“プロモーター序列第一位”里見蓮太郎の物語   作:秋ピザ

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無茶することは良くないと思うんだ。
回りに迷惑を掛けるし、自分もダメージを喰らう。
だからね?

……投稿がいつもより遅くなった(気がする)のはそれを念頭に置いた結果無茶をしなかったからなんだ。うん。


無茶は良くない(迫力)

無茶するってのは良くないことだと思うんだ。

俺の場合周りの……というかティナとかティナとかティナが心配するからな。

しかし今回は久しぶりに本気になりかけたな……あぶねーあぶねー。

自分の本気ってのがどう言った性質のものなのか理解していながら本気出しかけたわー。

『本気出して数分戦えば軽く国1つ沈む』が出来なくもない俺の体で本気なんか出せるかってーの。

それ以前に本気出すと疲れるしな。

今回だってほぼ1年近く使っていなかった超帯電モードを解放したせいで多少筋肉痛がするし、全身がダルい。

こりゃ早いことティナと合流して家に帰って休まねーと、2日くらい残りそうだわ……

「ティナ、帰還するぞ」

 

俺は幸いにして俺が発した電気で壊れていなかったインカム(実のところ壊れなかったのはこのインカムが先生が作ってくれた特注品で電気に強いからだが)でティナに帰還するように伝える。

すると、いつもより少しだけ楽しそうなティナの声で五分としない内に着くとだけ伝えられ、通信は切れた。

何かあったのか?

ティナが喜ぶこと……友達でも出来たのかねぇ。

今のところ同居してた子たちも全員殺したりなんだりでまともに仲良くしてもいなかったし、俺の思った通りであればとても良いことだ。

……まぁ、それ以外のことである可能性も残ってるんだけどな。

 

そんな思考にリソースを割きつつ、俺は自宅の方向に向かって跳躍し、痛む体を酷使して超人的速度で帰宅するのであった。

 

 

 

自宅、それは人間にとっての心理的な絶対防壁であり、無条件に安心できる場所である。

それはこの俺里見蓮太郎も例外ではなく、人類最強の俺も自宅での生活はかなり情けないものになることがどうしても多くなってしまう。

「うぇい………」

 

だからつまりその、自宅に居る時は全力で情けなくというか人間としていかがなものかと思われるくらいにダメダメ感満載でティナに甘えることも許容されるべきだと思う。

特にティナの方が嫌がるでもなくただただ受け入れて甘えさせてくれるんだし、それを甘受するというのも素晴らしいことなんじゃないかな。

「おにーさん、今日は私に初めてのお友達が出来たんですよ」

 

俺はティナの顔を下から覗き込むような形で膝枕されながら、今日出来たらしい友達の話を聞く。

「その子がですね、どうやらおにーさんが戦ってたいかにもな強面の人のイニシエーターらしくって、お互いに共通の話題があったからつい話す内に……仲良くなっていました」

 

……それにしても、ティナに友達かぁ。

こんな状態で考えるとものすごく情けないが、感慨深いなぁ。

これまで俺が連れ帰って来た子供たち皆に殺意を籠めた目で見ていたのに、何が違うんだろうな。

まぁ、どちらにせよティナに友達が出来たと言うのは嬉しいニュースだろう。

「それで、その子に教えてもらったんですけど……」

 

お、なんだなんだ?

急に顔を近付けてきて何をしようってのか……ちょっとワクワクするというか、それはそれで友達のイニシエーターとやらが友達と言うよりも同類なんじゃないかと思えてくるというか……

「大好きですよ、おにーさん」

 

「!!!?」

 

……っと、なんか今のヤバい。

何するのかあんま予想できてなかったところに耳元でささやかれると結構クるものがあるぞ。

ハッキリ言おう。めちゃくちゃ可愛い。

それこそ独占して自分だけの物にしたい、いやむしろ他の人間とガストレアを皆殺しにする価値すらありそうというか……

 

……そうだ、これはなんというか俺をダメダメからド底辺の人間畜生にまで堕落させて来そうな感じだ。

だがしかし、それを分かっていてもなお、あまりの可愛さに依存するのをやめられない……くっ、俺の習性を巧みに利用したな……10点だ!

「おにーさん、こういうのに弱いんですね」

 

「そりゃあな……やられたことねーもん」

 

俺はイタズラっ子のような、というかイタズラっ子そのものの笑みを浮かべるティナに対して変な意地を張ってまったく堪えてないように見せかけようとする。

まぁ最初から見破られてるみたいだが、そこらへんは気分の問題ってことだろう。

「それじゃあ今日からは寝る前にずっと今みたいにしてみましょうか」

 

やめてくれ、そんなことされたら理性がもたないよ。

つい魔が差して襲っちゃうだろう。

いくらティナが母性に満ち溢れててパーフェクトとはいえ、それでも10歳なんだからそういうのはあまりよろしくないと言うか……

何故か出産の最年少記録は年齢1ケタだって話を先生がしていたのを思い出したけど、とにかく色んな意味でダメだろう。

倫理的な理由と道徳的な理由と法律的な理由はまだいい。どうせその気になりゃこんな国一晩も掛からん。

だけどな……そういう事態になったとき真っ先に危険なのがティナの身の安全って時点で俺には我慢して自重する以外の選択肢は無いわけだ。

「やめろ……それはマジで危険だ……レッドリストもんだぞ……」

 

ひとまず心のどこかで『それえぇやん』とか考えてる自分を追い出して、感情が消えたような声でやめるように頼む。

ちょっとどころかかなり残念ではあるが……

「むぅ……これでもう27個目ですよ、レッドリスト」

 

……ふぅ。良かった。聞き入れてくれたみたいだ。

さっきの笑顔とは一転して少し残念そうで、ちょっと拗ねたような表情をしているが……うん、なんか拗ねてても可愛いわ。

 

……じゃなくて、一晩中耳元で色々囁かれるのを阻止できて良かったぜ。

まぁレッドリスト(個人的に作成した『色んな意味で危ない』系のモノをまとめた脳内リスト。現在は攻撃系、防御系、強化系、特殊系の技、それと今回みたいな俺の理性がヤバくなるアソビを合わせて27種がここに入っている)が増えたのはそこまでよろしいことじゃないが、とりあえず当面の理性の危機を乗り越えられたんだから良しとしようじゃないか。

俺はそう自分の中で残念に思っている部分と折り合いを付け、問題を先延ばしにする手法で終わらせようとした。

 

しかしそのタイミングで、ティナから爆弾発言が飛び出して俺を襲う。

「でも今日はおにーさんも疲れたみたいですし、これをやっても大丈夫かと思っていたんですが」

 

「……あ」

 

……確かに、今の今まで忘れていたが今日は久々に超帯電モードを使ったせいで無茶した反動の筋肉痛やら何やらで体が痛いから理性がぶっ壊れてもその前に体の痛みとかが理性を取り戻してくれる……かもしれないんだよなぁ。

いやでも、それで確実に理性が戻ってくれるとは限らないし……ぬぅ。

 

 

 

結局、俺は数時間にも渡ってこのことを悩み続けた挙げ句、疲れ果てて爆睡してしまうのであった。

つまり何事もなかった訳だ……もったいないことをした、気がする。




どうでも良い事だけど、今のところこの物語では今物凄く忘れ去られていて、登場していない可哀想な人が居るんだよ。
次回はソイツが登場するはず……いや、まぁもちろん登場するだけじゃなく、見せ場もあるはずだ。
そんなわけで期待しないで待っててくだせぇ。

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