夏休み中は出来るだけ頑張りたいです。
教室に戻り、姫路達に事の次第を伝えた。成績も良く、Aクラスに親しい者も多かったであろう姫路は、ショックを隠すことが出来ていなかった。
「そんな…霧島さん、木下さん、どうして…」
「み、瑞希、落ち着いて!」
姫路の様子を見た島田が姫路を励ます。友が自分や自分の友人達に危害を加えている…友情と友情の板挟みになっているんだろうな、恐らく。
「姉上…そんなことをしても意味がないと、何故わからぬのじゃ…!」
秀吉は姉の行動に怒りが湧いてきているようだ。無理もない。
「まあ、このまま問い詰めても霧島も木下も白を切り続けるだろう。明日、明後日とあいつらを見張って証拠を掴む。俺や吉継、教師陣とかが中心に動く。」
高虎がこれからの方針を説明する。おっと、ムッツリーニに聞いておかないといけないものがあったな。
「工藤の事だが…」
「…既に雄二から聞いたし連絡もした。昼飯前に、一階のロビーで会おう、とのことだ。」
「済まん、恩に着る。」
仕事が早い。これで保健体育以外の成績も良かったら言うことが無い奴なんだがな…
「話は其だけだ。昼飯の時間まで大人しくしておくぞ。」
「高虎、そういえば雄二と明久はどうした?」
「鉄人や明智先生と一緒にまだ清水から事情聴取をやってるはずだ。午前中はここに帰ってこないんじゃないか?」
「そうか。で、俺達はどうする?勉強はできるだけしたくないが…」
「トランプでもしよう。二人で出来るものとなると…」
「スピード、だな。」
そして俺と高虎は昼飯の時間まで延々とトランプで遊んでいたのだった。
~時間経過~
「…吉継。」
「ムッツリーニ、分かってる。今から向かう。」
昼飯の前に少し用事がある。Aクラスの工藤に話をつけるのである。
「あ、大谷君。」
Aクラスの部屋から工藤がこちらにやって来る。
「ああ、呼び出して済まないな。少し手伝って欲しいことがあるんだ。」
「手伝って欲しいこと?何?」
「…Aクラスの様子や、霧島や木下、久保の言ってることややろうとしていること、逐一教えて欲しい。」
俺がそういうと、一瞬にして工藤の顔が青ざめる。
「…気付いてたんだね。優子達をバックにキミ達を嵌めようとした事。」
「推理をしたわけでは無い。清水に聞いて、その場の流れで霧島や木下の名前が出てきた。久保は出てこなかったが…」
久保は恐らく話し合いに参加していただけなのだろう。直接俺達に危害を加えているわけでも無い。
「…拒否したら、どうするの?」
「霧島と木下にお前がFクラスと仲良くしてお前達を貶めていた、と話す。」
「…!」
余り脅しは好まないが、俺達のためだ。誰も責める事は有るまい。
「…分かった。優子や代表にばれないように気を付けておくよ。」
「分かった、感謝する。それと、一つだけ忠告しておくぞ。」
もう背中を向けていた工藤を呼び止める。
「友の言うことが全てではない。一度、関係を見直す為にも霧島達と距離を置いたらどうだ?」
「…余計なお世話だよ。」
そう言ってAクラスの方に戻って行ってしまう。
仕方ないか。霧島や木下は工藤にとって大切な友人なのだろう。俺のような奴に距離を置けと言われて、はいそうですかとはならないだろう。
「…俺も昼飯食いに向かうとするか。」