“プロモーター序列第一位”里見蓮太郎の物語   作:秋ピザ

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新年一発目。4000ちょいと言ういつもより僅かに多い文量で行ってみましょー!

ってな訳で、投稿ですわ。



そりゃこーなるわな(自嘲)

「おにーさん……私……もうダメかもです……」

 

「耐えろ!あともうすぐだ!」

 

「私……おにーさんと居れて……よかっ……」

 

「高速化ァァァァッ!」

 

ある建物の中、俺に背負われたティナが顔を青くして、ぐったりとしていた。

まずい……今すぐあの場所に行かなければ、大惨事になってしまう!

そう判断して全身を強化して一気に階段を登っているが、このままではティナが限界を迎えるのが早いかもしれない……

クソが、なんてことだよ……なんでこうなったんだ……

 

……なんで、ティナが酔って吐きそうになってるんだ!?

 

あ、俺のせいか。そうだな俺のせいだ。

変なやつと戦闘した時にうっかり動きすぎたんだ。俺としたことが、しくじったよ。

自分で自分を責めながら一気に階段を登りきると、先程おっさんが指示していた部屋のドアを強引に破壊……ゲフンゲフン、開けて中に入る。

いや、別に破壊したわけじゃないぞ。ただちょっと、鍵の方を磁力で強引に回しただけだからさ、セーフセーフ。

つーわけで、このまま目的地へゴーだ………間に合え………!

俺は、部屋に入るなり電磁波サーチで確認したトイレまでティナを運び、即座にドアを閉めた。

………ん、中でちょい吐いてる感じの音がするな。まぁ一応間に合ったということで構わないだろう。

あーよかった。うっかり外で吐くなんてトラウマモノの重い出を作らずに済んだよ………

 

俺が一息つくと、中からティナが出てきた。

まだ顔色が悪いな………まぁ酔った時は結構辛いもんな。俺も昔はよく酔ったからその辛さは痛いほど理解できる。

具体的に言葉で表すなら、地獄の苦しみとしか言いようがないくらいにキツかった。

いや、その辺は個人差が激しいから一概には言えないだろうが、とにかく酔った時は本当に辛い。

その最たるものは吐いた時の胃のムカムカやら何やらだが、ひとまず物凄く辛い、とだけ覚えていてくれ。

「まだ微妙に気持ち悪いです………」

そうそう、どうでも良いことだがティナは結構酔いやすいタイプだってのは今日初めて知ったんだよな。可愛い。

俺は成長と共に酔わなくなったが、なんというかティナにはこのままであって欲しいかもしれない。

だって可愛いし………な?それ以外に理由は無いよ。

「おに―さん、何か失礼なこと考えてません?」

「考えてない。OK?」

おっと、考えることを読まれたか。流石はティナ。俺のことで理解できないことはほとんどない奴だ。

まぁ何も考えてないことにしておこう。さっきの思考はなかった。良いね?

理由は簡単。俺とティナの間に隠し事はないはずなんだからな………多分。

 

「そうですか。ならいいんです」

よし、ティナも信じてくれたようだし、ここからは探索の方に移っていきますかね………

何を、と思ったやつは先刻俺がガストレア化する直前に脳を焼いて殺したおっさんを思い出してもらいたい。

あの人は俺に宝物をもらい受けてくれと言ったんだ。

だからそれを回収しに来たというワケさ。別にやましい目的はないから安心しろよ。やるとしても俺よりも価値を理解できる奴に売り渡すだけだから。

別に金を稼ぐなんて目的は無く、ただただ俺よりも有効に使える奴の手元に置いてやるだけだよ。どうせ金なら文字通り腐るほどあるんだからな。

だから、俺はこの部屋にある宝物とかいう奴を手に入れる。それだけだ。

電磁波を起動し、部屋中をサーチする。

何か値打ちのありそうなものがあれば、それがきっとあのおっさんのお宝に違いないだろう。

そう勝手に決めつけながら、意識を集中して電磁波によるサーチ精度を高めようとしてみる。

 

………ん?なんじゃこりゃ。

部屋の中にサーチできない空間があるぞ?

まぁキッチンなら多少は納得できるんだがな………アルミホイルは電磁波を遮断するし。

だがそれが部屋中に散らばっているってのはおかしいだろう。というか普通部屋にアルミホイルなんて貼るか?

俺の知る人間の仲にも一人だけ部屋中に電磁波対策と言い張ってアルミホイルを貼ってるやつが居るにはいるが、そいつの部屋と違って個々のアルミホイルは局所的なそれだから、意味合いは違うのだろう。

「ティナ、俺でも探せないところがあるから手伝ってくれ」

 

俺は流石に電磁波だけでは探せないと理解したので、ティナの手を借りることにした。

俺みたいに頭のおかしい能力を持ってるわけじゃないが、普通に物探しをするならティナの方が上手いだろう。前から何か失くした時とか、大抵は見付けてくれるし。

「了解です」ガタン

 

ところでティナさんや、なんで今ビックリして物凄い動きで見ていたタンスを閉めたのは何だと言うのだね?ちょっと気になるんだが。

ティナが何を見ていたのか気になったので、少しタンスの中身を見てみることにした。

もちろん、電磁波で………!?

いやいや待て待て、なんだこれ。ただの本じゃないか。なんか不自然にカバーが掛かってるけどさ………

もしやこれはあれか?エロ本か?

そりゃ見てる最中に声かけられたらビックリしてタンス閉めるよな。

 

うん、なんというかゴメンよ、ティナ。タイミングが最悪だったな。

今度からはもうちょっと呼び掛けるタイミングも考えることとしよう。

「なんでしょう、ものすごい誤解を招いてる気がします」

 

……気のせいじゃないのか?

とか軽口を叩きながら、俺はアルミで電磁波を防がれ見ることの出来なかった場所の1つから、アルミホイルに包まれた箱のような物体を取り出す。

……だがなんかこれは変だ。やたらと言うかなんというか、非常に嫌な臭いがしているぞ。

なので俺はいつでもこれを処分出来るように窓の側に立ってから、アルミホイルを剥がした。

そして、すぐに後悔して外に投げた。

なんと、アルミホイルの中身は腐った弁当だったのだ。いや確かに弁当をアルミホイルで包むこともあるとはいえ、このタイミングで出会いたくはなかったなぁ。

そして腐ったものに触れてしまった気がしたので、ひとまず手を洗ってから捜索を再開した。

「あ、おにーさん、ちょっと来てください」

 

すると、再開して数秒と経たない内にティナが何か見付けたのか俺を呼んできた。

なんだなんだと近付いて、見付けたものを確認してみると……おぉ。

そこにあったのは、良く分からない箱だった。

しかしどことなくタイムカプセル感もするし、もしかしたらこの中に激レアビックリ○ンシールが入っていてもおかしくない。

ビックリマンシー○はガストレアに焼かれちまったせいで過去の物は絶対数が極端に減ってるからな。何かに貼られた状態であってもレアな物なら数10万とか、そういう相場になっているらしい。ちなみにソースは俺のスポンサーだった知り合いだ。

 

……お、入っているのはカードみたいだな。スリーブに入ってて裏も見えないが、見たところ10デッキ分はありそうだ。

そうそう、カードと言うと俺も暇潰しがてらいくつかのカードゲームをやってるんだが、前にカード屋で最初期の某青い眼のドラゴンのカードが30万円で取引されてるのを見て大笑いしたよなー。

流石にそんな骨董カードは見付からないだろうが、良いカードが入っていてほしいものだ。

俺はなんとなく上段の真ん中、良く分からんが直感で小5だと分かるキャラのスリーブのデッキを手に取り、内容を確認してみた。

 

えー、なになに……?【終焉の禁断 ドルマゲドンX】?

やたら金ピカだなこのカード。くらいの感想しか出なかった。

だがこれでどのカードゲームかは判明したから良いだろう。

それに何やらこのデッキはある程度値打ちのありそうなカードばかりだったから、売っても相当の値段になるに違いない。

「おにーさん、なんか箱の底に貼ってあるみたいですよ」

 

「ん?……あぁ、確かに貼ってあるな」

 

俺がこのデッキの処遇を悩んでいると、ティナが箱の底に何かが貼ってあるのを発見した。

これが実はタイムカプセルでしたー。とかだったら大笑いだな。

関係無い上にほぼ見知らぬ人物に時間ガン無視で開けられてんだから。

微妙に抑えきれていない笑いをある程度堪えながら、箱の底にあるものを回収する。

 

どれどれ……触った感じだとこの中にもカードが入ってる感じだな……だが1つだけサイズの違うのもあるっぽいし……これは手紙か?

他人の手紙を勝手に読むのも行儀が悪い行動ではあるが、少し中身を知ってみたくなったので読ませてもらうとしよう。

『ハッピーバースデー。13歳おめでとう。士郎。

お前の誕生日だから、今年も父さんからは昔やってたカードゲームのデッキを送らせてもらうよ。受け取ってもらえると嬉しい。

出来れば直接渡したかったんだが、仕事が忙しくて無理そうなんだ……スマン。

だけど次の誕生日こそは、父さんもお前に直接誕生日プレゼントを渡せることを祈ってるよ。

父より』

 

……マジか。あのおっさん子供も妻もいたのかよ。

そんなんが居たのなら、俺なんかに宝物を託さず普通に遺産として遺せば……あぁ、なるほど。

何故おっさんが俺に宝物を託した理由が分かった。

どうやらこの箱とその中身は、おっさんが自分の子供に届けようとして、不幸にもその誕生日当日に何かがあったのか、届かなくなってしまったもののようだ。

書いた日付が3年前のそれであることが証明してる。

「おにーさん……」

 

「分かってる」

 

きっとティナは、こう言いたいのだろう。

『流石にこういう物は、売らない方が……』と。

大丈夫。俺だって元々はマトモな人間なんだ。そんなクズい真似をするハズがないだろう?

「この感じだと、他の物も大体は同じ中身っぽいですね。全部売れるような物だと良いんですが……」

 

ありゃ?予想してた答えと違うな。

「なんですかその目は。別に見知らぬ人が見知らぬ子供のために送るはずだったカードくらい、どってことないでしょう?」

 

……いや確かに、言っちゃ難だけど俺も同意見だけどさ。

でも、別に金に困ってる訳じゃないし、むしろ腐るほどあるんだからこういう品を取っといても困ることはないと思うのよ。

「……まぁ、おにーさんがしたいようにしてくれれば私は構いません」

 

おう、ありがとなティナ。俺の意見に合わせてくれて。

 

……そんじゃ、ありがたく借りさせていただくとしますか!

期限は俺とティナが死ぬまででよろしく!




余談ですがね、半ニートは個人的に『頭がおかしいと言うかむしろ色々タブー的なそれに値する』って感じの伏線が大好きです。

あ、今回の話には関係ありませんよ?
これは半ニートの、ただの趣味です。


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