次回には終わらせます。
「お、終わった…」
「死ぬかと思った…」
結果だけ言うと、雄二と明久が溜め込んでいた課題の山は、怒濤の勢いでペンを動かして終わらせることに成功した。
「さあ、晩飯の後には学年集会がある。晩飯はしっかりと食え。」
「分かってるぜ、そんな事…」
フラフラになっている二人を高虎が支えて食堂に向かう。飯の後は学年集会、風呂、そして就寝か…
~時間経過~
「突然皆を呼び出してしまい、申し訳ありません。」
学年全員が集まり、司会の明智先生が頭を下げる。
「本日、Aクラスの女子生徒からの申し出がありました。『盗撮をしたFクラスの生徒に制裁をしたい。』と。そこで我々教師陣は、試験召喚戦争で制裁を行うのはどうだと提案し、それで良いと返答を頂きました。」
ここで部屋がざわつく。
「お静かに。では簡単にルール説明をします。今回の試召戦争は、学年全員参加です。そして、『Aクラスチーム』と、『Fクラスチーム』に、クラス毎に別れてもらいます。」
またしても部屋がざわつき、CクラスやDクラスからは文句の声も出る。
「そして、明日の朝の九時までに、Bクラス、Cクラス、Dクラス、Eクラスの代表はどちらに付くかを紙に書いて提出して貰います。開戦の時間である午前十時の三十分前の九時半には発表します。」
俺は最前列に座っていて、他のクラスの代表達の表情も見ることができる。
例えば根本。こいつはCクラス代表の小山とアイコンタクトをとって、どちらに付くかを話し合って(?)いる。
Dクラスの平賀は…少し悩んでいるな。点数の高いAクラスに付くか、そのAクラスの他、Bクラスや自らの率いるDクラスを破っているFクラスに付くか。
Eクラスの中林は…余り評判を聞いたことは無いが、良くも悪くも脳筋っぽい。俺や高虎が接触しなければ間違いなくAクラスに付くな。
「学年全体に伝えなければいけない事はこれだけです。最後に…B~Eクラスの体表のみ、ここに残って下さい。今回の戦争に関して話があります。それでは、学年集会を終わります。」
ぞろぞろと皆が集会用の宴会場を後にするのに続き、この後の話し合いに参加する俺や高虎、雄二も一旦退出する。その広い部屋に、明智先生、西村教諭の二人に根本、小山、平賀、中林の四人の合計六人が残った。
「これで全員出ていきましたね…では、少し話を始めます。」
「まず、お前達の意見を聞きたい。」
「意見?何のですか?」
根本が西村教諭に尋ねる。
「今回の戦争、Aクラスに付くのか、Fクラスに付くのかだ。初めに聞いておかねばな。」
この言葉を聞いて中林が真っ先に口を開く。
「Aクラス1択よ!盗撮犯の味方なんて、するわけが無いわ!」
「…これから俺が代表としてやっていくには、大義名分のあるAクラスに付くしか無いです。」
中林に続いて平賀もAクラスへ付こうと思っていると主張した。
「俺は友香と話し合って共同で決めようと思っています。友香、どうする?」
「私は…」
小山が言葉に詰まる。恐らく昨日の姫路との話し合いで色々と思うことがあるのだろうな。
「…皆さんの事情は分かりました。では、私から話したいことがあるので聞いて下さい。」
明智先生が今まで見たことの無い真剣な顔付きになる。
「Fクラスの坂本君達は、盗撮を行っていません。」
「「「「!!」」」」
四人の表情が驚愕に染まる。
「そ、それじゃあ真犯人は誰なんだ!?」
「お前のクラスの清水美春だ。実行犯はな。」
西村教諭が無駄に意味深な言葉遣いをする。
「…姫路さん、あなたの信じていたことはただしかったのね。」
「実行犯は、って…誰かの指示だったんですか?」
平賀が眉間にシワを寄せて尋ねる。
「Aクラスの霧島と木下だ。もっと言うと、学年全体の試召戦争をしたいと言っていたのもその二人だ。」
霧島と木下の名前が出るとは思わなかったのか、更に驚いた表情になる。
「ど、どうして二人はそんな事を…」
「そう思うのは当然ですね…三人とも、出てきてください。」
明智先生の呼び出しに応じて、俺、高虎、雄二が部屋に入る。
「それじゃ、簡単に説明するか。まず…」
雄二の説明が始まった。