「…なるほどね。アキのお姉さんがこっちに来てて、期末試験で点数を取らないとずっと居座られるってことね。」
「ああ。明久のテストの点数が上がることはFクラスにとっても有り難い事だ。お前も古典を吉継や高虎に教えてもらえるし、悪い提案では無いぞ?」
「でも、ウチには妹の葉月が居るし、余り夜まで残ったり出来ないわ。」
「わらわも、父上が許可してくれるか分からないのじゃ…」
「むう…それなら後は、この教室で放課後残って下校時間まで勉強会、といったところかのう。」
なかなか皆の予定が合わないな。ここは秀吉の言うとおり、ここで自習といった形が良いか。
「仕方ない、誰かの家で勉強出来ると思ったんだが…それが実現すれば、俺も家でおふくろの飯を食わなく良かったんだが…」
ああ、何か前に言っていたな。 雄二の母親はメシマズだって。飯がまずいじゃなくてメシマズだって強調してたな。
「そういえば姫路の予定はどうなってる?」
「私は特に何もありませんよ。ただ、休日は出来るだけ家族と居たいので、土日は何も無かったら嬉しいです。」
「で、ここで放課後に勉強する、で構わないんだな?」
「はい。」
これで予定が合ったのが確認できたのは姫路、雄二、高虎と俺か(俺達は何処でも構わないから初めから数に含んでいる)。
「ムッツリーニに秀吉、島田、玉はどうだ?学校内なら何とかなりそうか。」
「…問題ない。」
「恐らく大丈夫じゃ。姉上もワシと離れたいじゃろうし。」
「大丈夫だと思うわ。後で両親に聞いてみるわね。」
「それなら父上も許してくれそうじゃ!後できちんと聞いてみるがのう。」
「良し、決まりだな。明日から早速始めるぞ。明久は今日からゲーム禁止な。」
「ええっ、そんな!」
明久が目指す点数は総合科目で1200点。日本史はすでに160を超しているし、不可能ではないな。アイツの場合はどれを上げるのが効率的か…
~時間経過~
放課後、帰宅準備に取り掛かっていると高虎が俺と雄二に声を掛けてきた。
「二人とも、少し良いか?」
「ん?別に構わんが…吉継は?」
「俺も別に急ぎの用事は無い。どうしたんだ?」
この三人で話すことは多いから特に何か重要な話かどうかも分からん。だが高虎の顔が少し複雑な表情なのが気になる。
「昼休みにBクラスの前を通ったときに気になる話が聞こえて来てな、何でもAクラスの成績が少し変わったらしい。」
「変わった?どういう事だ。」
「変わったと言うより、成績の二極化が起こったらしい。平均点には表れないから気づきにくいが。」
点数の二極化、か…久保や工藤はどちらだろうか。いや、それよりそうなった理由を確かめよう。
答えは簡単、『設備の低下によるモチベーションの変化』だな。
霧島や木下のような負けず嫌いなタイプは成績が上がる。設備が落ちたことでやる気を失った奴らは成績が下がる。
他のクラスの事だし平均点が結局変わらないのは何だかんだ有り難い。だが観察処分者になった二人の点数が上がるのは宜しくないな。これから何か対策を講じる必要があるか…
「気になる情報だが、一学期は恐らく戦争が無い。夏休みの間に考えれば何とかなるはずだ。とりあえず俺達は目の前に迫ってる期末試験があるしな。」
「だな。今は気にしなくて良いか。」
「それじゃあ高虎、雄二、帰るぞ。明久達が昇降口で待っている。」
「おう。」
明日から勉強会か…ここで出来るだけ点数を取っておかないと後々厳しいだろうな…二学期になったら恐らく戦争の繰り返しになる。他のクラスの連中も操作が上手くなるし、油断は出来ん。