってる気がする。

 

「時には酒に溺れることも大切です!!」

 

「そ、そうなんですか?」

 

「そうなんです!」

 

そんなことを言いながら俺と山田さんは酒を飲みかわすのだった。

 

・・・もっともすぐに限界が来たのだが。

 

人間ときには深く考えず浅く生きることも大切である。そんなことを考える清掃員だった。

 




時には逃げるのも必要だと思います(小並感)。

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