Dクラスと戦闘を開始して30分が経過した。
戦線は何とか維持できている。それよりも心配なのはどれだけ戦死者が出ているかだが・・・
「秀吉、そっちの被害は?」
「戦死者は今のところ瀬戸と福村の二人だけじゃ。点数が危なくなって下がったやつは五人位かのう。」
「うむ・・・こちらは少し厳しい。既に戦死者が五人を数えている。何とか持ちこたえているが・・・」
初めは300点以上あった点数もそろそろ250点を切ろうとしている。
まだ余裕の範囲内なんだろうが、不安を拭えない。
「Dクラスの増援が到着したぞ!」
前線から悲鳴のような声が上がる。
新手の数は・・・十五人。戦死した奴を含めて三十人を前線に投入したか。
「このままでは不味いな。・・・秀吉、後方に控えている明久に前進するよう伝えろ!」
「う、うむ!」
秀吉が急いで旧校舎側に走って行く。
「お前たち、なんとか耐えろ。直にこちらも増援が来る!」
「援軍が来る前に潰すぞ!大谷を討ち取れ!」
Dクラスの五人程が一気に俺に勝負を仕掛けて来た。
「くっ・・・二人ほどここに来てくれ。俺一人では支えきれない!サモン!」
「Fクラス西村も行きます、サモン!」
「横溝も行くぞ、サモン!」
二人来てくれたか。これなら五人とも倒せるだろうか。 まずは一人目。弓矢を使ってくる召喚獣が相手だ。
「食らえ!」
点数は88点。心臓等に当たらない限り死なないが・・・
「はっ!」
仕込采で斬り落とす。そして、一気に間を詰めて斬りつける。
二人目。短刀を持っていて・・・忍者装束を着ているのか。こいつ相手なら直接勝負でも良さそうだ。
何より点数が52点と低い。他の奴と戦っていたのだろうか。とにかく攻撃される前に顔を采で殴りつけて撃破。三人目と四人目が同時にやって来る。
残る一人はFクラスの二人と戦っている。
一人は金属バットを持った不良、もう一人は鉄パイプを持っている。両方不良だな。
「鉄パイプはリーチが長いから気を付けた方が良いか。ならば・・・」
先に金属バットの方を片付ける。一人目の奴の様に間を詰めて撃破。
鉄パイプを持っている奴は一度攻撃を受け流し、隙が出来た所を突く。これで四人撃破だ。あと一人は西村と福村が倒してくれるだろう。
「戦死者は補習だ!」
どこからともなく西村教諭が現れ、戦死した奴らを連行していく。
いま運ばれて行ったのは・・・Dクラスが六人、Fクラスが三人か。もう片方がまずい事になっているな。
「西村、福村、悪いが総合科目の方に行ってくれないか?押され気味の様なんだ。」
「「了解!」」
二人が向こうへと向かっていく。
さて、こちらはあと七人か・・・前線にいるFクラスは合計十人。向こうは二十一人か。明久が来るまで果たして持つかどうか。
「大谷は強敵、数人で束になって潰すぞ!」
「そう簡単にやられたくはない。」
相手が七人全員同時に召喚する。点数は・・・低い奴で75点、一番高くて112点か。
俺の残りの点数は248点。まだ少し余裕があるが、200点を切らない様にしたいものだ。
「すぐに決めるぞ!総員突撃ー!」
いきなり全員で突撃か・・・リーチの無い武器の奴や、弓矢が武器の奴も居るのにな。
「ダメージ覚悟で突っ込む!」
一団となって突撃する集団を真っ向から迎え撃つ。
・・・相手の召喚獣が全て居なくなった。そして俺の点数は・・・
『Fクラス 大谷吉継
化学 32点 』
ほとんど点数が無くなってしまった。次に誰か来たら間違い無く負けるな。
「大谷の点数が消耗している!討ち取れ!」
総合科目の方から三人こちらにやって来る。悔しいが、補習を受けるしか無いか。・・・ん?後ろが騒がしい。
「吉継、もう大丈夫だよ!サモン!」
明久達中堅部隊十五人が到着した。
「済まないな、明久。ここは任せて退かせて貰おう。」
フィールドにいた召喚獣を退かせ、明久に戦闘を継続させて俺は教室に戻った。
「おお、吉継。生きて帰って来てくれて何よりだ。」
教室に帰ってすぐ、雄二が出迎えてくれた。
「ところで、高虎と姫路の補充テストは終わったのか?」
「ああ、今終わった所だ。俺の方の採点はおわって、今は姫路の方の採点をして貰ってる。」
そうか、なかなか上手く事は運んでいる様だ。
「それじゃあ雄二、高虎、姫路、頼んだぞ。」
「おう!」
姫路の採点も終わった。あとは平賀の周りの奴らを遠ざけ、姫路に止めをさして貰うだけか。
「よし、行くぞ野郎共!」
『オオー!』
全員出て行ったか。さて、俺はゆっくりと休むとするか・・・
それから暫くして、Fクラスの勝利を伝える教師の声が聞こえてきた。