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今年初めての試験召喚戦争であるFクラスとDクラスの対決は、Fクラスが勝利した。
俺は勝ちが決まった時はFクラス教室に居たからその場を見ていなかったが、物凄い盛り上がりだったそうだ。 そして俺も雄二達が居る場所まで移動した。Fクラスの面々まだ勝利に喜んでいる。
「おお、吉継。」
「高虎か。どうやら勝った様だな。」
俺を見た高虎が嬉しそうにこちらに駆け寄って来る。
「戦後対談は終わったのか?」
「ああ、結局Dクラスの設備は取らない事になった。」
「何だと?」
折角勝ったのに設備交換をしないだと?
「と言う事は、他の何かで埋め合わせをした訳だな。」
「察したか。俺達が次に攻め込むのはBクラス。その為の布石として、雄二の合図でB教室の室外機を壊して欲しいとの事だ。」
「室外機か・・・あいつかわ考えている事はなかなか難しいな。」
まあ、Dクラス相手でもかなり苦戦した。次は更に強いBクラスと戦う。有利になる状況は作っておきたいのだろう。
「それじゃあ、教室に戻るぞ。雄二が俺達に話があるとの事だ。」
「これしか話さないのなら、わざわざここに来なくても良かったな。」
「ははは、そうだな。」
~移動中~
「皆集まったか。」
教室に戻って他の奴等に帰るよう指示した後、雄二は昼休みに集めたメンバーを再び呼び寄せた。
「で、何の話?」
「今後の予定についてだ。」
今後の予定・・・Bクラスに宣戦布告し、それを破った後にAクラスに挑むと言った感じか?
「初めに言っておこう。今のままではAクラスには勝てない。」
雄二の言葉に俺と高虎を除いた全員が驚いた表情をする。
「な、なら何故雄二はAクラスに挑もうとしたのじゃ?わらわはこれ以上設備が悪くなるのは嫌じゃ!」
明智先生の娘改め玉が雄二に戸惑いか交じった疑問をぶつける。
「落ち着け。俺は玉砕しようと思った訳じゃない。今から順を追って説明する。」
雄二が玉を宥める。
「俺は、Aクラス戦は代表同士の一騎討ちにしようと思っている。」
『一騎討ち?』
今度は皆がキョトンとした表情になる。
「まず、Bクラスに勝ってもBクラスに勝っても設備は交換しない。代わりにAクラスへの牽制を頼もうと思っている。」
「牽制・・・?どういうことですか?」
「仮に俺達がいきなり一騎討ちを申し込んでも、恐らくAクラスは良いと言わないだろう。だからその前に、Bクラスに動いて貰う。宣戦布告の準備がある、とな。」
「・・・分からない。」
「もしAクラスが拒否したら、Bクラスがすぐさま攻め込める様にするんだ。流石に補充期間が二日間あるとは言え、連戦は精神的に来るだろ。連戦を嫌がったAクラスは代表同士の一騎討ちを選ぶ、という事だ。」
ふむ、なかなか面白いな。だが・・・
「雄二、俺は反対だ。」
「ん?どういうことだ吉継。」
「確かに精神的に来るだろうな。だが、Aクラスなら他のクラスと戦うとき、何も考えない事は無いだろう。恐らく、Bクラスと戦うときに使う教科を少なくして負担を減らす位は考えるだろう。」
「む・・・」
「それに、代表同士の一騎討ちと言うが、俺はそれで勝てるとは思わない。相手はあの霧島翔子だ。無理がある。」
雄二は今回召喚の機会が無かった。それは代表故、後方に控えているからだ。恐らく次のBクラスでも召喚はしても一回程度。
「…俺も吉継に同意だ。言いたくないが、霧島には学力で敵わない。それに加えて操作もお前はしていない。それなら俺は総力戦でAクラスに当たった方が勝ち目はあると思うぞ。」
「ほう。それならどのような作戦があるんだ?」
尽く自分の考えを否定された雄二が若干苛つきながら高虎に詰め寄る。
「そうだな…霧島に一騎討ちで勝てる奴は居ない。それなら複数で取り囲むのが得策だ。」
「でも、どうやってその状況を作るのさ?霧島さんの回りにも間違いなく親衛隊はいるはずだよ?」
…そこが難しい。Aクラスは超高得点者の集まり。Fクラスの点数だと三人~五人程でないと太刀打ち出来ない。
「そこはまだ考えていない。」
「だろうな。まあ、Aクラスへの対策はま考えるとしよう。もう夕方の五時だし帰るぞ。」
雄二が立ち上がり、皆も立ち上がったその時…
「…雄二、帰ろう。」
「邪魔するわね。」
「へえ~ここがFクラスか~」
三人の女子が入ってきた。霧島と、秀吉の双子の姉の木下優子、あと一人は…見たことが無いな。
「し、翔子…遅かったか…」
右隣では雄二が顔を青くしている。何でだ…?
首を捻っていると、後ろから高虎が肩を叩いて来た。
(そういや、雄二と霧島は幼馴染らしいぞ。)
(そうなのか。この怯え方からして、尻に敷かれている流れか。)
「…何をしてたの?」
「ん、ちょっとした話し合いだ。こいつらは俺の大事なてご…仲間だからな。」
手駒と言いそうになっていたのは気のせいだろうか?
「…何があっても教室は渡さない。」
「そうね。アンタ達みたいなバカにアタシ達が負けるこことは無いわ。」
木下姉の言葉にかなり棘があるな…腹が立つが反発しても意味が無いな。
「そ、そんなにバカ呼ばわりする事ないじゃないか!少なくとも姫路さんや高虎、吉継はバカじゃないよ!」
「うるさいわ観察処分者。三人ともそこのFクラス代表のバカに付き合ったり体調管理が出来てないバカなんだから間違えてないじゃない。」
こいつの言う事も一理あるな。少なくとも俺は雄二のバカらしい賭けに付き合ってる訳だからバカだしな。
だが、高虎はどうだろうか。いつもは冷静だが頭に血が上ると凄く怒り狂うからな…
「…待てよ、あんた。」
そんなことを考えているうちに高虎が半ばキレていた。
「あんたに俺達をそこまで貶める権利があるとは思えんな。」
「何を言ってるのか分からないわ。アタシはAクラスよ?アンタより上なのよ?」
「上なのは教室のランクだ。身分は同じはずだろう。」
「黙りなさい!頭も素行も良くないFクラスと違って優等生なのよ!?」
「だから何だ!もし優等生なら思ったことをすぐ口に出すような事はしない!その程度の自制も出来ないならあんたは優等生じゃない、バカだ!」
「バッ…!?」
木下姉の顔が一気に真っ赤になる。言っちゃ悪いが、分かりやすいな。
「俺はあんたに正当な理由無くクラスメイトを馬鹿にされたくないだけだ。」
結局、高虎が怒っているのはそこだ。理由があるなら仕方ないと考える奴だからな。
おっと、木下姉が俯いている。…そのまま廊下に出て走り去って行った。
「ゆ、優子!」
もう一人の緑色の髪の見知らぬ女子も木下姉を追って去って行った。
「…」
口論のもう一人の主役は黙りこくったままだ。
「高虎、言い過ぎだ。吉継や姫路が馬鹿にされて腹が立ったのは分かるが…」
「…済まないな。あそこまで言うつもりは無かったんだが…」
「…雄二、私は優子を追いかける。先に帰って。」
「了解だ(これで下校中は自由だ!よっしゃ!)。」
心の声が丸わかりだぞ。口に出してないから鈍感な奴は気付いて居ないがな。
「秀吉、済まなかったな。お前の姉を泣かせてしまった。」
「いや、良いのじゃ。たまにはこういうことも経験しておかねば姉上も考えを改めぬであろう。」
「それでは皆で帰ろうぞ!」
秀吉に高虎が話しかけ、会話が終わったのを確認した玉が、下駄箱の方に走っていく。
それを明久や雄二が走って追いかけ、姫路や島田、高虎に俺が笑いながら早足で着いていく。
新学期初日から色々あったなと思いながら、俺達は帰路に着いた。
Aクラスアンチ(予定)の、(予定)を外しました。
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