エイプリルフール企画 IF BAD END
――――雄英高校 USJ 火災エリア
火の粉舞う火災の街を再現した一角で、オールマイトと骸無、いや、緑谷出久は向かい合っていた。
「緑谷少年。君がここまで悪の道に堕ちるとは思わなかった」
拳を握り、何かに耐えるようにオールマイトは言葉を絞り出す。
そんなオールマイトの言葉に出久はそれを嘲笑をもって答えた。
「あなたにボクの何が分かると? ボクを分かってくれたのは“先生”だけだ」
「少年! ヤツは邪悪な男だ!」
「黙れ! ボクにとっては“
もはや決定的なまでにすれ違ってしまった
オールマイトはここに彼を倒すことを決めた。
「少年、君は道を見失った。ここで終わりにしよう」
「終わるのはあなただ。オールマイト」
言葉はもう要らない。
あとは拳を交えるだけだった。
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激しい打撃音が響き渡る。
戦闘が始まってわずか5分。
その短い間に火災エリアは半壊してしまっている。
彼らの攻撃の余波でビルは崩れ、道路はクレーターができている。
そんな熾烈な戦いも、もうじき終わりを見せようとしていた。
「少年、これで決めるぞ」
「バカにしているんですか、オールマイト。そんな腕だけの強化でボクを倒すだって!?」
出久との戦いで限界を迎えたオールマイトは、トゥルーフォームを晒し、最後の力で左腕のみのマッスルフォームになっていた。
「ボクの力を……見くびるな!」
怒りに任せ、出久は右のスマッシュを放つ。
迎え撃つオールマイト。
““SMASH””
かつてUSJで戦った時と同じように拳と拳がぶつかり合い、衝撃波をまき散らす。
だが、その結果は前回とは異なりオールマイトの左腕を粉砕したのだった。
『勝った!』
そう思った出久だったが、その一瞬の後目を見開いて驚愕した。
右腕だけのマッスルフォーム。
左は囮。本命は右!
『そういえば、オールマイトの利き腕は右だったな……』
昔、オールマイトを追いかけていた時のデータがふと頭をよぎる出久。
かつての自分だったらきっと忘れなかったことなのに……
そんな場違いな感想を思う出久の顔に。
“UNITED STATES OF SMASH”
オールマイトの本気の一撃が突き刺さる。
「さらばだ、少年」
出久の身体は錐もみしながら吹き飛び、壊れかけのビルにぶつかって崩壊に巻き込まれたのだった。
ボロボロの身体を引きずり、出久の元へ向かうオールマイト。
出久は下半身を瓦礫に潰され、炎に焼かれながらもまだ生きていた。
苦痛にうめき声をあげながら、オールマイトに視線を向ける。
「オールマイト……」
「緑谷少年……」
その無残な姿にオールマイトは思わず慟哭の声をあげた。
「君は……君は平和の象徴になれる男だった! 私の後継者となって次世代のヒーローとなるはずだったのに、悪の道に染まるとは!
どうして、ヒーローを、
ただただ、悲痛な叫びだった。
だが、その叫びは出久には届かない。
「ボクは、あなたが憎い! ボクを絶望させておいて救いもしなかったあなたが!」
ただ憎しみを、恨みをぶつける出久。
その憎しみは正当ではない。どこまでも自己中心的な自分勝手な怒りだろう。
「そうだな。君を私は救えなかった。私は、間に合わなかった。
もしかしたら、君は私の教え子になっていたかもしれなかったのに」
とうとう残っていたビルが崩れ、完全に瓦礫と埋もれ、炎につつまれる出久。
オールマイトはそれをただ見ているだけしかできなかった。
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――――ヴィラン連合アジト
AFOは報告を聞いて笑みを浮かべた。
「そうか。雄英高校は壊滅。オールマイトは生存するも力を使い果たしたか。骸無は良い仕事をしてくれたよ」
もはやOFAを引き継ぐ者はいない。
候補者たちはすべて息絶えた。
ならばもはやOFAは脅威ではない。AFOの宿敵は存在しないも同然だった。
「ああ、そうだ。骸無の死体は回収しておいてくれたまえ。アレから僕が与えた個性を回収しないとね」
部下に骸無の回収を指示する。
まだまだ
「これからも頼むよ、骸無」
そういって振り返るAFOの視線の先には、培養液に浮かぶ緑谷出久の姿が。
いや、正確には緑谷出久のクローン体が並んでいた。
彼は死ぬことすらもはや自由ではなかった。
エイプリルフール!
ちゃんと続きを書くのでご安心を!
ちなみに、みなさんもうお察しでしょうが今回の話は某銀河戦争映画をパロってます。
原作のヒロアカもいろいろと使ってるから問題ない……はず。
本編は今日の夕方です。