なので例えここで出たキャラも本編で出るとは限りません
バレンタインデー
それは、女性がチョコと共に、思いを伝える日である。ただし日本に限る。
ここカルデアでは、唯一のマスターが日本人であるため、サーヴァント達の間では、バレンタインデーは日本式になっている。そのためバレンタインデーを明日に控えた今日、普段は寂しいキッチンでは数多くの女性サーヴァントが各々チョコを作っていた。
女が三人集まれば姦ましいと言う。であればキッチン一杯に女性がひしめき合ってるが話し声で埋まるのは当然の結果であった。
そしてそんなキッチンで総監督をしているのは赤ジャンヌであった。本来ならエミヤが最も適任であるが、ここは現在男子禁制となっているため、そこそこ料理が出来て、駄目な物は駄目!とバッサリ切り捨てる事が出来て、それに対して逆らう奴、と言うより逆らえる奴が殆ど居ない赤ジャンヌに白羽の矢がたったのだ。
「私の自信作よ。これであの子豚も私に泣いて感謝する事間違いなしね!」
「…………………これ自分で味見したの?」
「当たり前じゃない。キュートでデンジャラスな最高の出来よ!」
「うん、なるほど良く解った。お前は市販のチョコ溶かして型にはめて冷しただけのチョコ以外禁止な?」
「何でよ!?」
「テメェらの味覚がお亡くなりになってるからだよ!!アレンジ禁止!良いな?じゃなきゃ許可出さないから。はい次」
どっかのアイドルが名状しがたいチョコの様なナニカを作ってきたが当然却下だった。因みに術と剣の方も五十歩百歩のゲテモノを持ってきていたので何となく解っては居たようだ。
「相談なんだが父上が喜ぶ様なチョコを作りたいんだがどうすればいい?」
「イギリスの伝統的な料理にはうなぎのゼリー寄せと言う料理が有るし鰻をいれたら?あとイギリス人が大好きな調味料のマーマイトも確か倉庫にあった筈だ。」
「成る程!父上が大好きなブリテンの伝統的料理を模すんだな!よし、恩にきるぜ!」
「うん、武運を祈ってる」
審査が厳しいのはマスターに送るチョコであってサーヴァントに送るチョコなど知った事では無い。多分明日にはモードレッドが死ぬかも知れないがまぁ、武運を祈ろう。
「
「………うん、若干鉄臭いのは……」
「勿論私の
「デスヨネー。……………あの、大変申し上げにくいのですが、去年のチョコを2ヶ月前にやっと処分出来たのを鑑みて新たにチョコの大きさの規定がありましてですね、それであの~……少し……いや、大幅に規定より大きく見えるのですが……」
「ジャンヌさん?愛の前には規定など些細な物です。違いますか?(ニッコリ)」
「アッハイ。ドウゾドウゾ。」
いくら赤ジャンヌとて
「今度こそどうよ!」
「うん。うん、頑張ったね。うん、頑張ったのが凄い見てとれる。若干形が歪だけど最初に比べたら多少はね?」
「うっさいわね!!チョコの作り方なんて知らなかったんだからしょうがないでしょ!?」
「知らないのに最初カカオから作ろうとしたオルタさんパネェっす」
「やっぱりあんた馬鹿にしてるわよね?燃やすわよ?」
「はいはい。渡すとき先にジルから渡しとけよ?先にマスターに渡すとめんどくさい事になるかもだから。あ、ジルに渡すときはちゃんとマスターの分隠しとけよ」
「あぁ………そうね、あんたの言うことに従うのは癪だけどそうしておくわ。」
加入した時期が去年のバレンタインデーの後だったために、マスターに今年は渡すと気合いを入れていたジャンヌ・オルタ、四度目の正直である。弄りながらもなんやかんやで面倒を見てあげてる赤ジャンヌであった。本人は認めようとしないが。
「にしても何で俺が野郎のためにチョコ作んなきゃなんねぇんだよ。」
去年問題を起こした黒髭に対して今年もチョコを作ってあげる女性サーヴァントが居ないであろう事を見越していたマスターから赤ジャンヌは黒髭の分のチョコを作ることを頼まれていたのだ。
こうして赤ジャンヌの監視と黒髭へのチョコ作成にて、今年のバレンタインデーは概ね平和に終わった。
マスターがどっかのストーカーからのチョコでノックアウトされたり、グレートブリテン式親子喧嘩が勃発してたりするが、去年に比べれば十分平和だった。
マーマイトとは、イギリス人の味覚を殺した元凶と言われている調味料らしいです。聞いた事ですので違うかもしれません。
なおモードレッドが渡した相手はノーマルアルトリアです。