ヤンデレな彼女達   作:ネム男

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※これは作者の自己満足作品です。ヤンデレはいいぞ( ˘ω˘ )


春が来たと思ったら

 

「あの……ずっと、あなたの事が好きでした!私と……付き合ってください!」

 

「……へ?」

 

高校1年生の6月のある日。俺にも春がやってきた瞬間であった……

 

俺の名は--佐藤 拓也--。成績は良くもなければ悪くもなく、運動もそこそこできる普通の男子高校生だ。

そんな平凡な俺がこの日の放課後、綺麗で長い金髪の女子生徒から告白された。

告白した彼女の名は--サリア・ローザ--。隣のクラスの女子生徒だ。フランス人であり成績優秀、運動神経も抜群で、クラスの学級委員も務めており、皆の憧れの存在だ。

そんな完璧美少女がこんな平凡な俺に告白してきたのだ。喜ぶ前に何か裏がありそうな気がして警戒していた。

 

「えっと……告白相手を間違ってませんか?」

 

「いえ、何も間違っていません。私は拓也さんに告白しています」

 

「誰かに罰ゲームとかで命令されたとか……」

 

「そんなことは断じてありえません。私は自分の想いを正直に伝えています」

 

「………」

 

彼女の瞳は真っ直ぐに俺を見つめている。どうやら嘘はついてないらしい。

俺は思いっきり右の頬を抓ってみる。

……普通に痛い。どうやら夢ではないようだ。ということは……

 

「……えええええええええ!?」

 

遂に俺にも春がやってきたぁぁぁぁぁあ!!

 

 

と口で驚きつつ内心でめちゃくちゃはしゃいだ。

 

「あの……ご迷惑だったでしょうか?」

 

「いやいやいや!全然!むしろ夢ではないかと思ってめっちゃパニクってるところ!」

 

「ふふふ♪夢じゃありませんよ?現実です」

 

サリアはニコッと笑顔でそう言った。あぁ、天使はここにいたのか。

 

「えっと、それで、お返事は……」

 

不安そうに俺に返事を求めてくる。答えはもう決まっているではないか。

 

「こんな、平凡で何の魅力もない俺ですが……よろしくお願いします!」

 

そう言って俺は頭を下げた。

 

「ッ!ありがとうございます!!」

 

サリアは明るい笑顔で俺の手を掴んできた。

 

「これからよろしくお願いしますね、拓也君♪」

 

こうして俺はめでたく非リア充からリア充になった。

 

------

 

サリアと付き合い始めて一ヶ月が経った。平日の学校では一緒に登校し、一緒に弁当を食べ、一緒に下校する。そして土、日の2日間は朝から夕方までデートをして、お互いにとても幸せな時間を過ごしていた。

 

そんなある日。ちょっとした出来事が彼女をあんな風に変えてしまうとはこの時は思いもしなかった……

 

 

 

「えっ!?図書委員長が休み?」

 

俺は委員会には図書委員に所属している。休み時間に今日の当番である委員長が風邪で休みという知らせを聞き、

 

「そうなの。だから委員長の変わりに、佐藤君が当番してくれないかな……?」

 

と同じ図書委員である彼女--河原 梅子--はそう言ってきて、俺は二つ返事で快く引き受けた。どうせ帰っても暇だしな。

 

「ありがとう。今日、私も当番だから……よろしくね?」

 

そう言って彼女は自分の席へと戻っていった。その時間は小説か漫画でも読んで時間を潰そう。そう思って俺は机に伏せて仮眠を取った。

 

 

放課後--

 

「えっ……今日は一緒に帰れないんですか?」

 

「そうなんだよ〜。今日急に委員会の仕事が入っちゃってさ。悪いけど先に帰っててくれ。遅くなるといけないからさ」

 

俺は今から図書委員の仕事がある事をサリアに伝えた。

 

「大丈夫ですよ。拓也君の仕事が終わるまで待ってますから」

 

しかし1時間くらい仕事しなければいけないのに、彼女は待っているつもりみたいだ。

 

「いやいいよそんな。1時間くらい仕事あるんだし、そんなに待たせちゃ悪いよ」

 

「大丈夫ですよ。私は拓也君と一緒に帰りたいんです。1時間くらい待てますよ」

 

「いや、でもなぁ〜……」

 

「私は教室で勉強してますから拓也君は仕事をはやく終わらせて来てくださいね?少しでも、あなたと一緒に居たいから……///」

 

少し照れた顔でそう言った。

可愛すぎんだろサリアぁぁぁぁぁ!

 

「わかった!ちゃっちゃと終わらしてくる!」

 

「はい、いってらっしゃい♪」

 

そして俺は図書室へと急いで向かった。

 

 

図書室--

 

「仕事はどこじゃゴラァ!」

 

俺は彼女の為にもはやく仕事を終わらせようと思いつつ力強く引き戸を開ける。カウンターには河原さんだけが座っていた。

 

「あっ、ちゃんと来てくれたね、佐藤君」

 

「おうよ!ちゃっちゃと終わらせて、はやく帰ろうぜ!」

 

「うん……!頑張ろう!」

 

 

1時間後……

 

 

「つ、疲れた……」

 

今日が委員長の当番だからだろうか。何時もよりも仕事が倍以上に多くて、予想以上に時間がかかってしまった。

 

「最後は、本の整理だね。がんばろっ?」

 

「お、おぅ〜」

 

そして俺達は本を整理しようと本棚へ向かった。

 

「これがここで……おっとこれはここじゃないな……」

 

「……あの……」

 

俺が本の整理をしていると河原さんに声をかけられた。

 

「ん?どうした?」

 

「……えっと……その……」

 

河原さんはもじもじしながら何かを伝えようとしているようだ。

 

「なにか聞きたいことがあるの?」

 

「……その……」

 

河原さんは深呼吸をして落ち着きを取り戻すと、真っ直ぐな瞳でこちらを見て

 

 

「……好きです……」

 

 

「……はい?」

 

聞き間違いだろうか、『好き』と、そう聞こえた気がする。

 

「私……優しくて、一生懸命で、明るい佐藤君が……好きです」

 

「………」

 

「返事、待ってるね……///」

 

言いたいことだけ言って河原さんは図書室を出て行った。

 

(マジかよ……俺、告白されちまった……さっきの河原さん、可愛かったなぁ……)

 

しばらく俺はその場でボーッとしていた。

 

 

数分前--

 

(そろそろ委員会が終わる頃ですね……)

 

拓也君と別れて、1時間くらい教室で勉強していました。そろそろ委員会も終わってる頃だろうと思い、私は荷物をまとめ図書室へ向かいました。

 

(はやく拓也君に会いたいです……ふふふっ♪)

 

気分が高まりながら目的地へ到着。すると図書室の窓が開いており、そこから拓也君と知らない女子の姿がありました。

 

(拓也君が知らない女子と話していますね……なんなんでしょうか……)

 

その光景に少し心がズキッとしましたが、大丈夫。拓也君は私の大事な彼氏なんですから。

そう思っていると、女子の口から放たれた言葉で私は激しく動揺することになるのです。

 

「……好きです」

 

(……えっ……)

 

その女子は拓也君に告白をしたのです。

その表情は嘘をついているようには見えず、好きな男の子の前で見せる女の顔でした。

 

なんで

 

なんで私の拓也君に告白してるんですか?

 

なんで私の拓也君を奪おうとしているのですか?

 

なんで?

 

なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?………………

 

 

 

 

 

 

(はっ、しまった!サリアが待ってるのに!)

 

俺はその場で一分くらいボーッとしてしまったようだ。俺はカバンを持って急いで図書室を出ると

 

「あっ……」

 

そこにはサリアがその場に立っていた。しかし彼女の表情は無表情で今まで見たことのない表情であった。

 

「ごめんサリア!待たせちまって。怒ってるか?」

 

俺はサリアの機嫌を伺う。

 

「……いえ、怒ってなどいませんよ?大丈夫です」

 

「ほっ……ごめんな。さて、じゃあかえ--

 

「それよりも、拓也君」

 

サリアは冷たい声を放つ。やっぱり怒ってんのかな……

 

「さっき一緒にいたあの方は誰なんですか?」

 

と河原さんのことについて聞いてきた。そういえば違うクラスだから河原さんのことを知らないのか。

 

「あぁ。同じクラスの河原さんだよ。委員会の仕事を手伝って貰ってたんだ」

 

「……そうですか。では……」

 

まだなにか気になることがあるみたいだ。何なんだろうと俺はサリアの言葉を黙って聞くことにする。

 

 

「なんであの女は拓也君に告白してきたんですか?」

 

 

「ッ!」

 

どうやら、さっきの河原さんとのやりとりをサリアに見られていたらしい。

 

「ねぇ、なんでですか?あなたの彼女は私ですよね?それなのになんですぐ断らなかったのですか?なんで黙っていたんですか?あなたの彼女は私です。あなたも私が好きですよね?そうですよね?」

 

サリアがグイグイ迫ってくる。その瞳には光を宿していなかった。

 

「ちょ、落ち着いてサリア!」

 

「これが落ち着いていられません。どうなんですか?あの女のこと、ちゃんと断ってくれるんですか?」

 

「断るよ。元からそのつもりだから。とりあえず落ち着いて!」

 

「………」

 

するとサリアから放たれた気迫がどんどん薄くなっていく。

 

「そうですよね!そう言ってくれるって信じてました!」

 

すっかり機嫌がよくなって、いつもの笑顔に戻った。一体なんなんだったんだ、さっきのサリアは……

 

「でも……」

 

「ん?」

 

 

「これからはなるべく、私を優先的に見てくださいね?」

 

 

笑顔だがさっきの暗い瞳でそう言ってきた。その表情に俺は謎の恐怖感を感じたのであった。

 

------

 

数日後--

 

「おい佐藤!お前あのサリアさんと付き合ってるって本当か!?」

 

クラスの男子が俺に問いかけてくる。

 

「はあ?なんでだよ?」

 

それは事実だが、とりあえず知らない振りをしておこう。

 

「だっておま、登校時や帰る時だっていっつも一緒にいるし、昼飯を食べさせあいっこなんかしたり、皆の前で抱きつかれるとか、付き合ってるって思うしかないだろ!リア充死ね!」

 

「あ〜……」

 

そういえばあの一件以来、サリアからのアプローチが酷くなった気がする……

朝なんか会った瞬間に力強く抱きつかれたり、恋人つなぎで学校に登校したりや、人前で抱きついたりなど、前の恥ずかしがっていたサリアからは考えられない行動であったのだ。

おまけに俺のために弁当まで作ってくれているのだ。流石に悪いと思ったけどサリアが

 

「私が作りたいから作るんです。私の料理……タベテクレマスヨネ?」

 

とこの前見せたあの光のない瞳をした表情で言われるのだ。食べるしかないじゃないか……だって怖いんだもん。でも美味しかったからこれでいいやと思っている自分がいる。

 

「それでどうなんだ佐藤!付き合っているのか!?」

 

「そうなの佐藤君!?」

 

「え、気になる気になる〜!」

 

「リア充爆発しろぉぉ!」

 

クラスの半分以上の生徒が押しかけてくる。

 

「騒がしいぞお前達!チャイムが鳴ったのが聞こえなかったのか!?」

 

騒いでいるといつの間にか授業時間になっていて、英語の先生が教室に入ってきた。

 

「先生聞いてくださいよ!こいつあのサリアさんと付き合ってるんですよ!?」

 

「ちょっ、おまっ」

 

「………」

 

それを聞いた英語の先生はニコニコとしていた。あぁ〜……遂に先生にも知られてしまったのか……

 

「彼女を大事にしろよ、佐藤?」

 

俺は力無くため息をついた。

 

 

放課後--

 

「ごめん、河原さん。君の気持ちは嬉しいけど、俺にはもう付き合ってる人がいるから……君の気持ちは受け取れない」

 

「……はい」

 

俺は図書室から河原さんを呼び出して、昨日の告白を断っていた。

 

「えへへへ……わかってたんだけどね。佐藤君がサリアさんと付き合ってること……バカだよね……私」

 

河原さんは涙を流して色々言っていたのを、俺は黙って見ているしかできなかった。

 

「……じゃあ、私、行くね?……彼女と幸せにね。応援してるから……」

 

そう言い残して河原さんは去っていった。

 

(ごめんな……河原さん)

 

俺も帰ろうとすると

 

「佐藤。ちょっといいか?」

 

俺らのクラスを担当している英語の先生から呼び止められる。何か俺に用事があるみたいで付いてきて欲しいということだったので、俺は先生の後をつけた。

 

「先生、ここは……」

 

そこは人が来る事はあまりない体育館裏であった。そしてそこにこの学校のヤンキーがゾロゾロと来て、囲まれてしまう。

 

「先生ぇ。こいつをボコボコにすれば、本当に俺らの内申点上げてくれるんすか〜?」

 

……どういうことだ……

 

「ああ。こいつを再起不能になるまで潰したら、僕はお前達に特別に内申点をあげよう」

 

「ひゃははは!さっすが先生!あんた最低だな!ひゃははは!」

 

……どうやら、嵌められたらしい。面倒ごとになってきたなぁ……

 

「先生!これはどういう事ですか!?」

 

「黙れ。お前みたいな何も出来ないカスがサリアと付き合うなんてあったもんじゃない。サリアは僕の物だ。僕の物を盗ろうとする愚か者には、例えそれが教師だろうが生徒だろうが潰すだけさ」

 

いかれてやがる。このクソ教師はそんな事のために俺を潰そうとしているのか……

 

呆れて怒る気力が出なかった。

 

「はっ……なんだよそれ。本当にそんなんでよく教師やれてるな。お前みたいなクズをサリアが好きになると思ってんのか?全く……呆れたもんだぜ、このクソ教師が」

 

俺はとりあえず思ったことを率直に言ってやった。

 

「フン……何言っても構わんさ。お前はここで死ぬんだからな……やれ」

 

「はいよぉ!」

 

そしてヤンキーの1人が殴りにかかってくる。俺はそれをギリギリで避けた。次々に襲いかかってくるヤンキーの攻撃をなんとか躱しながら逃げようと試みるが

 

「貰った!」

 

「ぐっ……!」

 

俺は後ろから木刀で殴られてしまい、よろめいてしまう。その隙をヤンキーは見逃さず、顔面に拳を叩き込まれ、倒れてしまう。

 

「ちょこまかと避けやがって……オラッ!」

 

「調子乗ってんじゃねぇぞ!」

 

「楽しい〜!ひゃははは!」

 

 

殴られて、蹴られて、殴られて、蹴られて、殴られて、蹴られて、殴られて、蹴られて--

 

 

ヤンキー達の攻撃は止む事は無く続いていた。

 

ケンカをしたのはいつぶりだろうか……小学校の頃はよくガキ大将とその部下達とよく殴りあってたなぁ……

 

意識が朦朧としてる中そんな事を思い出していた。

 

確か最初は、誰かが苛められてたからそれを助けようとケンカしたんだっけ……やばい……意識が……

 

そして1人のヤンキーの力強い拳をくらい、俺は意識を手放した。

 

 

------

 

 

「ふぃー。久々にストレス解消したぜぇ」

 

「おい立てやコラ」

 

ヤンキーの1人がボロボロになった拓也の胸座を掴み、持ち上げる。

 

「………」

 

「はははっ!こいつ意識失ってますぜ!オラ、目ェ覚ませ!」

 

男は掴んでいた胸座を離し、拓也を殴る。ドサッと力無く倒れる拓也。

 

「おいおい、それ以上やるとほんとに死んじまうぜ!ひゃははは!」

 

「へっ、いいザマだ」

 

「全くだよ……僕の物を汚すからこういうことになるんだよ……ククク」

 

倒れた拓也を男教師は踏みつける。

 

「さっすが先生!ほんと容赦ないな!ひゃははは!」

 

1人の男教師とヤンキー達が大笑いしていた。全員が愉悦に浸っていると

 

「……拓也……君?」

 

サリアがその現場に現れた。

 

「やぁ、サリアさんじゃないか。見てくれ!あの哀れなカスの姿を!」

 

男教師がそう言うと、ヤンキーの1人がボロボロになった拓也を掴みあげる。

 

「君もこいつに汚されて嫌だっただろう!苦しかっただろう!でももう安心だ。この僕がきちんと駆除してやったからね!」

 

男教師は拓也を指さして、笑顔でそう言った。

 

「そんな……拓也君……」

 

「何をそんなに震えているんだい?あっ、そうか!嬉しすぎて震えているんだね!全く困った娘だなぁ〜。あっはっはっは!」

 

そう言いながら男教師はサリアに近づいていく。

 

「さぁ、はやく帰ろうじゃないか」

 

そして男教師はサリアの肩に手を落とすと

 

 

「……許さない」

 

 

 

「……へっ?」

 

 

男教師の腹に包丁が突き刺さっていた。

サリアが包丁を抜くと、男教師は腹を抱えて跪く。

 

「一体……何を……」

 

 

「……許さない……許さない……許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない!!」

 

 

「私の拓也君によくも手を出してくれたな!!ここにいる全員殺してやる!!」

 

 

サリアは発狂してヤンキー達に襲いかかる。

 

「へっ、なめんじゃねぇ!」

 

男1人が木刀を振りかざすが、

 

「なっ、はやっ……ぐっ……!」

 

「がぁっ、あっ……」

 

最小限の動きでよけられて、脇腹に包丁を刺されてしまう。

 

「や、野郎!」

 

さらにもう1人が襲いかかってくる。サリアはさっき突き刺した男が持っていた木刀を奪い、襲いかかってきた男の腹に木刀で力強く突く。

 

「ぐえっ」

 

「や、やめろ……ぎゃああっ!」

 

木刀で殴って、包丁で突き刺す。

 

「このっ!ぐあっ……ぎえええ!」

 

殴って、突き刺す

 

「ひっ……がああああっ!」

 

殴って、突き刺す。

 

「もう許して……ぎゃああああ!」

 

殴って、突き刺す。

 

殴って、突き刺す。

 

殴って、突き刺す。

 

殴って、突き刺す。

 

殴って、突き刺す。

 

ヤメロオオオオ!

 

ギャアアアア!

 

タスケ…ガアアアア!

 

殴って、殴って、殴って、殴って、殴って、殴って、殴って、殴って、殴って、殴って、突き刺して、突き刺して、突き刺して、突き刺して、突き刺して、突き刺して、突き刺して、突き刺して---

 

一方的な虐殺がそこで行われていた。

 

「………」

 

「ひっ……」

 

数分後、男教師が集めていた10人のヤンキー集団は全滅。血だらけで生臭い匂いがすでに充満していた。

 

「後は……あなただけですね……」

 

「や、やめろ!僕は教師だぞ!子供が大人に手を出していいと思っているのか!?」

 

男教師は呼吸を荒らげながらサリアを説得しようとする。

 

「そんな事どうでもいいです。私は大切な人を傷つけられるのが一番許せない……私の幸せな時間を壊そうとする輩が許せない……だから、あなたを殺します」

 

「ふざけるな!僕は君の事を想って、あのゴミを片付けたんだぞ!!」

 

「ゴミ……ですって?」

 

「ぎゃああああああ!」

 

男教師の傷口に木刀が突き刺さった。

 

「私のかけがえのない大切な人をゴミだと?ふざけるな!!!」

 

再び木刀で傷口を突き刺す。

 

「ぎえっ!」

 

「死ね!死ね!死ね!お前みたいなクズが、私の拓也君に触れるな!!」

 

 

「があっ……」

 

 

「拓也君は私の物だ!誰にも触れさせない!」

 

 

「ひゅっ……ひゅっ……」

 

 

そしてサリアは男教師を包丁で何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も、刺した。

 

 

------

 

 

「うええええん」

 

「ぎゃはははは!なきむしだー!」

 

「おい、やめろ!おまえたち何してるんだ!」

 

「なんだァお前?やるのかぁー?」

 

「女の子を泣かせやがって……ゆるさねぇ!」

 

ドカッ!

 

「いてぇ!おまえぇ……!」

 

「大将!」

 

「よくもぉ!」

 

「うおりゃあああ!」

 

…………

 

「くそっ!覚えてろぉ〜!」

 

「ひぃ〜!」

 

「へへっ!ざまぁみやがれ!」

 

「ひぐっ……ぐすっ……」

 

「もうだいじょうぶだよ。けがはない?」

 

「うん……ぐすっ……ありがとう」

 

「おう!」

 

--そういえば小学校の頃……ちょうど10年前か。確か俺は公園でガキ大将達が女の子を虐めていたから助けに行ったんだ。

 

「どうして、いじめられてたの?」

 

「わたしが……外国からきたってだけで……」

 

「えっ!?君、外国からきたの!?」

 

「うん……」

 

「すげぇ!どこから来たの?」

 

「フランス……」

 

「フランス……ぜんぜんわかんねぇや!ねぇねぇ!フランスの事いっぱいおしえてよ!おれもにっぽんの事いっぱい君に教えるからさ!」

 

「……うん!」

 

--そう。助けた彼女はフランスから来たんだったけ。あれから俺達はいっつも公園で会って話をして、いっぱい遊んで、いっぱい笑った。

 

--そんなある日、彼女は来なくなった。長い間来なかったから近所の人に聞いてみると、家の都合でフランスに帰ったんだっけ。結構ショックだったなぁ……

 

--そして、年月が過ぎて彼女の事を少しずつ忘れていったんだっけ……でも今思い出した。彼女の名は---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う〜ん……」

 

目を覚ますと見知らぬ天井がそこにあった。

どうやら俺はこのベッドで寝ていたらしい。誰かが親切に傷の手当をしてくれたみたいだ。

しかしここはどこだろう。確か俺はあの時、ヤンキー達に襲われて……

 

 

「ッ!なんだこれ!?」

 

体を起こしてベッドから出ようとすると、ある違和感を感じた。違和感がした手首をよく見てみると、手錠をかけられており、ベッドの柱に拘束されていた。しかも両手。

俺は必死に足掻くが、手錠が外れることは無く、足の方も足枷をかけられていた事に気づく。どおりで上半身しか起き上がれないわけだ。

 

「あっ!目が覚めたんですね!拓也君!」

 

すると部屋のドアが開かれ、そこからサリアが姿を現す。

 

「……サリー」

 

「その呼び方は……思い出してくれたんですね!拓也君!」

 

サリーという呼び名は俺が小学生の頃、助けた友達の名前がサリア・ローズで、俺はその子の事をサリーと呼んでいたのだ。

 

サリーは感動して俺に抱きついてくる。

 

「嬉しいです……やっと思い出してくれたんですね……」

 

「ああ……それより、サリー。これはどういう事だ?」

 

彼女が離れると、俺はサリーに手錠を見せつける。

 

「手錠ですね」

 

「あぁ、そうだ。なんで俺はこんな事になってるんだ?」

 

俺はサリーになんでこうなっているのかを問いかける。

 

「だって……こうすれば、あなたとずっと一緒にいられるからです」

 

まさか……そんな事で俺を拘束したのか!?

 

「私はずっと我慢してきました。あなたと2人きりになれないのがすごく辛かった……あなたが他の女と楽しそうにしているのが嫌だった……あなたには、私だけを見て欲しいんです。私だけを見て、私だけを求めて、私だけを愛して欲しい……そう思っていました」

 

「………」

 

「あなたは私だけじゃなく、ほかの人にも優しい。まぁそこがあなたの良いところなんですけど……私はそれが苦痛でした……。その優しさが私だけに向けられたなら、その笑顔が私だけに向けられたなら、どれだけ幸せだろうかと思ってきました。実際にその優しさであなたを奪おうとする輩やあなたを傷つけるゴミまで出てきてしまいましたが……」

 

まさか、サリーがそんな事を思っていただなんて……

 

「でも、もうそんな心配はありません。ここは私とあなたの2人だけの場所。これからはずっとあなたと2人きりで暮らせるんですからね♪」

 

彼女は微笑みながらそう言った。彼女の微笑みはいつも以上に綺麗で、怖かった。

 

「お前、その血は……」

 

俺がサリーから血の匂いがすることに気がつく。よく見たら顔や服に細かく血がついているのがわかる。

 

「あぁ、これですか。ちょっとゴミ掃除をしていたら浴びてしまったんですよ。綺麗に落としたつもりだけど、取れてませんでしたか……」

 

「ゴミ掃除ってまさか……」

 

俺はだいたい嫌な予想はついていたが、一応彼女に問いかける。

 

「拓也君を虐めたり、傷つける人はゴミ同然です。生きている価値なんてありませんよ。そんなゴミ達も死ぬ時は酷い声を出して死にましたよ。ふふふっ、あはははははっ!」

 

……悪魔だ。こいつは悪魔だ。サリーはいつからこんな風になってしまったんだ……?

 

「拓也君……好き。大好きです。大好きすぎてもう気持ちを抑えられません……♡」

 

「ひっ……」

 

彼女は完全に好きな男にしか見せることのない女の顔になっていた。しかしその瞳は光を宿していなかった。

 

「拓也君……拓也君……ふふふっ♪」

 

すると彼女は何かの薬を口にくわえた。

 

「や、やめ……んぐっ!」

 

そしてサリーは俺にキスをしてきた。

 

「んっ……ちゅっ……れろ……」

 

「……!……!」

 

舌を俺の口の中に滑り込ませてきたと同時にくわえていた何かの薬も入れられる。

 

「はあっ……んっ……ちゅるっ……」

 

そしてサリーは舌を無理やり絡ませて、激しくて深いキスをした。その時に口の中にあった薬も飲み込んでしまう。

 

「んっ……ぷはあっ」

 

「はあっ……はあっ……おま、一体何を……」

 

「えへへ///拓也君とのキスは何回もしたのに、こんな深いのは初めでしたね♡」

 

サリーは頬を赤くして微笑みながら言う。

 

「そうじゃなくて!今何を口に入れ……」

 

 

 

……あれ、何か……凄く眠い……

 

 

 

「ちょっとした睡眠薬を飲ませました。まだ私は色々と準備がありますので、拓也君はもう少し寝ていてください」

 

 

 

……やばい、まぶたが重い……眠気が……

 

 

 

「そしてそれが終わったら……ずっと愛し合いましょう♪2人きりで、永遠に……」

 

 

 

 

……サ……リー……

 

 

 

 

「おやすみなさい。拓也君……」

 

 

 

 

そして俺は再び意識を手放した。

 




こんな感じで、他のタイプのヤンデレも書いていきます٩( ´ω` )و

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