怨霊の話   作:林屋まつり

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十九話

 

「交戦を開始しますっ!」

 鉄蛇との二戦目。開戦の声が響いた。

 

 鉄蛇の咆哮。開放され、視界の先にいる芳佳を睨む。口を開く。その後頭部にフリーガーハマーのロケット弾が突き刺さる。

 爆発が連続する。けど、

「個体差がある、っていうほどじゃなんですね」

 鉄蛇は気にせず芳佳に炎の砲弾を放つ。大きな損傷は、見られない。

 ロケット弾を複数叩き込んで、ようやく確認できる程度の損傷を与えた。相変わらずの硬度。けど、

「わかっていれば、驚くほどではないっ!」

「気にせず叩き込めーっ!」

 ルッキーニとバルクホルンは突撃して銃撃掃射。莫大量の銃弾を鉄蛇の頭部に叩き込む。

「宮藤さんっ! 背中借りるわっ!」

「はいっ」

 砲弾を回避する芳佳の背にミーナ。彼女は自分の固有魔法に意識を集中させる。

 次に来る砲弾、それを見極めて、「んっ」

 芳佳の姿勢を調整。砲弾が迫り、射線から斜めに展開されたシールドに逸らされる。

「出来ましたっ」

 当然、軌道修正だけならシールドにかかる負担も小さくなる。まだ、余裕がある。

「いけるわね」

「はいっ」

 それを行うには、ミーナの固有魔法による補助が必要。けど、成功したなら。

 鉄蛇が真っ直ぐに芳佳とミーナを睨む。その視線に苛立たしさを感じたのは、気のせいか? けど、

「ふふ、怒っているのかしらね。けど、こっちに集中するのは、悪くないわ」

 砲撃する鉄蛇の後ろから、ウィッチたちは頭部に銃撃を集中させる。近寄るようなことはしない。慎重にその外殻を砕いていく。

 けど、

『総員散会っ! 散弾来るぞーっ』

 エイラの声。鉄蛇は、ぐるん、と振り返る。後ろからの銃弾が気になったのか、散弾を連続して放つ。

 が、遅い。エイラの警告でウィッチたちはすでに離脱している。散弾が広範囲を薙ぎ払うが、散会したウィッチたちには当たらない。

 頭部以外に攻撃するつもりはない。背を向けられた形になる芳佳とミーナは即座に頭部に銃弾を叩き込み。下へ逃れ頭部への銃撃が難しいペリーヌとハルトマンは攻撃を行わず上昇に専念。そして、

「攻撃と散会、攻撃範囲外から削っていく。……安全策で行かせてもらうぞ」

 鉄蛇の向いている咆哮以外全方位。距離を保ってウィッチたちは銃撃する。飛行型ネウロイなら全方位にレーザーを放つが、今のところ鉄蛇は近づかなければそれはない。

 油断はできない、が。

 

 咆哮。

 

 頭部に銃撃が集中し、鉄蛇は鬱陶しそうに咆哮し、姿勢を下へ。

「逃げるかっ」

 移動する。銃撃を届かせるため、ウィッチたちは高度を下げる。が、

「うわおっ?」

 振り上げられる巨大な尾。ルッキーニは回避。『ルッキーニ、上に移動っ!』

 エイラの声が響く。振り上げられた尾はルッキーニの横で急停止。そして、横への薙ぎ払いに移動。

 慣性を力づくでねじ伏せた挙動。警告がなければ直撃したかもしれない。

 怖い、と思うけど。

「まだまだ、戦えるよっ!」

 飛翔継続。薙ぎ払われた尾が跳ね上がるが、警告されるまでもない。ルッキーニは見越して回避。

「ルッキーニさんっ」

 先行するペリーヌが速度を落とすが「先行って攻撃してっ! ここはあたしに任せたっ!」

「……頼みますわよっ」

 尾が振り回される。攻撃に意識を割いているからか、あるいは、体の一部が浮いているからか、鉄蛇の移動速度は遅くなっている。

 他のウィッチたちは距離を詰め、銃撃を続ける。ルッキーニは飛び回って振り回される尾を回避。

「頼むよーっ! っとうっ?」

 振り下ろされる尾を右に飛翔して回避。爆砕の音。

「って、うげぇっ?」

 爆砕、そしてばら撒かれる土塊と鉄塊。それがルッキーニに迫って「シュトゥルムっ!」

 放たれた風がそれを薙ぎ払う。

「お疲れーっ!」「ありがとっ!」

 手であいさつを交わし、エーリカとルッキーニは並走。そして、

「あーもうっ! あったまくんなーっ!」

 ルッキーニと合流しておとり役を、と思ったが。ルッキーニとエーリカを無視して鉄蛇は速度を上げる。自分たちを無視して先行するウィッチたちへの追撃に移ったらしい。

 そして、その判断は正しい。無駄弾を警戒して二人に攻撃するつもりはない。それさえ見越されたらしい。つくづく頭にくる。

「来た来た来たーっ!」

 先行するウィッチたちのうち、殿を務めるエイラが声を上げる。火炎の散弾を乱射。

 けど、まっすぐ来たなら。

「撃てっ! リベリアンっ!」

『了解っ! 巻き込まれるなよーっ!』

 

 シャーリーは空母の甲板を走り回りながら迫撃砲の引き金に連動した板を蹴っ飛ばしていく。ウィッチの攻撃により迫撃弾が魔法力を帯びて空を舞う。

 高速化の魔法。それを駆使して駆け回る。

「そらそらそらっ!」

 不意打ちのみの一発限り、空から落ちる迫撃砲弾は気づかれて上に砲撃されればそれだけで誤爆されて終わりだ。

 だから、遠慮なしの大盤振る舞い。高速の疾走込みで存分にその火力を叩き付ける。

『初弾命中っ!』

 ミーナの声。とともに地上で盛大な爆発が起きる。巻き込まれるようなことはないだろうが、その火力にはさすがのシャーリーも驚嘆。

 けど、

「まだ、ってか」

 徐々に、その爆発場所が上になり、代わりに下からの砲弾が見える。鉄蛇がその意図に気づいて空へと砲撃したらしい。

「損傷はっ?」

『確認可能です。けど、コアは出てませんっ!』

「おいおい、中型ネウロイなら消し飛ぶぞこれ」

 リーネの報告に苦笑。遠目からそれだけの火力を叩き込んだ自覚はある。

「合流するっ」

 

 地獄、というものがある。真偽はともかく、芳佳はその存在を知っている。

 だから思った。地獄って、こういうところなのかな、と。

 シャーリーが行った数十発の迫撃砲爆撃。それにより眼下は炎の赤と炭化した鉄で出来た火の海。灼熱地獄という言葉をいやでも連想させる。

 そして、その地獄の中に、蛇がいる。

 

 咆哮。

 

 鉄蛇は地面に尾を持ち上げて、地面に突き刺す。そのまま体を地中に抉りこませる。

「つっ、地下に行く気っ!」

 潜る。その初動と判断したミーナは声を上げる、が。

「違うっ! シールドはりながら離脱っ! ハルトマンっ! 芳佳っ!」

 エイラは声を上げてウィッチたちはそれに従う。鉄蛇は、潜り込ませた尾を跳ね上げた。

 まき散らされる土砂と吹き飛ぶ岩盤、鉄塊。莫大量の礫が視界を遮る。

「ああもうっ! 私の固有魔法は視界確保のためじゃないってのーっ!」

 莫大量の飛来物はもちろん危険だが、それ以上に視界が遮られたことに問題がある。だからエーリカは手を下へ。

「シュトゥルムっ!」

 放たれる竜巻が飛来物、土砂の壁を切り裂く。追撃を警戒して芳佳はシールドを展開。「南っ!」

 ミーナの声。同時にリーネとルッキーニがシールドを展開。そこに叩き付けられる火炎の砲弾。

「目くらまして離脱か」「行きますわよっ!」「牽制しますっ!」

 トゥルーデとペリーヌが機関銃をもって鉄蛇に向かって飛び、サーニャがロケット弾を放つ。鉄蛇はロケット弾の撃墜を選択。そちらに砲撃。

 ロケット弾は砲撃されて誤爆。けど、ペリーヌとトゥルーデは鉄蛇の後ろへ。頭部に銃撃。

 銃弾が突き刺さり、鉄蛇は振り返る。銃撃する二人を睨み。砲撃。

「いい加減、それは見飽きましてよっ!」

 砲弾を回避する。見慣れれば回避できないことはない。さらに連続して叩き込まれるが、ペリーヌとトゥルーデは回避。「そろそろ、か。ペリーヌ。散弾に気を付けろっ」

「了解っ」

 トゥルーデの警告を聞いてペリーヌは上昇を選択。トゥルーデもペリーヌと逆方向に上昇。そして、ペリーヌに向かって散弾が放たれる。

「予測できれば、対応、出来ます、わっ!」

 ばら撒かれる散弾を回避する。数は多いが回避できないほどでもない。トゥルーデと、さらにシャーリー、ルッキーニも空を舞い散弾を引き付ける。

 それでも相当な数の弾幕だが、今まで相手にしていたネウロイの全方位に向けて乱発されるビームに比べればまだ密度は薄い。ペリーヌは回避の一択。

 四人のウィッチが四方へとび散弾の射線を拡散させる。そして、

「掃射しますっ!」

 ミーナの指揮のもと、芳佳とエイラ、サーニャが頭部に銃撃。銃弾が頭部に集中し叩き込まれ、微かな疵を蓄積させて、

「コア、視認ですっ!」

 対装甲ライフルが火を噴く。銃弾がわずかに露出したコアを打撃。

 

 咆哮。

 

「やっぱり、コアを撃ち抜いても一撃必殺とはいかないわね」

 確かに、微かに露出した赤い輝き、コアにリーネの放った銃弾は突き刺さった。けど、鉄蛇は健在。

「続けますっ」

 わかっていたこと、だからリーネは狙撃を続ける。微かに露出したコアを一撃一撃、確実に銃撃していく。

 ふと、

「とぐろ?」

 鉄蛇はぐるん、と地面を薙ぎ払うように尾を旋回させ、とぐろを巻き始めた。「リーネさんは狙撃を続けて、他、みんなは警戒」

 動きがあった、故の指示にウィッチたちは距離を取る。狙撃を続けるリーネの傍らにはトゥルーデ。芳佳はいつでもシールドを展開できるよう最前線で意識を集中させる。

 鉄蛇はとぐろを巻き、動きを止める。ごぐん、と。その喉が大きく膨らむ。

 え? と、誰かが呟いた気がして、

「散会っ! 宮藤っ! 受けようなんて考えるなっ!」

 エイラの警告。そして放たれる巨大な砲弾。

 巨大な鉄蛇の頭部。その倍はありそうな、それ自体が中型のネウロイに匹敵する弾丸。それが迫る。けど、

「遅すぎだっ!」

 弾速は遅い。ウィッチたちはそれを悠々回避し、その砲弾が、下から砲撃された。

 

 爆発。

 

「きゃううっ?」

 何が起きたのか、リーネには一瞬分からなかった。

 大爆発、爆風がシールドごとリーネを吹き飛ばし、放たれる礫がシールドを叩く。目を開けようにも爆発の光が強くて視界が悪くなる。

 そして、停止。「みんな、は?」

 いない。けど、引き離されたことはわかる。直下にいた鉄蛇が今は離れている。

 鉄蛇が爆発で吹き飛ばされたことないだろう。すでにとぐろは巻いていないが、あの状態から高速で移動できるとは思えない。

 と、

『みんなっ、返事してっ! 怪我はないっ?』

「は、はいっ! リネット・ビショップ。……損傷ありませんっ!

 鉄蛇の追撃を継続しますっ!」

 インカムから響いた声に、反射的に応じる。リーネ同様いくつかの声が重なり、…………けど、

『ペリーヌさんっ! 応答しなさいっ!』

「ペリーヌさんっ!」

 彼女からの、返答がない。リーネは急ぎ飛翔。

『宮藤さん、ルッキーニさんっ、シャーリーさん、エイラさんはペリーヌさんの保護っ! 他は鉄蛇の牽制っ!』

「撃ち、ますっ!」

 距離がある。けど、今はそれどころではない。一刻も早く銃撃して、鉄蛇の注意を引かないと。

 そして、それはほかの皆も同じ、鉄蛇に銃弾が叩き込まれる。……けど、

 けど、鉄蛇は一度頭を上げて、這う。残骸を蹴散らして一方向へまっすぐに突き進む。

「ペリーヌさんっ!」

 その迷いのない動き。最悪の想像が頭をよぎる。

 つまり、鉄蛇はペリーヌの位置を把握し、まずは彼女を殺すために、と。

「させないっ!」

 引き金を連続して引く。反動が肩に叩きつけられるが。それを無視。

 と、

『遅くなって、申し訳ございませんわ。ペリーヌ・クロステルマン。無事、ですわ』

 聞こえてきた声に、ふと、安堵しそうになる、が。

『鉄蛇の、追撃を、受けていますっ』

 さ、と。血の気が引いた。

 ペリーヌの声には疲労がある。おそらく、先の爆発を近くで受けたのかもしれない。シールドで魔法力を大きく削られたかもしれない。

 そんな状況で追撃を受けたら、……いやな想像を振り払い。鉄蛇の方に飛翔。

 と、

「あ、れは?」

 大きな建物の上に巨大な岩。おそらく、鉄蛇が尾で抉り飛ばした岩が乗っているのだろう。

 一息。

「ペリーヌさんっ! 岩が乗ってる建物、そちら目指せますかっ?」

『……やり、ますわっ!』

 ごめんなさい、と。疲れているであろう彼女にさらに無理をさせることにリーネは小さく呟く。

 鉄蛇の進路がわずかに変わる。リーネの指示した方へ。

 

 体が重い。ストライカーユニットの出力も悪い気がする。

 直近での大爆発。必死にシールドを展開し、けど、爆風に吹き飛ばされた。一瞬意識が朦朧とするほどの衝撃。必死に意識を保ち、背中にシールドを展開。

 それをしなければ死んでいた。けど、それでペリーヌの魔法力は大きく削られている。飛翔する事さえ、苦しいほどに。

 そして、リーネの指示した先、鉄蛇が尾で巻き上げたらしい巨大な岩がある。だから、その狙いはわかる。

 あれを落下させて、鉄蛇に直撃させる。頭部に激突してコアが壊れれば御の字、体に当たればそのまま楔になる。

 だから、ペリーヌは必死に飛翔。リーネやエーリカ、ミーナ、エイラも飛翔しながら鉄蛇を追撃。銃撃を継続している。

「ほ、……んと、あたま、来ます、わ」

 小さく呟く。間違いなく、鉄蛇は自分が一番弱っていることを把握している。執拗な追撃はその証。まずは一人落とす。その判断は頭にくる。

 いっそのこと魔法力を使い果たす覚悟で一矢報いてあげましょうか、と。思考にちらりとそんな思いがよぎり、けど、

「だめ、ですわね」

 この位置からでは露出したコアに攻撃は届かない。雷撃をしたところで無駄だし、魔法力が尽きれば墜落して次の瞬間には死体も残らない。……そうなれば、

「ああ、もうっ!」

 領民、預かる子供たち、…………そんな顔が頭によぎれば、命を懸けた一撃なんで出来るわけがない。絶対に、死ぬわけにはいかない。

 そして、大切な仲間を思う。だから、

「ごめんなさい」

 誰かに呟いて武装、機関銃を後ろに投げつける。軽くなった、と。思う。

 けど、鉄蛇が口を開く。

「んっ」

 砲撃の音。けど、

「ペリーヌさんっ!」

 横から飛び出した芳佳がシールドを砲弾に叩き付ける。進路がそれ、砲弾が近くの建物を抉る。

「宮藤さんっ!」

「あそこだよねっ、私も一緒に行くねっ」

 ふらつきそうになる体を叱咤し、ペリーヌは飛翔継続。彼女にそういわれたら、虚勢でも弱っているところなんて見せられない。

 ふと、芳佳は困ったように、「ええと、それとも別行動の方がいい? 私が囮になる?」

「無駄ですわ。別れたところでわたくしを追撃するに決まってますもの。……だから、」

 だから、ペリーヌは芳佳に意地悪い笑みを浮かべる。

「絶体絶命の危機に、付き合ってくださらない?」

「うんっ、絶対に一緒に乗り切ろうねっ」

 ふと、こんなことを思った。…………彼女の事を、無茶苦茶な人ね、と。呆れていたが。

「あまり、人のこと言えないかもしれませんわね」

「え?」

「何でもありませんわ。っていうか、来ますわよっ!」

 鉄蛇は芳佳とペリーヌを追撃しながら砲撃。火炎の砲弾が地面を、建物を、砕き破壊していく。

 二人は低空の飛行を続けて回避。けど、まっすぐ進めばいいだけの鉄蛇とは違い、二人は障害物を回避し、砲撃を弾きながら前に飛翔。効率が悪い、と。判断。

「宮藤さん、シールドに集中してくださいませんかっ!」

「了解っ!」

 ペリーヌは芳佳の手を取る。そして前へ、芳佳も飛翔しているが障害物の回避、目的地への移動はすべてペリーヌに任せる。代わりに、攻撃はすべて防ぐ。強く握った手でその意思を伝える。

 鉄蛇の追撃もあるが、砲撃をしている間はわずかに速度が鈍る。ちょうど、これで同じくらいか。

 絶体絶命の追いかけっこ。リーネの指定した場所にペリーヌと芳佳は手に手を取り合って飛翔。鉄蛇は砲撃をやめて速度を上げる。二人を食らい砕こうと口を開く。

 もう少し、……けど、砲撃をやめた鉄蛇は速度を上げて、芳佳はペリーヌの手を取って飛翔する、が。急な運動で一瞬、姿勢が崩れ、

「おいつかれ「さあ、大詰めだっ! ど派手に行ってやるーっ!」」

「ハルトマンさんっ!」

 ひゅんっ、と。エーリカは鉄蛇の横を飛翔。そして、響くのは爆風の音。

「これでどうだーっ!」

 エーリカの固有魔法、疾風が建物の基部を抉る。建物が鉄蛇の進路をふさぐように倒壊。崩れた建物が鉄蛇に直撃。不愉快そうな声を上げ、「これも、あげます」

 体を打撃されて動きを鈍らせた鉄蛇の眼前、真正面。

 サーニャはフリーガーハマーの引き金を連続して引く。放たれるロケット弾が鉄蛇を連続して爆撃し、動きを止める。

「サーニャさんっ」

「芳佳ちゃん、ペリーヌさん、お疲れ様」

 ふわり、笑み。そして、その意味は、

「行ってっ!」

 リーネの銃撃、岩が乗る建物の屋根を銃弾が抉る。ぐらり、と。岩が揺れる、が。

「だめ?」

 落ちない。目論見は「にゃぁぁあああっ!」

 その屋根をシャーリーに発射されたルッキーニが固有魔法で抉る。今度こそ岩が落下。鉄蛇に直撃。

 巨大な落下物に鉄蛇は咆哮を上げる、振り払うように動くが巨大な落下物は鉄蛇への楔としてその動きを押さえつける。

「ついでだ。有り難く、受け取れえっ!」

 追撃、トゥルーデは長大な鉄骨を振り上げ、叩き落す。鉄蛇のコアに突き刺さる。

 が、それでも鉄蛇は健在。身をよじり重なる障害物をはねのけようと暴れる。

 けど、その前に、「これで、終わりですわよっ!」

 芳佳に抱えられて鉄骨を掴んだペリーヌは、全力で吼えた。

 

「トネールっ!」

 

 鉄骨を伝い、必殺の雷撃が鉄蛇のコアに直撃。……そして、コアが砕け、鉄蛇は消滅した。

 


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