今回は少しキャラの立ち位置が変化します。
確かにAクラスの生徒が五人ほど集まってるな。
おや、その中に工藤や久保もいる。
「かなり揉めてるな。高虎、どうする?」
「とりあえず、相手の話を聞こう。それからだ。」
もっと近づいて、話を聞いてみる。
「吉井君、おかしいと思わないの?君達みたいな人がこの設備を使うなんて。」
「さっきから久保くんは何が言いたいの!?」
「そんなことも分からんなんて、やはり吉井はバカだな!」
「なっ!」
「ちょっと!何でアキの事をバカにするのよ!この店と全く関係ないじゃない!」
「お前は黙れ!」
「日本語も自由に話せないバカは黙ってなさいよ!」
なんだ、ただのキチガイクレーマーか。ほっといた方が良いな。
「秀吉、雄二はどこに行ったんだ?」
「鉄人を呼んできておる。」
じゃあ、もう少ししたら強制的に退散する事になる。それまで少し言い合ってみるか。
「高虎は明久と島田を連れて厨房に入れ。この場は俺が抑える。」
「承知だ、頼んだぞ。」良し、明久達も無事に戻ったな。
「少し良いか?」
「あ?お前は・・・大谷か。」
「さっきの話を聞いてる限り、お前たちのただのいちゃもんの様だったが。」
「大谷君、僕たちはいちゃもんをつけに来たんじゃ無い。君達に受けた被害を伝えに来たんだ。」
被害・・・設備を落とされた事によって変わった事とかか?
「あのボロい教室に移った後、体調を壊した人が十人、そして、テストの点数が下がった人が多数・・・」
「それは被害じゃない。俺達に負けた結果だろう。教室位なら教師や高橋先生に頼めば多少は改善の余地はあるはずだ。」「・・・そして、今回の僕たちの清涼祭の予算は分かるかな?」
「 全く無いとかか?」
雄二から既にその話は聞いているのだが、それをいったら何かややこしくなる気がするので敢えて久保に聞く形にする。
「そう。そのせいで初めに企画していたメイド喫茶をする事ができなくなったんだ。」メイド喫茶・・・霧島や木下達がやりたがるのだろうか?いや、そんな事はどうでもいい。
結局、Aクラスの逆恨みに過ぎなかったか。成績が優秀でも心が荒れるとこうなるのか。
「何をしている貴様ら。」
そこで鉄人が登場。Aクラスの面々が顔を青くさせる。
「あ、いや、その・・・」
「我らに設備を交換されたことを恨みに思ってわざわざ客の前で騒いだ様です。」
嘘は言って言っていない…はず。
「全く…Fクラスに勝つ機会はまだあるだろう。とにかく全員補習だ!」
「少しお待ちください。」
西村教諭を引き止め、工藤に話しかける。
「少し聞きたい事がある。」
「な、何?」
「今回の件あいつらの独断でやったことか?」
「…ボクもAクラスの雰囲気が嫌だから話すね。これは、代表と優子が提案したんだ。」
やはり。久保はともかく、他の三人は特段ここに恨みは無い。いや、設備を交換された恨みはあるだろうな。
だが、営業妨害は関心しない。西村教諭に言っておこう。
久保や他の人に聞こえない様に西村教諭に耳打ちする。
「西村教諭。今回の件、Aクラスの霧島と木下の指示、とのことです。」
「何だと?」
「あ、後工藤は何もしてません。連れて行かなくても良いです。」
「分かった。霧島と木下には、清涼祭が終わったら話を聞く。それではな。」
西村教諭は四人の男子生徒を担いで消えて行った。
「工藤、戻って良いぞ。」
「あ・・・大谷君、ありがとう。それじゃあ・・・」
比較的活発な部類に入るであろう工藤が弱々しく・・・霧島や木下とは仲が良かったのに、この違いは何だろうか。
「まあ、それは後で考えるか。」
店はまだ午前10時になっていないのに満席。俺も入らないといけないな。
「高虎、雄二、戻ったぞ。」
「おお、やっとか。話は後で聞く。今は高虎とかムッツリーニを手伝ってやってくれ。」
「了解だ。」
早速注文が入った。他にも二つほど溜まっているから急がないとな。
・・・あと一時間もしたら二回戦だ。それにその後俺達と同じく一回戦を突破した明久達も抜ける。店はうまく回るのだろうか・・・