“プロモーター序列第一位”里見蓮太郎の物語   作:秋ピザ

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なんというか、今回は原作をマッハである程度消化してみますた。
というかね、戦闘にあまり時間をかけたくはないのよ。
グダグダした日常パートこそが本体なのよ。

そんなわけで影胤さんの扱いは必然的に悪くなりまする。


散歩中の喜劇

散歩ってもんは、結構いいものだと思うんだ。

自然に手を繋いで歩けるし、ボーッとしていられる。そして何より、ちょっとしたラッキーとかもあったりする。

今日みたいに。

 

俺は散歩の途中、不意に異音を耳にして電磁波で周囲を探っていたのだが、そこにある物が掛かった。

ガストレアだ。

しかしそいつの体の中にある“何か”をここで外に露出させてはいけない気がして、ここで超電磁砲による撃ち落としを行うことは出来なかったが、これは何か面白いことの予兆なんじゃないか、という気がした。

……それに、何やらマトモな人間のソレを逸脱した動きをしている奴が一人いるみたいだしな。

「ティナ、ちょっと掴まっててくれ」

 

「了解しました」

 

今度はうっかりティナを置き去りにしないよう、背中に背負ってから移動する。

筋肉に電気を流し、通常の人間のそれを大幅に上回る身体能力を得ると同時、別のとあるアプローチで自身を弾丸のように加速させた。

正に文字通りのロケットスタートと言える速度で加速した俺は、電磁波でキャッチしていた人間らしからぬ動きをする人間へ接近し、軽くスピードを100%乗せた肘鉄を打ち込む。

特に技名なんかは無いが、付けるとすれば【里見流戦闘術一の型全力ダッシュver一番、問答無用キラーエルボー】と言ったところだろうか。きっとこの名前は一生使わないだろうけどな。

「ボガァッ!?」

 

しかし、顔面に肘ブチ込んだは良いが、コイツはバラニウム製の仮面でも付けてんのか?ってくらいに硬い感触がした。

盛大に吹き飛ばしはしたが、これで倒れてはいないだろう。少なくともあれだけの身体能力に見合った防御力なら、だが。

そんな訳で盛大に追い打ってやろうじゃないか。

「並列エレキストライク!」

 

まずは俺の使う技の中でも多少異端と言える技で、意識を刈ろう。

並列シリーズは俺の体内で発生させた僅かな電気を細胞を通して増幅し、一定の形を与えてそこでループさせつつ、当たった対象にとんでもない電流を流し込む技だ。

余談だが、この並列シリーズともう1つのあるシリーズだけは電気に実体がある、という頭のおかしい特徴があったりするんだよな。訳わからん。

「グアッ!?」

 

俺は今更ながら自分の技のおかしさに疑問を抱きつつ、倒れていた男の首根っこを掴んで電流を流す。

その電圧は市販のスタンガン数個分になるし、すぐ気絶してくれるだ……チッ、気絶しろよ。

仮面か、仮面から電気が逃げているのか、ならば全体的に割って現代アートにしてやる。

俺は拳を握り直し、大きく振りかぶって叫ぶ。

「里見流(命名、ついさっき)現状最終究極奥義……それとなく凄い攻撃!」

 

史上最高に頭の悪い、しかし史上最高に威力の高い、悪夢のような一撃を。

この技は、わざわざ腕の筋肉に電気を流してからさらにもう1つのアプローチで強制加速しつつ、反射と同じ原理で無理矢理腕を動かして連打する、ただそれとなーく凄い感じのする攻撃なのだ。

ただ問題として、マトモに喰らうと生物の骨では耐えきれないのか相手の顔が死ぬんだけどな。

「ふんぐるいっ!?」

 

……いや、なんだコイツ。まだ気絶しねーぞ。俺がわざわざ二回も電撃技で気絶させようとしたのにいまだに無事だぞ。

なんだって言うんだ本当に。

あれか、こいつ実は改造人間だったりするのか(正解です)。悪の組織ジョッカーに改造された怪人なのか(違います)。

ならばあれだ。ある人間の言葉を借りてかっこよく殺してあげよう。

 

せめて……人として死んで逝け!

 

俺はそれとなく凄い攻撃を再び喰らわせる。

今度はようやく壊れて剥がれた仮面の下の顔面に向かって。

「パパをいじめるなぁっ!」

 

が、どうやら俺の攻撃は防がれてしまったみたいだな。

突然横から刀を挟まれたらそりゃ防がれるけど、やっぱ微妙にショック。

そんな防げるもんじゃないんだけどなぁ。少なくとも音速一歩手前(音速を超えると手を痛めるのだ)の速度だし。

 

俺は、攻撃を防いだ奴の方に向かっていたって普通の電撃を放つ。

ただ直進し、特徴的な動きはしない、ごく普通の電撃を。

「やあっ!」

 

……えー?マジでー?

電撃は、なんか都合よくゴムっぽい靴だったからか流れてくれなかったらしい。

当たったところで流れていく先がないんじゃ仕方ねーわ。原理的に言うと雀が感電しないそれに近いけど、面倒だわー。

そんなことを考えつつ、攻撃をやり過ごした……さっきコイツをパパと呼んでいたことから、不審者の娘ちゃんとする……が斬りに来たので笑顔で対応する。

具体的には磁力を操作することによる地面への縫い付け。

最悪でも武器は奪えるから、これでチェックメイトになるだろう。

俺は武器を確実に奪えることを確認すると、足に電気を流して強化、亜音速の蹴りを放った。

 

 

 

「ねぇおにーさん」

 

「皆まで言うな」

 

戦いを終えたあとの空間にて、俺はようやくあることに気付いた。

あれ?なんかガストレア落ちてね?ということに。

そして近付いてソイツを確認してみると、何やら体内から引き抜いた跡が……うぇ。

多分さっき物理法則を超越した速度で逃げていった親子が何かを盗んだのだろう。逞しいことだ。

まぁとりあえず、ここでこのガストレアの討伐は俺たちの功績ってことにさせてもらいますかね……と、思ったところで、付近から苦しむような声が聞こえてきたのだ。

「……おいオッサン」

 

それは、見知らぬおっさんであり、ガストレアにウィルスを注入され、人の姿を失いかけた被害者であった。

別にやってやる義理も無いが、民警の端くれとして聞くことだけは聞いてやろうと思う。

「ぐぁ……ヴぇゃ……?」

 

……おっと。なんという事だろう。

このおっさんはどうやら体より先に痛みで脳の思考能力の方をやられたらしい。

 

仕方ない、応急処置でも施すか。

俺はおっさんの顔に手を当て、ガストレアウィルスのみを焼き殺せる電圧を用いて侵食を止め、ついでに麻酔もどきみたいな物もかける。

これが俺から出来るせめてもの慈悲だが……

「オッサン、これは一度しか言わん。……何か、誰かに伝えたいことはあるか?」

 

民警として、最期の言葉くらいは伝えてやるとしよう。

「そうか……それなら、頼みごとになってしまうがね……あのビルの405号室は私の部屋なんだが、そこにある物をもらい受けてくれないか……?宝物なんだ……」

 

……あと、最期の最期に面識のない誰かさんが何故かくれたプレゼントくらいなら受け取ってやるとしよう。

「それじゃ……痛くないように頼………」

 

「了解だ。それじゃ死ね」

 

俺は、最期に贈られた贈り物をこっちが勝手に受け取ることを決めると、頭を掴んで電子レンジのそれに近い電磁波を脳に喰らわせ、焼き殺した。

……眠れ、オッサン。あんたの宝とやらは俺がもらってやる。




蛭子影胤
新人類創造計画、最強最悪の楯。
本人が元々圧倒的な防御力を誇っていたところに、斥力フィールドや様々な防御力アップの改造を施された結果、超電磁砲であっても数発は耐えるようになった。
しかし、原作の影胤より大きな弱点が1つだけ……



蓮太郎の技解説
並列エレキ○○系
とりあえず命名ルールが同じなのでまとめて。
蓮太郎の細胞は、実は1つ1つが電気を増幅できるスーパー細胞であり、それを通ると電気が実体を持つようになる。
つまりガストレアを斬る電撃も作れるということである。

電磁波
便利なウェーブ。
電子レンジのマイクロ波なんかは容器に入れた物を熱することも、頭蓋骨を容器に見立てて脳を文字通り沸かしてやることも出来る。
ちなみにソナーも出来る。

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