ヤンデレな彼女達   作:ネム男

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いくつか書き溜めた物があるのでしばらく1日1話のペースで投稿します。


俺の姉

 とある高校にて--

 

 「あっ!見てみて!生徒会長様だよ!」

 

 「わぁ~……やっぱ綺麗だね~……」

 

(さすが、人気者だな~)

 

 廊下を歩いている美人生徒会長の姿を見ながら俺、天野 涼介は何時ものように思った。

 

 「美咲先輩!おはようございます!」

 

 「あぁ。おはよう」

 

 「ッ!///」

 

 1人の女子生徒が生徒会長に挨拶をする。生徒会長はキリッとした顔で挨拶を返すと、その女子生徒は顔を赤らめて興奮し、急いでその場から立ち去った。

 

 「今日もかっこいいよね、美咲先輩」

 

 「ほんとそれ!スタイルめちゃくちゃいいし、羨ましいわ~」

 

 生徒会長が通る度に女子生徒達がざわめく。ここの生徒会長は本当に人気者だな……

 

 「あっ、涼介」

 

 するとその生徒会長と目が合ってしまい、自分の名前を呼ばれる。

 

 「おはよう、姉ちゃん」

 

 「あぁ。おはよう」

 

 そう。ここの生徒会長様は俺の一個上の姉なのだ。

 

 天野 美咲。この学校の生徒会長を務めている。サラサラな紫紺色の長い髪、168cmの高身長でスタイルは抜群、成績は全国模試1位を取るレベルで、運動能力も高い。まさに完璧な美女が俺の義理の姉である。

 

 俺の両親は小さい時に交通事故で亡くし、両親と仲の良かった天野家が天涯孤独の俺を引き取ってここまで育ててくれた。いつか恩返しできたらなと思っている。

 

 「……なに?あの男子。また今日も美咲様に話しかけられて……」

 

 「……あの人、ちょっと調子乗ってない?」

 

 周りからヒソヒソと俺に対する愚痴が聞こえてくる。姉ちゃんと少し会話するだけで周りの生徒から俺の悪口を言うのだ。もう聞き飽きたくらいだ。

 

 「……あいつら……」

 

 姉ちゃんは不機嫌そうに周りに集まっていた生徒を睨みつける。

 

 「あぁ……美咲様のその鋭い眼差しも素敵です……」

 

 「美咲様!俺を罵ってくれー!」

 

 しかし、睨みつけられた生徒達は怖がることなく、むしろ嬉しそうにしていた。その生徒達の態度に姉ちゃんはさらに不機嫌になる。

 

 「貴様ら……いい加減に--

 

 「姉ちゃん。俺は大丈夫だから落ち着いて」

 

 俺は姉ちゃんを落ち着かせようとする。

 

 「しかし……」

 

 「こんなのもう聞き慣れたよ。俺はなんとも思ってないから。じゃあな!」

 

 そして俺は自分の教室へと急いで行った。

 

 

 

 授業中--

 

 「はぁ……」

 

 私は周りからチヤホヤされるのはあまり好きではない。結構女子の中で背は高めな方で目立つからだろうか?とにかくそういうのはあまり好ましくない。私は……

 

『姉ちゃんすげぇ!かっこいいよ!』

 

 涼介にだけ褒められたらそれだけで満足だ///

 

 涼介は私の一個下の義理の弟である。10年前くらいに涼介の両親が交通事故で亡くなり、行き場を失ったところを私の家が引き取ったのだ。涼介はとても優しい男だ。周りへの気遣いがよく、自分より他人を優先してしまうのが心配だがそこは姉である私が支えてやらなければな。

 そんな涼介とこれまで一緒に暮らしてきて、私の心は徐々に惹かれていった。

 

(涼介……)

 

 私が慕うようになったのは、小学生の頃のあのときからだったかな……

 

 ------

 

 バチン!

 

 「ッ……」

 

 「美咲……またこんな点数取って……!」

 

 私だって、最初からなんでも出来てたわけじゃない。むしろ小学生の頃は酷かった。運動はそこそこだったが勉強の方は全く出来なかった。

 

 「全く……涼介を見習いさなさい。ちゃんと真面目に勉強してるのよ?次いい点取らなかったら許しませんから」

 

 「はい……」

 

 …………

 

 「あっ、姉ちゃん!」

 

 「………」

 

 「なぁなぁ!今日もおれ、テストでいいん点とったんだぜ!」

 

 「……そうか。偉いな……」

 

 その時の私は涼介を前ではしっかりとした姉でいようと、なるべく負の感情を出さずに涼介と接していた。

 

 

 「……姉ちゃん、大丈夫か?なんか元気ないような」

 

 「………」

 

 この頃の涼介は人の変化に敏感だった。だから今の気遣いの良い涼介がいるのだろう。そしてこの時の私が落ち込んでいるのを涼介は見破ったのだ。

 

 「また……かあさんに、怒られたの?」

 

 「……まぁね」

 

 「そんなに落ち込まないでよ!姉ちゃんががんばってるのが俺が一番よく知ってるんだから!次はちゃんといい点取れるって!」

 

 「………」

 

 「だから姉ちゃんもがんばれよ!俺も、いつか姉ちゃんを支えられるようにがんばるから!」

 

 「……うん。がんばるよ」

 

(子供だっていうのに、無責任なことを言う……)

 

 私はその時、初めて頑張れと言われた。父親や母親からは言われたことは無く、命令されていた。いい点数をとれ、世間の目があるからと。

 

 そして私は努力をして、次のテストでは全て満点をとった。

 

 「なんだ、やればできるじゃない。次もこの調子でやるのよ」

 

 母親からはそれだけだったが

 

 「姉ちゃんすげぇ!全部満点じゃん!さすが姉ちゃんだよ、かっこいい!」

 

 涼介は大げさなくらいに褒めてくれた。そしてこの時から褒められることの喜びを知り、もっと褒めてもらいたい、涼介にもっと喜んでもらいたいと思い、私は努力を続けた。

 

 …………

 

 

 そして現在。私は全国模試1位のレベルまで到達する事ができた。母親はそれを表面上では喜んではいたが、そこに善意はなかった。

 

 「私の娘だからこんなの当然ですよ。おほほほ」

 

 世間からいい目で見られたいだけ。それだけなのだ。

 

 「やっぱ姉ちゃんはすっげぇな。生徒会長にまでもなるんだからな。うんうん。さすが、自慢の姉ちゃんだぜ!」

 

 涼介は違った。涼介だけはちゃんと私の事を見てくれた。私に喜ばしい事があると一緒に喜んでくれて、私に悲しいことがあると励ましてくれたりしてくれてとても嬉しかった。

 今では涼介はすっかり背が高くなって男らしく育った。これから色々と進路のことなどで忙しくなるだろう。

 

 今度は私が支えるんだ。昔、私が助けられたみたいに……ずっと……2人で一緒に……

 

 

 

 「……まの……天野!」

 

 「!」

 

 私を呼ぶ声がして、はっと我に返る。どうやら授業中に指名されてたのにボーッとしてたらしい。

 

 「お前大丈夫か?珍しくボーッとして」

 

 「い、いえ、なんとも。すみません……」

 

 「まぁいい。ここの問題を解いてくれ」

 

 「はい」

 

 もっと頑張らないと……涼介を支えるためにも……

 

 

 ------

 

 

 放課後--

 

 「はぁ……またか」

 

 靴箱の中かからグチャグチャになった紙が溢れる。俺はその紙を広げると

 

『美咲様と気安く話すな』

 

『美咲様に近づくな。汚れる。』

 

『美咲様と仲良くしやがって。死ね!!』

 

『お前の存在自体ゴミ。死ね』

 

 と数々の暴言が書かれてあった。こんな風に登校時と下校時に、俺の靴箱の中に嫌がらせをされるようになっている。

 最初やられた時は驚いて先生に相談したが軽く流される始末。親にも1度言ってみたが「それくらい、自分で対処しなさい」と言って聞いてくれなかった。面倒ごとが嫌いなのだろう。

 もう何回もやられたことでさすがに慣れてしまった。

 

 「おいおいまたかよ。あのブス共ふざけやがって……」

 

 近くにいた友人の1人がそれを見て、愚痴をこぼす。

 

 「あはは……もう慣れた事だし、心配ないよ」

 

 俺はその紙をビリっと破いて、バッグの中に入れる。

 

 「ホントかよ……お前、人良すぎじゃね?」

 

 「そんな事はないさ。慣れてるって言ってもなんとも思わないわけじゃないさ」

 

 姉ちゃんは主に女子生徒に慕われている。女子からしたら憧れの存在なんだろう。男子達はそうでもないみたいで、女子から嫌がらせをされている俺を心配してくれる人がいる。もちろん、姉ちゃんの事を慕っている男子には良くは思われないがな……

 

 「じゃあ、ストレス解消にゲーセン行こうぜ!」

 

 「おっ、いいねそれ!俺も行くぜ!涼介は?」

 

 「もちろん行くよ。今日は勝つからな」

 

 「ははっ!望むところよ!」

 

 そして俺は複数の友人とゲーセンへ遊びに行った。

 

 

 

 数時間後--

 

 「ただいま~」

 

 俺が得意とするリズムゲーでスコア競ってたらすっかり遅くなってしまい、夕飯の時間に帰宅した。

 

 「おかえり、涼介」

 

 リビングに向かうと、エプロン姿の姉ちゃんは微笑みながら迎えてくれた。

 

 「おう。はぁ~……疲れた」

 

 俺はバッグを置いて、ソファーに寝転がる。フカフカの生地が疲れを癒してくれるような感覚……あぁ、これが人をダメするやつか……

 

 「ふふふっ。なんだ涼介、そんなに疲れて。帰りが随分と遅かったじゃないか」

 

 と姉ちゃんは問いかけてくる。

 

 「ん~?ちょっと友達と遊んでてね。気づいたら結構な時間遊んでた」

 

 「そうか。ならいいんだ」

 

 姉ちゃんは納得してくれたみたいだ。

 

 俺達が高校生になると両親は仕事が忙しくなったため、あまり家には帰ってこなくなった。月に一度帰ってくる程度だ。だから家事は俺と姉ちゃんで協力して生活している。両親から生活費が送られてくるため、お金の事は心配なかった。

 

 「夕飯はもうすぐ出来そうだから先に風呂に入ってくるといい。疲れたならゆっくり浸かってくるといいぞ」

 

 「マジ?じゃあお先入るね~」

 

 それじゃあ、お言葉に甘えてゆっくり入らせてもらおう。そう思って俺は風呂場へ向かった。

 

 

 

 

 

(やっぱり、涼介と一緒にいると落ち着くな……)

 

(何か嫌なことがあっても、涼介が隣にいてくれるだけでそんな事どうでもよくなってしまう……)

 

(私は……自分が思った以上に、あいつに依存しているのかもな……)

 

(これが……好き。という感情なのか……?)

 

(……悪くないな///)

 

(むしろ、あいつじゃなきゃ駄目だ///。ほかの男など目に入らん……)

 

(ずっと……この関係が続くと良いな……)

 

(将来は今以上の関係に……ふふふっ///)

 

(……おっと、あいつバッグを置きっぱなしじゃないか。しかも開いたままだし……ん?)

 

(なんだ、この紙切れ……ッ!)

 

『死ね!!』

 

『ゴミ。死ね』

 

『美咲様が汚--』

 

(………………)

 

 

 ------

 

 

 「はぁ~……さっぱりした♪」

 

 風呂はいい文明。すっかり癒された気分だ。

 

 「上がったぞ~。……ん?姉ちゃん?」

 

 「……ん?どうした涼介?」

 

 「そこに置いてあった俺のバッグは?」

 

 俺はソファーに置いてあったバッグが無いことを知り、姉ちゃんに問う。

 

 「あぁ。部屋に戻しておいたぞ。それより夕飯の準備してくれ……」

 

 「……お、おう」

 

 なんだろう……さっきとはなんか様子が変だ……そんな事を思いながらとりあえず俺は夕飯の準備をした。

 

 

 「………」

 

 「………」

 

 き、気まずい……どうしてこうなった……

 さっきから一言も喋っていない。TVから出ている音声が虚しく流れているだけだ。

 

 「……涼介」

 

 夕食を半分以上食べ終わると、姉ちゃんが口を開いた。

 

 「な、なに?」

 

 姉ちゃんの様子がおかしい……俺なんかしたっけなぁ~……帰りが遅くなることは何回かあったけど、それだけで怒るような人じゃないはず……

 

 

 「……最近、嫌がらせを受けてないか?」

 

 

 俺はその言葉にドキッとした。

 なんで姉ちゃんが知ってるんだ!?

 

 「な、何のこと?」

 

 「いや、最近お前がすごく疲れているように見えたからな。何かあったんじゃないかと思ってな……」

 

 姉ちゃんには心配かけたくないから、バレないようになるべくポーカーフェイスを意識しよう。

 

 「そ、そう?最近授業が難しくなってきたからそのせいじゃない?あははは」

 

 「………」

 

 姉ちゃんは黙ったまま俺をジッと見つめる。平常心、平常心……

 

 「……それならば私がいつも以上に私が勉強を教えよう。さらに学校よりもわかりやすく教える自信はあるぞ?」

 

 「そ、そう!?ならお願いしよっかなぁ~!」

 

 「うむ。任せとけ」

 

 危うくバレる所だった。なんとかなったみたいだな……後であの紙は処分しておこう。

 

 「ご馳走様。先に部屋戻ってるからね」

 

 「うむ。私もすぐそちらへ向かおう」

 

 俺は食べ終わった食器を片付けて部屋へと向かった。

 

 

 

 

(安心しろ……私が、必ず守るからな……)

 

 

 ------

 

 

 「なん……だと」

 

 翌日。靴箱を開けたらあら不思議。あの嫌がらせの大量の紙は1枚も入っていなかった。

 

(どいうことだ……相手も飽きたのか?)

 

 まぁ、なにしろ平和なのはいいもの。俺はあまり気にせずに教室へ向かった。

 

 

 

 数十分前--

 

(やはりな……)

 

 涼介の靴箱に何かを詰めている女子生徒を隠れた場所で見ていた。女子生徒がそこから立ち去ると私は涼介の靴箱の中を確認する。そこにはグシャグシャに詰められた大量の紙が入っており、紙には涼介への暴言が書かれてあった。

 

(………)

 

 私はそれを取り出し、ビリビリに引き裂いた。

 

(愚か者めが……私の涼介に手を出すとどんな目にあうか……思い知らせてやる)

 

 そう決心して、引き裂いた紙くずをゴミ箱に捨てた。

 

 ………

 

 1ー4

 

(ここだな)

 

 「失礼する」

 

 「「!?!?」」

 

 私は一年生のクラスの引き戸を開ける。

 

 「……ん、そこの君」

 

 「は、はいっ!私でしょうか!?」

 

 そしてある女子生徒1人を指名した。

 

 「ああ……ちょっとお前に大事な話があってだな?放課後、三階の学習室まで来てくれないか?」

 

 三階にある学習室はあまり人が通らず、使われていない教室だ。

 

 「そ、それって……///」

 

 彼女に近づきそして耳元で

 

 「イイことをしてやるからな……」

 

 と囁いた。こんな誘ってる感じの行為は涼介以外としたくないんだが我慢。

 

 「はぅあ///」

 

 彼女は赤面して、パタッと倒れる。用は済んだので私はこの教室から立ち去った。

 

 「ちょっと美咲様!この子と何かあったのですか!?」

 

 「ちょっと田中!美咲様に誘われるってどいうことよ!?」

 

 「ふぇ~///……美咲さまぁ~///」

 

 出ていった教室が女子達によって騒がしくなる。全く、何を騒いでいるやらか……しかし、あんなことをするのは二度とゴメンだ。

 

 だが、涼介に耳元で愛を囁いてその気にさせるのも悪くない……ふふふっ♪

 

 

 

 1ー2

 

 「ぶえっくし!」

 

 「おいおいどうした涼介。そんな盛大なくしゃみして」

 

 「いや、なんか急にゾクッと寒気がしたような……?」

 

 「風邪か?」

 

 「そうじゃないっぽい……何だったんだ今の?」

 

(まぁいいや)

 

 

 ------

 

 

 放課後--

 三階 学習室

 

 机が全て後ろに下げられていて、半分はスペースがあり、そこに今朝誘った女子生徒がいた。

 

 「ちゃんと来たな」

 

 「あっ、美咲様……///」

 

 そんなメスの顔してこっちを見るな、汚らわしい……

 

 「まぁこの椅子に座ってくれ」

 

 私は机に上げられていた椅子を取って、彼女の前に置く。

 

 「はい、ありがとうございます」

 

 彼女はすんなりと座ってくれた。ちなみに私が彼女の背後にいる形だ。

 

 「それで……なんで呼び出したんですか?」

 

 と彼女は期待の眼差しを向けてくる。

 

 「まぁまぁ。とりあえずこれを飲んでくれ。私が直々に作ったお茶だ」

 

 そう言って私はお茶の入った水筒差し出す。

 

 「はいっ!いただきます」

 

 彼女はそれを取って、蓋を開けて中に入っているお茶を飲む。

 

 「……ふぅ、美味しいです!」

 

 「そうか、それは良かった」

 

 いい感じに彼女は飲んでくれた。これならば……

 

 「実は、君に聞きたいことがあってだな……」

 

 「はい!なんでしょう!美咲様のためならどんなことでもお答えしてみせます!」

 

 「そうか……ならば聞こう……」

 

 

 

『私の涼介に嫌がらせをしていたのは君か?』

 

 

 

 「………」

 

 一瞬。ほんの一瞬だけ、彼女の眉がピクッと動いた。反応を見せたのだ。

 

 「……なにを言ってるんですか?」

 

 「なにって、その言葉通りさ。天野涼介を嫌がらせをしていたのは君かと聞いたんだ」

 

 「アハハハッ。何を言ってるんですか~」

 

 

 

 

 「(虐めてるわけがないじゃないですか~)虐めたに決まってるじゃないですか……って、えっ……!?」

 

 

 

 

 どうやら、薬の効果はバッチリみたいだ。

 

 「(ち、違うんですよ!今のは違うんです!)ち、違いません!今のは全部事実です!……!?」

 

 「ほう……?」

 

 あの水筒の中に『自白剤』を混ぜておいたのだ。彼女は今、嘘をつけない状態である。

 

 「うそっ……なんで?どうして!?」

 

 彼女も自分が嘘をつけないことに混乱している。いいザマだ。

 

 「さて、田中さん?だっけ。君はなんでそんなことをしたんだ?」

 

 「(だから!私はそんなことしていません!)だから!私はそんなことをしました!……ってなんでっ!?」

 

 「君はもう嘘をつけない状態にあるんだ。大人しく真実を教えてくれないか……?」

 

 「ひっ……」

 

 彼女は椅子から立って逃げようと図るが……

 

 「無駄だ」

 

 ガシッ!

 

 「いや!やめて!」

 

 「ふんっ……!」

 

 「きゃっ!」

 

 ドサッ!

 

 私は彼女の腕を掴んで背負い投げをし、彼女を拘束する。

 

 「私から逃げようとは……全く愚かな奴だ……」

 

 「やめて!放してっ!」

 

 彼女は必死に足掻くが無意味だった。

 

 

 「いいから、私に全てを教えてくれないか……?」

 

 

 「あっ……」

 

 私が彼女の耳元で優しく囁くと、彼女の動きはピタリと止まった。

 

 「……だって、妬ましかったですもの……」

 

 自白剤の効果がさらに効いてきたみたいだ。彼女はペラペラと事実を語った。

 

 

 「美咲様と気軽に話ができる殿方。私達には向けてくれない美咲様の笑顔を、あの方は見られることができる……美咲様と話をしているあの方の幸せそうな雰囲気……」

 

 「私がそれが羨ましかった!妬ましかった!だから消そうとした!あれをこの学校から静かに消してしまえば!私達に美咲様が笑顔を向けてくれると思ったから!」

 

 

 くだらない……実にくだらない

 

 「……ふん。くだらんな」

 

 「ッ……!」

 

 「そのような理由で涼介を消そうなど……くだらない……」

 

 「もし涼介が学校辞めたら、私も辞めるつもりだ。あいつがどこかに行こうとしたら私も付いて行く。あいつが望むことならなんでもするし、どんな手段を使ってでもあいつと一緒に居たい。涼介がいない世界に興味はないからな……」

 

 「なんでっ……なんでそんなにあれのどこがいいんですか!?」

 

 「なんでって……

 

 

 

 

 

 あいつは私の全てだからだ。

 

 

 

 

 プスッ……

 

 「いっ……!」

 

 私は彼女の腕に注射器を刺して、薬を流し込む。

 

 「なにをっ……」

 

 「ちゃんと話してくれた褒美だ。ゆっくりと楽しむが良い」

 

 そして彼女の拘束を解き、私は教室から出ていった。次の罰もちゃんと成功するかを確かめたいから学習室から少し離れた場所に隠れる。

 

 「みさき……さまっ……はぁっ……体が……あついっ……」

 

 先程私が打ったのは媚薬効果のある催眠薬だ。しばらく身体は動けまい。

 

 数分後--

 

 「全く……一体どういうことだ……?」

 

『今日の放課後、17:45に学習室に来てください。』

 

 「なんで、ぼくにこんな手紙が……」

 

 「おっと……ここか?」

 

 ここの生徒であるキモデブ男子が学習室に入る。私はそいつに学習室に来るように書いた手紙を直接渡したのだ。時間ピッタリ。ちゃんと守ってくれたみたいだな。

 

 「失礼します」

 

 「あっ……♡美咲様……♡」

 

 「……は?」

 

 私は聞き耳を立てて、学習室の状況を2人の会話で理解しようとする。どうやら薬の効果は抜群らしく、あの男のことを私と勘違いしているみたいだ。

 

 「美咲様ぁ……私、身体が熱くなっちゃって、変なんですぅ~……よければ、あなたの体で鎮めてくれませんかぁ?」

 

 「なっ……!」

 

 「私もう我慢できません……ねぇ……私を……抱いて?」

 

 「……ふひひっ。今日で、童貞卒業だ!やったぜ!ふひひひっ!」

 

 「きゃっ♡美咲様ぁ~♡んっ……あんっ……」

 

 

 どうやら成功したみたいだ。ゆっくりと快楽に堕ちるがいいさ。

 私は安心してその場から立ち去った。

 

 すっかり帰りが遅くなってしまった。涼介はもう帰っただろうか。心配になった私はリビングに予め仕掛けてある小型監視カメラの映像をスマホで流す。

 

 「なっ……これは……」

 

 そこには信じられない光景が映っていた。私はスマホの電源を切り、全速力で家に向かって走った。

 

 「涼介……涼介っ!」

 

(涼介が危ない……!)

 

 

 ------

 

 

 「ただいま~」

 

 今日は珍しく靴箱での嫌がらせはなかった。もう犯人も俺が反応みせないから飽きたのだろう。こういうのはほっとくのが一番だ。

 

 「あら、帰ったのね」

 

 「なっ、母さん……それに……」

 

 リビングに入ると珍しく母が台所で料理をしていて、

 

 「……父さんも」

 

 「……何だ、お前か……ヒック」

 

 まだ5時過ぎだというのに酒を飲んでいる父親がいた。

 正直、俺はこの2人が苦手だ。もちろん育ててくれたことには感謝しているが何故だろう……俺はこの2人が苦手だ。

 

 「こんな時間から酒飲んじゃって……」

 

 「うるせぇ!俺の勝手だろうが!ガキは引っ込んでろ!」

 

 「………」

 

 父親の態度にイラッとするが耐える。

 

 「ごめんなさいね。あの人、今不機嫌なの」

 

 「なんで?」

 

 俺は母親に問いかける。

 

 「これよ」

 

 母親はある用紙を取って、それを俺に渡した。

 

 「これは……姉ちゃんの全国模試の結果表」

 

(しかも最近のだ……)

 

 「そう。あの娘、いつもは1位とってくるのに、今回は10位なのよ……それで今とっても不機嫌なのよ……もちろん、私もね」

 

 「確かに……俺がいつも姉ちゃんに勉強教えて貰ってるからかな……」

 

 俺は小さな声でそう呟いたつもりが……

 

 「なんだと……」

 

 なぜか父親にはしっかり聞こえてたみたいだ。

 

 「美咲の成績が下がったのは、お前の所為か!この糞ガキ!」

 

 「うわっ!」

 

 父親は表情を怒りに変え、テーブルに置いていた酒が入っていた空の瓶を俺に投げつけた。

 咄嗟に腕で防ぐが、父親はすでに目の前に近づいていて

 

 「ぐあっ……!」

 

 空の瓶で俺の頭を殴りつける。殴った時にバリンと割れて、瓶の破片で頭を傷つけられてしまう。

 

 「お前の所為か!お前の所為か!」

 

 「がっ……あっ……」

 

 倒れている俺にさらに追撃をかける父親。頭を打ち付けられた為、うまく体を動かすことができず、俺は一方的に殴られるだけだった。

 

 「あなた!やめてください!」

 

 母親は血相を変えて、父親を止めようとする。

 

 「そんなことをしてたら、世間に悪く思われてしまうじゃないですか!こんな馬鹿な事はやめなさい!」

 

 もちろん、俺の心配ではなく世間、周りの目の心配をしていた。なんなんだ……この2人は……

 

 「ちっ!酒をもってこい!」

 

 父親はそう叫んでテーブルの所まで戻って行った。

 

 「はぁ……はぁ……」

 

 頭がグラグラする。徐々に意識が薄くなっていくのがわかった。

 

 「全く……ほんとうにやってくれたわね……」

 

 母親は俺の身を心配するどころか、恨んでいた。

 

 「一応、救急車は呼んであげる……もう二度と、こんな馬鹿なことをするんじゃないよ……!」

 

 「うぐぁっ……--」

 

 俺の腹に母親の蹴りが入った所で、俺は意識を失った。

 

 

 ------

 

 

 ---……!

 

 

 誰だ……

 

 

 ---……!

 

 

 誰かが……呼んでる……

 

 

 ---……!

 

 

 そんな悲しそうな声で呼ばないでくれよ……

 

 

 ---……すけ!

 

 

 この声は……

 

 

 ---りょうすけ!

 

 

 姉ちゃん……

 

 

 ---涼介!!

 

 

 

 

 「……ん」

 

 目を開けるとそこは見知らぬ天井。ここは一体……

 

 「涼介……」

 

 「姉ちゃん……」

 

 そこには今にも泣きそうな表情をしている姉ちゃんがいた。姉ちゃんのそんな顔は初めて見る。

 

 「良かった……」

 

 姉ちゃんは安心したように、俺に微笑んでくれた。あぁ……姉ちゃんの笑顔……綺麗だな……

 

 「ここは……」

 

 周りを見渡してとりあえず状況を整理する。どうやらここは市立の病院みたいだ。俺は運ばれて来たのか……

 

『お前の所為で!お前の所為で!』

 

『もう二度と、こんな馬鹿なことするんじゃないよ……!』

 

 「うっ……」

 

 頭に痛みを感じ、俺は頭を抑える。

 

 「大丈夫か!?涼介……!」

 

 「あ、ああ。大丈夫だよ」

 

 嫌な記憶を思い出す。俺はあいつらの所為でこんな事になっているのか……

 

 「目が覚めたようですね」

 

 すると病室のドアが開き、病院の先生が入ってきた

 

 「先生……俺は……」

 

 「頭に擦り傷と何か打ち付けたような傷跡がありました。一応治療はしたのですが、頭からの出血で脳に異常がないか検査するため、2、3日入院してもらうことになりますが……」

 

 「わかりました。お世話になります」

 

 「いえいえ。ではあと2時間で消灯時間なのでお姉さんもはやくご帰宅なさってください。お大事に」

 

 「ありがとうございました」

 

 姉ちゃんは深々と頭を下げ、先生は病室から出て行った。

 

 

 

 「……俺の怪我の原因は……」

 

 「階段から落ちて、その衝撃で棚に置いてあった花瓶が頭上に落ちた。という事になっている……」

 

 姉ちゃんは冷静な顔でそう言った。あくまで自分達がやったとは言わないんだな……世間の目があるから……!

 

 「くそっ……!」

 

 俺は怒りで拳を握って自分の太ももを殴る。

 

 「涼介……」

 

 「なんなんだよ……なんなんだよあいつら……世間、世間、世間、世間って……!そんなに俺らの事より自分の価値が大切なのかよ……!くそがっ!」

 

 再び太ももを殴る。俺はこの時、ようやくあの2人の考えていることが理解した。

 姉ちゃんに成績を無理に上げさせようとしたのも……

 天涯孤独な俺を引き取って、育ててくれたのも……

 全部世間にいいように見られたいから。周りに優秀な家庭ですよっていうのをアピールして、輝きたいから。俺達はその道具にすぎない。そう思う事しかできなかった。

 

 「くそっ……くそっ……」

 

 気づけば俺は悔しさで涙を流していた。俺がどう使われても構わない。だが実の娘を愛すことをせず、姉ちゃんが優秀な家である為の道具として使われていたのが……悔しかった。

 

 「涼介……」

 

 俺は姉ちゃんにギュッと優しく包んでくれた。

 

 「大丈夫だ。心配しなくてもお前には私がいる。私が……傍にいるぞ……」

 

 そして頭を優しく撫でてくれた。

 

 「姉ちゃん……」

 

 俺はしばらく姉ちゃんの傍で、泣いた……

 

 

 

(あの2人を……殺す……)

 

 

 その時の姉ちゃんの顔が物凄く冷徹な表情であったのを俺は知る由もなかった。

 

 

 ------

 

 

 翌日……

 

 「………」

 

 涼介の居ない、朝食の時間。それはとてもつまらないものだった。

 

 「あなた、本当にいいのですね?」

 

 「あぁ。あいつをここから追い出す。もうあいつが住むアパートも確保してある。そろそろもう1人で暮らせる年だろう。あいつがいては正直邪魔だ」

 

 「……わかりました。そうしましょう」

 

 2人の会話を私は怒りを沈めてただ黙って聞いていた。

 

 「美咲もそれでいいだろう?これでお前はまた一人っ子になってしまうが、お前のためだ。わかったな?」

 

 「……はい。私もそれでいいです」

 

 いいわけないだろうが。

 

 「うむ。流石、私の娘だ」

 

 父が少し機嫌が良くなる。そろそろいいだろう。

 

 「父さん、母さん。これ……」

 

 「む?これは……」

 

 私は父に2枚の紙切れを渡す。

 

 「それは温泉のチケットです。2人ともここ最近仕事詰めで疲れているでしょう?せっかくだから用意してみました」

 

 「美咲……」

 

 「私は家で勉強していますから……2人で楽しんできてください」

 

 「……わかった。すまないな美咲」

 

 「ありがとう……美咲……」

 

 父と母は感動してお礼を言う。どうやらすんなりといきそうだ……

 

 --数時間後

 

 「じゃあ、留守番よろしく頼むよ」

 

 「行ってくるね、美咲」

 

 「行ってらしゃい……」

 

 2人は荷物を持って家を出る。そして車に乗り込んで、車を発進させた。

 

 

 「ふふふっ……」

 

 

  さよなら

 

 

 …………

 

 

 高速道路---

 

 「まさか美咲がこんなの用意してくれるなんて……いい娘になりましたね……」

 

 「そうだな……おっと、そろそろ下りだな……ってあれっ……」

 

 「どうしました?」

 

 「なっ……ブレーキが効かない!」

 

 「えっ!?ちょっと、それってどういうことですか!?」

 

 「くそっ!なぜ効かない!それどころか制動距離が伸びてきている……!」

 

 「ちょっと!どうにかしなさいよ!」

 

 「くそっ!なぜなんだ!くそっ!」

 

 「あっ……あっ……」

 

 「止まれぇ!止まれぇぇぇ!」

 

 

 うわああああああああああっ!!

 

 

 

 

 …………

 

 

 市立病院--

 

『ニュースです。先程、高速道路で大規模な事故が起き、現在渋滞中です。事故に会った、天野成さんと天野美香さんの2人の死亡が確認されました。今の状況を現場からお伝えします--』

 

 病院のTVのニュースでそれを聞いた俺はなんとも表現しにくい複雑な感情になった。

 

 「……ははっ……ざまぁみろ……日頃の行いが悪いからこうなるんだ……」

 

 2人の死を嘆くべきか、喜ぶべきか、わからなかったが、何故か俺の目から涙が出ていた。いくら最低な奴らだけども、天涯孤独だった俺を引き取ってくれてここまで育ててくれたんだ。なんとも思わないわけがない。だから余計に複雑な気分になった。

 

 

 2日後--

 

 「ただいま」

 

 「おかえりだ。涼介」

 

 あれから2日後の夕方。俺は無事退院する事ができた。

 

 「いやぁ~久しぶりに、帰ってきたなぁ~……」

 

 「ふっ。今日の夕飯は退院祝いでご馳走だぞ!」

 

 「やったぜ!」

 

 そして俺達は姉ちゃんの作ってくれたご馳走を頬張った。久々の姉ちゃんの作ってくれたご飯はめちゃくちゃ美味かった。

 

 

 お互い風呂も済ませて、2人で静かにTVを見ていると時刻は深夜を過ぎていた。

 

 「ふあ~……そろそろ寝るかな」

 

 「そうだな……」

 

 そしてTVを消して寝る準備をすると、ふと目にこの前父親が飲んでいた酒の空瓶が目に入る。

 

 「……なぁ、姉ちゃん」

 

 「なんだ?」

 

 俺はふと思った事を姉ちゃんに聞いてみる。

 

 「父さんと母さんが死んだ時、姉ちゃんはどう思った?」

 

 「………」

 

 自分でもちょっと嫌な質問しちゃったなと思う。

 

 「ごめん。今のはわすれ--

 

 「わからない」

 

 俺が謝ろうとすると姉ちゃんは口を開いてそう言った。

 

 「確かに、私はあの二人のことを好ましくは思っていなかったし、いっそ消えればいいと思ったこともある。だが、いざ本当に消えてみると複雑な気分になるよ……一応あれでも、私の親なんだからな……おかげで、私も天涯孤独の身だ」

 

 「姉ちゃん……」

 

 「だがな、私はあの2人よりもお前がいなくなる方がもっと嫌だ」

 

 そう言って姉ちゃんは俺に抱きついてくる。

 

 「ちょ、姉ちゃん?」

 

 

 「涼介。お前が何を思ってどこに行こうが私は付いていくつもりだ。両親に続いてお前も失ってしまったら私は耐えられない……。お前が望むことならなんでもするし、なんでもさせてあげよう」

 

 

 

 「だから……私の傍を離れないでくれ……ずっと一緒にいてくれ……もう1人は……嫌だ……」

 

 

 

 姉ちゃんの抱きつく力が強くなり、声を出さずに静かに泣いていた。

 

 「姉ちゃん……」

 

 俺は姉ちゃんを抱き返した。

 

 「りょう……すけ?」

 

 「俺でよければ、ずっと一緒に居るよ。もう姉ちゃんに悲しい思いはさせない……」

 

 「……!」

 

 

 あぁ……チョロイなぁ俺。義理の姉にこんな感情を抱くのはいけないのに……

 

 

 「好きだよ……姉ちゃん」

 

 「私も……お前が大好きだ、涼介」

 

 そしてお互いに見つめ合う。姉ちゃんの泣き顔を見るのはこれで2度目だが、その顔は悲しいのではなく、嬉しそうだった。

 徐々にお互い顔の距離が近づき……

 

 「………」

 

 「んっ……」

 

 唇と唇が触れ合った。

 

 「んぅぅ……ん……ちゅ……んっ」

 

 姉ちゃんがそこから舌を絡ませてくる。それに応えて、俺も舌を入れた。

 

 「っちゅ……んっ……はあっ」

 

 息が苦しくなって唇を離す。口から1本の唾液の糸が垂れた。

 そして姉ちゃんが1歩離れると、服を脱いだ。女性の綺麗な肌が顕になる。

 

 

 「涼介……私を……お前の女にしてくれ……」

 

 

 「ッ!!」

 

 俺はその場で姉ちゃんを押し倒す。しかしまだ俺には迷いがあって、少し躊躇っていたが……

 

 

 「遠慮する必要は無い……私はお前にもらって欲しいんだ……私の初めてを……」

 

 

 そして姉ちゃんが俺の顔をぐいっと寄せて耳元で囁かれた。

 

 

 

 「……好きにしていいぞ、涼介♡」

 

 

 

 それを聞いて俺の理性はぶっ飛んだ。

 

 そしてこの夜、俺はめでたく童貞を卒業した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日--

 

 「すまんな、遅くなった」

 

 「あぁ。って、おお……」

 

 「な、なんだ?ジロジロと見て?」

 

 「いや、気合の入った私服姿の姉ちゃんも綺麗だなって……」

 

 「ごほん……」

 

 「あ、えっと……可愛いよ、美咲」

 

 「うん。よろしい♪」

 

(姉ちゃんを改めて名前で呼ぶのは慣れねぇなぁ……)

 

 「さぁ、早く行こうじゃないか!私達の初デートだぞ!」

 

 「そうだな。今日は思いっきり楽しもうぜ!」

 

 「うむ!行こう、涼介」

 

 「あぁ!ねぇちゃ……美咲!」

 

 「ふふふっ♪」

 

 

 愛しているぞ、涼介




姉が居たら苦労しそう( ˘ω˘ )

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