【IS】 転生したので普通に働こうかと思う   作:伝説の類人猿

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本当は今回は他の転生者を出そうと思ったのですがぽたぽた焼きを食べてたらこの話が思いついたのでこっちを書きました。

追記 番外編にいたしました。その他いくつかの変更を行っております。


番外 友達

「・・・♪」

 

「お!うまかったか」

 

さてとご機嫌麗しゅう諸君。

俺は今黒髪ロングヘアーの幼女におせんべいをあげている真っ最中だ。

目の前の幼女は白色のワンピースを着ていてそのワンピースにはどこか高級感がある。

結構高そうなのだが幼女はおせんべいのかすが服に付くのにも構わずに俺のあげたぽたぽた焼きを幸せそうにほおばっている。

 

「・・・(;_:)」

 

幼女はおせんべいを食べ終えた後悲しそうな顔をした。

多分全部食べてしまったことに気づいてなかったのだろう。

しゅんとした表情でさっきまでおせんべいがあった手をじっと見ている。

なにこれかわいい。

 

「すまんな、ぽたぽた焼きはもうないんだ」

 

「・・・(>_<)」

 

やだやだもっと食べたいって言っているのだろうか幼女は手足をバタバタさせている。

しかしないものはないのだ。それにここで甘やかしてしまったら後々どんな大人になってしまうか・・・。

こういうのは小さいころからのしつけが大事なのだ。

もっとも俺この子の親じゃないけど・・・。

 

「(’・―・”)」

 

やめろ!そんな目で見るんじゃない!そんな顔して「駄目?」って聞くんじゃない!

いや実際には聞いてないけど。

ともかくそんな顔したって・・・。

 

「・・・チロルチョコならあるよ」

 

幼女には勝てないもんだね。

 

*****

 

さてはてなぜ俺が幼女に対しておせんべいをあげているのか。

それはこの子と会うちょっと前までさかのぼる。

 

*****

 

「あれ・・・迷ったか・・・」

 

IS学園というのはかなり広い。しかも作りが複雑だから慣れてない人は高確率で迷う。

だが世の中いつだって例外はいるものだ。

例としては男性のIS操縦者がそうであろう。

まぁ、そういう感じでこの世の中何かしらの例外はあるものだと思う。

他に例を挙げるなら清掃員なのに清掃場所の地図を把握していなかったり。

そう俺のことだよ。

 

「おっかしいなぁ、確かにこっちだったのに・・・」

 

今日は東区の清掃をするはずだったのだがいつの間にか未来的なビルは消えており代わりにうっそうとした森が広がっていた。

 

「冗談じゃねえぞ・・・」

 

さすがに二度も遭難するのは避けたい。

いや仮に遭難しても特典のおかげで生き残れはするのだが精神的によろしくない。

さすがに生き残るためにまた虫の幼虫を食べるのは嫌だ。

しかも調理器具なんてないから生なんだわ・・・。

あれのせいでキャラメルコーンがしばらく食べれなくなった。

あれって完全に幼虫だよね。

 

「あれここって(ほこら)なんてあったのか」

 

森の中を歩いているといつの間にか小さな祠にたどり着いた。

その祠はコケだらけではあったがしっかりとしたつくりらしく壊れてはいなかった。

俺がしばらくその祠を眺めていると、

 

「・・・ん」

 

いつの間にいたのか白いワンピースをきた小さな女の子が俺の服の袖口を掴んでいた。

 

「あん?どこから来たんだ?」

 

おかしい先まではこんな子供はいなかったはず・・・。

だとすれば、もしかして・・・。

俺が冷や汗を流そうとしたその時、

 

”ぐぅぅぅ~”

 

かわいらしい腹の虫の音とともに俺の中でこの女の子に対する緊張感は溶けて行った。

 

「なんかあったかな・・・」

 

残念なことに今は仕事中だったのでそんなに食べ物は持っていない。

ポケットに飴でもあったかなと思い探ってみると、

 

「あっ轡木さんからもらったせんべいがあった」

 

以前用務員室でもらっていたぽたぽた焼きがそのまま入れっぱなしになっていた。

 

「これ、いるか?」

 

俺がそう聞くと女の子は

 

「・・・うん!」

 

元気よくうなずいた。

 

*****

 

にしてもかわいいもんだ。いや、別に俺はロリコンではないがその俺から見てもこの子はかわいかった。

今だって幸せの真っただ中です!って顔をしながらチロルチョコを食べてる。

その顔を見ているとこっちまで笑顔になってしまう。

こうしていつまでもこの子の笑顔を見ていたい気もするがそれはそれだ。

俺の中にはある確信があった。

 

「君が俺をここまで連れてきたんだね?」

 

なんとなくではあるが俺はひょっとしてこの子がここまで俺を連れてきたのではないだろうかと思っていた。

これで外れてたらどうしよう・・・。

だが俺の心配は外れていたようで、

 

「・・・うん」

 

と女の子は答えた。

 

「なんで連れてきたんだい?」

 

なるべく優しく俺はこの子に聞く。

 

「・・・友達が欲しかったから」

 

聞くところによるとこの子は以前も俺のような感じで他の人間を連れてきて姿を見せたのだがみんな悲鳴をあげながら逃げてしまったらしい。

まぁこんなところに小さな女の子がいるはずもないしな、驚くのも無理はない。

事実俺も冷や汗をかいていたし。

 

「あなた、友達になってくれる・・・?」

 

”足のない”女の子はそう言って俺に問いかけた。

きっと友達になってくれるか心配なのだろうなのだろう。その表情は不安そうだった。

心配スンナって。

 

「オフコースだよ」

 

「おふこうす?」

 

「もちろんってこと」

 

「(゜o゜)」

 

一瞬ぽかんとした表情になった後女の子は、

 

「ありがとう!!」

 

と言いながらものすごくいい笑顔をしながら俺の脚に抱き着いてきた。

いやほら、身長差がね・・・。

 

「んじゃ、そろそろ元の場所に帰してもらえる?」

 

俺がそういうと女の子は心配そうな表情で、

 

「また・・・来てくれる?」

 

と聞いてきた。

安心しろ。俺は約束を守る男で有名になりたかった奴だぞ。

 

「もちろんさ!だってもう友達だからな」

 

「本当!!」

 

「そう、約束。またきっと来るよ。だからさ、元の道に帰してくれるかい?」

 

俺の問いかけに女の子は元気な笑顔でこう言った。

 

「おふこうす!!!」

 

この日俺に小さな幽霊の友達ができたのだった。

 

次はおなかにたまるものでも持ってきてやるか。

そんなことを考えながら俺は山道を下るのだった。

なおこの後道に迷って本当に遭難してしまって怒られてしまうのは別のお話。

だってこの学園の作りって複雑なんだもの・・・。




ぽたぽた焼きから始まる新たな出会い。
どうも最近皆様から届けられる感想が何よりの暖房器具となっております類人猿です。
息抜きで始めたこの作品なのですが思った以上に伸びていてびっくりしています。
この話を書いているときも思ったのですがこれってISである必要があるのかどうか・・・。
いや、次はISがバリバリ出ちゃうはずなので期待せずに待っていてください。


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