清涼祭準備1
FクラスがAクラスを降し、A教室を手に入れた俺達。その直後にEクラスが宣戦布告してきたが、姫路や明久等の活躍で完勝。設備の防衛に成功した。
そして時が流れ、他の学校で言う学園祭にあたる、清涼祭が近くなった。
「高虎、今日の午後から一週間は準備期間だが…」 「分かっている。そろそろ何をするか決めねばならんな。」
Fクラスは何をするかすら考えていない状況だ。それなのに雄二を始めとした男共はグラウンドで野球をしている有り様だ。
「今、教室に居るのは俺に高虎、姫路、島田、玉の五人か…」
あ、西村教諭がグラウンドに現れた。皆逃げてるな…
しばらくしたら戻ってくるのだろう。
それまで紅茶でも飲んで待つとするか。
~時間経過~
「それじゃあ、改めて何をするか決めるぞ。したいものがある奴は挙手だ。」
雄二がそう言うと、数人が手を上げた。なんだかんだ言ってやる気はあるのだな。
「それじゃあ、横溝。」
「ウエディング喫茶なんてどうだ?」
ウエディング喫茶?メイド喫茶とかなら想像できるが、ウエディングって何をするんだ?
「概要を教えてくれ。」
「店員がウエディングドレスやスーツ姿で接客するんだ。」
「却下。それらを買う費用が足りん。俺達Fクラスに割り当てられた費用は100万円。ウエディングドレスはお前達が思っているよりずっと高い。食材を買う費用が無くなるだろ。」
前に真剣にやる気は無いって雄二は言ってたが、それなりにしっかりとやってるな。
「…次に、須川。」
「中華喫茶なんてどうだ?」
「大体内容は分かるが…どんなものを想像している?」
「簡単な飲茶と烏龍茶を出す店を考えてるぞ。」
うん、まともな考えだな。こういう行事は飲食店が多いし、何か特徴がないと客は寄って来ない。
「うーん…この教室の質だったら、飲茶だけじゃなくてラーメンとか麻婆豆腐とかの料理もできると思うぞ。」
「そ、そうか?ならそれでも良いか…」
このまま中華料理店で決まる感じか。俺は余り料理は得意としないし、接客に徹する感じだな。
「少し良いか?」
高虎がおもむろに手を上げる。
「ん?どうした?」
「そこまで中華にこだわらなくても、ファミレスみたいに何でも出せる店なら良いんじゃないか?予算が100万円あるのならかなりやる幅が広がる。他のクラスがやったりする喫茶より客は入るだろう。」
『確かにな…そっちの方が客も嬉しいか。』
『須川の中華も取り入れられるしな!』
「須川、何か反論は?」
「いや、無い。藤堂の意見に賛同する。」
和洋中全て揃えたら色々な層を取り込める。ただ、誰が調理をするかだが…
「俺からも言わせてもらう。高虎、調理係はどうする?和洋中全て揃えるのだぞ。」
「和食は俺に任せてくれ。中華は須川、できるか?」
「ああ、任せろ。」
「…(スッ)」
ムッツリーニが手を上げる。あいつ、料理できるのか?
「ムッツリーニ、料理なんてできるの?」
「…明久、なめるな。」
できるんだな。しかも自信がありそうだ。
「で、問題は洋食だな。俺は和食、須川と康太は中華だし…」
「あ、あの…私ならできるかと…」
姫路か。何でもできそうだし、適任かもな。
「いや、姫路は数少ない女子だ。接客に回ってくれ。島田や玉も頼む。」
「分かったわ。」
「了解なのじゃ!」
あの二人は料理は得意じゃ無さそうだしな。まあ、女子には我慢してもらうしかない。
「それに、姫路は綺麗だから男性客が増える。頼むぞ。」
「き、綺麗だなんて…でしたら、私も接客ですね。」
姫路も納得してくれたか。
「じゃあ、僕がやるよ。レシピは調べれば良いし、一人暮らしだからいつも自炊してるし。」
明久、一人暮らしなのか。それを言うなら俺や高虎も一人暮らしだからある程度はできる。
「それなら決定だな。あと、吉継。」
「?何だ?」
「お前も俺と同じ下宿だろう。ある程度自炊はできるだろうし、厨房に立て。」
俺もか…だが、この状況で拒否はできない流れか。
「…分かった。たが、自信は無いからお前達のサポートで良いか?」
「ああ、済まないな。で、今言った人数だけで回すことができない。あと10人位、料理ができる奴が欲しいんだが…」
『じゃあ俺が…』
『あ、それなら…』
ちらほらと手が上がる。10人はいかないが、二つに分けて交代制で回すことはできるな。
「高虎、この人数で良いだろう。」
「そうだな…雄二、今手を上げてる奴と、俺に吉継、島田、康太、明久、須川が厨房に立つ。把握しておいてくれ。」
「ん、了解だ。そっちの仕事はお前に任す。次に、接客とテーブル等の準備をする班の二つに分ける。」
こんな感じで割とスムーズに準備は進んで行くのだった。
とりあえず家帰ったら料理の練習でもするか…