今回は霧島さんと木下さんとの戦いが終わり、その後の話し合いになります。
召喚獣の采が白く光り、その光が無数の蜻蛉となって霧島の召喚獣に襲いかかる。
「…!」
必死にかわそうと動き回るが、何発か当たってしまい、点数が大きく減った。
『 Fクラス 大谷吉継
日本史 394点 』
VS
『 Aクラス 霧島翔子
日本史 221点 』
俺も腕輪発動により、少し点数が減る。まあ、40点だけならどうと言うことは無い。
さて、高虎の方は…
「ふむ、流石にすぐは倒せんか。」
「当たり前よ!倒れるのはアンタよ!」
リーチは木下が有利だが、高虎が良く攻撃的を避け、なかなか双方点数が減っていない。
「頃合いか。腕輪発動!」
しばらく剣を交わしていた高虎が腕輪を発動する。木下はランスを斜めに構え、防御姿勢を取る。
「消えて無くなれ!」
空に飛んだ高虎の召喚獣が叫び、レイピアを下に向かって突く。突く度に氷が木下に向かって飛んでいき、みるみる内に点数が減る。
『 Fクラス 藤堂高虎
日本史 372点 』
VS
『 Aクラス 木下優子
日本史 199点 』
木下の召喚獣が攻撃に耐えきれずに吹き飛ぶ。その際に武器を手放してしまっていた。
「高虎!霧島に突っ込め!」
腕輪を使っていた時、丁度霧島との斬り合いが一段落ついていた時だった。ここで俺が助走をつけて木下を討てば一気に有利になる。
どうやら高虎は俺の意図を察してくれたらしい。
「了解だ!」
「…させない!」
同じく、俺の意図を読んだ霧島が木下の方向へ向かう。これは間に合わないか。
「作戦変更だ!武器を取り上げる!」
高虎の召喚獣が木下のランスを持ち上げ、フィールド外へぶん投げた。
「ああっ!?」
「…優子、落ち着いて。」
木下はこれで攻撃の術を失った。残る敵は霧島だな。
「霧島を先に討つ。吉継、行くぞ!」
「応!」
高虎が正面から霧島に突っ込み、俺は迂回して背後に回る。
「させない!」
木下が体当たりで俺の体勢を崩し、時間を稼ごうとする。だが…
「無駄だ。」
首筋を仕込刀で切り裂く。召喚獣の首が胴体から離れ、点数が0点となった。
「良し、急いで霧島の方に向かわないとな。」
体勢を整えて背後から斬りかかる。
「…予想済み。」
即座に防がれる。流石に成功はしないか。
「それならこれはどうだ!」
更に背後から高虎がレイピアで斬りかかる。防ぐ事ができず、鎧が切り裂かれる。
『 Fクラス 藤堂高虎
日本史 325点
Fクラス 大谷吉継
日本史 333点 』
VS
『 Aクラス 霧島翔子
日本史 63点 』
これで決まった、俺達の勝ちは。
「これで本当に終わりだ。」
背中を斬られて倒れ込んだ霧島の召喚獣の胸部を刺す。勿論点数は無くなった。
「そこまで!藤堂、大谷ペアの勝利です!」
短いようで、妙に長い戦いだったな…
「そ、そんな…アタシ達が…」
「…まさか…」
相手の二人がその場に座り込んでぶつぶつ何かを言っている。「良し、帰るぞ。」
「ああ。」
俺達はその場から早足で立ち去った。
「そう言えば、明久と雄二はどうだったんだ?」
「ああ、どうだろうな。教室に居た時に聞けば良かったな。」
これでベスト8に入ることが出来た。二日目は決勝のみらしいので、今日はあと二試合だな。
教室に帰ってみると、客はいるものの、昼時よりは遥かに少なかった。
「あ、吉継に高虎。どうだったの?」
「ああ、勝つことが出来た。明久達はどうなんだ?」
「何とかここまで勝ってるよ。でも疲れたし、次は姫路さんと美波のペアとの戦いだよ。」
高虎は明久と召喚大会の話をしている。その程度の話をする暇が出来る位は空いている。
「おお吉継。翔子と木下姉に勝ったらしいな。」
「雄二か。」
雄二も接客を一時中断してこっちに来る。と、そこで思い出した。
「少し話をしたいんだが...」
「?今は少し忙しいし、一般客が帰ってからで良いか?」
「ああ、構わん。」
そうか、じゃあ俺は仕事がある、と言ってレジに向かった。
~時間経過~
四回戦と準決勝は、特に言うことが無い戦いだった。明久と雄二も四回戦で姫路、島田ペアを、準決勝て三年生を破って決勝に進む。
つまり明日の決勝は、俺、高虎ペアと明久、雄二ペアが戦う事になる。
それは置いておいて...
「で、話とは何だ?」
一般客やクラスメイトが帰宅した後、俺は話があると言って、高虎、明久、雄二、ムッツリーニ、秀吉、姫路、島田、玉を集めた。
「今日、途中でAクラスの奴らが何人かが外で騒いでいたのは覚えているな?」
「もちろんよ!あー、思い出すだけで腹が立つ!」
「ホントだよ!あれでお客さんが来なくなったらどうするのさ!」
奴等を抑えていた明久と島田はう思い出して怒っている。
「あれは、霧島と木下の指示でやっていたらしい。」
「「なっ!?」」
雄二と秀吉が驚く。二人の身内や幼馴染が手を回していたのだから、無理もない。
「今日はあの一件だけで済んだ。明日がどうなるか分からないから、皆に言っておきたかったんだ。」
「…分かった。おい、ムッツリーニ。」
「…何だ?」
「隙を見て、今日の帰りにでもAクラスの様子を伺えるよう、カメラか録音機を仕掛けてくれないか?」
「…任せろ。」
これで多少、対策をたてることはできるか。
「それならわらわも、父上に話してAクラスに注意するようにお願いするのじゃ!」
玉も相当怒っているな。拳が硬く握られている。
「…翔子、何でそんな…」
「姉上…」
あのような手を使うようになったAクラスもかわいそうだが、自分の大切な人間がこうなってしまった二人だな。怒る前にショックを受けている。
あと、姫路にも言っておかねばな。
「…それと姫路。」
「?何ですか?」
「前に言ってた『仲良しの友達』とは、横田奈々の事だろう?」
「はい。」
「今日、島田の事をバカにしていたぞ。」
「…!そんな…」
これは言わねばならない。Aクラスと争う上で、躊躇う奴がいてはならないからな。
「残念だが事実だ。」
「…」
姫路は俯いたまま、教室を出た。
「高虎、俺達も帰ろう。」
「ああ。雄二、康太、玉、頼んだぞ。」
「「「応!」」」
Aクラスがこのようになってしまうのは俺達にとっても学校にとっても良くない。
何か手を打てないものか…