「『
真っ直ぐに突っ込んでくるマルタに対しジャンヌは迎撃を選んだ。
『
ジャンヌは自らを中心とし半径1mの球という、本来より小さめの間合いをとり、普段より密度を上げ、防御力を向上させた。
そしてその間合いの防御を、マルタは特に何の技もない右腕の一振りで粉砕した。
「!?」
「重くいくわ!!」
懐に潜り込んだマルタの腰の乗った
しかしジャンヌはこれをヒットと同時に脱力し、更に波紋の呼吸による無理矢理な機動で胴体を捻り、大きく後方に吹き飛ばされながらも軽微なダメージに抑えた。
(制空圏を突破されたときの腕の痺れがまだとれない。それに咄嗟ではあったが完璧に受け流してもなお軽いダメージが残っている。こいつは想像以上なパワーだぞおい。これで筋力Aは詐欺だろ。だが一部は想像通りか。パワータイプで力と技が7:3って所か)
(確かに捉えた筈なのに変な感触だったわね。ただ脱力しただけでもなく、後ろに飛んだわけでもなく、クニオッって感じだったわ。なんにせよ私の攻撃を咄嗟に
ジャンヌは、早々にマルタとのパワー勝負を諦めた。
マルタは、早々にジャンヌとの技量勝負を投げ捨てた。
吹き飛んだジャンヌに向かって追撃のために飛び出したマルタ。それを見たジャンヌの判断は二度目の迎撃。しかし今度は無数にある空手の構えの中でも防御寄りな構えである、
「来い!」
「鋭くいくわ!」
防御ごと撃ち抜くつもりで放たれた右ストレートを、ジャンヌはあえて自ら左前に飛び出す事により紙一重でかわし、更にはクロスカウンターの様にマルタの頭を鷲掴みして地面に叩き付けた。その衝撃は凄まじく、地面にちょっとしたクレーターが出来る程だった。
しかし、マルタにダメージは無かった。単純に、地面よりマルタの方が頑丈だったのだ。
だが、ジャンヌの目的は別な事だ。今、マルタの後ろは全て地面である。故に衝撃を逃がそうにも、逃がすスペースが無いのだ。
すぐさま鷲掴みしていた手を離し、そのまま追撃の一手として今度は胴体めがけて振り下ろした。
「『
「グハッ!」
それは、内部と外部両方にダメージを与える奥義の1つだった。
(固った!ここまでやってもまだ致命傷には程遠いとか嘘だろ?一応これ奥義だぞ)
(これは!内部に直接衝撃を!?何度もくらうのは流石に不味い!!)
「舐めるな!!」
「チッ」
タラスクは、竜種の中でも特に固い部類である。通常の竜種ですら、生半可な武器なら一切通さぬ程の鱗を持つが、タラスクはその鱗が他の竜よりも発達しており、殊更に固い事が見た目でも見てとれるだろう。
そんなタラスクにただのパンチでダメージを与えたマルタのパワーは、例え倒れてる状態からのパンチであっても、まともに食らえば大ダメージは免れぬ威力であるのは当然であった。だからこそジャンヌは無理せずすぐさま距離を取った。
「ちょっと固すぎちゃうか?」
「あら、そうかしら?平然と無防備な内部に衝撃を通す技を打ってきた癖によく言うわね。」
「無防備な内部に攻撃してもピンピンしてるんですがそれは?
さて……まだ続けたくはあるが、他も終わりそうな中俺らだけでドンパチするのも悪いし。次で決めてやる。」
「あら随分大きく出たわね。」
「勿論さ。なんせ、敬意を表して今から技を3つ使ってやる。 来い」
「その鼻っ柱へし折ってあげる!ハレルヤ!!!!」
「ハァァァァァ……『
それは、静の極みの技の1つ。制空圏の先の境地にあるもの。体の表面の薄皮一枚分に強く濃く気を張り、相手の動きの流れを読み、最小限の動きで攻撃をかわす技。
それにより、マルタのラッシュを悉く薄皮一枚でかわし、ついに、止めを刺す時が来た。
「『
防御している故に意識の外に有る部分『
「楽しかったぜ。機会があればテメェとはまた喧嘩してぇな。」
「その時は今度こそ主への侮辱を謝らせてあげる。」
ジャンヌも決して無傷では無かった。最後の薄皮一枚での回避では、マルタのラッシュ一発一発の余波までは回避出来ず、間違いなく身体の数ヵ所の骨に罅が入っていた。
こうして、ステゴロ対決はジャンヌの勝利に終わった。
一応捕捉ですが、一発でももろに食らうとジャンヌの負けです。