バカと無双と下剋上   作:走り高跳び

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今回から野球大会に入ります。
長さは…どうなるか分かりません。まだ全て書ききっていないので…


体育会編
野球大会1


夏休みは特にする事も無く、家でのんびりしたり図書館に涼みに行ったり、高虎と二人で長政様の家に遊びに行ったりして過ごした。刺激的な経験は無かったものの、それなりに楽しかった。

そして二学期。基本的には始業式の後に持ち物検査があるはずなのだが…何故か無かった。

「…吉継、これは何か裏があると考えた方が良くないか?」

不審に思った高虎が俺に尋ねてきた。

「あえて一日ずらして明日一斉に検挙する気だろう。今日は何も無かったから明日も無い、と考える奴も多いはずだ。」

「雄二には言ったか?」

「いや、まだだ。だが、言っておいた方が良いな。」

「だな。」

その後、俺と高虎で雄二に伝え、雄二が他のクラスメイト全員に伝え、明日も警戒するように、と釘を刺した。恐らくこれで没収される割合はかなり低くなるだろう。それでも持って来るバカは居るだろうが…

 

~時間経過~

 

「何だ、全然誰も持って来ていないのか?」

始業式の翌日、思っていた通り持ち物検査があった。Fクラスは事前に警戒するよう伝えていたのでバカなクラスメイト達もセーフ、没収された物は携帯に着いているストラップ程度の物で、マンガや小説を没収されるものは居なかった。

「始業式に無ければその次の日にあると言ってくれた奴が居てな。」

「ははは。流石に手の内を読まれていたか。」

西村教諭も没収物が少なく機嫌が良いのか珍しく笑っている。これを後五クラスやるのか…

「ふう、ほぼ無傷で終わることができたな。吉継に高虎、感謝するぞ。」

「…ありがとう。」

隣でムッツリーニも頭を下げる。そういえば何時もはコイツの情報網を駆使して持ち物検査の日程を調べていたな。夏休み明けで気が抜けていたのだろう。

「いや、例には及ばぬ。それはそうと、そろそろ体育会の季節だよな。」

「ああ。それがどうしたんだ?」

「確か、普通種目の裏で野球大会もやると聞いたが…」

「そうだな。俺達は特に楽しみにしていた訳では無いから余りやる気は無いが…」

「明智先生の話によると、今年は召喚獣を使った対戦になるらしいぞ。」

「…は?」

雄二が固まる。特にやる気も無いなら驚く事も無いだろうに、どうしたんだろうか。

「何でも、試験召喚システムの実験の一環らしくてな…」

「…優勝だ。」

「は?」

「召喚獣を使った勝負に今のAクラスが乗って来ないはずが無い。万一俺達が無様な負けを喫すれば何かしらの言い掛かりを付けて来るにちがいない。優勝して今度こそあいつらを骨抜きにするぞ。」

「そうか…だが、雄二がそんな事を言うなんて珍しいな。」

「…翔子を元に戻すにはこれしかない。この教室を明け渡しても恐らく無駄だ。」

雄二が悲しげな表情を浮かべて喋る。なるほどな…酷い仕打ちを受けても霧島とは幼なじみで、何とかして前の様な関係に戻りたいと考えているんだな。いや、今まで仲良くしてきたのだからそう考えるのは当然か。

「…お前の気持ちは分かった。この野球大会、全力を尽くして優勝を目指すぞ。」

「ああ。ところでどういった対戦形式なんだ?」

「まず同学年のEクラスとFクラス、CクラスとDクラス、AクラスとBクラスで対戦し、勝者が別学年の同じクラスの勝者と戦う。その後は…EFの勝者とABの勝者、CDの勝者と教師チームが戦う準決勝があって、最後に決勝がー」

「待て。俺の耳には教師チームと聞こえたんだが…」

「ああ。教師も出るらしいな。」

「…さっきの優勝宣言、撤回して宜しいでしょうか。」

「駄目です。」

さあ、雄二はどんな戦略を立てるのか、楽しみだ。

 


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