バカと無双と下剋上   作:走り高跳び

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時間余ったので本日二本目となります。


期末試験6

「秀吉の様子は?」

「昨日は腹痛で良く眠れていなかったのでしょう。ですが容態が安定して、今は良く眠っています。」

「そうでしたか…」

俺が秀吉の家に着くと、既に救急車で運び込まれている最中で、目の下に隈が出来てるしげっそりした感じだった。

「それで、腹痛の原因は…」

「恐らくですが、食中毒かと。胃液から洗剤の成分が出てきまして…」

「…」

洗剤、か。恐らく俺がさっき考えた通りの経緯なんだろう、証拠も何も無いが。となると、学校に帰って木下を問い詰めても何一つ事態は好転しないか。後は秀吉が起きるのを待つほか無いな。

「俺は一度学校に帰ります。放課後になったら教師を連れて伺いますので。」

「分かりました。それでは。」

医師に礼をして病院を出る。学校への帰り道、この問題を片付ける事が出来るかも知れない方法が思いついた。戻ったら早速頼んでみよう。

 

~時間経過~

 

「戻ったぞ。」

「お、吉継。どうだったの?」

教室に戻ると明久が駆け寄ってきて秀吉の事を尋ねてきた。

「あまり良くは無い。洗剤の入った飯を食わされていた様だからな。」

「せ、洗剤!?」

明久が驚いた顔をする。料理がある程度出来るコイツにとっては全く予想できない材料だろうし。

「そこでだ、ムッツリーニ。頼みがある。」

「…何だ。」

「Aクラスは今体育で居ないだろう。木下の机の近くにボイスレコーダーを設置してくれないか?」

「…?了解した。」

首を傾げながら天井裏へ消えていく。一旦はこれで良し。次は雄二や高虎に話さないとな。といっても向こうも俺の話を聞いていたらしい、話しかけてきた。

「木下姉にボイスレコーダ…アイツが怪しいと考えて居るのか、吉継。」

「少し違う。疑っているのは木下と霧島だ。」

「翔子?アイツが何か関係が?」

「土曜日に霧島と木下がスーパーに居てな。食料品コーナーじゃなくて日用品コーナーに居たんだ。これが木下一人なら何も疑わなかったが、友人二人で日用品を買いに行くというのは何か不自然だな、と。」

「だが、確固とした証拠が無いな。」

「高虎の言う通りだ。だからムッツリーニに調べてもらおうと思ってな。」

ただ、これで木下が白だったら誰がやったんだ、と言う疑問が残る。その時は秀吉に聞いてみる他無い…いや、言質を取っても秀吉には聞かねばならんか。とりあえず今は授業をしっかりと受けよう。

 

~時間経過~

 

「…取ってきた。」

六時限目の前、ムッツリーニがAクラス教室からボイスレコーダーを回収してきた。さて、これには何が入って居るのか…幸いにも今日は数学の長谷川先生が風邪で休んだことにより自習となっている。

「よし、聞くぞ。」

レコーダーの回りには勉強会のメンバー(秀吉除く)が集まっている。皆が居ることを確認し、雄二が再生ボタンを押した。

『さっき西村先生から連絡があったんだけど。秀吉が病院に搬送されたみたいよ。』

『え?それ、大丈夫なの?』

『…大丈夫じゃない、私と優子が洗剤を食事に混ぜ込んだのがばれるかも知れない。』

『え…?だ、代表、何を言ってるの?』

『あのバカ、何を言ってもアタシの言うことを全く聞かないのよ?少しは懲らしめないとと思ってやったのに。』

『…それに、苦しんでる間は学校に来れないし勉強も出来ない。木下はFクラスの主力だから、損害は大きい。』

『そういったメリットもあったのね…いや、そんなことより言い訳を考えないと!』

『…まずは知らないと、自分の考えを通す。それ以外には何も話さない。』

『そうね…何か変に喋っても不利にしかならないわよね…』

録音された内容は、彼女らの罪を確定させるのに十分なものだった。


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