Aクラス戦はあと3、4回で終わらせようと考えています。
※打順やアウトカウントを間違えていたので直しました。
二回表、こちらの攻撃は雄二からだ。
「高虎、この状況、どう見る。」
「少し不味いかも知れん。日本史は明久や俺達の得意科目、だが霧島がピッチャーな以上下手したら姫路や俺にまで回って来ないだろう。」
ふむ…お、二人の点数が出てきたぞ。
『 Fクラス 坂本雄二
日本史 244点 』
VS
『 Aクラス 霧島翔子
日本史 402点 』
「…何だと?」
霧島、遂に400点の大台を突破したか…そう言えば腕輪が無いな。ムッツリーニの時もアイツの召喚獣に特に何も付いていなかったし。
「…」
霧島が第一球…を…
「うおっ!?」
雄二が驚いて飛び退く。無理は無い、一回の攻撃では見られなかった程に速い球だったからだ。
しかし、急に何故…?
「霧島さんの球、凄く速かったですね…」
「うむ、もしかしたら観察処分者になってから色々と召喚獣の動かし方を研究しているのかも知れないのじゃ。」
…そうか、ナイスタイミングだ玉。アイツは観察処分者であるが故に召喚獣の操作に慣れきって居るのか。元々覚えて慣れるのが早い霧島の事だ。それに技術が付いたら恐ろしい事になるな…まだ先だがこれからの戦争が怖い。
「…雄二、覚悟して。」
「そう簡単にやられるかよっ!」
内角高めのボールを綺麗に捕らえた…かに見えたがゴロだ。三塁の久保がキャッチして送球する。
「良し、オッケー…って、あっ!」
ファーストの時任の召喚獣が一塁を踏んでおらず、雄二の召喚獣が滑り込んでセーフとなる。はっきり言って運が良かったな。
「さあ次だ、頼むぞ。」
「…任せろ。」
~~~~
「ごめん…」
「…済まない。」
島田ととムッツリーニが暗い顔でベンチに戻ってくる。二人とも空振り三振で手も足も出なかった。
さて、次は秀吉の番か。
『 Fクラス 木下秀吉
日本史 138点 』
ふむ、やはり文系科目はそれなりにとれている。まだまだ伸び代がありそうだな。
霧島の第一球。秀吉は敢えて見逃してどれ位速いかを見る。
…なるほど、思っていた以上だ。これを打つのは相当厳しいな。
そんな事を考えている内に第二球が投げられる。外角高めを打った。
『ファール!』
バットに当てることは出来たが右に大きく逸れる。これで1ストライク1ボールか(第一球はボール)。
第三球、これはど真ん中。秀吉もこれを逃さず打った。
「ふんっ。」
上手く打つことができ、レフト前にボールが飛ぶ。その間に秀吉は一類、雄二は二塁に進もうとした。
「飯島君!」
木下姉が飯島にボールを送球する。恐らく、急げば二塁は間に合うかも知れないと思ったんだろう。その判断は正しい、捕球する二塁手も木下姉や霧島の様な奴ならば…
「え…ちょっ、うわっ!?」
飯島は突然の事に反応できず、召喚獣の頭部が木下の投げたボールによって無惨に消し飛ぶ。
『 Aクラス 飯島卓也
日本史 0点 』
…まさか、試召戦争でも無いのに戦死者が出るとは…ちなみに戦死した飯島の代わりとして控えの紺野が出てきて事なきを得ている。
というか、さっきの木下姉の送球、ボールが火を帯びていた様に見えるんだが…どこかの超次元サッカーの世界かと思ったぞ。
そしてFクラスの次の打者は俺。ツーアウトだが一、二塁にランナーが居る、チャンスだとFクラスの誰もが思っていた。
『アウト!』
それは二塁で起こった。リードしていた雄二が霧島の牽制球の余りの速さに対処できずに刺された。
…何となくもやっとするが、仕方あるまい。守備を頑張らねばな。
~~~~
向こうのバッターは久保。恐らく期末での成績は上がってはいても下がることは無いだろう。
『 Aクラス 久保利光
日本史 350点 』
先程の霧島の点数を見ていて麻痺していた訳では無い、コイツも十分に高い点数だ。
雄二の第一球、ど真ん中に投げた。久保は…見送った。
『ストライク!』
「…?」
雄二がキョトンとした顔をする。それを見て久保がふっと微笑む。
続く第二球、雄二は外角高めのストレート。ギリギリだが間違いなくストライクであろう場所だが…これも振らない。
(まさか、久保は俺達と勝負する気は無いのか…?)
俺はそう考えてしまった。真意は久保に聞かないと分からないのだが、強化合宿で心境の変化の兆しを見せた奴だ、そう考えてしまう。
三球目、またもや外角高めに投げたボールを奴は何もせずに見送った。見逃し三振だ。
「…久保、どういう意図だ…?後で俺達に恩着せがましくしてこなけりゃ良いが…」
雄二、そこまで疑わなくても…いや、Aクラス生徒相手だ、そうなってしまっても不思議ではない。
続く栗本は空振り三振に抑え、飯島に変わって出てきた紺野は五球ファールで粘ってからのライトフライに抑え、この回も無失点で切り抜ける事が出来た。
現在3-0。リードした状態で試合は中盤へと入っていく。