もう今日で最後まで投稿します。
華琳様が登場すると、やっぱ違うなぁ。
俺も飲み始めてから数時間、流石にかなり酔って来た。
……いやいや、まだまだ限界じゃないよ?
本当、まだ余裕だから。
「んぁ~、……白酎もうねぇな。 新しい酒出しますわ。」
俺はそう言って、台所の方に新しい酒を取りに立ち上がった。
まぁ多少ふらつくが、問題無い、問題無い。
「……えっと、何があったかなぁ~っと。」
やっべぇ~、安っぽい酒しかねぇな。
俺はこれでも良いんだけど、客が居るしなぁ。
……んお?
そういやワインがあったな。
この前羅馬から来た商人から買ったんだったわ。
でもこれ単体では、あんまり美味しくなかったから、桃とか柑橘類の果物とかを漬けて放っておいたんだよな。
……さて、どうなっているか。
「んくっ。 !」
おお! 中々飲みやすいじゃねぇか。
これ出そっと。
「お待たせしましたぁ~。 羅馬のお酒で~す。」
「あら、そんなものがあるなら先に出したら良かったのに。」
俺も忘れてたんだよ。
「これまた貴重な物を、……良いのか?」
「問題無いっすよぉ~。 これ葡萄酒って言うんすけど、単体ではあんまり美味しくなかったんで、果物を漬けていたんすよ? さっき味見したら、まぁまぁ良くなってたんで、持ってきましたぁ~。」
「……元倹殿、お主大分酔っているな? 華琳様相手にまぁまぁでは駄目だろう。」
……はっ!
そうだった!
「あら、羅馬の貴重なお酒を経験出来るなら、多少は目を瞑るわよ?」
……うへぇ、多少かよ。
「んじゃまぁ、取り合えず一献どうぞ。」
「ありがとう。」
俺はそう言って、曹操、妙才さん、俺の順で酒を注いだ。
「……ふむ、香りは悪くないわね。」
先に香りから楽しむとか、この人通だなぁ。
ちなみに俺は香りとか知らん。
今も普通に飲んでるけど、味さえ良けりゃそれで良いんだけどなぁ?
「……ほぅ、なんとも変わった味がする。 ふむ、甘い味もあって確かに悪くはないのだがなぁ。」
妙才さんは特に好きって事は無いみたいだなぁ。
……これじゃ曹操にも期待出来ないな。
「……成る程。」
何を理解したんだ?
「果物を漬ける発想は悪くないけど、やはり元の葡萄酒と言うのが、あまり美味しくない様ね。 まぁ、飲めなくはない様だし、暫くはこれで良しとしましょう。」
……及第点?
まぁ飲めりゃ何でも良いか。
このままガンガン飲も。
_____
「それにしても元倹殿、お主は何でも出来るな?」
んんー?
「なんすか急に? 誉めても酒かつまみか書物しか出ませんよ?」
「いや、それは充分出ている方なのだが、……そうではなく、お主は知も武も果ては料理まで出来る。 それを凄いと思ったのだよ。」
「えぇー?……遠回しな自分自慢っすか?」
俺以上に出来るのに、何言ってんだこの人?
「いや、そんなつもりは無い。……というより、何故そうなる?」
「? だって、それ言ったら妙才さんもそうじゃないっすか? って言うより、本物の何でも出来るが、そこに居るじゃないっすか? 俺なんて所詮器用貧乏、出来ない事だって普通にありますよ?」
って言うか、普通に出来ない事の方が多いと思うんだけど?
「あぁ成る程、確かに華琳様は何でも出来るな。 確かに私自身、出来る方だと自認しているが、華琳様とは比べ物にならん。」
「あら、二人してそんなに私の事を褒めるなんて、……ふふっ、私も何か出した方が良いかしら?」
「おぉ、褒美か何か貰えるんすか?……だったら俺は、さっき話した一字千金に孟徳様も参加する事を望みます。」
超貴重戦力だぜ。
「あら、最初からそのつもりよ?」
「マジっすか? 冥琳は俺の中で既に確定してるから、これで二人目ですね。……いやぁ、捗るなぁ。」
後は最低でも諸葛亮を加えたいなぁ。
知力百は外せないよね。
……良く考えたら、それって面子が完全に赤壁じゃねぇか。
「宝物や金銭ではなく、華琳様の知を所望するとは、……なんというか、……お主らしいな。」
「いやぁ、なんっつうかですね、……さっきの、俺の出来ない物の話に戻りますけど、俺って芸術品の価値が良く解らないんすよね。 そういう芸術分野は、まるで駄目みたいです。 だから宝物とか貰っても困るんすよ、……お金は持ってるし。」
俺が良いと思ったのは、全く評価されてなかったり、逆によく解らんのは評価されてたりするんだよなぁ。
多分前世の知識の弊害じゃねぇかなぁ?
「へぇ、貴方にそんな弱点があるなんてね。」
「その点、孟徳様はその分野も強いっすよね?……いや本当、何か苦手な分野とか無いんすか?」
「ふふっ、……そうね、軍事機密よ。」
……まぁ、もし知ってたら高値で取引されてもおかしくない情報だよなぁ。
「私も長年、華琳様の近くにお仕えしているが、苦手分野や弱点らしい弱点は知らないな。」
うわぁ、妙才さんも知らないのか。
この人本当にとんでもない超人だな。
「流石に王の器は違うなぁ。」
「「……。」」
……あれっ?
「……華琳様を“王の器”と、……かなり高く評価してくれている様だな?」
うわっちゃ~。
これまた失言。
……まぁ酒の席だから良いか。
「まぁそれほど素晴らしい才覚がありますよね、って事ですよ。」
「ふっ、当然よ……と、言いたい所だけど、並の凡夫ならともかく、貴方に言われるとなれば、誇らしいわね。」
いやいや、並の凡夫が言うのと変わりませんって。
「なら私はどうだろう?」
ん?
「先程、華琳様の書物を推敲している時に言っていたではないか。 戦略、戦術を理解出来る素晴らしい将だと。……私はどの程度の将の器だろうか?」
……言ったっけ?
……言ったな。
「そうっすねぇ~。……妙才さんなら十万の軍を率いる大将軍級じゃないっすか?」
まぁ、多分出来るでしょ。
「……自分から聞いといてなんだが、……こう、こそばゆいな。」
まぁ、あくまで俺の主観ね?
史実でも夏候淵は超有能だったらしいし。
「ふむ、……では、春蘭ならどうかしら?」
「あの人は五千って所ですかね?」
「! 何故だ!? 身内贔屓に聞こえるかもしれないが、姉者はあれでかなり優秀な筈だぞ!」
うおっ!
妙才さんが大きな声出すの初めて聞いたわ。
「あぁ~、いえいえ。 能力が無いとか、そう言う事言ってるんじゃないんすよ?」
「ならどういう事かしら?」
えぇー?
あんたなら理由知ってるでしょ?
「まぁ孟徳様なら当然熟知している事だと思いますけど、軍を率いるのは、個人の武勇よりも、統率力とか、戦術理解度とかが重要じゃないっすか? でも元譲さんの場合、そこに期待は出来ないんすよね。 かと言って、あの武勇を放置も出来ません。 使い所は真っ正面からの突撃とか、敗退した軍への追撃とかです。 それが一番高い効果を得られると思いますよ? 別に万の軍勢を率いる事が出来ないとは言いませんが、効果的ではありませんね。」
だから五千くらいが一番良いと思うんだよ俺は。
「ふふっ、納得したかしら秋蘭?……私も元倹と同意見よ。」
「はっ、納得しました。……大きな声を出してすまないな元倹殿。」
かまへん、かまへん。
「元倹、貴方ならどうかしら?」
俺?
「ははっ、二千で限界ですかね?」
俺がそう言うと、二人してポカーンとした。
だから買い被りし過ぎなんだって。
「……いくらなんでもそれは、……過小評価し過ぎではないか?」
「そうでもないっすよ?」
「……一応、理由を聞かせて貰おうかしら。」
まぁ良いけどさぁ。
自分で自分の評価って恥ずかしいな。
「まず一つ、俺に突出した武勇はありません。 二つ、統率力も戦術理解度もそこそこしかありません。 三つ、俺に兵を割くくらいなら、他に……孟徳様達の場合ですと、それこそ妙才さんや元譲さんに割いた方が良い。 以上の事から、俺は戦術が機能する最低人数の二千で、独立遊軍として動いた方が効果的です。」
Q.E.D 証明終了。
「……理解出来なくはないのだけど、……納得はいかないわね。」
「少なくとも、私は納得出来ません華琳様。 元倹殿で戦術理解度がそこそこなら、私は全く理解出来てない事になります。」
だからあんたら俺の事過大評価し過ぎだって。
理論滅茶苦茶の主人公のQ.E.Dでした。
まぁ酔ってるから仕方ないね。
ちなみに、華琳様が期待した返答は、
「俺なら百万の軍勢でも率いてみせますよ(キリッ」
です。
まぁ主人公が絶対言う訳ねぇな。