虎眼転生-異世界行っても無双する-   作:バーニング体位

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第三十二景『合力返上志摩悪鬼決別譚(ジャイアントさらば)

 

 宮本武蔵という剣豪が最強の剣術者として世に知れ渡っているのは、姿や性別までも変え様々な創作物に登場しているからに他ならない。だが、それらは彼自身が自伝を書き残しておらねば成立し得なかったであろう。

 

『自己の剣術は究極の(ことわり)を体現するものであり、精神面においても煩悩を始め欲望の一切を無にするのが妙諦也』と記す武蔵。とはいえ、少なくとも名誉欲だけは捨てきれていなかったのではないか。

 

 生涯妻帯すること無く、俗世の執着(とらわれ)から解脱し、孤高の剣に生きたとされる武蔵。しかしその本心は、死後千年に渡り己の武名が謳われることを願っていたのではないかと──

 

 鎧兜の武装姿で埋葬された武蔵の死に様は、自己の剣生を後世に刻みつけんと欲する執念に満ちた業火が滲み出ている。

 

 そして、それは異世界に渡った虎も……

 

 家族の情に触れ、前世の因縁を払っても尚、剣の魔物に愛されし虎はその宿業の火から逃れることは出来ない。

 

 だが、唯一、その火から解放される道がある。

 

 

 それは、真紅の鬼火が、新たなる“火”を繋ぐこと──

 

 

 

 

 

 

 


 

 少女の尊厳ゴッツァン!

 淑女の美乳ゴッツァン!

 双子の頭骨ゴッツァン!

 ゴッツァンゴッツァンゴッツァ──

 

「ああ! もう! いい加減にしてください!」

 

 魔法少女の可憐声ゴッツァン!

 唯我独尊、傲岸不遜を体現した現人鬼波裸羅の暴虐(ゴッツァン)に面を喰らっていたルーデウス達であったが、ロキシー・ミグルディアの神の一声により一同正気ゴッツァン。

 

「ふん、そうイキるなイカ娘」

「だーかーらー!」

「これは戯れに過ぎぬ。(のう)、糞兎共」

「イデデ……そ、そうですね現人鬼殿。野郎ナメやがって……

「いやー現人鬼殿のお戯れはいささか身に堪えますなぁ。クソはお前だぁ……

 

 ロキシーへ軽口を叩きつつ、双子から手を離した波裸羅は悠然とルーデウス一同を睥睨する。双子兎はコメカミをさすりつつへつらうような笑いを浮かべていた。

 エリナリーゼは乳を揉みしだかれたショックから立ち直りつつあるのか、キッと睨みつけるように波裸羅を見据えている。が、波裸羅は長耳淑女の殺視線を意に介さず。

 

「ふふふ……あの猿めの姿が見えんが、猿以外は集まっておるし改めて名乗っておくとするか喃」

 

 そして、波裸羅は美麗にその究極の肉体を翻した。

 

「我が名は波裸羅ッ! 人は呼ぶ、現人鬼ッ!!」

 

 波裸羅の鬼声(おにごえ)が響き渡る。その美姿に圧倒されたルーデウス達はポカンと呆気に取られたかのように波裸羅の美姿を見つめ──

 

「いや、自由すぎるだろ」

 

 否、ルーデウスのみが、波裸羅の自儘にかろうじてツッコミを入れていた。ツッコミを入れつつ、ルーデウスはどこかこのノリが不死魔族の魔王、そしてそのフィアンセである魔界大帝の姿と重なり、なんともいえない表情を浮かべていた。

 

「うぬ?」

「え、な、なんですか……?」

 

 波裸羅は己へ白けた視線を向けるルーデウスの前にずいと寄り、その顔をじいっと見つめる。

 

「う……」

 

 波裸羅の燃ゆる瞳で自身を覗き込まれたルーデウスは、自己(おのれ)の睾丸が鋼の拳で掴まれたかのような悪寒に苛まれる。さながら、捕食者を前にした哀れな獲物の如く。

 波裸羅はルーデウスの芳香を嗅ぎ取ると、美麗に口角を釣り上げた。

 

「濡れたな、虎の兄よ。イカ娘と秘忍具(避妊具)無しの乱痴気泥遊び(ゴッツァンゴッツァン)かましたか」

「なっ!?」

「ちょっ!? ち、違います!」

 

 狼狽し赤面するルーデウス、そしてロキシー。波裸羅はそんな二人を見て「嘘つきは肉棒の始まり」と益々嗤いを深めた。

 その様子を見て、エリナリーゼ、そしてリーリャが怪訝な表情を浮かべるも、波裸羅の独壇場が続く為それ以上疑念を持つことは出来なかった。

 

「まあ今はイカ娘の具合より虎の具合よ」

 

 赤面するルーデウス達を尻目に、波裸羅はベッドに眠るウィリアムを見る。

 穏やかで、熱い息を吐くウィリアムの寝顔を見た波裸羅もまた穏やかで燃ゆる視線を向けていた。

 

「若先生はまだ目覚めていないのか……」

「申し訳ありません若先生……」

 

 双子の兎が心配そうに自身の師匠の寝姿を見つめる。

 負傷した師匠の側にいることが出来なかった申し訳無さで、その兎面を歪めていた。

 

「まだ夜ではないか!」

「昼だぞ」

「何言ってんだこの鬼」

 

 鮮やかな鬼声を上げる波裸羅に、直後の双子のツッコミ。鬼は無慈悲の鉄拳制裁を喰らわせていた。

 

「……波裸羅さん、でいいのか」

「あん?」

 

 一連のやり取りを黙って見ていたパウロがぼそりと声を上げる。パウロは波裸羅へ沈痛な表情を浮かべながら深々と頭を下げていた。

 

「ウィルを、助けてくれてありがとう。親として本当に感謝している。それと、俺の仲間があんた達へ剣を向けたのも謝らせてくれ。すまなかった」

「……」

 

 深々と頭を下げるパウロを見下ろす波裸羅。諧謔味のある笑みを浮かべつつ、パウロへ言葉を返した。

 

「ふふん。ゴチャゴチャの戦場(いくさば)では運悪く味方を斬りつけることもある。が、息子までも斬りつけるのは拙者もどうかと思うが喃」

「それは……」

「この場合、普通は指を詰めて(・・・・・)ワビを入れるものよ」

「指を、詰める?」

 

 聞き慣れぬ風習にパウロは疑問を返す。そんなパウロに、ますます諧謔味を深めた波裸羅は己の小指を立て、それを手刀で斬るような仕草を見せた。

 

「いやそこまでしなくても」

「鬼かアンタは。鬼だけど」

 

 全員がドン引きする中、双子も双子で思わず辛辣なツッコミを入れる。ルーデウスもまた「ヤクザかよ……」と一人呟いていた。

 とはいえ、近世日本で生きる荒くれ者共にとってこの自虐行為はさして珍しいものではなく。

 “指切り拳万”という約束事の遵守を誓う風習から見受けられるように、小指を差し出すというのは時として最大の誓約、そして謝罪、処罰として扱われた。

 その風習は鎌倉期から見られ、戦時において“御方討”と言われる同士討ちを仕出かした者は“指切り”の刑に処されたとの記録も残っており、室町期からは庶民を対象とした刑罰としても指切りは行われていた。

 それが近世、近代、そして現代へと筋者らの風習として受け継がれているのは言わずもがなである。

 

「……そうか、指を斬るんだな」

「旦那様!?」

「父さん!?」

 

 波裸羅の仕草を見て、おもむろにナイフを取り出し己の小指を裁断しようとしたパウロを、リーリャとルーデウスが慌てて止める。

 肉体切断を容易に治癒できる魔術がある世界とはいえ、その行為は六面世界の住人、そして平成日本の価値観を持つ者にとって非常識極まりない行為であった。

 

「いいんだ。俺は、ウィルに謝らなきゃならないんだ……!」

「そんなことをしなくてもきっとウィリアム様はお許しになってくれます! だから指を切るなんてお止めくださいませ!」

「そうですよ父さん! 父親の小指なんてもらってもウィルも困りますよ!」

 

 懸命にパウロの腕を抑えその自虐行為を止めるリーリャとルーデウス。その様子を見て、波裸羅は高らかに哄笑を上げた。

 

「アッハッハッハッハ! 虎の父御はまっこと愉快じゃ!」

「全然笑えねえ!」

「加減して差し上げろ莫迦!」

 

 双子に瞬速の腹パンをぶち込みつつ、波裸羅は慈愛の眼差しをパウロ達へ向ける。

 

「ま、拙者もそこまでせんでも良い気がするがな。なんのかんので情に厚い甘き男よ」

 

 そのまま眠るウィリアムを見やりつつ、波裸羅はパンと手のひらを合わせた。

 

「拙者らの遺恨は元より一切無し。あとはお主ら家族の問題。余人が口を挟む道理は無し」

「……すまねえ」

「善き哉。兎共もそれでよかろ?」

「はぉぉ……」

「ウギギ……」

 

 波裸羅の一声を受け力なくナイフを仕舞うパウロ。それを見て、波裸羅は再びニヤリと美笑を浮かべた。

 手打ち完了。

 多少強引ではあるが、腹を抑え蹲る双子の兎もそれについては異議を唱えるつもりは毛頭なく。そもそも、ウィリアムへ斬りつけたパウロへ反撃したのは双子達であり、師匠の肉親へ刃を向けた事実は到底許されるものではない。むしろこちらが詫びを入れなければならないと思っていた双子は、蹲りながらパウロ達へ改めて謝罪を入れていた。

 もっとも、波裸羅の裁定に異議を唱えた瞬間、再び鬼の鉄拳が腹腔に飛び込んでくるのは必定であったが。

 

「やれやれ。なんとも破天荒な御仁よの……」

「無茶苦茶ですけれど、妙な説得力がありますわね……」

 

 やや蚊帳の外に置かれたタルハンドとエリナリーゼが嘆息混じりにそう呟く。

 事実、その行動や言動は常人の理外の外にある代物であったが、波裸羅の美口上はその是非を説くのを躊躇わせるものであった。

 

「あの、ところで貴方はあの“鬼族”なのですか?」

 

 ふと、落ち着きを取り戻したロキシーが波裸羅の姿を見てそう疑問を上げる。

 自らを“鬼”と称す波裸羅の姿。であるが、頭部に備えしはずの角が見当たらず、どうみてもこの世界の“鬼族”には見えない。

 

「とても鬼族には見えませんけれど……」

 

 同様の思いを抱いていたエリナリーゼの呟きに、ルーデウス一行はもちろん、双子の兎達も「そういえばこいつ何者?」と今更な疑問を浮かべていた。

 双子の師匠であるウィリアムが波裸羅の素性について特に言及もしていなかったのもあり、この理不尽かつ非常識の存在と同行していた不自然に、今更ながら気づいていたのだ。

 

「ふん。拙者を鬼ノ城(きのじょう)温羅(うら)共と一緒にするでない」

 

 相変わらず六面世界の住人には皆目見当もつかない弁を述べる波裸羅。唯一、ルーデウスだけが“鬼ノ城”という単語に反応し、困惑した表情を浮かべていた。

 

「この波裸羅、ただの鬼に(あら)ずッ!」

 

 獣、魚、虫、樹木、菌類に至るまであらゆる生命にとって“火”は死をもらたすもの。

 だが、志摩の現人鬼の火は、紅蓮の炎の中で更にその雄渾なる輝きを増す。

 その様は、この六面世界の“鬼”に非ず。

 

 まさしく、“現人鬼”と呼ばれる“怪異”である。

 

「……ッ!」

 

 轟然と鬼合を発する波裸羅の威容に、一同はその身を竦ませる。さして広くもない宿の一室は、鬼が発する怨気に包まれ、男は睾丸を縮ませ、女は女陰をしめやかに濡れそぼらせた。

 

 

「……現人鬼殿。もう少しこう、手心というか」

 

 

 唐突にベッドから発せられたか細い声。

 一同がそこへ眼を向けると、現人鬼の鬼気に当てられ覚醒したウィリアムが、ゆっくりと上体を起こそうとしていた。

 

「ウィルッ!」

「ウィリアム様!」

「「若先生!!」」

 

 パウロ、リーリャ、そして双子の兎が覚醒したウィリアムの側へ駆け寄る。

 

「ウィルッ! ウィルゥッ!!」

 

 泣きそうな表情でウィリアムの身体を支えるパウロ。そんなパウロを気遣うように、虎は僅かに眼を細めた。

 

「御父上……」

「ウィル、俺は、俺は……!」

 

 くしゃくしゃに顔を歪めながら、パウロは愛息子へ言葉にならない謝罪を繰り返す。

 それを、ウィリアムはただ黙って聞いていた。

 

「すまねえ……すまねえ……!」

「……」

 

 涙を流し、愛息子をぎゅうと抱き抱くパウロ。嗚咽混じりの謝罪に、虎は一言も発することなくただ父の抱擁を受け止めていた。

 

「ウィル……」

「兄上……」

 

 心配そうに、ルーデウスが弟へ声をかける。

 虎は少しだけ眼を見開くと、そのまま静かに頭を下げていた。

 

「皆様。ウィリアム様は目覚めてからまだ御心が覚束ない御様子です。まだ、ゆっくり休ませてあげては……」

「元より承知しておる。行くぞ糞兎共」

「ハイ」

「ワカリマシタ」

 

 ウィリアムの様子を見て、リーリャがそれとなく波裸羅達へ退出を促す。

 波裸羅は双子の襟首をむんずと掴むと、そのままずるずると部屋の外へ引きずって行った。

 

「わたくし達も出ていった方が良さそうですわね」

「そうじゃな。ああ、ウィリアム。お主の剣は後ほど修繕させてもらうぞ」

 

 エリナリーゼ、タルハンドもまた波裸羅達へ続き腰を上げる。

 タルハンドは手慣れた様子で七丁念仏の刀身を厚手の布で包むと、丁寧な手付きでウィリアムの前へ置いた。

 

「……」

 

 武士にとって刀は命。決して余人に対し容易に触らせる事は無い。

 だが、炭鉱族であるタルハンドは、剣術者が己の得物を大切に扱っているのを良く知っていた。それ故、その扱いに礼を欠かす事はしない。

 タルハンドはある事情で鍛冶自体は不得手であった。だが、鍛冶に対する情熱は、あの同族の男に対する恋慕と共に埋火のように静かに燃えていた。

 七丁念仏をひと目みた瞬間、タルハンドの中でその火が再び燃え上がっていたのだ。

 ウィリアムはそのようなタルハンドの内心を見透かしてか、炭鉱族の偉丈夫へ静かに黙礼を返していた。

 

(やっぱりあいつは……ウィルも、やっぱり……)

 

 ルーデウスは波裸羅の後ろ姿、そして弟の得物を見て固い表情を浮かべていた。やはりかの者達は“同郷”ではないかと──。

 

「ルディ……どうしました?」

「あ、いえ……」

 

 そんなルーデウスを心配そうに覗くロキシー。

 その可憐な姿を見たルーデウスは、自身の中で渦巻く様々な困惑が洗い流されていくような思いを感じていた。

 

「……あの、父さん。話というか、相談があります。あとで俺の部屋に来て下さい」

 

 いまだウィリアムを抱きすくめ涙を流すパウロに、ルーデウスは意を決したかのように言葉をかける。

 己が仕出かした一晩の過ち。敬愛が性愛に化けたそれを、ルーデウスはどう決着をつければ良いのか。この手の話ならば、パウロは非常に頼りになる男であるのを、ルーデウスは幼少の頃から良く知っていた。

 ルーデウスはロキシーと共にパウロへ一礼すると、そのまま部屋を後にした。

 

「旦那様もそろそろ。後は私が」

「あ、ああ……そうだな……ウィル、また、後でな」

「……はい」

 

 リーリャに促されパウロもまた名残惜しそうに部屋を後にする。

 絞り出すかのように返事をしたウィリアムは、そのままベッドの上でじっと身を固めていた。

 

「リーリャ」

「はい、なんでしょう」

 

 ふと、親愛なる女中の名を呼ぶ若虎。

 ゆっくりと眼を開いた虎の視線の先に、相変わらずぼうと座るゼニスの姿があった。

 

「御母上のご容態は」

「……」

 

 若虎の問いに、リーリャは一瞬言葉を詰まらせる。

 だが、数瞬した後、哀しみを押し殺すようにリーリャはその口を開いた。

 

「奥様は、失っております……」

 

 そこからは先のルーデウス達と同様の説明をするリーリャ。よどみ無く説明するリーリャであったが、言葉の節々に嗚咽を噛み殺すような声を滲ませていた。

 

左様(さよ)か」

 

 一通り聞き終わったウィリアムは、そう短く述べただけであった。余人が聞けば実母の惨状に対し余りにも淡白過ぎる反応。

 だが、虎の拳は固く握りしめられており、僅かではあるが何かを悔いるかのように表情を歪めていた。

 

 遅かったか──

 

 そのような悔恨の念に囚われるウィリアム。もっと早くゼニスを救助していたら、このような事にはならなかったのではないかと。

 

「ウィリアム様は何も悪くありません」

 

 そのような若虎の悔恨をきっぱりと否定する女中。

 そっとベッドの縁に腰をかけると、ウィリアムを優しくその腕で抱いた。

 

「こんなに……こんな姿になっても、ウィリアム様……ウィリアム坊っちゃまは、奥様、そして旦那様方を助けてくれました」

 

 傷ついた若虎の肉体を、慈しむように胸の中に包むリーリャ。

 先程の父の力強い抱擁とは違い、慈愛に満ちた柔らかで、優しい暖かさがあった。

 

「奥様を、旦那様方を救っていただき……ありがとう、ございます……」

「……」

 

 枯れ草のようなウィリアムの白髪頭に、口づけをひとつ落とすリーリャ。

 彼女は恐れていたのだ。ゼニスを失うことを。そして、救いを果たさんと迷宮に挑む、パウロ達の誰かが欠けることを。

 そして、感謝していた。死に体になっても尚、約束通り家族全員を連れて帰った、ウィリアムに。

 震え混じりの声で感謝を表すリーリャに、ウィリアムは身じろぎ一つせずそれを受け止めていた。

 

 救い出されし菩薩は、ぼうとした表情でその様子を見つめていた。

 

 

 

 

「ところでお主ら。それは一体何じゃ?」

 

 部屋から出たルーデウス達は、何やら大きな荷物を背負う双子の兄、ナクルの姿を見留める。

 いわゆる甲冑櫃のようなものを背負い、弟ガドの補助を得てようやく背負えるそれは、傍から見ても尋常ではない重量を感じさせていた。背負ったナクルが少し動いただけで宿の床が軋むほど。

 疑問の声を上げるタルハンドに、ナクルは歯を食いしばりながら応えた。

 

「こ、これは、若先生の、新しい外骨格(ほね)です……!」

「ほね?」

 

 みしりと床を軋ませながら双子へ割り当てられた部屋に向かうナクル。後ろで支えながら、ガドが補足の説明を述べた。

 

「現人鬼殿に言われて迷宮で拾いました。あの鎧の中にあった、一回り小さい鎧と言いますか」

 

 双子らが不在だった理由。それは、死闘を演じた拡充具足“不動”の残骸回収であった。

 ウィリアムに斬断された不動であったが、それは外部装甲のみを裁断されただけに過ぎず。一旦は地上に出た一行であったが、波裸羅が双子と共に密かに迷宮へ戻り、不動の内部装甲を回収していたのだ。

 双子が師匠の容態よりも回収を優先したのには、珍しく波裸羅が真剣な表情でそれを厳命したから。

 

 “何が何でも余人より先に回収すべし。件の超鋼、アダムスの新たな外骨格(はがね)なり”

 

 波裸羅の鬼気迫る表情を受け、双子は再び転移迷宮に潜行せしめる。もっとも、迷宮内の残党ともいえる魔物共は波裸羅に刻みつけられた鬼の剛強さに怯えたのか、以前程の苛烈な攻勢は全く無く。鬼と双子はさして労せず、最速で最深部までたどり着くことが出来た。

 

「あ、あの鎧の一部って……大丈夫なんですの?」

 

 用心深く身構えながら甲冑櫃へ眼を向けるエリナリーゼ。

 その後ろでは、ロキシーもまた自身の髪色と同じように顔を青くさせながら甲冑櫃を見つめていた。

 

「現人鬼殿は心配無用と言ってましたけど……」

「よしんばまた誰かに憑くようなら、またぶちのめせばよかろって言ってたましたけどね……」

 

 簡潔すぎる鬼の言魂。その是非を説くことは許されない。許されないのだ。

 

「うむむ。ひとまずその鎧の安全性は置いておくとしてもじゃ。その重さでは誰にも纏えんと思うのじゃが……」

 

 当然の疑問を投げるタルハンドに対し、双子は自信ありげにこう応えた。

 

「誰にも担げぬものほど、若先生に相応しいです」

「誰にも纏えぬものこそ、若先生に相応しいです」

 

 狂信的ともいえるウィリアムに対する双子の信頼、そして忠誠。おそらく、双子はウィリアムの為ならどんな悪辣非道も平然と行うであろう。

 死狂うた魔剣豪達の一面を垣間見たタルハンドは、その太い首に冷えた汗を垂らしていた。

 

「そういえば、その現人鬼さんとやらはどこへ行ったんですの?」

 

 当の波裸羅の姿が見られないのを見て、エリナリーゼは再び疑問を上げる。

 

「現人鬼殿は疲れた、寝るって言ってどっか行きました……」

「ちょっとは手伝えやまじで……」

 

 怨嗟混じりの双子の言葉に、ルーデウス達は苦笑いを浮かべるのみである。

 

「俺も少し疲れたな。ルディ、悪いが話はまた後でいいか?」

「え、あ、はい。父さんもゆっくり休んでください」

 

 疲れた表情でそう述べるパウロ。ろくな休息もせずウィリアムを看護していたパウロを見て、ルーデウスは己の相談事より父親の休息を優先せざるを得なかった。

 

「ルディ。私のことは、本当に気にしなくて良いんですよ」

 

 愛弟子の心情を察してか、ロキシーがおずおずと言葉をかける。

 自身の不甲斐なさに、ルーデウスは忸怩たる思いを噛み殺すように敬愛する師匠へ応えた。

 

「そういうわけにはいきませんよ」

 

 敷島の異形共にかき乱された人間関係を、ルーデウスは悶々とした感情で噛み締めていた。

 ロキシーもまた自身の感情に整理がつかないのか、同じように表情を暗くする。

 

 ルーデウスの脳裏に、最愛の妻、シルフィエットの儚い笑顔が浮かんでいた。

 

 

 

 

 


 

 若虎が覚醒してから一ヶ月程。

 ルーデウスら一行は、ラパンから遠く離れたベガリット大陸の砂漠を進んでいた。

 

 この間、ルーデウス達は諸々の雑事に追われつつ、シャリーアへの帰還の準備を整えていた。

 ウィリアムは本調子とはいえないものの、過酷な旅路に耐えられるくらいには快復しており、回収した迷宮戦利品の分配、旅に必要な物資の確保、ゼニスを乗せる馬車の手配などは敏腕シーフであるギースがつつがなく整え、一行はラパンを出立するに至った。

 当然、鬼と双子も一緒である。

 

「ヴェ、ヴェラ姉さん……この人どこまでついてくるの……」

「私にも分からないわよシェラ……」

 

 フィットア領捜索団の一員であり、初期の活動からパウロを支えてきた冒険者姉妹ヴェラとシェラが、悠々と先行する波裸羅の姿を見つつ慄きがこもった声を上げていた。

 特にシェラの怯えようは尋常ではない。理由は推して知るべしである。幸いといっていいのか、波裸羅は姉妹に全くといっていいほど興味を示していなかったのだが。

 

「まあ気持ちは分かるけどよ、あれがいるおかげで楽に旅できるってもんだぜ。見ただろ、あの出鱈目な強さ」

「それは、そうですけど……」

「魔物を倒す度にスプラッターな光景見せつけられるのもどうかと思う」

 

 労るように姉妹へ声をかけるギースであったが、常時鮮血の匂いを発している波裸羅の姿は姉妹のような常の者にとってひどく戦慄すべき姿である。

 ヴェラは死んだ魚のような眼を浮かべながら、昨日遭遇した砂漠の猛牛、ベガリットバッファローの群れとの一戦を思い出していた。

 

 

 

「ッ!? 魔物だ! ベガリットバッファロー!」

 

 鋭利な索敵能力を備えるギースが突進せしめる猛牛の群れを察知する。即座に警鐘を鳴らすと、ルーデウス達は戦闘態勢に移行し各々が武器を構える。

 が、気づいた時には既に残虐な笑みを浮かべた波裸羅の“逆突進”は始まっていた。

 

(にん)ッ!」

「ブモオオオオオオオッ!!!???」

 

 鬼の突進撃(ぶちかまし)ずどん!

 まともに受けし魔物の群れ、爆散死確実(いただき)。その四肢と臓物撒き散らせ絶命す。

 猛牛共の(はらわた)と獣血で全身を染め上げた波裸羅の美姿は、何人たりとも(おか)すこと不能(あたわず)

 

 螺旋を秘めた掌だけが威力では非ず。

 波裸羅が目標を目指し突進する時、鬼の全身これ威力!

 

「波裸羅に触れる者、無事には済まさぬッ!」

 

 即ち、“打撃技波裸羅”なのだ!

 

 

 

「いや冗談でしょ」

 

 そんな出鱈目かつ凄惨な光景を思い出したヴェラの独白は、砂漠の荒野に空しく響き渡るのみであった。

 

 

「ウィル、大丈夫か?」

「大事、ありませぬ……」

 

 ルーデウスがウィリアムを気遣うように声をかける。弟は兄へ心ここにあらず、といった風に短く言葉を返した。

 シャリーアへ帰還の途上、ウィリアムは終始このような調子でルーデウス達に接していた。

 双子へ稽古をつけることもあれど、その心はどこかうわの空であり、時折ゼニスと同じようにぼうと虚空を見つめることもあった。

 パウロはそんなウィリアムに過保護に構っていたが、リーリャがウィリアムが激戦の直後に患う、いわゆる一種の心神喪失状態にあるのではと思い、過度な接触を控えるようそれとなく主人を諌めていた。

 

「はぁ……」

 

 ルーデウスはチラチラとウィリアムへ振り返るパウロを見て、浅い嘆息をひとつ吐く。

 帰還途上、ルーデウスは件の一件を父パウロへと相談していた。

 

 事故のような姦通とはいえ、自身が最愛の妻、シルフィエットに対し不義を仕出かしたこと。

 敷島の怨霊軍師の事は伏せ、悪霊に憑依かれたロキシーに強姦されたことも上手にぼかした上での相談であったが、パウロは如才なく息子が言わんとすることを理解していた。

 

 “これからどうすればいいのでしょう”

 

 ルーデウスの話を最後まで聞いたパウロは、実に率直な意見を述べた。

 

 “ルディ。ロキシーと寝たのが、そんなに悪いことなのか?”

 

 純粋なミリス教徒でも無いパウロにとって、いわば妾を囲うことの是非は説くに能わず。

 戸惑うルーデウスに対し、自身の経験を交えて息子に助言を続けた。

 

 “リーリャの時は、そりゃあ大変だったぜ。母さん、お前がロアに行った後もロクに口を聞いてくれなくてなぁ……でもよ……”

 

 そこまで言ったパウロは、ルーデウスの眼をしっかりと見据え言葉を続けた。

 

 “母さんもリーリャも、決して不幸にしたつもりはねえ。ふたりとも、俺の大切な妻だ”

 

 パウロの真っ直ぐな瞳に幻惑されたルーデウス。父の言葉は、軟派な男の言葉ではない。

 二人の女を幸せにせんとする、一人の男の言葉だった。

 

 “お前は、シルフィ、そしてロキシーのことをどう思ってる? 彼女達の気持ちも大事だが、お前にとって一番大事なのは、お前の気持ちじゃないのか?”

 

 パウロはそこまで言った後、あとは自分で考えて決着をつけろと言い残し、それ以上ルーデウスの相談に乗ることはなかった。

 

「自分の、気持ちか……」

 

 ルーデウスは隣を進むロキシーの姿を見る。

 旅の途中、ロキシーは恋人のようにルーデウスに寄り添い、ルーデウスの何もかもを支えようと尽くしていた。

 魔物との戦闘しかり、バザールへ逗留した際の世話など、実に甲斐甲斐しくルーデウスを補助していた。

 だがそれは、シャリーアへたどり着くまでの旅路の間だけ。

 そう言ったロキシーは、涙まじりにルーデウスへ笑いかけていた。

 

「……」

 

 ロキシーの健気な笑顔を見て懊悩するルーデウス。元々、ルーデウスはロキシーに対し、恋慕にも似た尊敬を抱いていた。だから、ロキシーと関係を持ったことは、申し訳無さと共に歓喜にも似た感情も抱いていた。

 しかし自分は、妻シルフィエットを、彼女以外を愛さないと誓った。その誓約が、ルーデウスへ深く伸し掛る。

 そして、もうひとつ。

 

 “ロキシー、あの日が来ていないそうですわよ”

 

 パウロと相談した後、エリナリーゼから告げられた事実。

 ロキシーの胎内に、新しい命が宿っていた。

 ある程度の事情をロキシーから聞き出していたエリナリーゼは、深く悩むルーデウスの姿を見て、己がすべき事を理解していたのだ。

 

 “そのまま、ロキシーを娶りなさいな”

 

 シルフィエットの実祖母とは思えない言葉を、長耳の淑女は平然と言いのけた。

 困惑するルーデウスに、エリナリーゼは淡々と“男の責任”を語った。

 

 曰く、これはシルフィエットに残された唯一の肉親である自分だからこそ言えること。

 曰く、自分はロキシーとは転移事件からの親友だ。

 曰く、だからロキシーには不幸になってほしくない。

 曰く、あのまま別れたらきっとロキシーは不幸になる。

 曰く、シルフィエットとロキシー、二人を幸せに出来るのは、ルーデウスしかいないと。

 

 ルーデウスは想う。

 自分は、シルフィエットが好きだ。ロキシーも、好きだ。

 二人が悲しむ所は見たくない。ロキシーを娶ることを告げれば、シルフィエットは許してくれるかもしれない。

 いや、実は見えないところで悲しむのかも。

 でも、ロキシーと別れたら、きっとロキシーは自分の知らないところで悲しみに暮れるかもしれない。

 慎み深い彼女達は、きっと自分のことより余人を優先してしまう。

 もし彼女達に、自分の初めてを捧げたあの紅髪の乙女のような強引さが少しでもあれば、もう少し楽に終わる話なのかもしれないけれど。

 

 でも、もう迷ってはいられない。

 自分が、終わらせないといけない。

 自分の、責任で。

 自分の、気持ちで。

 

「……うん」

 

 砂漠の熱風が、栗色の髪を撫でる。

 その風に後押しされるように、ルーデウスは決意した。

 

 結婚しよう。ロキシーと。

 男としての、責任を取ろう。

 シルフィと、しっかり話をしよう。

 

 ルーデウスは、今夜にでもロキシーと話をしようと思った。

 そこでロキシーに振られても、その時はその時だ。

 ややヤケ気味な決意でもあったが、それでもルーデウスはこれ以上迷うことはしなかった。

 

 ちなみにルーデウスはロキシーの妊娠が発覚した際の動揺で、何を血迷ったのか波裸羅にも件の事を相談している。

 

 その時の現人鬼の鬼言は、ただ一言。

 

 

 “知らん。勝手にせい”

 

 

「……なら、勝手にさせてもらうよ」

 

 一度くらい、勝手をしてもいいじゃないか。

 自由を求め勝手三昧した、あの甲斐の鬼軍師のように。

 

 敷島の大強者である波裸羅の姿を見つめながら、ルーデウスはそう想っていた。

 波裸羅はルーデウスの視線に気づくと、ニヤリと美口角を引き攣らせた。

 

 

 

「では波裸羅はここで別れるとするか喃」

「は?」

 

 

 

 だが、唐突に放たれた波裸羅のこの言葉。ルーデウスはそれまでの想いが吹き飛ぶほどの衝撃を受けた。

 

「はあ!?」

「正気かお前!?」

「砂漠のど真ん中ですわよここ!」

 

 各々が異口同音に驚愕の声を上げる。

 現在地は迷宮都市ラパンとルーデウスが砂漠の戦士と出会ったバザールとの中間地点であり、当面の目的地である転移魔法陣の祠まではまだまだ距離がある。

 全員の困惑した様子に、現人鬼は依然不敵な笑みを浮かべていた。

 

「心配無用じゃ。それに、拙者は元よりお主らの仲間になったつもりはない」

「「えぇ……」」

 

 困惑を通り越して呆れきった声を上げるのは双子の兎。

 若き龍神との一戦以降、苦楽を共にしてきた存在から放たれた実に淡白な一言。双子は思いとどまるように声を上げようと──

 

「ま、別にいっか。今まであざっしたぁ」

「こういうのは本人の自由だしね兄ちゃん。あざっすと言わせてもらおう」

 

 否、苦苦の元凶でもあった波裸羅の離脱を、双子の兎は赤眼を輝かせて歓迎していた。

 とはいえ、その瞳の奥には、戦友との別離を惜しむ穏やかな光が灯っていた。

 それを見た波裸羅は、双子の頭を軽く小突いた。

 

「で、でも、なんでまた急に……」

 

 双子とは違い尚も戸惑いが抜けぬルーデウスに、波裸羅は美然とした風に応える。

 

「波裸羅にはすべき事がある。故に、ここにはもう用は無い」

 

 分配された迷宮産出の珍宝を抱えながら、変わらず不敵な笑いを浮かべる波裸羅。

 

「それに、魔界に戻りヤキを入れねばならぬ者共もおるし喃……」

 

 笑みを浮かべつつそう述べた鬼の美貎は、見るもの全てが説明のつかない魅惑と畏れに溢れていた。

 その様を、ルーデウス達はただ呆然と見つめることしか出来なかった。

 

「現人鬼殿……」

 

 そんな中、ウィリアムが波裸羅の前に出る。

 かつての自分……日ノ本武者であった自身の武者魂を奮い立たせた鬼へ、深々と頭を下げた。

 一度は討滅を図った相手ではあったが、鬼との旅は虎の心に淡い変化をもたらしていた。

 旅の終わりを告げたこの時、虎の心に残るのは現人鬼への深い感謝のみ。

 波裸羅は頭を下げるウィリアムの姿を見て、菩薩の如き慈愛の眼差しを向ける。

 

「アダムス。孤剣での超鋼裁断、波裸羅の胸中(むね)はきゅんきゅん丸であったぞ」

「きゅんきゅん丸て」

 

 思わずツッコミを入れるルーデウス。

 それに構わず、頭を上げた虎は鬼の眼を謝意を込めた眼差しで見つめ返していた。

 

「現人鬼殿……いく久しくお健やかに」

「心配無用!」

 

 片目を瞑り虎へ応える現人鬼波裸羅。

 ひらりと身を翻し、騎乗の身となった波裸羅は、馬首を魔大陸がある方向へと向けた。

 そして、再び若虎の姿を見つめる。

 

「アダムス!」

 

 去り際に、ウィリアムへ美笑をひとつ浮かべた波裸羅。

 

『今、この時代(とき)を味わえ──』

「……」

 

 美笑と共にかけられし日ノ本言葉。

 虎は、それを咀嚼するかのように深く眼を閉じていた。

 

「ひとまず此度はこれ切にて。美笑(フフ)

 

 そう言い残し、波裸羅は砂漠の彼方へと去って行った。

 

 

「……」

 

 ルーデウス達、そしてウィリアムに強烈な輝きを残した波裸羅。

 ウィリアムの胸中は、波裸羅が残した言霊が渦を巻いていた。

 

 この時、ウィリアムは思った

 

 (パス)が来たと

 

 そして、自分(おのれ)はその“火”を運ばねばならぬ

 

 

 異界天下無双の、魔剣豪となりて──

 

 

 

 鬼との決別の後、一行はベガリット大陸を縦断し、祠に在りし転移魔法陣を踏む。

 

 

 

 そのまま北方大地を経て、ルーデウスが終生の住処とし、グレイラットの家族が待つ都……

 

 

 

 魔法都市シャリーアへと辿り着いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……」

 

 ウィリアム達から離れしばらくした後、砂漠を一人進む現人鬼波裸羅。

 騎上にて鬼身を揺らすその姿に、いつもの苛烈さは無い。

 

「……っ」

 

 つう、と、一筋の鮮血が、波裸羅の美鼻から垂れ出る。

 それを乱暴に拭った波裸羅は、傲岸に口角を吊り上げた。

 だが、その美瞳に映るのは砂漠の鮮やかな青空ではなく、灰色の曇天のみ。

 それは、あの龍神との一戦以降、続いていた。

 

「さて……後どれほど保つのやら……」

 

 衛府の神命を受け悪神掃滅を目指す志摩の悪鬼、現人鬼波裸羅。

 またの名を、怨身忍者霞鬼。

 

 来るべき悪神らとの大戦(おおいくさ)を前に、その限りある伐沙羅を燃やしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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