バカと無双と下剋上   作:走り高跳び

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強化合宿一日目、まだまだ続きます!


強化合宿4

 「カメラだと?」

「そうよ!」

小山がポケットからカメラを取りだし、握り潰した。何故握り潰したのかは聞かないでおこう。

「…雄二はどこ?」

目からハイライトが消えた霧島が高虎に詰め寄る。

「アイツは鉄人の所だ。少し用事があってな。」

「…用事?」

(吉継、脅迫状の事、話して良いか?)

(ああ。)

「明久の下に脅迫状が届いてな。弱味を握っているみたいな内容だった。」

「…」

 霧島の表情は変わらなかったが、木下が少し眉をひそめた。…何か知っているのか?ここで問い詰めるのも良いが、暫く様子を見た方が良いか。

その前に、話を戻すか。

「で、何故俺達をカメラを仕掛けた犯人だと考えたのだ?」

「こんなことをするのはアンタ達しか居ないじゃない。」

木下が俺を睨んで、低い声で言う。失礼な奴だな、明久や雄二はともかく俺や高虎はそんなことしないぞ。

それに、しそうな二人は西村教諭の所に行っている。

秀吉とムッツリーニは…分からん。

「証拠が余りにも乏しいな。俺達がやったと言う確たる証拠は無いのか?それに、雄二達は解散後すぐに鉄人の所に向かった。何時カメラを仕掛ける時間があるんだ?」

「黙りなさい!みんな、この二人を捕まえるわよ!」

木下、頼むから聞く耳を持ってくれ…

「ちっ、吉継!雄二達が来るまで耐えるぞ!」

高虎が部屋の端に向かう。俺は高虎と反対の壁に背中を付ける。

「覚悟しなさい!」

縄を持った女子が三方向から襲いかかってきた。まず逃げ切ることは出来ない。なので…しゃがんだ。

「うわっ!?」

正面から突っ込んできた女子は壁に頭をぶつけ、左右から挟み込もうとした二人は正面衝突して気を失った。

高虎は上手く縄を避け、逆に女子を縛りあげている。因みに小山も縛られて部屋の隅に転がっている。

これ、雄二達に見られたらどう言い訳しようか…

と、少しぼんやりしていると、右側から殺気が感じ取れた。

「…覚悟。」

霧島がスタンガンを持って突っ込んできたのだ。

「なっ…!?」

どうにか避ける事ができたが、危なかった。少しでも触れたら気を失ってただろう。と言うか、殺る気満々じゃないか。

「…霧島、あんた、雄二に嫌われるぞ。」

凶器を持ち出したのを見て、高虎が呆れた声で霧島に話し掛ける。

「…雄二なら、分かってくれる。問題ない。」 

 何故、友人を襲った人間を信じると言った思考になるのだろうか。

清涼祭の一件で好感度はかなりダウンしている。これを雄二が見たら、どう思うのか。

「それに、アンタ達が悪いんじゃない。何があっても自業自得よ。」 

横から木下が付け加える。

「…高虎、西村教諭を呼んでくれ。話にならない。」

「俺もそれを考えてた。雄二を迎えに行くついでに行ってくる。」

 そう一言いって高虎は部屋を出ていった。

「ま、待ちなさい!何も先生を呼ぶこと無いじゃない!」

木下が部屋を出て行こうとした。

「どこに行くつもりだ?西村教諭に平等に話を聞いて貰おうと考えているのだぞ。」

「くっ…!」

 上目遣いで俺を睨み付けてくる。流石にここでボロは出さないか…

数分後、西村教諭に雄二、明久を連れてきた高虎が戻ってきた。

西村教諭は俺達と霧島、木下から話を聞いた後、俺達に非はないと判断したらしく、女子達を抱えて補習室に連行して行った。

晩飯前からこれか…今日は、もう何も無いと良いのだが。


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