雛祭、なんにもできんかったなぁ……雛様に祈りを捧げる以外は……
あ、祈りは日課でした朝昼晩
ちょっとリアルがメンタルメルトダウンしそうな勢いでワロスな今日この頃←錯乱
今回は、金髪の子リゾンベ
それと便座カバー(嘘
「……母様。何か良いことがありました?」
「うん? ふむ……上機嫌に見えたか?」
「かなり」
「そうか」
雛と言葉を交わしつつ、紅魔館から貰った葡萄を使い、造ったばかりの蒸留酒を煽る。
熟成されていない若い酒なので、売り物にはならないものの、これはこれで美味し。
無論、年月を経た深みのある酒も大好きだが。
「きっと、帰り道に、『人間』と『勝負』したせいかな」
酒を味わい、娘と会話し、愉快な記憶を振り返る。
嗚呼、これだから生きるのは面白い。
「……また新しい人が母様にちょっかいを……?」
ただ、何故か雛が不機嫌なのが気にかかる。
妖怪兎である以上、聴力には自信があるのだが、呟かれた発言だけでは考えまでは読み取れない。
「飲むか?」
こういう時、我ながら貧困な発想ながら、私に出せるのは酒くらいである。
「もちろん、喜んで」
それで正解だったのか、機嫌は良くなったらしい。善きかな善きかな。
そんなこんなで、私は今日も生きている。
賢者の集会などという、極めつけに面倒な催しに呼び出された帰り道。
議題は、紅魔館以来の「力ある新参者」である守矢神社がこの一年間でどの様に動いたかだの今後の対応だの何だのかんだの。
繰り返しになるが、面倒臭い。
そんなものに何故参加せねばならんのか、とも思うが、紫曰く、私が居るだけで過激派が黙るからやりやすい、らしい。
……何度目か分からんが、改めて。
私は爆弾か何かか?
聞いたら「自覚が無いのかしら」と即答されるに違いないから言わんが。
人も妖怪も神も悪魔も魔物やら諸々も、積極的に害した覚えは無いのだがな。少々の過剰防衛はあれど。
ただし何十万年か前の荒れてた頃は除く。
あの時期は、まあ何と言うか、うん、色々あったのだ。
視界に入った者が僅かでも「死に繋がる可能性」であればとりあえず潰しておこう、的な。今は反省している。
とまあ、若気の至りで……当時およそ百万才だったのはともかく……やらかしたことなど思い返しながらの、帰宅中。
「……1年ぶり、だぜ」
魔法使い未満の黒白に絡まれた。
「…………あー、そう言えば、前の秋、だったか?」
諏訪子達が幻想郷に来たくらいに、勝負を挑まれた気がする。覚えている覚えている少しくらいは。
……名前は何だったかな……? 五月雨? 時雨? 村雨? 村雨が一番近いか? 雨っぽい名字だったのは確かだ多分。
「は! どうせ私のことなんて、ろくに覚えちゃいないだろ!?」
はい。
……黙っておこう。何を言っても怒りそうな予感がする。
危機察知には大した反応が無いので、無意識に回避できる程度の危険度だが、好き好んで神経を逆撫ですることもあるまい。
いずれにせよ、私の弾が掠めただけで死んでしまう相手と、争うつもりは無いしな。
「確か……前に使ったのも、これだったかな?」
鏡符『ミラームーンボール』
そういえば、この少女に使って以来、全く使わなかったスペルカードだ。
風見やフラン、あと天人相手には、まるで強度が足りない。即座に壊される。
もっとも、彼女に対してであればこれで充分ーー
ーー私の頭があった位置を貫く光線、絞り込まれた魔力の束を、首を傾けることで回避する。
当たっても即死する威力ではない。
多少よろけるくらいのものだ。
相手の周囲を覆う面積の代償に脆くなった反射結界を貫通する為に、殆んどの力を費やした残りかすだ。
だが。
だが、しかし、だ。
「……へへ……今ので当たっていれば……私の……勝ちだったんだけどな……」
彼女は、この少女は、真の魔法使いに至らない、未熟な『普通の』人間は。
汗だくになって、全身全霊を尽くして。きっとこの1年間、努力と研鑽と探究を積み重ねて。
私の結界を、打ち破ったのだ。
「……素晴らしい……」
スペルカードを攻略されたことで、結界が崩壊する。
穿たれた穴からひび割れ、砕け、砕けて砕けて砕けて。
無数の輝く粒が風に舞い踊り、『勝者』を祝福するかの様に、幻想的に空間を飾る。
本当に、美しい光景。
美しくて、素晴らしい、夢の様な瞬間だ。
自分がかつて、前世において、人間であったことなど、主張するつもりは無い。
そもそも、どんな人間だったのかも、記憶に微塵も残っていない。
だけど、それでも。
きっと私は、人間に惹かれているのだろう。
脆く儚く容易く死んでしまう者の、刹那に輝く流星の光を、我知らず追っている。
死にやすく、死に近く、それでも尚、『生きて』いる。
その美しさに、焦がれている。
ひたすらに『死にたくない』と生きて生きて生き続ける私は、どんな妖怪より神より『生きて』いる人間にこそ、憧れる。
「……改めて名乗ろう。因幡コクトだ」
故に、貴女に敬意を表しよう。
「失礼なのは承知しているが、もう一度、貴女の名前を教えてくれ、『人間』よ」
貴女は脆い。
貴女は弱い。
貴女は壊れやすく、貴女の力は私を殺せない。
その上で、私は貴女を敬おう。
「霧雨魔理沙だぜ。
今度は忘れないでくれよな」
「ああ。少なくとも、百年は覚えておく。
それ以降については、この先、貴女がどれだけ印象深いか次第だ」
「上等! 百万年経っても忘れられなくしてやるぜ!」
「楽しみだな」
短い生で、微かな力を、情熱を以て燃やす者よ。
「私に『貴女』を教えてくれ、霧雨魔理沙」
この人外(ヒトデナシ)に、どうか『人間』を魅せてくれ。
さて、とは言うものの、私の弾幕では霧雨が死んでしまう事実は変わらない。
ほんの1年で、スペルカード用の反射結界を貫通できる魔力加速と圧縮を修得したことは素晴らしいが、耐久力は大きく変わっていない。
と、なると。できる勝負としては、霧雨がスペルカードを使う側、私が回避する側か。
非殺傷の弾幕を避けるのは苦手だが、フランの相手で慣れていると言えば慣れているか。そう不様は晒さないだろう、多分。
「行くぜ!
恋符『ワイドマスター』ッ!!」
ってうおおっ!?! なんじゃこりゃ!? 津波か!?
当たっても死なないが、その分、危機察知は役に立たない。
霧雨のスペルカードは知らないので、予備知識無しの反射神経任せな見てから回避である。
「あっさり避けるか! こないだ作ったばっかりのとっておきだったんだけどな!」
「余裕な訳では無いさ」
「綽々な顔してよく言うぜ!」
叫びながら、星形の弾幕をバラ撒く魔理沙。
そして再び放たれる放射状の光線。
初動と魔力の流れと視線と意識の向きから読んで回避する。二回目は通じんよ。
この程度で当たっていたら、風見やらに何度殺されているか分からんからな!
……自分で考えて少し悲しくなった。平和に生きたい。
ところで、何となくだが、そのスペルカード、本来は数年後くらいに開発されるものではなかろうか?
私が存在することによる影響、という奴か? まあ、考えても仕方が無いのでどうでも良いが。
「ちっ! 次だ!
恋符『マシンガンスパーク』ッッ!!!」
余計な思考をしていたら、あっさりと負けてしまう。
弾幕ごっこの勝敗に拘る質(タチ)では無いが、情けない様では、霧雨の努力に対して失礼だろう。
それに、何よりも。
「……ああ、良いなあ。実に楽しいよ、霧雨」
「それは! よかった! ぜッ!!」
この時間は、『人間』と遊ぶのは、とてもとても、楽しいのだから。
少しでも長く、少しでも多く、『貴女』を知りたい。
「くくっ……我ながら、まるで恋に恋する小娘じみた考えだな」
「ちょっと待て。急に寒気がしたからその発言取り消してくれ取り消してください。
なんか、理不尽に私が殺される未来が見えたんだぜ」
「危機察知か?」
「虫の知らせってやつだぜ」
良く分からんな。
「と、とにかく! 恋とか不穏な発言禁止! 分かったか!?」
「自分はスペルカードに『恋符』と名付けているのに……」
解せぬ。
Q.なんで弾幕アマノジャクのスペカが?
A.金髪の子が超頑張ったから原作より強化されちゃったテヘペロ
Q.不可能弾幕ってルール違反じゃね?
A.※1フレーム足らずで画面端から端まで移動できる兎はルール適応外とする
近頃、命懸けの機会が減ってまったりしている黒兎
大丈夫、もうすぐ勇儀の姐さん出てくるから(ニッコリ
もうすぐって言うか次回ですが(更新日未定