バカと無双と下剋上   作:走り高跳び

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感想を寄せてくださった方の内容に非常に良いものがあったので採用させていただきました。


期末試験7

「…やはり木下と霧島が関与していたか。吉継の言う通りだった訳だ。」

「うむ、あの日の夕食の時、何か味に違和感があったのじゃが気付く事が出来なかったのじゃ。心配かけてすまぬのう。」

「お前が悪いわけじゃ無い、悪いのは翔子達だ。」

音声データを玉に渡して西村教諭の所に行かせ、残りの七人と明智先生で秀吉の居る病院にむかった。

「でも良かったです、木下君が無事で…」

「本当よ、一時はどうなる事かと思ったわ。」

島田と姫路も心から安心している様子である。その隣でも明久とムッツリーニが安堵の表情を浮かべている。

「それで秀吉、いつまで入院なの?」

「明後日には恐らく退院できているはずじゃ。試験もあるし、出来るだけ早く体調を戻さねばのう。」

「ですが、無理は禁物です。西村先生達も今回の事情は汲み取って下さるので、木下君だけ後で追試を特別に、ということもできますよ。」

明智先生がいつもの柔らかな笑みを浮かべて話しかける。この人割と若いが学校の中では発言力があるのだろうか。以前ならこんな処置は取らなかったはず。

「心配には及ばないのじゃ。腹も戻ったし今すぐ起きて動きたい位じゃからな。」

「…無理はするな。」

「分かっておる。」

そのような話が一段落すると、高虎が話題を変えた。

「それで、退院後はどうするんだ?家に帰ったらお前の姉がまた何かしでかすかも知れん。」

「た、確かにそうじゃな。父上も母上もしばらく出張でおらぬし…」

だが、自宅を出ても行き場が無い。俺と高虎の下宿は狭すぎて二人で住むなど出来ない。となると空いているのは一人暮らしの明久位か…いや、今は姉が来ていると言っていたな。

皆が腕組みをして首を捻っていると、明智先生が再び口を開いた。

「…学園長に掛け合って社宅を一部屋開けてもらいましょう。」

社宅…なるほど、考えたな明智先生。

「しかし、部屋の家賃等をワシは払えぬぞ。バイトもしておらぬし…」

「ご安心を。木下君を含めたFクラスの皆さんはAクラスの不正や非行を体を張って防いだりと実績がある。これを盾に迫れば卒業まで社宅を一部屋位は開けて頂けるはずです。」

「で、でもそれでダメだったら木下君は…」

「その時は私の家に招きます。恐らく娘も妻も喜んで迎え入れてくれるでしょうから。」

やはりこの人は良い先生だ。生徒の気持ちも分かってくれるし知恵もある。これに関しては明智先生に一任しても問題無いだろう。

「どうだ、秀吉。明智先生に任せて良いと俺は思うが。」

「…うむ、そうじゃな。明智先生、よろしく頼むぞ。」

「お任せを。それでは早速学校に戻って掛け合って見ます。」

そういい残して足早に部屋を去って行った。

「それじゃあ俺達も帰るか。また明日皆で来る。」

「玉ちゃんも一緒に来ますからね。」

「うむ、それじゃあの。」

さて、家に帰ったら晩飯食べてさっさと寝るか…

 

~三日後~

 

「おはようじゃ。」

『おお、秀吉!』

『俺達の希望が!』

秀吉が入院したと聞いてFFF団も活動を完全に停止していたが、今日からまたいつも通りになるな。

「ところで、社宅はどんな感じでしたか?」

「一人で暮らすには広すぎるくらいじゃが、とても居心地は良いぞ。」

月曜日、学校に戻った明智先生は一時間に及ぶ説得の末、学園長から了承の返事を出すことに成功した。その代償といっては何だが、木下と霧島の行為は家庭内の問題として不問に処されてしまった。

これにはFクラスから不満が噴出したが、被害者の秀吉が気にしないから怒るのを止めて欲しいという発言で収まる。

須川を始めとしたFFF団はAクラス何するものぞといった気概が出てきており、奴ららしくも無く勉強に精が出ている。

起きた事故は不幸なモノだったが、このクラスの団結力は一層強いものとなっただろう。


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