Four worlds with each season Ver.Woman   作:@1319

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前回ようやく準備が終わったところまで行きました。では今回は何か。

それはこの作品内で一番重要になってくる戦闘における練習になります。まぁ、サブタイを見てくれれば分かると思いますが……。

全然季節の世界に行っていませんがこれが終わればいよいよです。それではお楽しみください!


いざ戦闘訓練

 お腹がすいている状態で、みんなが戦ってみたいということで私たちは博士の案内で訓練場にやってきていた。

 

「ここがみんなが来たがっていた訓練場だよ」

 

 そう言ってみせてくる光景は広い空間のある部屋だった。測定室のようにデータを見る場所から訓練場の様子を見ているが、遮蔽物はおろかただの床しかない何もない空間が広がっているだけ。こんなところでどんな練習ができるんだろう? 相手は自分たち……とか?

 

「その顔はなんでこんなに何もないんだろう? って顔だね。さくら君」

 

 はぅ! 博士に心の声聞こえてたのかな? そんなにわかりやすい顔をしていた……とか? あ、でもこの光景見たらみんな同じことを思っちゃうのか。雪ちゃんもなんか不満そうに見てるし。

 

「はい。多分同じことを雪ちゃんも思っているんじゃないでしょうか?」

 

 それに、純粋になんでここまで何もないのかは本当に気になるから早く話してほしいとは思う。……それにお腹すいてるし。

 

「あたしもそう思う。身を隠すところがないし、高低さなんて一切ないこの場所ではせいぜい打つ時の反動くらいしか参考にならない」

 

 私に名前をあげられた雪ちゃんも今思っていたことを博士に向けて言い放つ。……わぉ。なんか聞いてるとその通りだって気がしていた。ゲームをやってるから地形を利用した移動法とかを理解しているからこその言葉なのかな?

 

 雪ちゃんの言葉を聞いた博士は、私たちに背中を向けて機械を操作し始めた。

 

「確かにこのままだとそれくらいしかできない。戦う時の定石とかを理解できないから、あまり意味がなくなってくる。でも……」

 

 博士がそう言って、何かボタンを押すとそこには……

 

 そこには、今まで何もなかったところには荒野が広がっていた。室内なはずなのに風が吹き砂ぼこりが舞っている。ところどころには岩が置かれ、身を隠すこともできる。砂で足を取られる可能性を考慮して戦闘しないといけない。確かにさっきよりマシな光景が広がっていた。

 

 けど……。

 

「これでも武器を試すくらいにしかならない。移動して攻撃、っていうのはできるけど、攻撃する目標がないよね」

 

 そう。博士が言うように攻撃する目標がない。ただただ素振りと移動を含めての攻撃の練習ができるくらいで、敵と戦うのは本番だけ。そんな状況になってもおかしくなかった。

 

「そうですね……。でもそれって仕方なくないですか?」

 

 でも、私はそれはどうしようもないことだと思った。だって、敵を用意するって外にいるような敵を持ってくるのも手間だし、効率が悪いと思う。

 

 それに戦う練習をするにはきっと人とやったほうがいいんだろうと私はその場で納得をする。博士にまだ何も言われていないのに。

 

 私の言葉に博士はまた機会を操作し始める。……あれ? これってデジャブ?

 

 次の瞬間に博士は機械から手を離して私たちのほうを向く。けど私たちの目は博士ではなくその後ろの訓練場内のほうへ行った。

 

 だってそこには……今まで動くものなんて砂くらいしかなかったのにもっと大きな何かの生き物が歩いていたのだかから。

 

「ここはこうやっていろいろなパターンで訓練ができる訓練場なんだ」

 

 そうして私たちの反応を見た博士はこの場所についてを説明してくる。確かにこれなら地形、敵の組み合わせ次第では本当にいろんなパターンが再現できそう。

 

「ほぇ~、なんだかすごいねー! さっきまで何もなかったのに」

 

 今目の前に広がる光景が、先ほどまで何一つないただの部屋だとは全然思えない。それほどまでに急激に変わった光景だった。

 

 けど今までそわそわして黙っていた蛍ちゃんは少しだけ思うところがあったらしい。

 

「でもこれ、触れるのか? ホログラムとかいうやつだったら触れないんじゃないのか?」

 

 あ……。そうか、今までこれが本物であることを前提に話を聞いていたけど簡単に用意できるなら触れないとかデメリットがあるのかもしれない。それに、なんかホログラムなら簡単に用意できそうだし。

 

「大丈夫だよ。これは科学と魔法を合わせたものなんだ。科学面で地形のレイアウトと敵の動きを、魔法でそれを生成している。だからしっかりと触れるから安心してよ」

 

 へぇー。……なんかよくわからないけど、魔法と科学を混ぜてしっかりと触れるようにしたって認識で大丈夫だんだよね?

 

 あれ? でも魔法って確か……。

 

「……博士は魔法を使えるのかしら?」

 

 そう。紅葉ちゃんの言うように魔法って才能がないとできないものだったんだけどそれを機械に組み込んだとなると魔法を使えるってことになのかな? 博士が魔法がつかえれば紅葉ちゃんに教えてくれると思うからいいとは思うんだけど。

 

「僕は使えないんだ。ちょっと訳ありでね、こうした機械が作れたってわけ。だから紅葉くんに魔法を教えることはできない」

 

 けど、博士が言った言葉は使えないということだった。この機械も博士だけが作ったっていうわけではなさそうだ。まぁ、機械を使えるのには変わらないんだし問題ないかな。……壊れるような時が来たらきっと紅葉ちゃんが直せるくらいにはなってると思うし。

 

 博士の言葉に大きく息を吐きだした紅葉ちゃんの肩が少しだけ下がるのように感じた。残念だったのかな?

 

「そう……。私だけでやればいい話ね。わかったわ」

 

 紅葉ちゃんがそう言いながらもその瞳には確実な闘志が宿っていた。やる気になるところを見ていると、紅葉ちゃんって逆境に立たされると燃えるタイプみたい。なんか私と一緒だ。

 

 その紅葉ちゃんの発言はさらにほかの人たちもやる気にさせる。ずっと銃を撃ちたいと言っていた雪ちゃんも、もう我慢の限界がきているらしい。

 

「……早く銃が撃ちたい。博士……」

 

 雪ちゃんは博士にお願いするように銃を構えた。……構えた!? 雪ちゃん!? それはお願いじゃなくて脅迫だよ!?

 

「あぁ! そうだったね。じゃあ始めようか! これから模擬戦闘だ!」

 

 博士も冷や汗かいてるし……。でも、何はともあれこれから戦いの練習が始まるんだ。

 

 そうワクワクしてきているのを感じると自然と空腹感が紛れてくることに気が付いた。……そういえばさっきまでお腹すいてたんだった。けど、不思議と今はお腹がすいていない。早く試してみたい。そう思っていた私には空腹なんて今はどうでもいいことだった。

 

「この部屋は4つあるから君たちがそれぞれ同時にできる。試したい地形と難しさを選べば自動でできるから各自で操作してほしい。僕は他にやることがあるから失礼するよ」

 

 博士はどうやら他にやることがあるみたい。……操作自体は見てたからわかるけど、ちょっと不安があるんだけど……。まぁ、何とかなるよね!

 

 蛍ちゃんはすぐにこの部屋の訓練場に入って行っちゃったから私たちは別のところでやんないといけない。私は紅葉ちゃんたちと別れ1人で訓練場に向かう。これからより非日常的が事が始めるんだ。そんなことに少しだけ胸を膨らませて訓練場の中に入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 中に入ってみると最初に入った部屋と全く同じだった。確か、この装置を操作するんだっけ。うーん。最初は試し切りができるのでいいかな。まだ振れるかよくわからないし。

 

 私が試し切りを選ぶと操作室から見える競技場内に居合切りでよく見かけるものがいっぱい出てきた。

 ……よし! じゃあやっていきますか!

 

 私は競技場内に入り選んできた剣を構える。……んだけどすぐに試し切りができるわけではなかった。

 

 計測室の扉が開くとそこにはさっき博士についていったはずの時雨ちゃんがいた。一瞬、なぜここに来たのだろうと思ったけど、それは時雨ちゃんの言葉で解消した。

 

「さくらさん、手伝いに来ましたよ」

 

 そうだった。戦いにおける指導を受けようとしていたんだ。私は戦うことができると言われたけどもちろん戦闘経験があるわけではない。テレビとかで戦っているところを見たことはあるけど、見るのと体験するのでは全然違うし経験者に話を聞けば、教えてもらえばその分自分の身になっていく。だから私はカタナを使っているという時雨ちゃんに教えてもらおうとしたのだ。

 

 このタイミングで来てくれたことは本当にありがたい。最初肩話を聞くことができればあとで直す手間を省ける。

 

「時雨ちゃん! ちょうど今やろうと思ってたんだよ! 早くお願いします!」

 

 博士から各自でやってほしいって言われた時は一人でやらないといけないものだとばかり思っていたけど、時雨ちゃんはこうしてきてくれたんだし初めは思いっきり甘えさせもらおう。ここに来てくれたってことは時間はあるってことだし、しっかりとできるまで見てもらうつもりだ。

 

 それに、体の動かし方やその武器の特性をつかむためにはやっぱり経験者から聞くのが必要だもんね!

 

 時雨ちゃんは計測室にある機械を見て私かしっかりと設定することができたのかを確認する。

 

「……設定は出来たんですね。それじゃあ始めましょうか」

 

 どうやら失敗はしていなかったみたい。じゃあこのまま試し切りを始めよう!

 

「うん! お願い!」

 

 私がもう一度時雨ちゃんにお願いするを時雨ちゃんは笑顔のまま私のいる訓練場のほうに入ってきた。これで、いろいろと教われる! 私はこれから先生になる時雨ちゃんの指導を待つのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 これから訓練が始まるというところで時雨ちゃんは私のほうに手を出しながら口を開く。

 

「では、早速選んだ武器を構えてください」

 

 構えてほしいと言われた。どうやら最初から構えを教えてくれるわけではないみたい。私はどういう構えをすればいいのかなんて初歩の初歩ですらわからない。だから知っている構えを見よう見まねでやることしかできなかった。

 

「こ、こう?」

 

 私は、自分が想像をする中で一番いいと思う構えをしてみる。両手で柄を持ち前に垂直に立てる。剣道なんかでよく見る構えをしてみた。これならアニメとかでもよく見るし、実際に構えとしてあるわけだから間違いではないだろう。そう考えての構えだったんだけど……。

 

 時雨ちゃんの表情はどこかすぐれなかった。あれ? 何か間違えちゃった?

 

「……さくらさん。それはカタナや大剣向けの構えです。片手剣の最大のメリットは片手が明くことにあります。だから……」

 

 あ、確かにこれは片手剣だ。だから片手を開けるようにしたほうがいいってことになる。そうなると両手で柄を握っている私の構えは最初から間違えていたってことだ。それならさっきの時雨ちゃんの表情も頷ける。

 

 時雨ちゃんは私に構えを教えるために私の左手に触れ、剣から手を離させた。すべすべな手に触れられて同性ながら少しだけドキッとするけど今は構えのほうに集中しないと……。

 

「スイングのしやすさを考えるとさくらさんは右利きですから右手で権を握って左足を半歩前に出してください」

 

 そのまま私の体勢を少しだけ変える。半歩左足を前に出すと自然に左側が少しだけ前になる。足だけ出してと言われて足だけを出すのが目的じゃないなんてことはなんとなくわかる。だからどこか覚えのある足と上半身の構えをし始める。

 

「こう?」

 

 左側は歌舞伎でよく見るように突き出している状態に私はなった。この格好……どこかで見た、いややったことはあるんだけど……なんだっけ?

 

 そう考えているうちに時雨ちゃんから次の指示が入る。

 

「はい。では、剣のほうを右側に倒して構えてください」

 

 私は刀身を倒すように右手側を構える。こうしてみるとさっきの覚えのある原因についてわかった。

 

「……これってテニスの構えみたいじゃない?」

 

 そう。これはテニスのラケットの構えだ。厳密にはインパクトの瞬間の状態なのだけど、すごく身近すぎるか前に私は少しだけ拍子抜けしていた。

 

 けど、こういう構えをするように言った時雨ちゃんは私の言葉に頷きながらも予想通りといわんばかりの表情をしていた。

 

「わざとですよ。初心者が複雑な構え……読み合いの構えを下って意味はありません。ですからイメージしやすく、なおかつ力の入りやすいか前にすればだんだん身になります」

 

 確かに私は初心者だ。それを考慮しての構えだったみたい。定石とかそういったものは全く分からないから単純な構えのほうがいいのかも。何も考えない分力を入れやすいからこれはこれでいい!

 

 なんでそう思うのか。それは……。

 

「……うん! 振りやすい!」

 

 実はもう振っちゃってるんです。あ、もちろん時雨ちゃんは遠くに離れてるからね。でも力の入れやすい。かなり違和感なく振ることができた。

 

 この構えなら何とか戦っていくことができそう。そう私は思っていたんだけど時雨ちゃんの表情はまだ優れない。……また間違えたことしちゃったのかな?

 

「ただ、この構えの弱点は左側が空いてしまうということです」

 

 あ、そうか。確かにこの構えだと左側に何か来た時に対処できない。もしもこれが経験者なんだとしたら体の使い方でうまくいなせるのかもしれないけど、私はタダの素人。そんな体の動かし方なんて一切わからない。でも、初心者なのに弱点が丸見えだというのもだめなんだと思う。……あ、そうだ。

 

 私は懐からこの剣と一緒に持ってきたものを時雨ちゃんに見せる。

 

「あ、じゃあこれはどうかな?」

 

 剣だけを持ってきたと思ったら大間違い。私が少しだけ考えていたことがあってそれを実現するためにこの短剣を持ってきた。トリッキーな動きをするという点での実現はまだ難しいけど、少し変化を加えられるという点だとかなりいい考えだったのではないかと、少しばかり自信が持てる。

 

 多分、他の人だと2つの違う武器を使えるかどうかなんてわからないし、最初は無理だと思うだろう。けど、私は違う。さっき時雨ちゃんが言っていたことも、正しいと言えば正しいんだけど、間違っていると言えば間違っていた。それは……。

 

「私ってこう見えても両利きなんだよ」

 

 そう。私は右利きなのではなく両利きなのだ。といっても最初は興味本位で左を使ってたらいつの間にか使いこなせるようになっていただけなんだけど、それが今になって生きるのかもしれないと思うとなんだかうれしくなる。

 

 私の持ってきた短剣を見た時雨ちゃんはそれだと言わんばかりの反応を見せてくれた。

 

「でしたら左手に短剣を持ってみてください。小指側に刃が来るようにで」

 

 この短剣は逆手持ちをするみたいだ。今回のこの短剣の役割が左側を守るという補助的なものだから左に刃があったほうがいいんだろう。真ん中に来る攻撃は右手で何とかすればいいだけだもんね。

 

 私は時雨ちゃんの言った通りの構えをしてみる。それと、さっき簡単に振ってみてわかったことがあったのでそれもついでに実践してみる。

 

 少しだけ腰を落として重心を下に下げる。テニスの時もそうだったから多分こっちのほうが力が入りやすいんだと思う。それに下が安定すると振りも安定するからきっとこうやって重心は落としたほうがいいのだと考えて実行してみた。

 

「これでいい?」

 

 その構えを私は時雨ちゃんに見せる。

 

「はい。それなら左も守れるでしょう」

 

 今度は間違いなく時雨ちゃんの考える構えができたのだと実感した。明るい笑顔でそう言われるとなんか嬉しくなっちゃうな。だって、自分が考えたことさえも受け入れてくれたんだもん。普通にうれしいじゃん!

 

「じゃあ試してみるね!」

 

 私はそう言うと訓練場内に出てきている的に向けて切りかかる。テニスは学校の授業でやってたから少しはわかる。上下に振るよりもこうして横から振るのは驚くほど振りやすかった。切り返しもしやすいし左の短剣も速く切ることができる。

 けど右を強く振りすぎると背中を向けちゃうからそこの力加減は必要かな。大振りは敵に完全な隙を与えてからのほうがよさそう。

 

 試してみると意外にわかることと、良かったと思えるところを実感できて課題と、伸ばしておきたいところが少しだけ見えた。

 

「良い感じですね。では今度は敵を作ってやってみましょう」

 

 私に動き方を教えてくれた時雨ちゃんはいつの間にか計測室のほうに戻っていて機械を操作しながら私に話しかけてくる。

 時雨ちゃんは機械を操作し終わると私の目の前に白い光が現れる。あれは……さっき見たのと同じだ。博士が敵を出した時と……。

 

 ということは……来る!!

 

「……スイカ?」

 

 そう思ってさっきの構えをしたんだけど、目の前に現れたのは敵というにはいささか知っているものだった。

 敵として白い光から現れたのがスイカにジャック・オ・ランタンの顔を付けたようなモンスター。スイカにするくらいだったらカボチャのままでよかったんじゃないかな!?

 

 私がそうツッコんでいると計測室にいる時雨ちゃんから指示がはいる。

 

「倒してみてください。やることはさっきと変わりません」

 

 確かにやることは変わらないけど!! けどまだ心の準備ができてないよ!

 

「う、うん!」

 

 半ば無理やり相手をしないといけなくなってしまったけど私大丈夫かな? 動く相手を切るなんてまだやってないんだけど……。

 

 まぁいいや! そう思った私はスイカのモンスターに切りかかる。……はずだったんだけどスイカのモンスターが私に向けて突進してきた。

 

「っ……!」

 

 その攻撃を見た瞬間に私は考えを改めないといけないことに気が付いた。そうか、敵だから攻撃してくるんだった。攻撃してくるということはこっちもダメージを受けるということで、ダメージを受ければ痛いし、つらい。そんなことを今まで頭から抜けていたことは少しだけ恥ずかしい。

 

 けど今は考えているだけではだめだ。少しでも自分が安全になるために私は咄嗟に左の短剣で迎え撃つ。何とか左側に受け流すことができて私は無傷だった。けど、これが戦うってことなんだ。

 

 さっきの受け流しでわずかながら肉を切り裂くときの感覚が私の手にはっきりと残っていた。嫌なものではあったけど身を守るためには必要なこと。それに守るためにも……。

 

 私は今、世界を背負っている。こんなところで立ち止まっていちゃダメなんだ。蛍ちゃんの、紅葉ちゃんの、雪ちゃんの足を引っ張るなんてことは出来ない! 時雨ちゃんや、博士も私たちに期待してここに呼んでくれたのなら、その期待に応えないと!

 

 決意は決まった。私は真っ直ぐにスイカのモンスターを見た。今の私に高度な読み合いなんかは使えない。じゃあ……!

 

 私はとにかく先に動くことで攻撃のチャンスをあげようとした。半歩前に出ている左足を力いっぱい踏みしめて思いっきり前進する。そうすると普段出ないようなスピードで走ることができた。

 

 私の急な行動にスイカのモンスターは驚いている。でも、それが隙につながっていた。

 

 チャンス! 当然私はそう思った。相手の隙が作れたらな大きい振りで攻撃しても大丈夫!

 

 だから私は右手の片手剣を下からすくい上げるように切り上げる。攻撃が当たればこれは大ダメージにつながる。そう確信があった。

 

 けど、距離感がまだつかめていなかったみたいで剣の先端がわずかにかすれるばかり。決定打にはならなかった。

 

 最初からこんな大振りをしても当たらないかもしれないなんてすぐに考えつくこと。初めてのこの模擬戦闘で私は決意を固めた瞬間に冷静になることができていた。だからだろう。大振りを交わされたこのタイミングでも次の動きができる。

 

「なら!」

 

 上にある剣を今度は左下に向けて切り下げる。この攻撃は完璧に当たり敵は出てきたときの白い光のように消滅した。……一応短剣の追撃も用意してたんだけどね。私の初めての戦いはこういった感じに終わった。

 

 ふぅ~。まだ慣れないから疲れたよぉー。けど、これなら何とかやっていけそう! 蛍ちゃんたちは大丈夫なのかな?

 

 




初めて本格的に戦闘描写を入れてみました。自分が見た中ではイメージしやすいかなと思ったのですが結局は主観が入ってしまうので参考になりませんね。

皆さんはどうだったでしょか? 戦いの描写はイメージしやすかったですか? こういった表現はこれからも増えていくのでアドバイスがあればお願いします。

さてさて、今年から始まったこの作品。年末に投稿できて良かったです。次回からはいよいよ季節の世界に……いけたらいいな。

それでは皆さん、良いお年を!

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