Four worlds with each season Ver.Woman   作:@1319

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今回の話は、なんと……! 挿絵があります!

まさかの2枚目の挿絵! 描いてくれたのはとある私のリア友! いろいろと注文が多く、また書いてもらううえで任せたところもありますので、見ていってください!

それでは、今回は前回不穏なセリフで驚いているさくらたちを見届けてあげてください!


戦う準備 その1

 私はこの3人とは違って何もできない。そんな風に言われた気がした。でも、それが間違いであってほしいとも同時に思った。どういう意味なのかを博士に尋ねると、それはすぐに返ってきた。

「いや、そういうわけではない。普通の人たちと比べるとはるかに能力はある。……けどほかの3人のようにどこかが特出していいというところが見当たらなかったんだ。これは極めて例外的なことだよ」

 一般人と比べると私は異常な力を持っているらしい。運動能力も勉強も人並みだったはずの私が。だとすると先ほど言ってきた言葉の意味と矛盾してしまう。

 

 何も長所が見られない……。簡単に言えばそういう子のなのだろう。でも、それが特別なことであることだとは理解できなかった。

「え……? 話を聞く限り珍しそうもないですけど……?」

 何かに特化しているのが普通のことであるかのように言ってくるけど、私はどこかがほんの少しだけ伸びているだけでそれを伸ばすようにするのが普通だと思っている。

 

 けど私の考えは少しだけ違ったみたいだった。そこを訂正するのと同時に正しい部分は肯定して博士は話をしてくれる。

「ただ目立ったところがないというならそうだね。その場合は基本的に何もできないんだ。能力がなさ過ぎて」

 確かに私は特出している点がないと言われた。そして、それが例外的なことであるということも。そして新しく、能力がないと何もできないということを知った。

 

 だけど、今はそれがどういう意味なのかは分からない。だからわかるように聞き返すことにした。

「能力がなさすぎる……?」

 これじゃあ、私に能力があるって言っているようなもの。今まで一般人として過ごしてきたのに特別な人間だ、なんて言われてもすぐに納得ができるわけがない。

 

 私の疑問に答えるために、博士は少し何かを考えるようなそぶりをしていた。ここから先は何か考えながら出ないと説明できないみたいに。

「うん。君たちはこの異常を知るきっかけの原因が分かっていないからしょうがないと思うけど、感じ取れたのは君たちの持っているものがあるからなんだ。多分それが近くにあるから感じ取ることができたんだと思う。そしてそれが君たちに能力を与えている」

 博士は私たちがこの異変に気が付いた理由を話してくれた。話からすると何かを私たちは持っていて、それのおかげで今回の異変に気が付けたみたいだった。個人の能力とかではなく。

 

 そう言われても、それが何なのかはわからない。だから、話を聞いて思ったことを博士に対して聞き出す。まだ、わからないことが多いみたいだから。

「それは身に着けていないと効果がないのではないでしょうか?」

 私がまず疑問に思ったのは、そのアイテムを身に着けていないといけないのか。ということ。効果の範囲とか、そういうのをいろいろ知っておかないといけないと思ったから。

 

 そんな疑問に博士はすぐに答えてくれた。

「いや、そうでもないんだ。これはかなり珍しいケースではあるんだけどそれを幼い時から持っていたみたいですでに力を送る通路みたいなものは君たちの中に形成されているんだ。それは今のスキャンでもわかったことなんだけど」

 ここまでの話を聞いていろいろとわかってきたことを私はまとめる。

「じゃあ、今の話をまとめると特別なものを持っていたから違和感を感じることができて、それは私たちの能力にも関係するものである。そしてその物に近いほど効力が大きくなるということ。ですか? それが私の特徴のないデータとどういう関係があるんですか?」

 身に着けていない状況でも平気だけど、その物は近くにあったほうがいい。そしてそれは私たちの能力にも直接関係しているということがさっきの計測でわかった。そのアイテムは、私たちが昔から持っていたもの。ここまでの情報を聞いた私は、それが何なのかなんとなくわかった。昔から持っている、今は机にしまってあるあれなんだと。

 

 最後の私の疑問に対して、順を追って説明してくれていたみたいで、すぐに答えてくれた。

「それはね。君は今の状態で3人が扱う武器を同じくらいに使いこなすことができるからなんだ。今そのグラフを見せるけど特出しているのがAなんだけどさくらくんの場合ほとんどがBよりも大きく、限りなくAに近い数値を出しているんだ」

 私の今の状態でほとんどの能力がいい結果を出している。そういわれた。今まで普通に生きてきて、運動も得意とは言えないし、それは勉強も同じ。銃なんて触ったこともないし……。だけど、博士の言っていることは全部がみんなと同等の力を持っているということ。

 

 そのことを知った私は、何もできないのではないかと言われた時のように驚いていた。

「え……?」

 言葉としてはしっかりと理解してても、そのことを受け入れられるかと言ったらそうでもない。だけど、実際に事実であるため博士は続けて話を続ける。

「つまり君は魔法も使うこともできるし、長距離の銃を使いこなすことも剣などの接近戦だってすることのできる柔軟性を持った人ということなんだ」

 聞く限り、かなりチートな気がするけど……、博士が嘘を言っているようには感じられなかった。

 

 でも、話を聞く限り、自分がどういう行動をすればいいのかはなんとなく想像がついた。

「そう……ですか……。じゃあ基本はみんなのサポート的な動きをすればいいんですかね」

 スペシャリストがいるということはその3人が最大に動けるようにサポートをすればいいというような気がしていた。

 

 だけど私の考えが、完全な正解ではなかったみたいで、博士はそういうことを訂正してくれた。

「そういうわけではないと思うよ。僕が思うに、君は基本は接近戦をしていたほうがいいと思う」

 蛍ちゃんがいる近接戦闘を手伝うようにしたほうがいいと言われた。高攻撃力を持った蛍ちゃんがいれば何となく大丈夫な気がするけど……。

 

 どうしてもそう提案してきた博士の考えがよくわからなかったため詳しいことを聞く。わからないうちはいろいろと聞いておかないと、後々に響いてしまうから。

「それはどうしてですか?」

 私個人としては機動力に優れるといわれ、一撃の攻撃力が高い蛍ちゃんに任せたほうが効率はいいと思ってたんだけど……。

「おれ一人で何とかするけどなぁ~」

 蛍ちゃんも自分でできるということをアピールするかのように話に入ってくる。

 

 だけど、博士はしっかりと考えていたことを話してくれる。

「接近戦のほうが危険度が高いし、2人いればこそできることがあるから、そうしたほうがいいと思ったんだ」

 話を聞いてそうだと思った。近接戦闘は、最も近くで戦うため、危険度はある程度高くなってくる。そう考えると確かにサポートではなく全面的にそういう動きをする人が欲しいというのもわかった。

 

 ただ、まだ何もわかっていない状況でも自信はあるようで蛍ちゃんはそれでも食い下がって自分ならできるといっていた。

「それでも、おれは大丈夫だと思うけど……」

 それでも話していた内容には納得していたみたいで、少しいじけて話しているため反対ではないみたいだった。いうなればできれば自分一人でもやってみたいと思っている。という感じみたいだった。

 

 納得できたから、話は次に進もうとしていた。というより私自身が先の話を決めないといけないということを察した。

「どういったことができるのか教えてもらってもいいですか? 博士」

 いろいろとできるということは動き方次第で良いほうにもいくし、逆に悪いほうにもいく可能性ができていた。だったら少なくとも悪いほうにならないように何をやるかを決めたほうがいいと思った。

 

 その質問に対して私たちができることを博士が考えてくれる。

「それは、1人がガードしている時に背後から強攻撃を当てたり、二手に分かれて敵をかく乱したりしやすくなる。そうすれば危険も軽減できるからね」

 言われたことは、考えれば想像できる範囲のものだったけど、それを聞くだけでいろいろな戦術を考えることができる気がした。

 

 そういうことを考えつくと確かに戦闘が簡単になるような気がしていた。

「確かにそういうことができれば優位に戦闘が進められますね。どう? 蛍ちゃん。私はいいと思ったんだけど?」

 一番の問題はこの話に納得をしていたけど、乗ってこなかった蛍ちゃんがどうするかということ。嫌々やってもうまく動けるわけではないからね。

 

 私の尋ねた質問に蛍ちゃんが少しそっぽを向いて答える。

「……まぁ、やってみないとわからないだろ。それで話を聞く限りどっちがどういう行動をするかが重要みたいだし、やってから考える」

 確かにそうだと思った。話に聞いていてもやってみて行動をしてみないとできるかどうかなんてわからない。蛍ちゃんの言っていることはもっともだと思った。

 

 蛍ちゃんの発言は、やってもいいということを言っているようなもので、それを聞いた博士は少し安心した表情になった。

「じゃあ決まりってことでいいかな?」

 これからのことがある程度決まり始めたことを博士の言葉で理解する。

「はい!」

 私はやることが決まったことでより一層やる気を出した。

 

 ここまで話してきたことを博士がまとめてこっちに向けて話してくれる。自分のことは良くわかったけど、どういう行動をすればいいのかを確認する上では重要なことだと思う。

「じゃあ最後に確認するね。さくらくんが基本近接戦闘型で戦闘スタイルは様々なものを選べる。蛍くんが、完全近接戦闘型。紅葉君が、魔法を使った攻撃と後方支援。雪くんが、超遠距離狙撃の担当。いい感じにわかれたんじゃないかな」

 近接戦闘に2人、中距離のサポーターが1人、遠距離で敵を寄せ付けないのが1人。この役割分担ならかなり安定して戦闘が行える気がしていた。

 

 そして、それぞれが望んでやりたいと言い出したこと。だからなのかみんなはすっきりとした表情になっていた。

「みんながやりたいと思えるものを選べてるからいいんじゃないかしら。嫌々やって極められるものでもないでしょうし」

 未知に純粋な興味のある紅葉ちゃんは、不思議な力であるといえる魔法を使うことができて、雪ちゃんはゲームで使っていたからなのか銃が触れることにうれしくなっていた。

「銃が……触れる……!」

 かなり興奮しているようで、前から思っていたけど、銃のことになると結構性格変わるよね。雪ちゃん。

 

 続いて、体を動かすことが得意だという蛍ちゃんも、希望通りの戦闘の仕方ができていて嬉しそうに喜んでいた。

「いい感じじゃん!」

 私もできることがあるという安心感と、いろいろできることへの期待で、今は十分だった。

「それで問題ないです!」

 これからいろいろすることがあるけど、それ以上に新しいことをやり始めるという新鮮な感じが今の私を魅了していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私たちの戦い方がある程度決まり、みんなが受け入れたことで話が収束し、これから違うことを決めなくてはいけなくなった。

「決まったなら博士。あれを彼女たちに選んでもらいましょう」

 それを先に提案したのは博士の助手の時雨ちゃん。でも、私たちからしたら何のことなのかを理解するすべはなかった。

 

 だけど、時雨ちゃんの一言は博士に対しては十分に伝わっていた。博士はその言葉を聞くとすぐに頷いて私たちに向かい話し始める。

「そうだね、時雨くん。君たちには武器より先に、防具を選んでもらう。そっちがないと危険だからね」

 アレとはどうやら防具のことみたいだった。確かに、攻撃をすることよりもダメージを受けて命のかかわるようなことをが来たら意味がない。確かに一番最初に決めなくてはいけないもの何だと思う。

 

 私の考えていることは今の話を聞いていたみんなが思っていたことだった。

「そうね。……で、どこで選ぶのでしょう?」

 もちろん、ああやって決めてもらうといってきたのだから用意はしてあんだと思う。そのことを予想して紅葉ちゃんは、博士にその防具を決める場所を尋ねた。

 

 ……紅葉ちゃんは素直に進めてくれているのに、蛍ちゃんは少しつまらなそうに、雪ちゃんに至ってはまるでこの世の終わりであるかのように絶望していた。雪ちゃん……、銃を触るのが伸びただけでそんな顔しなくても……。

 

 ただ、そのことにツッコんでいては話がなかなか進まない。そう思っていたからこそ、反発していない今のうちに話を進めようと思っているようで、博士はすぐに紅葉ちゃんの話に同調していた。

「うん。時雨くんに案内をしてもらって。僕は簡単な魔法書を探してくるから、その間に決めておいてもらうと助かるかな」

 博士は紅葉ちゃんのために今の状態でも簡単に使える魔法が書いてある本を持ってくるようだ。いろいろとやることのある博士と時雨ちゃんには頑張って、としか今は言えないのがちょっと悔しい……。

 

 すでに博士は本を探すためにこの部屋から出て行っていた。結構急いでいるようにしていたから結構遠いところにあるのかな?

「では、皆さん。もう一度僕についてきてください」

 時雨ちゃんの言うように私たちは計測室に連れてきてもらったときと、この部屋に連れてきてもらったときのように時雨ちゃんの後ろをついていき、防具とやらがある場所に向かって歩き始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時雨ちゃんの案内で防具が置いてあるというところについた。

「ここに様々な防具があります。まぁ、防具といっても鉄の甲冑のようなものは皆さんは付けられないと思うので、こちらで作った素材を使った、布製装備になりますがその分、種類が多いので選んでください」

 様々な洋服が並べられているところを見せられ、部屋も小さくなく、むしろ大きいぐらいの広さなのにその部屋いっぱいに報復が並べられていた。

 

 その服の量は小さい洋服屋さんよりも大きく多種多様なものが置いてあった。これが全部防具であるというのだから結構驚く。

「ほぇ~。服屋さんみたいだね。こんなにあるのは」

 もう、お店といわれても違和感の感じない装飾に、服の量。マネキンまであるし……。なんかいろいろとすごい。しかも、服の量が多いため、色とりどりの衣装ばかりで目移りしてしまうほどの量だ。

 

 だけどここまで量があるのは少し違和感に感じる。出会ったときに言っていたことが本当ならここまでの量はないはずなんだけど……。

「ここにいるのはあんたたちだけじゃなかったのか? なんでこんなにあるんだよ」

 以外にもそのことを覚えていた蛍ちゃんは、ここにいる人が2人だけだったことを思い出して指摘する。

 

 そのことに気が付かれ、多分理由が少し言いづらかったことなんだと思うけど、時雨ちゃんが顔を赤くして下を向いていた。

「……博士の趣味です。あの人、男物、女物構わずに服をそろえるって趣味があるんです。時々僕にも着せようとして来たり……」

 やっと話してくれるということを戸惑っていた理由が分かった。この服の量はすごいけど、単純なおしゃれをするという目的だけで考えると、あまり向いている服が少ない……。

 

 その苦労を知った紅葉ちゃんは、いろいろと着せ替え人形のようになっていた時雨ちゃんのことを同情して優しい視線で見守っていた。

「それは……大変だったわね」

 女だからこそ分かる。おしゃれをしたいと思っているのに、着たい服とは違うものを着せられる苦痛。それがずっと続くのならそれは発狂ものだった。

 

 でも、それは普通に女の子としての楽しみを満喫していたからこそ、わかるものだったみたいで雪ちゃんはそれに反応せずに、マイペースに防具を選んでいた。

「えーっと、カモフラージュに合うような服は……」

 防具を探す時の雪ちゃんは真剣な様子で選んでいた。それは普通にファッションとして選んでいる時のようなものではなく、どうすれば命の危険がなくなるのかを必死に考えていた。

 

 でも、今やることは決まっている。早く決めるものを決めて、早く次の段階に行かなくてはならないのだから。

「まぁ、そんなことより。あちらの方は選んでいるようですので皆さんもご自由にお選びください」

 そのきっかけを作るために時雨ちゃんは、早く私たちに好きな防具を選ぶように言ってきてくれた。

 

 だけど、あの話を聞くと時雨ちゃんのことを大変そうだと思うが、私たちにそう言って防具を選ぶように言ってくれる。早く選んで時雨ちゃんのトラウマを無くしてあげなきゃ。

「じゃあ、私は……。これにしようかな? いや、こっちのほうがいいかも……。うぅ~、多すぎだよー」

 ただ、量が多い! これじゃあ決めるのに時間がかかってしまう……。ごめん、時雨ちゃん……。

 

 そんな私の考えを知らない蛍ちゃんは青の服がまとめられているところに向かい、ある程度見渡したと思ったら1つの服を取り出して呟いた。

「えっと、動きやすそうな服だから……。あ、これでいいや」

 

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 次に決めたのは、結構悩むと思っていた紅葉ちゃんだった。普通にファッションとかしそうな気がしたんだけど、何かの決め手を見つけたみたいで、即決していた。

「はっ、これは……月!? もうこれ以外はないでしょうね!」

 

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 もう、決まっていないのは私と雪ちゃんだけだった。早く決められた2人に驚きながら、少し防具を選ぶのに焦りを感じていた。

「蛍ちゃんと紅葉ちゃんはもう決まったの!? 早いねぇー」

 そして残っている雪ちゃんを探してみると、両手に2つの服をもって私の前に来ていた。

 

 そのまま私に向かって雪ちゃんが聴きたいことであろうことを聞いてくる。

「ねぇ、さくら。これとこれ、どっちがいいと思う?」

 両手に持った服を私に見せてどっちのほうがいいのかを聞きたいみたいだった。だけど、持ってきたのはかわいらしい服ではなく、片方が真っ黒なローブを主要なものにしたやつと、もう片方が深緑を基調としたものだった。

 

 純粋になんでこの2つに絞り込んできたのかわからない私は、雪ちゃんに聞いてみることにした。

「えっと、なんでそれにしたの?」

 結構な量があるのになんでこれを選んで来たのかということが、わからなかった。

 

 私に質問された雪ちゃんは最初はきょとんとした表情をしていたけど、すぐにその理由を聞かせてくれる。

「こっちは草原とかで身を隠すにはもってこいだと思ったから。もう一つが夜に戦闘する時に目立たないように黒をメインとしたものにした」

 確かに、2つの服は周りに溶け込むようなものになっていた。確かにスナイパーとしては見つからないようにしたいという気持ちもわからなくはない。

 

 それだと片方はあまり、万能性がないんじゃないかと思った。それは黒のほう。

「じゃあ、こっちなんじゃないかな? 多分夜でも使えると思うし、黒のほうは昼間は目立ちそうだし」

 これかが私の理由だ。昼間に活動することだって多いし、それなら両方にも使えて、しっかりともう敵の用途で使うことができるなら緑のほうがいいと思った。幸いにも緑というにはいろは濃く、深緑のような色をしていたから、夜も目立たずに行動できると思うし。

 

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 私の判断を聞いた雪ちゃんはすぐに緑のほうの服を胸に抱えて私に向かってニッコリと微笑んでくれていた。

「ならこっちにする。……ありがと、さくら」

 少し恥ずかしそうにしているけど、私にとってはとても心が癒されるような状況だった。

 

 これで雪ちゃんも決まった。人に参考になる意見を言うのはなんだかすっきりするなぁ~。

「どういたしまして。って私だけじゃん!? どうしよう……」

 って思ったけど、私が毛が決まっていないこの状況。まだ博士が来ていないから時間はあるんだけど、この状況は女として少し焦る。

 

 そんな私を見かねたのだろう、紅葉ちゃんが選ぶのにアドバイスをくれた。

「さくらさんは好きな色とかないのかしら? まずはそこから絞ったほうがいいと思うのだけど」

 普通ならそうやって決めていくのだが、いかんせん種類が多くて決まらないでいる……。

 

 だけど、とりあえず好きな色だけ想像してみることにした。そうしないと絞ることすらもできないと思ったら。

「うーん。やっぱピンクかな?」

 考えていくと真っ先に浮かんだのは一つの色だった。とても個人的に大事にしている色……。それを頭に入れてもう一度服のほうを見ていく。

 

 色を私が話した時には、もう蛍ちゃんがピンクで分けられている場所を見つけてくれたみたいでその場所を教えてくれる。

「ならここら辺にあるんじゃないか? なんか色ごとに分けられてるし」

 きっと自分の服を探していた時に気が付いたのであろうことを私に教えてくれた蛍ちゃん。ごめん……知ってたよ……。

 

 そのことについては触れずに、色が集まっているところを知ったという面で私は驚いていた。

「本当だ! ありがとう、蛍ちゃん!」

 そしてその場所を見つけてくれた蛍ちゃんに感謝をした。これで少しは時間短縮ができる。

 

 場所を教えてくれた蛍ちゃんだけど、目的としている場所が武器のほうなので、ワクワクした様子で私このことをせかしてきた。

「早く選べよなぁ。早く武器を見たいんだから」

 うん。私も早く決めていろいろな武器を見たいと思っているからできるだけ、努力していきたい!

 

 そう意気込んでいる時にまたしても近くから雪ちゃんの声が聞こえてきた。

「ねぇ、これは? 似合うと思う」

 その手に持っているのは自分の着ると決めていたものと、ピンク色で私の名前にある桜がメインとなった服だった。

 

 その服を見た瞬間、自分の中の何かが沸き上がるのを感じた。

「これ? おぉ! いいよ! こういうの!ピンクだけどしつこくなくて、ちょっと胸が開いている気がするけど……。ありがとうね、雪ちゃん!」

 ピンクが好きだといってもピンクの濃いものが好きなのではなく、薄く、儚いものが好きだったためすごくそれを見た時に感動してしまった。

 

 

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 それからは決めるまでが早かった。雪ちゃんの持ってきた服を手に取り、抱き着いて感謝をしていた。これで謎のプレッシャーのようなものから向けだすことができた。抱き着かれた雪ちゃんが顔を赤くしていた気もするけど、今の私にはそれが気のせいだと思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私たちの防具が決まり、少しの間博士が来るのを待っていた。蛍ちゃんは少し退屈そうに、紅葉ちゃんは博士が持ってくるであろう魔法書を楽しみにしながら、雪ちゃんはまだ顔の赤みが引かない状態で。私はどっちかというと蛍ちゃんと同じような感じで待っていた。……決めた防具を着て。

 

 博士が用意したという防具を着ているところで本を持った博士がこの場所に入ってきた。ノックはしてきたが、そのあとにすぐに着替えられるわけもなく、そのままドアが開いた。

「おやおや、みんな選べたようだね。可愛らしいじゃないか!」

 嬉しそうに私たちのことを見てくる博士を見て、私は時雨ちゃんの言っていたことが全く嘘じゃなかったことを悟った。……そして時雨ちゃんの感じた苦労も同じだということを証明することだった。

 

 




第1話で言っていたことが達成できず、あとさらに1話かかるという現実に驚いています……。

あと決めるのは武器。それとある程度の経験を経て、バトル展開に入っていきます!

それでは次回もお楽しみに!

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