“プロモーター序列第一位”里見蓮太郎の物語   作:秋ピザ

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よく考えるとこの作品の蓮太郎は二話に一度以上の割合で寝ているという事実に今更気付いた。

なお、今回キャラ崩壊注意です。


“聖天子暗殺未遂事件”の幕開け

「へい……里見民間警備会社でさぁ……営業は平日のみ午後限定となっていますので、また時を改めておねげーします……ぁふ」

 

自衛隊の男たち三人が自宅を訪ねてくる案件から約3日。

あれから毎日自衛隊員が自宅を訪問してくるようになり、毎日『疑わしきは蹴散らせ』の心で追い払っていた。

お陰でティナに甘えまくれる至高にして至福の時間を削られているから非常に不服と言うか、割とマジでキレそうなんだが……まぁ自衛隊員を追い払わないとドアバンしてきてそれに連動して或守が泣き出すから追い払わない訳にもいかないんだよな。

身内に甘く知らんやつには死ぬほど厳しくがモットーな俺としては或守を泣かせる不届き者は死ぬより惨いことをしてもそれは無条件で許されるべきだと思ってる。

ちなみにティナを泣かせた奴はとりあえず簡易マスドライバー作って宇宙まで飛ばすくらいのことはしても無条件で許され表彰してもらえるとガチで考えてる。

つーかティナを泣かせる奴は問答無用で惨たらしく残酷に死なないギリギリで苦しめば良いんだ。

……流石に或守とかと喧嘩して泣く感じならあんまし気にしないけど。

それにティナの泣いてる顔ってのも死ぬほど可愛いからな。思わず独占して俺とティナと或守以外の全人類と全ガストレアをまとめて滅ぼしたくなるくらい可愛いからな。

 

まぁそれは語ると長くなるから一旦そこに置いとこう。

とりあえず一度現在に目を向けて見るとこの状況はこうだ。

朝10時、珍しく起きて朝食を作った俺は朝っぱらから掛かってきた電話に半ギレで応答している。

そしてその電話の相手は……

『やぁこんにちは、里見蓮太郎くん。エイン・ランドだ。気軽にお義父さんとでも呼びたまえ……ところで私の娘は元気かね?』

 

「クソゴミは今すぐあの世へお還りくださいやがれ」

 

エイン・ランド。人類最高峰の知能を持つ【四賢人】が一人にして菫先生とは出会い頭に唾を吐きつけ合う程の親友であり、更にはティナを改造して機械化兵士としての力を与えた犯人でもある。

ちなみに俺は彼の家(アジト、隠れ家ともいう)を一度訪問して家の良さを一体いくら積まれたんだってくらいの激甘採点で採点したことがある。

1000点満点で、1点につき1発の超電磁砲という方式だったからちょっとだけ風通しを良くしちまったけどな。

つーか正直コイツがティナを自分の娘だと言うのが気に食わないんだ。

ティナは俺のモノ。それはもう変わらない。

だから本気でコイツにはさっさと死んでもらいたいよ……自分で手を下せないのが残念な限りだ。

『ククッ、やはり手厳しいなぁ、君は』

 

「……斬るぞ」

 

俺は、とりあえずこれ以上話してもイライラするだけだと判断して受話器を置く用意をした。

これで世間話がしたいだけとかほざきやがったらすぐに切って着信拒否してやろう。

『今物凄く物騒な方の漢字が使われた気がするのだが』

 

「斬らせるぞ。ナニをとは言わんが」

 

『……まぁ世間話はこれくらいにして、本題に入ろうか』

 

「……チッ」

 

俺は舌打ちをしつつ、仮にも世界有数の頭脳を持つ(かもしれない)男の言葉に耳を傾けてやることにした。

ムカつくことに、コイツが何かマトモな話をするときは大概ロクでもないことが起こるのだ。

俺とティナが出会ったのも、コイツが当時世界最強になったばかりの俺を改造させてくれとか言ってきて無視してたら誘拐するための刺客としてティナを送り込んできたからなんだよな……

そう思うと僅かに感謝できるが、しかしそれもある意味では身柄を狙われるというロクでもないことにカウント出来るので、コイツが電話でマトモなことを話したらロクでもないことが起こるのは間違いない。

さぁ、今度はどんなバッドニュースを伝えてくれるんだ……!

『それがだね、今度人に頼まれて聖天子を暗殺することになったのだが』

 

だがしかし、身構えていた俺を待ち受けていたのは思いもよらぬグッドニュースで。

「ありがとうございますお義父さん」

 

『うわぁあまりの豹変ぶりにお義父さん困惑。でもどういたしまして』

 

それは喜びのあまりうっかりエイン・ランドをお義父さんと呼んでしまうほどのグッドニュース。

俺にとって忌むべきあの女を勝手に抹殺してくれるらしい。

実に都合のいい話だ。素晴らしいぞ。

これでアレが訪ねて来るのを警戒せずに済むぜ……

当分はコイツに足を向けて寝られないな。

『あ、それとだね。実は聖天子暗殺の刺客として送り込んだ私の娘はちょっと君を逆恨みしているようなんだ……気を付けて』

 

……おい。

俺が感謝した直後いきなり最低なバッドニュース放り込んでくるとか何事だよ。

しかも俺を逆恨みしてる刺客?

逆恨みされるような覚えはないんだがなぁ。

そんなことを考えつつ、無意味に頭を抱えてみる。

そして数分の長考ののち、結論に至った。

……悩んだって仕方がない。刺客が来るならとりあえず刺客が来た瞬間に捕まえて尋問すれば良いだけだ。

それに相手はエイン・ランドが手掛けた機械化兵士兼イニシエーターってだけだ。

だったら機械の部分をショートさせつつ体の自由を奪ってしまえば情報を聞き出すのも、言いなりにするのも容易。

ならば恐れることは無いだろう。

俺は世界最強だ。人類で一番強い人間だ。

ティナにはどう足掻いても敵わんし、色々な意味で安い人間だし、人間性は低いが、しかし最強だ。刺客程度なんら恐れる必要はない。

それに、今回の刺客は聖天子の抹殺も行ってくれるようだし、逆恨みしているなんて前情報がなければ喜んで手伝ってやりたいくらいだよ。まったく。

 

……あー、なんか小難しいこと考えたら疲れてきた。

今日はもう1日まるごとティナに甘やかされて過ごそうか。

一般市民が汗水たらして働く中、働くわけでも何をするわけでもなく、ただただ無為に時間を過ごし人生を無駄にする、そんな素晴らしい行為をして1日を過ごすのは、悪くないよな……

 

ひとまずの行動指針を決めた所で、俺はティナと或守が居るリビングまで移動する。

二人は何やらテーブルを挟んでガールズトークに興じているようだが……まぁ寝ていれば聞こえないということで気にせずティナに近付いて膝枕してもらう。こういうとき何も言わなくてもナチュラルに受け入れてくれるのはティナの星の数より多い美点の1つだ。

そして、俺はティナの膝の上である程度楽な体勢を探して軽く寝返りを打ち、目を閉じる。

別に眠いわけでもないし寝不足だったわけでもないが、ティナの膝枕のあまりの心地よさに意識は段々と沈んでいく。

……平日真っ昼間から幼女の膝で眠る引きこもりクズ男というのも、外面は悪いがかなり素晴らしいものだよな……

俺は最後にそんなことを考えて、意識を手放した。




エイン・ランドさん補足

原作とは違う過去を持ち、故に静かに狂って明るさを手に入れたエイン・ランド。
狂っているが故に改造した少女たちを道具のように扱うが、その一方で惜しみない愛を注いでいる。
狂っているが故に、その愛は時として無差別になる。
狂っているが故に、娘と呼んで愛している少女たちを殺人の道具に使う。
狂っているが故に、少女たちが罪のない人間をいくら殺したところで何も感じない。

……みたいな。

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