立香side
初めての、複数のシャドーではない、ちゃんとした………ちゃんとした?……狂化されてはいるものの、ちゃとしたサーヴァントとの戦いは、大きな怪我もなく、僕たちは勝利を納めた。
「痛てて。避けても余波で罅が入るとかマルタさんパネェっす。」
「たわけ。舐めてかかるからであろう。貴様なら最初から仕留める事も出来たであろう。」
「まぁそうなんだけどさぁ。でも貴重なステゴロで闘ってくる奴だし経験積みたかったんだよ。てかそもそも師匠だって舐めプしてたじゃん。」
「貴様と私を一緒にするな。あのような理性なき獣に手傷を負わされるようならとうに殺されておるわ。」
「おっそうだな(5章で特に描写もなくバサニキに殺されてるのを思い出しながら)」
「それより罅は大丈夫なのですか?」
「絶賛自分の治療魔術で治してる所だよ。」
戦闘が終わり、各々が会話しながら僕の元に集まって来た。
改めて、僕は赤ジャンヌの戦闘能力の高さを思い知った。カルデアで何度もスカサハさんと模擬戦していたのを見ていたけど、その模擬戦では常にスカサハが優位に立って勝ち続けていたため、凄いのは解るがどのくらい凄いのかは解らなかったのだ。
しかし、敵のライダーとの闘いの余波をみればある程度は解る。
ちょっとしたクレーターになってる地面。ライダーの拳の余波で崩壊した建物。
そんなライダーのパンチを最初に一発だけ貰っていたのに赤ジャンヌはピンピンしてるのだ。
他の皆も危なげなく勝っていた。スカサハさんやランスロットは流石の技量で一方的に攻撃を通し、敵の攻撃を食らわなかった。海賊であり、戦闘特化ではない黒髭とマシュも戦闘特化であろう騎士ぜんとしたセイバー相手に余裕で持ちこたえていた。
あれ?一番危なかったのって、もうしかしなくても赤ジャンヌ?
「それより、さっきからこちらを遠くの物陰からチラチラ見ている者が居るが始末しておくか?」
僕がそんなこと考えていたら、スカサハさんから驚く事を告げられた。
「敵意無いし向こうから接触するつもり無いなら放置で良くね?」
どうやら赤ジャンヌも気が付いていた様である。ただ、どうやら覗いてる人に敵意は無いらしいし、それなら僕は放置より接触して情報を集めたいと考えた。
だが、声が聞こえていたのか、向こうから出てきてくれた
「ごめんなさい、本当は助けに入るつもりで来たのだけれど、助ける必要も無かったみたいで、出るタイミングがなかったの。」
「まぁ、僕達が参戦したところで大きく戦況が変わるわけが無いんだけどね。」
「先輩、あのお二人はサーヴァントです。」
どうやら覗き見ていたのは、サーヴァントだったらしい。赤い貴族服みたいなのを着ている銀髪の少女と、特徴的な服を来たほっそりした顔の男性だった。
見た限り武器も見当たらないし、服装も戦闘職のサーヴァントには見えなかった。これならさっき男性の方が言ったように、言っては悪いが居ても居なくても特に変わらなかっただろう。
だが、せっかく出てきてくれたのだし、自己紹介をするべきだ。
「えと、僕は彼等のマスターをしている藤丸立香です。ざっくり言うとこのフランスを救うために戦ってます。」
「まぁ素敵!つまり勇者様なのね!私はマリー・アントワネットよ。宜しくお願いします。ヴィヴィ・ラ・フランス!」
「僕はヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト。ただの音楽家だよ。」
僕の思ってた以上に有名な人だった。
赤ジャンヌ「やったねマスター、仲間が増えるよ!!」
なお戦闘力