共生体持ち八幡のエルドライブ生活   作:ぺるクマ!

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ついに、ドルーの登場です。
ドルーとの共生技は原作とは、違います。


採用試験 後編

ーエルドライブ太陽系方面署ー

 

 

「まずいですよ。署長。人質を取られては打つ手がないです。」

 

「………」

 

「署長!」

 

「黙ってろ。」

 

「!!……どういうつもりですか?」

 

「これは試験だ。どういう状況であれ、まだ俺たちが手出しする段階じゃない。」

 

「そんなこと言って、もしもの事があったらどうするつもりですか?」

 

「その時はその時だ。今は黙ってみてろ。」

 

「………」

 

 

 

 

ー千葉 現場ー

 

くそ、どうすれば良い……

 

「おら、早くどっか行けよ小僧。この女殺すぞ。」

 

今こいつを逃したら先生がどうなるか分からない。どうにかしたいが、俺には打つ手がない……

 

 

「……詰んだな。」

 

 

「な、何いってるっちゅか!諦めてどうするッチュか!」

 

チップスが、横から突っかかってくるが知ったこっちゃない。

 

「だって、そうだろ?状況的に考えて。」

 

そう、前提が間違っているんだ。こんな怪物を何もないぼっちの高校生が倒せるわけない。そして、人質も取られてる。これはどう考えても詰みだ。チェックメイトだ。

 

『やる前から諦めるのか?八幡。』

 

また、声が聞こえてきた。

 

「……ほら、これだ。」

 

『?』

 

「俺はこんな"変な声"しか聞こえない役立たずだ。警察なんて、務まるはずねえんだよ」

 

自嘲気味に言ったがこれが現実だ。俺は何もできない。ただ、変な声が聞こえるだけ。

 

「ほう。小僧、物分りが良いじゃねぇか。分かったんなら、さっさと消えてもらおうか?そうすりゃ、この女は助けてやるよ。」

 

俺の言葉を聞いたスグーフは下品な笑みを浮かべそう言った。

あの顔…………….まぁ良い。

 

「ああ、そうさせてもら」

 

「ダメッチュ!今逃したら、こいつは人質を食べるつもりッチュ!」

 

「ちっ、余計なこと言うんじゃねーよ。チビ!」

 

……チップスめ。

そう、こいつは人間が大好物。俺たちが去ったら平塚先生を食べるだろう。でも、分かっていても俺には何も出来ない……仕方ないんだ。

 

『八幡、このままセンセイを見殺しにする気か?"あの時"みたいになっても良いのか?』

 

 

 

 

 

"あの時"………

 

 

 

 

6年前、家族を……親父やお袋、小町を助けられなかった。

 

俺のせいで……………

 

『お兄ちゃん!助けて!!』

 

俺は何も出来なかった……

 

 

 

 

 

 

 

 

ちっ、この野郎。逃げたくても逃げれなくなったじゃねーか。いつも偉そうに上から言いやがって。だったら……

 

 

 

「……えてくれよ。」

 

『?』

 

「一緒に考えてくれよ!先生を救う方法を!」

 

俺は思わずそう叫んでいた。

 

『!!、八幡今なんて』

 

「だから、一緒に考えてくれよ。お前、俺の一部なんだろ!だから、何か良い案を考えてくれ!頼む!」

 

『一緒に………』

 

 

ドクンッ

 

 

あれ?何か体が熱くなってきたぞ。何が……

 

『不思議だ、八幡。………新しい感覚だ。』

 

「は?感覚?」

 

「おい!何してる!止めろ!」

 

みると、捕まってる平塚先生が暴れて懸命に抵抗していた。

 

「離せ!わたしは結婚しないままで死にたくないんだ!この!」

 

「うっせー!おとなしく……もう良い。死ね!」

 

スグーフは焦ったくなったのか平塚先生を近くの壁に投げつけナイフを振り上げる。

やばい!

俺は気付けば先生のもとへ走っていた。

 

 

「ヤメローー!」

 

俺が叫んだその時、

 

 

 

 

 

 

《シンパシ!》

 

 

 

 

 

 

突然俺の腹から衝撃波のようなものが飛び出し、スグーフに直撃した。

 

「ぐはっ!!」

 

そして、スグーフは後ろの方におおきくふっとばされた。

 

「な!今のは………」

 

どういうことだ?何が

 

『ふぅー、1年ぶりに共生技を発動してしまった。』

 

は?

 

『他の個体に使ったのは初めてだな。』

 

え?声が前から聞こえる?

ふと、前を見ると……

 

 

 

 

俺の腹から得体の知れないものが生えていた。

 

 

 

「えぇぇぇぇぇ!」

 

思わず某お祭り男並みの大声を出してしまった。

何これ!俺から何か生えてるー!

俺の叫び声に気がついたのかそいつはこっちを振り向いた。

 

『ん?』

 

そいつは俺の方を振り向いてジロジロと俺の顔を見た。

 

『見えてるのか?』

 

うん、見えてるよ。がっつり見えてるよ。てか、しゃべった!よく見たらまぁまぁ可愛い顔してんじゃないの。

…………じゃなくて!

 

「お前だったのか?いつも聞こえてくる変な声の正体は。」

 

『そうだぞ。それより八幡、あいつがまた来るぞ。』

 

「は?」

 

見ると…先ほどふっとばされたスグーフが起き上がってくる時だった。

 

「て、てめー。何をしたか知らねーが。まずお前から殺してやる!」

 

やべ、あいつターゲットを俺にしやがった。すごい形相でこっちに向かってくるぞ。

 

「おい、さっきの攻撃もう一回出来ないのか?」

 

『それは八幡次第だ。』

 

「え?」

 

『八幡、時間がない。イメージしろ。』

 

「イメージ?」

 

『あいつの倒し方をイメージしろ。共生時にアクションの起点となるのはイメージの一致だ。』

 

「は?それって」

 

『いいから!あいつをさっきの変態教師だとイメージしろ八幡。』

 

は?変態教師?……あー確かにあいつはムカついたな。俺だったらあの不良少年みたいに電撃を食らわしたい……って何考えてんだ俺!

と思った次の瞬間

 

『《シンパシ!》』

 

突然、前が光り出して

 

『《スパーク》!!』

 

俺から生えたそいつは口から雷を放射し、スグーフに直撃した。

 

「うガー!」

 

雷をモロに食らい感電した後、スグーフはその場に倒れた。

 

……倒しちゃったよこのモンスター。てか、今雷出したぞ!10万ボルトだったんじゃないの?

 

『今だ八幡。手錠だ。』

 

そいつは俺のポケットから手錠を取り出しスグーフの両足につけた。

 

「やった!逮捕ッチュ!」

 

チップスが手を叩いて喜んでいる。

とりあえず、危機は脱したな……

いかん。平塚先生が頭から血を流してる!さっきスグーフに叩きつけられたときだろう。

 

「チップス、平塚先生は」

 

「大丈夫ッチュ。今、救護班と処理班がこっちに向かってるッチュから。」

 

そうか。処理班とやらは分からんが、まぁ大丈夫そうだな。

そう、思っていると向こうからエルドライブの署員らしき人たちが何かの道具を持ってこちらに走ってくるのが見えた。

良かった。平塚先生も何とかなりそうだな。

それよりも……

 

『やったな!八幡。』

 

目の前ではしゃいでいるこの生物は一体何なんだ?

 

「改めて聞くがお前何なんだ?」

 

俺がそう聞くと、こいつはキョトンとした顔をしてこう言った。

 

『個体名は貰わなかった。強いて言えば第四世代共生体水惑星対応ドゥルーブリットTYPE390』

 

何のこっちゃ?マジで何なんだこいつ。あれ?額に赤いマークがついてるな。何だこれ?

 

 

 

 

 

sideレイン・ブリック

 

「署長、今のは」

 

後ろに居る美鈴がさっきの八幡の攻撃を見て驚いている。それよりも

 

「あの額の刻印。あれは失われたグリフィスのものだ。」

 

「えっ、まさかあれって。」

 

 

「そう、共生体《モニタリアン》だ。」

 

 

「《モニタリアン》って40億年以上前に栄えていたグリフィス星人が様々な星に送り込んだと言う惑星監視用生命体のことですよね。」

 

「そう。グリフィス星人はその惑星に住む生物と文化の変遷をモニターするために送り込んだ。」

まさか、こんな所でお目にかかるとはな。

 

「でも、グリフィス星って滅んでから随分経つんですよね。何で今頃あんなものが?」

 

確かにそうだ。だか、可能性としては……

「生き延びてしまったのかもしれない。」

 

「は?」

 

「《モニタリアン》は星を長期間モニターするだけために他の生物に取りつく。そして、僅かなエネルギーで生き延びることができるんだ。」

 

「ということは、大昔から様々な生物に取り付いていて、今の共生主があのコなのね。」

 

「でも、驚いたな。《モニタリアン》が自ら姿を現すなんて。記録に一度もないからな。」

 

おそらく、あの個体は独自に進化したのかもしれないな。その《モニタリアン》の力を引き出すあの少年……面白い。

 

「よし。比企谷八幡、エルドライブ採用試験合格!!」

 

進化した《モニタリアン》とその力を引き出す特殊な地球人《比企谷八幡》。これからが楽しみだな。

 

 

 

その前に

 

「おい、美鈴。今からやってほしいことがある。」

 

あいつはおそらくこの後、屁理屈こねて入らないとか言いそうだから、予防線を張っておこう。

 

 

続く




ドルーとの共生技がチート過ぎましたね。
次は八幡の初出勤かつ初任務です。

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