【IS】 転生したので普通に働こうかと思う 作:伝説の類人猿
「まったく、何でゴミが増えてるんだ・・・」
「そんなこと俺が知るかよ・・・」
やあみんな。清掃員だ。
今は以前に三郎と共に掃除した例のゴミ山に来ている。
しかしながら三郎と共にかなりの量のゴミを片付けたはずなのだがなぜかゴミが増えているという・・・。
いったい誰が捨ててるんだよ。
おかげさまでまたここを掃除する羽目になってしまった。
ちなみに今回は同僚と一緒だ。
「あ~ぁ、どうせなら宝の地図でも出てこないかなぁ」
なんか同僚がまた変なことを言っている。
あほか、こんなゴミ山の中にそんなものがあるはずないだろうが。
「そんなん無いから・・・「あった」・・・へ?」
見ると同僚は何か小汚い紙を手に持っていた。
「ほらほらこれ見ろよ!!」
同僚が俺に押し付けてきた紙を見ると「たからのちず(はぁと)」と書いてある。
いやなんだよ(はぁと)って。
てか宝の地図ぐらいちゃんと漢字で書けよ。
「いや絶対それ偽物だろ・・・」
うさんくさすぎる。
まぁさすがのこいつもこんなものは信じないはず・・・。
「よっしゃ宝探しじゃい!」
「いや信じるんかい!?」
ああ駄目だこの目は。
すっごい純粋な子供の目をしてる。
俺この目を知ってるよ、秘密基地の時に見たよ。
「さあ行くぞ!」
そう言いながら同僚は俺を引っ張って行った。
いや、
「だから俺を勝手に巻き込むんじゃねぇ!?」
*****
「てなわけで結局来てしまった・・・」
ハローみんな、私清掃員。今海の上にいるの。
「ふむ、ここに宝は眠っているのか」
「みたいですね」
そして俺の前で真剣な顔で話し合う二人。
いやさなんでここにいるのさ織斑さんと山田さん。
「きっと皆さんストレスが溜まっていたんじゃないですかねぇ」
「いやそれ以前に同僚を止めてくださいよ轡木さん・・・」
いいじゃないですか、と笑いながら船を操縦する轡木さん。
絶対この人この状況を楽しんでるよな。
それはともかく、実は今回も以前の秘密基地同様真っ先に同僚が向かったのがこの人の所だった。
同僚曰くこの人なら何とかなるんじゃないかって思ったそうな。
いやその考えはおかし・・・くもないか。
実際に何とかなったし。
ちなみにたからのちず(はぁと)によれば宝は崖の下の洞窟の中にあるそうな。
ほんまかいな・・・。
なおその場所は海からでしか行けなかったので轡木さんの所有するクルーザーで行くことになった。
轡木さんってドラえもんかなにかですか?
轡木さんはチート(確信)。
「よし!探検隊しゅっぱぁ~つ!!」
「「おお!」」
同僚の掛け声とともに俺たちの宝探しは始まるのだった。
俺?掛け声なんてやらずにため息を漏らしてたよ。
いってなかったが今回も休日の日にやってるからね?
俺の貴重な休みの日が潰れたんだからね?
*****
「うわ、滑りやすい・・・」
洞窟の中はコケみたいなのが生えててすごく滑りやすかった。
さっきから何度転んだことか・・・。
「そこは滑りやすいので気を付けてくださいね」
俺の少し先を行く山田さんが危ない場所を言ってくれる。
この人のおかげで滑る回数がかなり減った。
「了解しまし・・・たあっ!?」
減るだけだけどね・・・。
「まったくそんなことでは一人前のトレジャーハンターになれないぞ?」
やれやれと言いながら肩をすくめる同僚。
うるせぇもとはと言えばお前のせいなんだぞお前の!。
「あいててて・・・。そういやなんで織斑さんと山田さんまで来ているんですか?」
今更だけどなんでこの人たちはここにいるんだろうか。
ちなみにここにいるのはこの二人と同僚と俺の合計四人である。
轡木さんは船でお留守番中だ。まぁあの人ももういい年だもんな。
「まぁ・・・その、息抜きですよ。はは」
山田さんが苦笑いしながら答える。
「学年別トーナメントでバカ者どもが騒いでな・・・そのせいでストレスが溜まっていたんだ」
山田さんに続いて織斑さんも答える。
「ああ・・・納得」
昨日学年別トーナメントのあったアリーナを見に行くことがあったんだけどものの見事にアリーナが消滅してた。
何があったんだろうな・・・。
「残念ながらそのことに関してはドイツの極秘情報が含まれるから教えることは出来ん」
険しい顔をしながら織斑さんが答える。
ああドイツか。なんかわかったわ。
大方ラウラちゃんのISでも暴走したんだろうな。
で、それを止めるために他の転生者たちが・・・って所か。
流石は神様特製のIS。アリーナを跡形もなく消すなんてすげぇわ。
「お!ここみたいだぞ」
銭湯にいた同僚が何か見つけたようだ。
「まじであったのかよ・・・」
見ると俺たちの目の前には巨大な石の扉があった。
相当古いものなのだろうなんかもう神々しさというか神秘的な何かをまとってた。
ただ、
「なんだよ・・・『あけちゃだめよん♪』って・・・」
扉にほられている文字のせいで神々しさもなんもあったもんじゃないがな!
「よし、開けるぞっ・・・!」
「「ごくり・・・」」
いやあんた等無視ですか、文字のほうは無視なんですか!?
「「おおぅ」」
扉を開けるとその奥には台座のようなものがあった。
そしてその台座の上には赤色の大きな宝石が置かれてあった。
え?この宝の地図ってマジもんだったのかよ!?
「お宝だぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
その宝石を見るや否や同僚が叫びながら走っていく・・・。
おい待てなんだこのフラグの予感は。
「アウチっ!」
宝石まであと一歩の所で天井から石の壁が落ちてきた。
あ~ぁ、やっぱり罠だったよ。
「な、なんだよこの壁!」
「み、見てください!後ろにも壁が!」
山田さんが言うとおり前だけではなく後ろにも壁が降ってきた。
「閉じ込められたな。・・・ふっ」
いや織斑さんはなんでそんなに余裕そうなんですか?今の状態ってかなりやばい奴ですよ?
「これしきの壁が壊せずして何が世界最強かっ!!」
そう言いながら織斑さんが素手で壁を壊そうとする。
いやいやさすがに無理でしょ。
”ボゴンっ!!”
と音を立てながら壁が崩れていく。前の壁をぶち壊した勢いのまま後ろの壁も壊す織斑さん。
すげぇ・・・。
「さあさっさと宝を取って帰るぞ!」
ヤバイ、織斑さんがカッコイイ。
今度から姉御って呼ぼうかな。
「ほう、そんなことを言ったらどうなるかわかっているんだろうな・・・?」
「止めときます・・・」
やばかった。今目が完全に笑ってなかったよ・・・。
「よっしゃぁ、これで俺も億万長者!!」
そんなことをしている間に同僚が宝石を手に入れたようだ。
よし、今回は早かったな。まだ始めてから一時間しかたっていないぞ。
これなら家に帰ってゆっくりできるな。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁすっ!!」
「お、オオダコだぁ!!」
・・・フラグ立てなきゃよかった。
宝を取られたことで怒ったのか全長十メートルはあろうかという巨大なタコが台座の奥からこちらへ迫ってきた。
「どどど、どうしましょう!?」
「落ち着いてください山田さん。俺たちには織斑さんという心強い味方が・・・」
「た、タコだけは駄目だ・・・うーん、バタン」
「織斑さぁぁぁぁんっ!?」
待って待ってなんでこのタイミングで倒れるのさ!?
あれか!俺がフラグを立てたからか!?
とにかくやべぇ!織斑さんが使えない以上俺たちにできるのは・・・、
「に、逃げろぉぉぉぉぉぉっ!!」
「ま、待ってくださ~い!」
「あ、おいみんな待ってくれぇ!」
その日洞窟の中では巨大なタコに追いかけられる世界最強を背負った太った男と胸を盛大に揺らしながら逃げるメガネの女性と赤い宝石を抱えて走る男の姿が見えたという。
*****
やあみんな。清掃員だ。
あの後俺たちは無我夢中で走って逃げた。
今回の出来事で学んだのは怪しいものには手を出さないことその一転に限るだろう。
しかしながら人間というものは欲が強い生き物だ。
果たして次にかような出来事があった時俺たちは自分の好奇心に打ち勝つことはできるのだろうか?
いや、そんなことを考える必要はないのかもしれない。
だって、
「や、山田さんそっち押さえて!!このままだと壁が破られる!!」
「は、はい!!」
「うーん、タコは、タコはぁっ!!」
「もう駄目だぁ・・・お終いだぁ・・・」
洞窟の中に入ってからすでに八時間、俺たちは未だに洞窟の中にいるのだから。
まんまパトレイバーのワニ回のお話でしたね・・・。
ぱ、パクリじゃないですよ!オマージュですよ!この話をどうしても書きたかったんです!
次回は原作でいうところの臨海学校のお話の予定です。
多分次でアニメの一期分が終わるんじゃないかなぁ・・・。
ひょっとしたら次で一区切りつかせるかもしれません(・ー・ )