バカと無双と下剋上   作:走り高跳び

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二日目が終わりました。三日目か四日目に召喚獣を出そうと思っています。


強化合宿10

 「…アンタ、アタシ達が何の用で来たかくらい分かるんじゃないの?」

「…今日こそ罪を認めてもらう。」

来たのは霧島と木下か…久保と工藤は居ない様だ。工藤はこの二人に少なからず疑問を抱いている様だったし、恐らくこの二人が俺達を襲撃することを久保や他の女子達に知らせなかったのだろう。

「何の事かさっぱり分からん。お引き取り願おう。」

そう言ってドアを閉めようとすると、外側から木下がこちらを睨みながらドアを掴んだ。

「往生際が悪いわね!今ならアタシ達に謝れば許されるかもしれないのに、其すらも嫌なの!?」

「謂れの無い罪を着せられて其の謝罪をしろだなんて阿保らしい。」

「…私達のクラスも、他のクラスも、皆大谷達を疑ってる。謝罪して損はない。」

「得も無い。そのせいで盗撮犯のレッテルを貼られたら洒落にならない。」

 ダメだ、会話は成り立つが帰ってくれる様子が全く無い。高虎も雄二も明久も暫く帰ってこないだろう。

「…埒が空かないな。西村教諭に判断して貰うしか…」

「させないわ!」

木下が俺が携帯を取り出した瞬間、それを奪おうとした。もちろんされるがままではなく、ひょいと避けて通話ボタンを押す。

「もしもし、西村教諭でしょうか…はい、霧島と木下が…分かりました、それでは。」 

通話ボタンを切り、二人に向き直る。

「な、何よ…」

「悪く思うなよ、西村教諭がお前達を迎えに来るから其までここに引き留めておかねばならない。」

霧島の左腕と木下の右腕を掴み、近くにあった結束バンドで縛り付ける。

「あと一分位経ったら来るはずだ、大人しくしてろ。」

まあ、暴れたら暴れたでそれ相応の罰が待っているのは分かっているはずだから無いと思うがな。

 「大谷、遅れて済まないな。」

「ああ、夜にありがとうございます。二人は一応ここに居ますので、連れていって下さい。」

「了解だ。…全く、学年主席と優等生何だからしっかりしろ!反省するまで夜間通しで補習だ!」

西村教諭はそう言うと二人を担ぎ上げ、走って去って行った。トライアスロンが趣味と言っていたか。其だけであんな速く走ることが出来るのだろうか…色々と謎だ。

 「吉継?さっき鉄人が木下姉と翔子を担いで走っていたが、何かあったのか?」

ぼんやりと突っ立っていると、風呂から雄二と明久が帰ってきた。

「ああ。また俺に難癖をつけて冤罪を着せようとしてきた。」

「…翔子、お前はどうしてこんなことを…いや、理由は分かってるんだ。俺達が何とかしないとな。」

「そうだね。また雄二と霧島さんが何のしこりもなく仲良く出来るようにしないと!」

「明久…そんな表現、使うことが出来るようになったのか。」

「ちょっ、ひどいよ吉継!」

木下は秀吉の肉親、霧島は雄二の幼なじみ。二人にとって大切な人間だろう。俺が出来ることはあいつらがまた前の様に仲良くできる状態に戻すこと…ではなく、あいつらの嫌がらせから皆を守ること、かも知れん。その経過でまた元通りになったら一番良い。それが無理なら…その時はその時か。まだ考える必要は無い。

「…雄二。」

「ん、どうした?」

「友達関係は壊さないのが一番だ。だが、何れ壊れる関係を必死に繋ぎ止める必要は無い。」

「はは、分かってるぜそれ位。だが、それでも翔子は大切な幼なじみだ。出来る限り手は尽くしたいんだ。」

「その気持ちも尤もだ。俺に出来ることが有れば言ってくれ。高虎もきっとそれを望んでいるはずだ。」

「ああ、ありがとな。明久、吉継、戻ろうぜ。」

「うん。」

 そう言って部屋へと戻る雄二の背中は、少し寂しそうだった。

これで二日目も終わりか…あと三日で問題を解決しなければ。


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