“プロモーター序列第一位”里見蓮太郎の物語   作:秋ピザ

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色々悩んでとりあえず一章で途中退場した挙げ句そのあと出せなかった将監さんと、夏世ちゃんの出会いを書いてみた。

なお文字数は何故だか少なくなってしまいましたが……許してくだちい。

なおサブタイの順位は割とテケトー。原作蓮太郎が初期で15万かそこらだったんで、見た目的にも腕っぷしが強そうな将監さんはこれくらいかなー?と考えた結果がこれです。
それではどうぞ。


番外編:“IP序列104820位”伊熊将監の物語

数年前、まだ民警になってすぐの頃の俺は国際イニシエーター協会によるマッチングで、妙なイニシエーターとコンビになった。

ソイツの名は千樹夏世。

イルカの因子を持ち、普通のガキに比べて知能が発達してるとかで……なんというか小賢しい上にうるさそうな雰囲気を纏っているクソガキだった。

はっきり言って気にくわなかったね。もし有能じゃなけりゃこっそり殺して殉職扱いにして新しいイニシエーターに期待しようと考えるほどには。

だから俺はひとまず家に着いたら徹底的にどっちが偉いのかを教え込んでやろうじゃねぇの。なんて息巻いていた訳だが……

 

その計画は帰宅してまず後ろから殴って気絶させ、バラニウム入りの枷で手足を縛るところまでしか行えなかったのだ。

非常に嬉しくない理由でな。

特にその時の手足を縛ったあと最初に言った言葉は印象的だった。

『足りないです……こういうときは拷問器具をバラニウムで作っておいて、なおかつ傷口を抉るようにバラニウムナイフを刺してくれないと』

 

ってな。

その言葉を聞いた瞬間、俺はこのイニシエーターにマトモな流れで格の違いを教えるのは難しそうだと悟ってしまった訳だ。

なんせ突然気絶させられて手足を縛られたにも関わらず出てくる最初の言葉がそれなんて……相当のマゾヒストでもなきゃ無理だろうからな。

そんでもって俺にはマゾヒストを調教する技能なんざない。

ほら無理だ。分かるだろう?

 

……だがしかし、とっとと諦めた俺に対し追い討ちをするようにして更なる言葉が放たれた。

『あの、出来れば何回か直接顔かお腹の方を殴ってみて貰えますか?』

 

と。

もちろん俺は絶句したさ……まず引いた。その上距離を置こうとした。

10歳でマゾヒストとか何があったんだよ……とか思ってしまったからだ。

正直コイツは流石にハズレだし、変えて貰おうかとさえ考えた。

しかし……変えて貰うにはまずコイツをなんとかして処理する必要がある。

それこそガストレアに殺させる、とかな。

しかしパートナーをいきなり死なせるようではIP序列は上がりにくくなること間違いなしだ。

そこで1つ考えた。

『ならいっそ望み通り殴ってやろう』とな。

 

それはいわばある種の思考放棄であり、楽な道に逃げ込んだ結果とも言える。

しかし弁解させて貰うなら……俺はその時まだガストレアに対しての憎しみを若干“呪われた子供たち”にも向けていたし、何より民警として注目されるのはいつもイニシエーターばかりでイラついていた。

だから都合よく殴られてくれるイニシエーターなんかが居てくれれば、なんて心のどこかでは思っていたのさ。

だからそれをあっさり受け入れて、ひとまず思いっきり殴って、殴り飛ばした。

まぁ、その時はギリギリなんとかそれで苦痛が痛みによる快楽を上回って顔を歪めるようならやめようとは思っていたがな。

 

……しかし違った。

夏世は俺が殴った瞬間、本当に心の底から幸せそうな顔をしたんだ。

しかも少し倒れてから立った時にもまだ恍惚の表情を浮かべていて……

はっきり言って、恐怖すら覚えた。

だがその時、俺の頭の中にはソイツの気持ち悪さに対するある種の恐怖に加え、もう1つの感情があった。

……それは快感。

人を殴ったことはこれまで幾度となくあったが、しかしその誰でも感じたことの無いような快感を感じていたんだ。

何かを壊す快楽、弱い者を一方的に傷付ける快楽、自らの鬱憤を何かにぶつける快楽……とにかく色々な感覚がごちゃ混ぜになったような快感だった。

はっきり言ってこれほどまでに殴って気持ちのいい相手はこれまでも、これからも見付からないだろうと断言出来るな。

……そもそも他人を殴って快楽を得る俺みたいな人間がおかしいのかもしれんが。

まぁなんというか、ここまで殴り甲斐のある相手が自分の相棒になるなんてな。

IISO(国際イニシエーター協会の略称だ)の作為すら感じるほどだぜ、まったく。

俺はそんなことを考えながら、ロクに受け身も取らず殴られた夏世を見る。

別に多少本気で殴ったからって壊れはしないだろうが、ここでどれくらいダメージを受けたかを見てこれからどう扱うかを決めようという魂胆だ。

目安としてはそれなりに堪えているようであれば殴るのはあまり多くしすぎないように、あまり堪えていないならDV夫も少し青くなるくらいに、まったく堪えていないならサンドバッグといった所だろう。

俺としてはサンドバッグコースが一番だが、はてさてどうなることやら……

「ありがとうございます……あ、でも出来ればもう三発くらいお腹の方にお願いしていいですか?」

 

夏世は起き上がると同時に心底幸せそうな笑顔でそう言ってきた。

どうやらまったく堪えていないらしい。まるでサイやら象の因子を持ったイニシエーター(聞いた話だと普通のイニシエーターに比べてかなり丈夫らしい)のようですらある。

……実際はイルカの因子だが。

 

まぁ、とりあえずさっきの一発が堪えていないならサンドバッグコースでも大丈夫だろうさ。

「……あぁ、そんなに殴られるのがお望みなら……やってやんよ」

 

俺はコイツをこれから毎日好きなだけ殴れることに歓喜し、自分でも分かるほど不気味に笑いながら夏世を全力で殴り始めるのであった。

 




夏世ちゃん極マゾ化。
将監さんと夏世ちゃんが仲良くコンビ組むとしたらやっぱこれが最適な形かな。と思い立ったので。
というかアレですな。マゾロリとか正直俺得と言いますかバブみのあるロリに次ぐ俺的最強属性ランキング二位ですからね。異論反論は許す。

まぁそんなわけでマゾ化した夏世ちゃんですが……次回、ちょっくら理由を出してみます。
マゾははマゾでもただのマゾじゃない。それがこだわりと言うか原作の感じを精一杯リスペクトしてみた結果なんで。

……そういう訳で、次回は耐性のない方にとって多少胸糞ととれる可能性がありますんで、注意してください……

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