【IS】 転生したので普通に働こうかと思う 作:伝説の類人猿
自動運転の車、早く出ないかなぁ~。
「うおお、すげぇ・・・デカいな・・・」
ブォオンと大きなエンジン音を立てながらダンプトラックが俺たちのそばの道路を走っていく。
その巨体はまさに現代の恐竜と言えるだろう。
巨大な体を震わしながら土を運んでいく姿を同僚はあっけにとられた様子で眺めている。
「あれはコマツの無人ダンプトラックだな」
「えっ!?アレ無人なのか?」
俺の言葉に驚きながら同僚が反応する。
「ああ、ちなみにあのダンプカーはコマツの誇る世界最大のトラック「930E-4」だな」
なおダンプカーでもダンプトラックでも意味はほとんど同じだ。
どっちを使ってもいい・・・と思う。多分な。
ダンプは確か巨大って言う感じの意味だったかな。
「でもあんなデカいのをどうやって無人で動かしているんだ?あらかじめプログラムでも作っているのか?」
「まさか、「フロントランナー」を使ってるんだよ」
「フロントランナー?」
「フロントランナーっつうのはコマツが作った無人運行システムのことだよ。高精度GPS位置情報システムとか光ファイバージャイロとかのまぁ最先端技術を使った高性能なシステムで単に土砂を運ぶだけじゃなくて積むことだって可能なんだぞ。しかも走行中に目の前に障害物があったら自動で避ける優れモノなんだよ」
「へぇ、勝手に避けてくれるのか。でもなんかメリットはあるのか?別に人間が運転しても問題ないだろ」
「ところがそうでもない。ダンプカーって一般の車に比べてとにかくデカい。だから普通運転するときは運転席に一人。前にあるベランダみたいなところからあたりに障害物がないかを見渡すのに二人。そいつらとは別に駐車するときに誘導するのに二人。合計で四、五人は人間が必要なんだわ」
「うわっ・・・さすがダンプ。けた違いだな・・・」
「こんなのが鉱山では何台も動いているんだぞ、人件費だってバカにならないんだよ。でもフロントランナーを使えば人件費は一切かからないからな。その分の金をよそに回せる」
「な、なるほど・・・・」
同僚はダンプのけた違いのスケールの大きさに驚いているようだ。
まぁ無理もないか。
「ちなみにこのシステムはすでにチリとオーストラリアの鉱山で実際に導入されている。確かチリのほうはもう本格的な導入を始めていたはずだぞ」
「もう使われてるのか」
「ああ、それに基本的にダンプカーの使われる場所は砂漠や山なんかの過酷な環境下の場所が多い。だから鉱山開発は人材の集まりにくい。だがこのシステムがあれば・・・」
「その心配もないってことか」
その通りである。
またこのシステムはすでにダンプカー以外の重機にも使われている。
それらの重機たちも随時現場に導入していくそうだ。
「今の建設業は不景気の影響で伸び悩んでいる。けどこの技術を発展していけば近い将来過酷すぎて開拓されてこなかった荒れ地の開拓もできるようになるかもしれん」
そうなれば日本のメーカーにとって荒れ地開拓は新たなビジネスになるかもしれない。
この技術は日本の建設業の関係者にとっての追い風になるかもしれないのだ。
「それにダンプだけじゃないぞ。今大手メーカーが競い合いながら開発を進めている自動運転の技術にも応用できるかもしれないからな。このフロントランナーはその先駆けだよ」
そんなことを話している間にもう一台ダンプカーが走っていく。
そのダンプカーの姿を見ながら同僚は言う。
「自動運転の車かぁ・・・俺の免許も無駄になっちまうな」
「だな」
そんなくだらないことを言いながら俺たちは笑いあう。
俺たちのそばをまたダンプカーが通った。
無人のダンプカーの出すエンジン音が俺たちには未来に向かう音に聞こえたのだった。
自動運転の車が出るまであと少しなのかもしれない。
ダンプカーが通れる道路なんてIS学園にないと思ったあなた。
どうかその思いは胸の内にとどめておいてください。
実際にダンプカーを動かすには四、五人は必要なのはわかっているのですがいまいち誰がどんなことをやっているのかまではわかりませんでした・・・。
話しの中に出てくる役割は私の想像ですので実際とは異なると思います。