オルレアンの覇王   作:球磨川べネット

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所長「前回のあらすじよ。ガリア戦線の敵総大将であるカエサルを討ち取ったけど、連合ローマ兵達は構わず戦闘を続行した。それこそ最後の一兵になっても士気が落ちることは無く、立香は彼等のその様子に狂気を感じとった。
そしてガリア戦線での褒美としてネロ皇帝にローマを中心とし各地に伸びる霊脈との接続を許可して貰った事により、霊脈の上ならいつでも召喚サークルを設置できる様になったわ。これでカルデアからの物資支援やらが受けられるようになって旅がグッと楽になる…………筈」


突撃隣(大嘘)の女神様

立香side

 

「寄り道……ですか?」

「うむ。そうである。なんでもここガリア周辺で『地中海にある島に古の神が出現した』といった噂話が広まっておるのだ。本来なら適当に調査隊を組ませて軽く調査させるだけであるが今は死者蘇生などが普通に行われていたりする故に、赤ジャンヌ殿、遠見の魔術越しにロマン殿、ダヴィンチ殿と協議し、万に一つの可能性もあり得るため急遽余自身が赴いて調査する事にしたのだ。」

「と言う訳で黒髭()宜しく」

「聞いてないんだけど?」

「言ってないけど?」

 

 ガリア戦線終結から1日達、昨日いった通り様々な戦後処理も終わり、これよりネロ皇帝とローマに凱旋しに帰ろう   とはならないようだ。

 その噂に関しては僕もこの前哨基地内でちらほら聞いたことがあるが、あまり気にしたことは無かった。しょせん噂話だと流していたから、改めて言われると確かに調べた方が良い案件かもしれない。

 だが何故赤ジャンヌは事前に僕達に話さないのか。どうりで今日の朝、食事の時は居たのに修行の時は居なかったわけだよ。

 

「一言位は言ってよ」

「おう、これから前向きに善処してやるよ。」

 

 あ、これは駄目ですね(確信)。

 

「いやまぁ、いつもの唐突な無茶ぶりに比べれば今回はマシだけどさぁ、事前に一言有るか無いかで精神的に大分変わるからさ」

「言いたいことは解るけどぶっちゃけ特異点に事前にどうこうとか求めないで。それこそどっかの特異点で目の前にマシュに似た……具体的に言うと紫髪で幸薄そうで体内に卑猥な見た目の蟲飼ってそうな奴が病んだ瞳と病んだ声で『先 輩』とか言って唐突にさっきまでマシュが居た筈の場所に現れても直ぐ逃げ出す判断出来るようになってもらわないと困る」

「え、なにその具体的過ぎる具体例は………実体験でござるか?」

「前提としてるシチュエーションがおかしいって!?完全にホラーのそれじゃないか!!」

 

 いくら特異点と言ってもそんなホラーな事おきる訳ないだろ!………無い筈…………無いよね?

 実際そんなことなったら思考停止するって絶対。

 

「まぁさっきのは言い過ぎかも知れないがそのくらいの気構えでいろって事だよ。そうだな……………目の前でランサーが自害しようと、自分が居る拠点が突如爆破解体されようと、目の前で突然知り合いが魔力供給とか言ってS〇Xおっぱじめようが平常心でいられる程度には」

「ちょっと待って、最後だけ可笑しい。前二つは解るけど最後が理解できない!」

「拙者としてはむしろ最後の奴だけ詳しく」

「半人前の何ヤさんが強大な敵を倒すためにサーヴァントに魔力を直接流し込んだ。当然生ハ「マシュにナニを聞かせるつもりですか!」

「そ、その……ええと、今はそう言う話はその……」

 

 誰がその時の事を詳しく言えと言った!あ、黒髭だった、後でしばいておこう。天使のマシュに変な事が吹き込まれたらどうするんだ!!

 そして今の話的に赤ジャンヌの実体験じゃねぇか!!それも前世の方の!

 マシュが顔赤らめながら引いてるじゃないか!

 

「とりあえず寄り道の件は解ったから、僕が悪かったからこの話はこれ以上するな!」

 

 

 

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2日後、『アン女王の復讐号(クイーンアンズ・リベンジ)』船内にて

 

 あの後ゴタゴタしながらも、船旅前に一度サークルをガリアで展開し、カルデアからもしものための石を3個や、その他もろもろの道具を補給し、今はあまり僕の魔力に負担がかからない低燃費航行の最中である。

 昨日出発し、現在地図が正しければ目的の島と陸との丁度中間辺りらしい。

 船の上では特にやることが無いので修行が終われば各々が好きに動く。

 今は赤ジャンヌから皆に一応話すことがあると言う事で皆船内のラウンジで集まってるところだ。因みに皆と言ってもネロ皇帝は居ない。

 

「とりあえずあれから数回協議重ねた結論だけど、とりあえず無いとは言わないが神霊が居る確率は低い。よしんば居たとしても人間の体をよりしろにしてのデミ・サーヴァント的な感じで現界してるのが関の山だろう。だから濃厚な候補は3つ。

1つ、ただ単に高い神性持ちのサーヴァント。半神半人とかが有力候補。

1つ、単純にデマ。これだと行くだけ無駄だった旅になっちまうが確認しないとわからないからしょうがないと割りきるしかないな。

1つ、敵が流した噂。要するに敵が罠仕掛けて待ち構えてるかもって事。でもこの面子なら余程の策や敵でも大丈夫だろ。どれだけ最低でもマスターが逃げる隙位は作るがな。

とりあえずこの3つのどれかだと思っててくれ。」

 

 成る程、つまり今回僕達を集めたのは敵襲が有るかも知れないから各自注意しろということか。しかし敵の流したデマという可能性は考えてなかった。確かに言われてみれば十分にその可能性はあり得る。そもそもガリアでの敵総大将はカエサルだったのだ。生前……生前?にそのような情報戦を仕掛けてきていても不思議ではない。

 ところで赤ジャンヌは説明しながら先程からトランプの様なカードに何か書いてる様だが何をしているんだ?

 

「ジャンヌ殿、いったい何してるでござるか?」

 

 よくぞ聞いたぞ黒髭!

 

「ん?あぁカードにルーン刻んで魔力流し込むだけで簡単に誰でもルーン魔術が使える様にならないかなって。成功すればラミネート加工とかしてお前らに配布するつもり」

 

 つまり道具作成(ルーン式)って感じなのか?

 凄く良いことだと思う。それが完成すれば僕でも簡単に火を出せたりするのだろう。

 

「ついでだし実験するか。このカードからは熱湯が出るようにさせたいんだ。その場で直ぐに熱湯出せれば色々便利だろ?カップ麺とかインスタント味噌汁だとか。」

「具体例が庶民的過ぎない?」

「細けぇこたぁいいんだよ!とりあえず使ってみるぞ。

告げる(セット)』」

 

 赤ジャンヌがその時手に持ってたカードを見せてきた。複数のルーンが書いてあるのは解るがどのルーンがどう作用しているのかは全くわからなかった。その内僕もルーンをスカサハ師匠から習っておこうかな。

 そしてそのカードを人差し指と中指で挟み、ルーンが書いてある面(・・・・・・・・・・)を自身に向けながら起動ワードと思われる言葉を発した次の瞬間にカードから大量の熱湯が赤ジャンヌに向かって(・・・・・・・・・・)吹き出した。

 

「あぁぁぁぁぁぁぁづぅっぅぅぅぅぅ!?」

「アッハッハハハ!良い気味よ!ざまぁ」

 

 大量の熱湯を浴びた赤ジャンヌが床をのたうち回っていた。そしてそれを見た黒ジャンヌが大笑いしていた。

 

「この戯けが。ルーンを自分に向けてどうする」

 

 スカサハ師匠がルーンで水かな?冷水かな?を赤ジャンヌにかけてから治療のルーンで治療した。

 

「それ俺が熱湯被る前に言って!?」

 

 …………………………所で赤ジャンヌは自分の下着が透けて見えているのに気付いているのかな?……どうせ気付いてないんだろうなぁ。だって鼻の下伸ばしてる黒髭とランスロットに気付いてすらいないんだから。

 指摘してあげたら案の定自分では気付いてなかった様だ。顔を赤くしながら腕で下着を隠した。

 

「ラッキースケベが発動するのはカルデアだけだと思ってたらついに特異点でも発動する様にッ!!」

「今回僕何もしてないよね?思いっきり自爆しただけだよね?」

「私に乱暴するつもりでしょ!!エロ同人みたいに!エロ同人みたいに!」

 

 羞恥は感じてるみたいだがネタに走れる位には慣れてしまって居るようだった。

 いや、別にカルデアでもわざとやってる訳じゃないのに何で赤ジャンヌの裸や下着姿の時にしょっちゅう出くわすんだろう。

 因みにラッキースケベしてしまう頻度が一番多いのは赤ジャンヌ相手にだが、誠に遺憾ながらマシュや、あろうことかダヴィンチちゃんやハサンさんの中の女性の方のみにまで、全ての女性サーヴァントに最低一回はラッキースケベしてしまっている。なお黒ジャンヌにラッキースケベしてしまったときは軽く三途の川が見えました。

 

 

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そんなドタバタがありながらも特に敵襲など無く、無事に島に到着した僕達。

 そしてとりあえずまず噂になってる神さまに合った馬鹿二人の第一声を聞いてくれ。

 

「「か"わ"い"い"な"ス"テ"ン"ノ"ち"ゃ"ん"!!」」

 

 この馬鹿二人に熱湯をぶっかけても許されるだろうか?




祝!!UA10万越え&お気に入り約900件!!
いや、本当に皆様作者の稚拙な小説を読んでいただきありがとうございます。
現在スランプ気味で何とか3日に1話投稿するのがやっとのあり様でお恥ずかしい限りですが、皆様の応援に頑張って答えようと思います。
これからも私の至らないところは多々有ると思いますが、生暖かい目で見守ってくだされば幸いです。

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