平日を乗り切り、今日は土曜日だ。試験前だから勉強に費やすことになると思うと少し憂鬱だ。とりあえず学校でやっていない国数英をやらねばな。この三つは文系でも理系でも大事だからしっかりと固めねば。
~時間経過~
「…ふう、こんなものか。」
家でやると割りと捗るな。夕方まで掛かると思っていたが、まだ昼の三時だ。目標の量は達成したから少し外に出てスーパーで買い物でもするか。晩飯になりそうなもの、家に余り無かったしな。
着替えて外に出てスーパーまでの道を歩くと、向こうから見覚えのある人がいた。あれは…
「あ、吉継。」
「お市様でしたか。買い物に行っていたのですね。」
「はい。平日は長政様の仕事を手伝う事が多くて余り買い物に行けませんからね。これから吉継も買い物ですか?」
「はい。夕食の材料を買いに行こうと思いまして。」
その後、お互いの近況を話し合って別れる。
更にしばらく歩いてスーパーに到着した。とりあえず何を買おうか。豚肉が安いはずだったから、トンカツにでもするかな…そんなことを考えながら歩くと、またもや見知った顔を見つけた。だが先程の様に嬉しいわけではない。
「霧島と木下…あの二人が買い物か。」
良く見ると居るのは食品売り場ではなく日用品売り場だ。一見普通に切れたモノを買いに来ただけたが、それなら友人と一緒に行くだろうか。いや、普通に出くわしただけかも知れんな。とりあえず関わるのはよそう、自分の買い物だけしていれば良い。
結局豚肉や野菜を買って帰り、その日の晩飯はトンカツとなった。
~時間経過~
「…秀吉が休み?」
週明けの月曜日、秀吉が腹痛を訴えて休んだ。話によると前日の日曜から既に腹は痛かったらしく、ずっとトイレに籠りっきりだったとの事だ。
「ああ。だが余りの痛さにまともに歩けないらしく、病院にも行っていないらしい。」
雄二が携帯の画面を見ながら深刻そうな面持ちで応える。病院にも行っていない…?それなら救急車を使えばいい話だろう。何故それもしないのか…
「アイツがメールでよこした話では、整腸剤とか下痢止めとかも飲んだが全く効かないらしい。これ、ヤバイんじゃ…」
「…!まさか!」
全く効かないで一つの結論に至ることが出来た。腹痛の原因は恐らく姉の木下だ。飯に何か入れたんだろう。其なら霧島と相談しているという理由があるから一緒に買い物していてもおかしくない。
だがそれを言おうにも何も証拠が無い。とりあえず秀吉を病院に連れていかねば…
「雄二、秀吉の家に救急車を。俺は西村教諭と明智先生に事情を話してアイツの家に行く。」
「え?吉継、急にどうして…」
「早くしろ。病院までは俺が行かねばならん。」
「わ、分かった。」
これで後は事情を教師陣に伝えるだけだ。とりあえず職員室に行って話をせねば。と考えながら廊下を走ると向こうから明智先生が歩いて来た。
「明智先生!」
「大谷君?そんなに急いでどうしたんですか?」
「実は…」
事情を説明する。既に秀吉の欠席の連絡を受けていた明智先生は話を聞くとどんどん顔が険しくなっていく。
「分かりました。西村先生には私から説明しておきます。あなたは急いで木下君の家へ行って下さい。」
「分かりました。」
先生に一礼し、走り出す。秀吉、絶対に無事でいろ。