“プロモーター序列第一位”里見蓮太郎の物語   作:秋ピザ

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最近長文タイトルがクセになってきた。
いっそ100文字ギリギリまで攻めてみるか……?
いずれ死ぬほど長いタイトルがついたらそういうバカな事情だと思って納得してください。



ティナを叩き起こす騒音は俺式刑法によるところ死刑である

俺にとって自堕落で無意味で無駄な時間と言うのは、何よりも素晴らしい時間であり、誰であろうと邪魔できない聖域だ。

朝起きてすぐ起き上がってもいいのに意味もなくそのまま微睡んでその勢いで二度寝することは良いことだ。

ティナに抱き締められながら寝ているのは心地いいし、何よりマトモな生き方をしている奴よりも充実しているという実感が湧く。

更に言えば平日に仕事をするでもなく家で何もせず無為に過ごすのも、悪くない。

特に何もせず過ごすというのは、思ったよりも貴重で素晴らしい時間だ。

……お分かりいただけただろうか?

無意味な時間は、何よりも素晴らしい。

優越感、幸福感を得られるし損をすることはあまりない。

まぁ俺の場合はティナと居られるのならなんであってもあまり気にはしないが、とにかく無意味な時間は良いものだと俺は声を大にして言いたい。

だから、俺としてはその時間を邪魔したやつは問答無用で死刑しても許されると思う。

 

……事の発端は今朝の6時頃。

歌でも歌って金を貰うタイプの物乞いでも来たのかどっかの外国の歌が聞こえてきて目が覚めた。

しかしその時は、歌声も悪くなかったし暇だし何より金が有り余っているから1000円くらいやるかななんて思っていたよ。

ティナの安眠を妨害せず尚且つ俺の気分も害さないんだし、金をやっても良いと思っていたんだよ。

 

しかし、割とダラーッとしたいつも通りの朝を楽しんでいた所で突如、銃声が鳴った。しかも一発じゃなくて五発ほど。

もちろん、その音でティナは跳ね起きた。

そして俺たちはそそくさと着替えると二人で窓の方から外を見てみた。

すると家の前で物乞いと思われる少女が警察にドナドナされていたのだ。

それも血だらけ……いやむしろマジでお前なんで無事なん?って思うくらいに酷い状況で。

……今考えても相当に酷い状態だった。

銃弾が体内に残らなかったのは幸いだが、ギリギリ脳と心臓に当たっていなかっただけであと少しズレていれば確実に当たっていた。

話を戻そう。

さて、そんな具合にボロボロで警察にドナドナされていく少女を見て、俺たちはどうしたのか。その答えは簡単だ。

 

俺はティナに全ての判断を任せて、ティナは少女を助けたいと言った。

そして俺はティナの望んだ通り、少女を全力で助けた。

それだけのことだ。それ以上でもそれ以下でもなく、ただ体をブーストしまくって高速で少女に接近し、警察を軽くワンパンして(ただしそのワンパンが常識的な威力であるとは限らない)、帰還しただけのことなのだ。

「そんな訳で、事の一部始終を語ったが……事情は理解したか?」

 

「はい」

 

「そうか。それなら礼はその体で払って……痛い痛い痛い!?」

 

俺が無駄にカッコつけたポーズで少女に事の一部始終を説明し、そのついでのようにサラッと手篭めにしようと画策した瞬間、ティナに銃を向けられた。

やめてくれ、流石に対物ライフルは耐えきれないよ。

それにこれは浮気なんかじゃなくて正当な報酬と言うか、この子を保護するための口実と言うかだね……

「それなら素直に一方的に保護すれば良いだけでしょう?何故体で払えと言ったんですか?え?」

 

ティナが怖い。

ここ3日くらいで一番の怖さだ。

昨日も一昨日もめちゃくちゃ可愛かったのに何故ここまて豹変して……あぁはい、そうです俺が全部悪いです。

でもさ、話の流れ的にもこう言った方が自然じゃないか。

「……へぇ、そうですか私には手を出さないのにこの子には早速手を出すと」

 

「いやそういう系じゃなくてだな……」

 

「おにーさん、ああいうのは私だけにしてください」

 

……ぬぅ。本当ならティナにも着せてみたメイド服やらチャイナ服やらをこの子でも試そうと思ったんだが……ダメか。

いや、そりゃそうだよな。

ティナとしてもこの間の再来みたいなことはあまりやりたくないに違いないはずだ。

そのためにこの言葉を言ったのだろう……きっと多分。

「私で良ければ、おにーさんの望むことはなんでもしますから……ね?」

 

まぁそうであるにせよないにせよ、ティナに言われちゃしょうがない。

ひとまず保護だけでもして、普通にデレデレしようか。ティナの次くらいにさ。

つーか今のセリフ可愛すぎだろ。襲えとでも言いたいのか。もうゴーサイン出ちゃってんのか。

俺だけが引っ掛かるフェロモンでも出された気分だぜ……

俺がそんな具合で訳の分からない気分になっていると、挨拶した方が良いんじゃね?とでも考えたのか少女は少々回ってない舌で挨拶してきた。

「え、その……よろしくお願いします?」

 

……まぁ、子供にしては充分なんじゃないかと思うね。あんな事をやっていたくらいだから学校には通ってない(であろう)筈だが、とりあえず最低限こういう振る舞いが出来るのなら満足だ。

方向が物理的に間違っていなければだけどな!

 

分かっていたさ。この少女がずっと目を閉じているから、盲目なんだということは。

しかしな、まさかこのタイミングでそっち向いてそれを言うとは……逆に天才的にすら思えてきた。

ちょっとご機嫌ななめなティナに向かってそれを言うとは、なんたる猛者……見習いたくはないけどすげーよ。

俺は少女にある種の驚愕すら覚えつつ、嫌な予感がしてティナの後ろに回り込んだ。

でもって、後ろ手に持っていたなんか暗殺用っぽいグローブを取り上げる。

「あうっ」

 

「いやいきなり殺すのはダメだぞティナ。殺しだけは、ダメだ」

 

ついでにあまり威厳も何も無いが言い含める。

散々バケモノ染みたあのプロモーターを殺しにいっていた俺が言えた義理じゃあないがな。

 

……それにしても、このグローブは結構良いものだな。

サイズ的に俺は使えそうにないが、ワイヤーを射出出来るみたいだから絞殺にも、戦闘中の簡易トラップにも使えてなおかつ俺であれば電撃を当てる手段の1つとしても使える。

今度知り合いに頼んで作ってもらうのも良いかもしれないな。

「おにーさん、流石に今のはちょっとお死置きするくらいなら許されると思うんですけども」

 

「全然ちょっとじゃないぞ……ガチで殺しに行ってたぞ……」

 

「……えと、間違えました?」

 

つーか少女よ、お前はようやく言う相手を致命的に間違っていたことに気付いたというのか。

もうそれはそれで凄いことに思えてきちゃったぞ……

 

俺は、朝っぱらから本日二回目の謎の戦慄を覚えたのであった。




今回登場した反呪われた世代の方々は……実は初登場です。
それと個人的に結構好きな三巻辺りに出てきた歌を歌ってる物乞いの少女ちゃんも出してみました。

うん、まぁ……半ニートはつい死ぬはずの登場人物を生かしたくなってしまうものでして。

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