出来るだけ早めに出したいと思っています。
「俺達が試召戦争でAクラスに勝ったことは知ってると思う。それで俺達は設備の入れ替えを実行したんだが…それでAクラスの連中の恨みを買ってしまってな。」
雄二が簡潔に説明する。先の一言だけで霧島と木下が俺達を嵌めようとした理由が分かったのだろう。
「例えば、この前あった清涼祭でもあいつらは俺達の店の前まで来て営業妨害をして…」
ここまで言い、雄二が西村教諭の方を見る。
(おい、不良を雇って姫路達を人質に取ろうとしてた事は言わなくても良いな?)
(むしろ言うな。俺達教師陣とお前達しか知らんことだ。外にバレたらほとんど処分の無かったことが問題視される。)
「…他にも色々あった。だから何かやって来るのではないかとは予測していたんだが、流石に覗き魔の汚名を着せてくるとは思わなくてな…結局学年全体を巻き込むことになってしまった。済まない。」
雄二が頭を下げる。ここまで頭の低い雄二はなかなか見れないな。
「…事情は大体分かったわ。明智先生と西村先生もFクラスが悪くないと言ってるし、Eクラスは明日はあんた達の味方になる。」
「なら俺達もFクラス側に付く。」
中林と平賀がこちら側に付くことを宣言してくれた。
後は根本と小山だが…
「…友香、俺はFクラスに付こうと思う。お前も俺も代表としてここで選択を間違える訳にはいかん。」
「…坂本君、藤堂君、大谷君。」
「ん?」
何だ?妙に弱々しい声だな…
「この前、何も分からずにあなた達の部屋に押し入って、確証の無い事でレッテル貼りをしてしまってごめんなさい。」
小山が頭を下げる。俺もだが、雄二も高虎も驚いているな。
「…気にするな。俺も高虎も吉継も、騙されてたお前達を責める気は無い。それよりも、もっと大事な答えを欲しい。お前達は明日、どっちに付く?」
「…Cクラスは、明日の戦争は、Fクラス側に付いて戦う。約束するわ。」
これで、全てのクラスが此方に付いたか…このまま相手をすれば、恐らく勝てる。
「…分かった。それにしても、根本まで俺達を支持してくれるとは思わなかったぞ。俺達に敗れた恨みからAクラス側に付くんじゃないかと内心ヒヤヒヤしてたしな。」
「なに、むしろお前達には教室の交換を無しにして貰った借りがあったからな。Aクラスに大義名分が無くなった今なら、こんな形で借りを返せる。」
今の今までAクラスを支持していた癖に…と思ったが事情を考えれば仕方ないか。それにしても、根本も平賀も雰囲気が変わったな。俺達に負けて代表としての自覚というか、責任の重さを痛感したというか…とにかく、威厳みたいな物があるな。
「良し、お前達から色好い返事を貰って何よりだ。この後時間があれば自分のクラスメイトに俺達の事情を伝えておいて欲しい。それと中林。」
「へ?私?」
「恐らくお前の所に翔子が来て、味方になって欲しいと言ってくるだろう。その時、一応頷いてくれ。拒否したら色々面倒だろうからな。」
「分かったわ。そう霧島さんに言って明日はあんた達に味方すれば良いのね?」
「そうだ。それじゃあ解散だ!」
雄二が話を終わらせ、他の奴らも自分達の部屋に戻っていく。
「俺らも帰るぞ。明日に備えてさっさと寝たい。」
「そうだな。…吉継、どうした?ボーッとしていたが。」
「いや、何でもない。」
ここでAクラスをに一撃与えれば、暫くは何もして来ないだろう。少なくとも、一学期の間は。
だが、二学期になれば直ぐにでも俺達に挑んで来るだろうし、それは良いにしても何かしらの嫌がらせもしてくるだろう。
一体何時までこんな無益な争いをすれば良いのだろうか…最近、そう思ってしまう。
…いや、それとこれとは別だな。今は明日の事を考えねば。
そうして俺達は部屋に戻って、風呂に入って夜の十時には床に付いた。
~時間経過~
「明智先生、九時半になった。チーム分けの結果を見せてくれ。」
「はい。これです。」
明智先生が雄二に一枚の紙を渡す。それをみて雄二はニヤッと笑い、俺と高虎の顔を見る。
「…全クラス、俺達の味方だ。」
まあ、予想通りだな。Aクラスが動揺しているのが目に見えるようだ。
さて、根本達を呼んで作戦会議の準備でもするか。