トライアングル・フリート   作:アンギュラ

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大変長らくお待たせいたしました。


2章前編の最後の話に入って参ります。


それではどうぞ


雷鳴か……いや、断末魔か   …Unidentified Weapon

  + + +

 

 

北海 ヴィルヘルムスハーフェン北北西 約250海里

 

 

 

ブルーマーメイドの飛行船は未だに超兵器の動向を追跡し続けていた。

 

 

そのカメラが写し出したのは動きを止めた超兵器艦隊である。

 

 

 

霧が立ち込める中、ひっそりと佇む巨体には何者も寄せ付けぬ圧力があり、そこには艦隊停止後に浮上した超巨大潜水艦ドレッドノートの姿もあった。

 

 

 

ブオォン!

 

 

彼等がこの場で停止したのには訳がある筈――

 

 

 

飛行船は、彼等の真意と後方に控えている巨大艦艇の姿を捉えようと旋回を開始した。

 

 

 

その直後――

 

 

ビギィン!

 

 

霧の中から閃光が一直線に向かってきて飛行船を貫き、炎上しながら無惨にも海へと墜ちて行く。

 

 

 

 

それに目も暮れず、超兵器達は次なる行動を開始した。

 

 

 

ムスペルヘイムとドレッドノートの甲板には、夥しい数の航空機が立ち並び、静まり返っていた海がジェットエンジンの轟音で埋め尽くされる。

 

 

 

 

チカッ……チカッチカッ!

 

 

 

ムスペルヘイムからの発光信号を皮切りに航空機達は一斉に発艦を開始し、空へと舞い上がる。

 

 

 

 

あっという間に黒い翼を持ったカラス達に占領された空が異様な光景を更に不気味に演出した。

 

 

 

チカッ チカッ チカッ!

 

 

 

彼の艦は再び周囲に合図を送る。

 

 

カラス達の群れは艦隊を離れヴィルヘルムスハーフェンへと向けて飛び立ち、それと同時に超兵器達の機関が出力を上げてドレッドノートは再び海中に身を没し、残る2隻はゆっくりと前進を始める。

 

 

 

彼等はもう止まらない。

 

 

そこに存在する生物を灼熱の焔で焼き尽くすまで――

 

 

 

  + + +

 

 

大西洋 

 

 

 

スキズブラズニルは本来出せる筈の無い速度で航行していた。理由は、ハルナ キリシマ ヒュウガの3隻がワイヤーを伸ばして¨牽引¨しているからである。

 

 

 

そう、彼等には急がなければならない理由が出来てしまっていた。

 

 

 

ブリーフィングルームに集まった一同の表情は芳しくない。

 

 

 

ドイツを中心としたブルーマーメイド艦隊が、異世界艦隊の到着を待たずして出発してしまったのだ。

 

 

 

 

 

「宗谷室長。ブルーマーメイド艦隊は説得できましたか?」

 

 

 

 

「ごめんなさい……やはり止められなかったわ。でも、私も解るんです。彼女達の立場ならそうしただろうって」

 

 

 

 

「………」

 

 

 

シュルツの表情は険しさを増す――いや、この場にいた者は全て同じ顔をしていた。

 

 

先程行われた互いの情報交換の内容が頭に焼き付いているのだ。

 

 

 

超兵器級の光子兵器を始め、超常的な威力を誇るレールガンと量子兵器。

 

 

そして反物質ビーム砲。

 

 

 

それだけではない。

 

 

工作補給艦と化した超兵器デュアルクレイターの存在や、圧倒的な力押しの戦法から緻密な戦法まで、戦略に多様性を持たせたことで攻略が一層困難になったことも要因であろう。

 

 

 

そこへブルーマーメイド艦隊が無謀とも思える先陣を切ってしまった事がこの場に悲壮感すら漂わせてしまっていた。

 

 

 

しかし、ここでこうしても何も始まらないのも事実なのだ。

 

 

 

「行きたまえ」

 

 

 

「ガルトナー司令!?」

 

 

 

事態を静観していたガルトナーが立ち上がる。

 

 

 

「いかなる状況に於いても決して進む事を諦めない。それが我がウィルキア解放軍の理念ではないのか?」

 

 

 

「私も同意見よ!」

 

 

「宗谷室長……」

 

 

「私達ブルーマーメイドも行きます!どんな状況であっても私達のやることは変わらないわ!」

 

 

 

二人の言葉に両陣営のメンバーが大きく頷く、そして彼等の視線は必然的にもう一つの勢力に向けられた。

 

 

その代表者たる群像は、一同から向けられた視線に自信を含んだ笑みと頷きで答える。

 

 

 

全員の意思が固まった瞬間だった。

 

 

 

「ヒュウガ。俺達が先行した艦隊に追い付ける可能性はあるか?」

 

 

 

「正直ギリギリな処ね……距離がある以上、出せる艦艇は限られるわ」

 

 

 

 

「そうなると俺達とウィルキア、そしてはれかぜが適任だが……」

 

 

 

「あ、あの……」

 

 

そこでもえかが手を上げる。

 

 

 

「知名艦長、どうされましたか?」

 

 

「はい、その場合スキズブラズニルの指針はどうされるつもりなのかと……」

 

 

 

 

 

 

 

彼女の懸念はこうだ。

 

 

ヒュウガの試算によって、先行した艦隊に追い付ける可能性が五歩になっている以上、ヴィルヘルムスハーフェンで犠牲が出る事も考えられる。

 

 

その場合、スキズブラズニルの設備での迅速な対応が必要となってくる事は必定だった。

 

しかし、現在スキズブラズニルを牽引している蒼き鋼が前線に出た場合、速力が無い彼の艦は置き去りとなり、救える命が溢れてしまう事にもなり得るのだ。

 

 

更に――

 

 

事実上の主力が居なくなり、海のど真ん中に置き去りとなったスキズブラズニルは最早裸も同然であり、仮に超兵器の奇襲を受ければ対処は困難となる。

 

 

 

兵器拡散を懸念し、あらゆる技術を彼の艦に集約している以上、撃沈は即超兵器に対する攻め手を失う事に直結するのだ。

 

 

 

大西洋を掌握した現段階に於いては杞憂と思うかもしれない。

 

 

しかし大西洋には現在、地中海から逃亡したデュアルクレイターが展開している。

 

 

本体の速力を無視したとしても、足の速い小型艇や航空機の奇襲は可能であり看過出来ない。

 

 

 

敵は超兵器級をヴィルヘルムスハーフェンへ向かう異世界艦隊の背後に配置する事で判断を遅延させ、戦力を分断せざるを得ない状況を作り出す事に成功していたのだ。

 

 

 

 

「俺を除け者にするんじゃねぇよ……」

 

 

 

一同の視線が真冬へと集まる。

 

 

 

「スキズブラズニルは俺が護る。だからお前らは先行しろ」

 

 

 

「ダメです」

 

 

 

「!」

 

 

 

シュルツの言葉に彼女から発せられる威圧が上昇するのを一同は感じた。

 

 

しかし彼は意に介さず言葉を繋ぐ。

 

 

 

「宗谷艦長。言葉にせずとも解る筈です」

 

 

 

「ちっ!」

 

 

 

彼女は悔しさを滲ませた。

 

 

解ってはいるのだ。

 

 

弁天の装備ではスキズブラズニルを完全に防衛出来ない事に――

 

 

 

だがシュルツは彼女の――いや、彼女達の真価を見抜いていた。

 

 

 

「貴女にはやるべき事がある筈だ。確かに速力で劣る弁天を斥候部隊に組み込むわけにはいきません。しかし大惨事が懸念される以上、救出の手は必要だ」

 

 

 

「成る程な。俺達は救出班を組織してスキズブラズニルの到着と同時に岬達はれかぜへの攻撃の抑止と救出の増援を送る……だろ?」

 

 

 

「ご理解、感謝します」

 

 

 

「でもスキズブラズニルはどうすんだ?まさかこのままって訳にもいかねぇだろ」

 

 

 

「ハルナ。ここに残れるか?そうすれば蒔絵も同時に守れると思うが……」

 

 

 

「いや、私は先行部隊に組み込んで欲しい」

 

 

 

「!?」

 

 

群像の提案を受けたハルナの意外な返答に蒼き鋼の陣営が驚愕の表情をみせる。

 

 

 

「おい、良いのか?蒔絵と離れる事をお前が了承するとは――」

 

 

 

「重要なのは結果だキリシマ。どちらが沈んでも結果は同じになる。それなら適任者に託すべきではないか?」

 

 

 

「適任者だと?」

 

 

 

「ああ……」

 

 

 

ハルナはヒュウガへと視線を送った。

 

 

 

 

「ヒュウガ。複数の航空機を操れるお前ならスキズブラズニルを守れる筈だ」

 

 

 

「あら、随分と高く評価してくれるのね。でも艦上での操作では航空機にクラインフィールドを張れないわ。まぁでも、考えが無い訳でもないし良いわよ。引き受けてあげる」

 

 

 

「話は決まりましたか?」

 

 

 

「ああ……」

 

 

 

ハルナの返答にシュルツは大きく頷き席を立とうとした時だった。

 

 

ピピッ――!

 

 

「イギリスのプリマスに所属しているブルーマーメイドから超兵器に関する情報が入ったみたいね。今モニターに出すわ」

 

 

 

真霜が表示した映像を見た一同の空気がピリッと張り詰める。

 

 

 

 

「ムスペルヘイムと……これはドレッドノートか!?やはり空母改装を施していたのか。そしてもう1隻は――何!?」

 

 

 

攻撃を受けて落下する飛行船からの映像が途切れる寸前に、ムスペルヘイムの後方に控えている超兵器の姿が少しだけ霧の中から姿を現した。

 

 

 

それは、かつて戦った時とはかけ離れた異形の姿を取っており、超兵器を知り尽くしているシュルツを始めとしたウィルキア一同を激しく動揺させるものだった。

 

 

 

「シュルツ艦長?」

 

 

 

 

「岬艦長。事は一刻の猶予も有りません。直ぐに出撃の準備を始めましょう。超兵器の情報は移動しながら共有致します。ナギ少尉。ドリル戦艦シュペーアの修復は済んでいるか?」

 

 

「はい!弾薬を補給し次第出撃できます」

 

 

「ちょっと待って下さい!何が起きてるんですか?」

 

 

 

明乃達はシュルツ達がこれ程までに焦る理由が解らなかった。

 

 

しかし、次に彼が発した言葉に彼女だけではなく蒼き鋼の一同も戦慄する。

 

 

 

「手短に申し上げますと、最後の1隻は私達の世界で¨極東方面の統括旗艦¨を務めていた超兵器なのです」

 

 

 

「なっ――!方面統括旗艦ってニブルヘイムやヨトゥンヘイムと同クラスで、総旗艦の直衛艦の護衛についていると言う事ですか!?」

 

 

 

「そうなります。それも、当時とは姿形を全く変えて……」

 

 

 

「――っ!」

 

 

彼女達は事の重大さを理解した。

 

シュルツは彼女達の返答を待たずして声を張る。

 

 

「よし!ではコレより作戦に移行します。大戦艦ヒュウガを除く蒼き鋼、そしてシュペーアと空母メアリースチュアート、それにはれかぜはヴィルヘルムスハーフェンに襲来すると思われる超兵器を撃沈する為に行動を開始する。総員、出撃準備!」

 

 

 

「はい!」

 

 

 

一同は慌ただしく動き出した。

 

 

現場では作業を行うクルー達が、1秒の時間をも短縮しようと汗を流す。

 

 

 

   + + +

 

 

 

 

   +

 

 

401に乗り込んだ群像達は、互いにブリッジの配置に着く。

 

 

 

「全員所定の配置に就きました。艦長、ご命令を!」

 

 

 

「うむ。今回の戦いだが、俺達は出来うる限りサポートに回りたいと思う」

 

 

「はぁ!?直衛艦がいるってのに黙って見てろってのか?」

 

 

 

「直衛艦が¨いるから¨だ。イオナ、ハルナが収集したデータを出してくれ」

 

 

 

「うん」

 

 

 

チ…チ……

 

 

全員がモニターを注視した。

 

 

 

「見て貰うと解るが、今回双方の戦場で使用された量子兵器だが、我々の超重力砲がある程度効果を挙げている事が解った。勿論、キリシマも万全の状態で発射したわけでは無いが、それでも量子兵器の威力を相殺出来た意味合いは大きい」

 

 

 

「成る程、それで我々が量子兵器または重力兵器を使用された場合に超重力砲を使用して致命的な損害を軽減。そして発射に伴う隙をカバーするためにハルナとキリシマをサポートに回すと?」

 

 

 

「僧の言う通りだ。尤も、イオナは一発撃ってしまえばそれでお仕舞いな訳だが、その場合俺達は知名艦長と合流して海上と海中両面から超兵器を叩く」

 

 

『では私達はその後どうすればいい?』

 

 

 

「サポートの要であるヒュウガが居ない以上、ハルナとキリシマは重力兵器の妨害と戦闘海域全体の観測、そしてミサイルやレーザーで各艦を支援して欲しい」

 

 

 

『了解した』

 

 

 

   +

 

 

 

「ねぇ、もえか。私¨また¨アイツとやるの?」

 

 

 

「しょうがないよ。限られた戦力を使うしかないんだから」

 

 

 

「うぅ……」

 

 

 

「そんな顔しないで。私達はお互いに大切な人の近くで戦えるんだもん。地中海よりマシだよ」

 

 

 

「そ、そうね……解ったわ!超兵器なんて蹴散らして艦長に私の力を認めさせてやるんだから!」

 

 

 

「うん。その粋だよ!」

 

 

 

   +

 

 

「ヴェルナー。通信取れるか?」

 

 

 

『はい。感度良好です』

 

 

「うむ。今回の戦い、勿論負けるわけにはいかないが、それよりも政治的な意味合いが大きくなる。要救助者の情報は速やかにスキズブラズニルやはれかぜに通達しろ」

 

 

 

『はい、承知致しました。艦長……いよいよ始まるのですね。ヴォルケンクラッツァーの存在が露呈するまで【最凶の采配者】と言われ、帝国の切り札と思われていた総旗艦直衛艦隊¨旗艦¨との戦いが――』

 

 

「ああ。奴の前に散った数多の人命に報いる為にも必ずここで撃沈する!」

 

 

 

   +

 

 

 

はれかぜへと乗り込んだ明乃達も最終確認を急いでいた。

 

 

 

「杉本さん!新生はれかぜの仕様マニュアルの内容は間違いない!?」

 

 

 

『勿論だよ。時間が足りなくて習熟運転が出来なかったのは悔やまれるけど…大まかな内容は変わらないから新しく装備した機構のみを理解してくれれば問題無いかなぁ~。まぁ君達ならヴィルヘルムスハーフェンに到着するまでに馴れるんじゃない?』

 

 

 

 

「解った試してみるよ。皆きいて!改装によって内部や仕様が微妙に変化してるけど大丈夫?芽衣ちゃんタマちゃん!」

 

 

 

「うぃ!全員兵装の内容は理解してる。バッチリ……!」

 

 

 

「弾薬庫が増設されたみたいで前より快適だよ!よ~し!撃って撃って撃ちまくるぞ~!」

 

 

 

「ミミちゃん!」

 

 

 

『今、砲術長達が言っちゃったけど、弾薬に関しては問題なし!ペース配分は考えて貰うとして、心配ならどんな兵装を使い過ぎてるか随時報告するようにするわ!』

 

 

 

「ミカンちゃん、美波さん!」

 

 

 

『皆疲れてると思うし、長期戦闘も考えて特別に考えて作った携帯固形食と液体補給食を皆に配ったよ!』

 

 

 

 

『医薬品と治療器具は一通り備えた。後は出来る事をするだけだ』

 

 

 

「マロンちゃん!」

 

 

 

『コッチは特に変わった所はねぇが、実際は動かして見なきゃ解らねぇ事もあらぁ。心配すんねぃ!到着までにこのじゃじゃ馬をしっかり手懐けてやるからな!』

 

 

 

「うん。最後にリンちゃん!」

 

 

 

「えぇ!?私が最後?な、なんか緊張する……え、えっと私の処が一番変わってるかな。でも新型機構の内容は頭に入れたよ」

 

 

 

「解った。じゃあ出――」

 

 

 

『待って!』

 

 

 

「宗谷室長?」

 

 

 

   + + +

 

 

 

出撃をしようとした異世界艦隊に真霜が声をかけた。

 

 

 

「皆、艦隊旗を掲げて頂戴。蒼き鋼はロゴを送信したから開いてみて。」

 

 

 

 

各々が艦隊旗を掲げて行く。

 

 

 

「!」

 

 

 

 

彼等は目を見開いた。

 

 

 

掲げられた旗には交わる事の無かった3つの世界が繋がった事を意味する三角形の図形が描かれていた。

 

そしてその中心からそれぞれの辺に向かって平和の象徴である¨オリーブの葉¨が伸びており、各頂点には3つの世界のシンボルマークが描かれている。

 

 

 

左下には蒼い鳥が翼を拡げた絵柄とBLUE STEELの文字を、調和を意味する円で囲った絵柄が入った蒼き鋼のマーク。

 

 

 

右下にはあらゆる民族によって国家が形成された事を示す大小2つの菱形が重なった紋様と、中央に白い鳥が翼を拡げた姿を描いた旧ウィルキア王国国旗をそのまま引き継いだウィルキア共和国国旗。

 

 

そして三角形の一番高い頂点の処には――

 

 

 

 

波をイメージした紋様の上部に、背中に錨を象ったロザリオを背負い、まるで天に捧げるように地球を掲げる気高く美しい蒼き人魚が描かれたブルーマーメイドの紋章があった。

 

 

 

一番上に描かれた理由は、飽くまでも自身の世界は自らで護ると言う意志の現れなのだろう。

 

 

 

蒼い鳥

 

白き鳥

 

そして蒼き人魚

 

 

それらを結ぶ三角形とオリーブの葉。

 

 

いずれも共通するのは平和や調和であり、ヒトとは、たとえ住む世界が異なっていたとしても必ずや結び付き、判り合えると言う彼等の象徴でもあった。

 

 

 

あの日、横須賀での紅蓮の夜――

 

 

最初の邂逅の時に少しでも相手に敵意を抱き、銃声の一発が聞こえていたなら、互いに判り会う事は無く世界はとうに崩壊していたのかもしれない。

 

 

だが彼等は繋がった。

 

 

 

人間の負の部分すらも受け止められる彼等だからこそこうして共に前を向く事が出来たのだ。

 

 

 

人はそれを¨奇跡¨と呼ぶのかもしれない。

 

 

 

しかし、彼等に取っては必然に他ならないのだ。

 

 

 

だって彼等はそれぞれの世界で物語を紡いできた主人公達なのだから……

 

 

 

 

「皆、御武運をっ!」

 

 

 

真霜の言葉に一同は心が引き締まる感覚を感じた。

 

 

「よし!出撃する。航空隊は先行できる様準備を急げ!総員、警戒を怠るな!」

 

 

「はっ!」

 

 

 

「掛かるぞ!イオナ!」

 

 

「うん。きゅそくせんこう~!」

 

 

 

2つの陣営の艦艇がスキズブラズニルから出撃する。

 

 

真白は明乃に向けて声を発した。

 

 

 

「艦長!」

 

 

「うん!」

 

 

 

明乃は艦長帽を目深に被り直す。

 

 

いつもより鋭さが増し、その中にも確固たる意思が垣間見えるオーシャンブルーの瞳が一層光を帯びていた。

 

 

彼女は大きく息を吸い込むと手を前にかざし、吸い込むだ息を一気に吐き出した。

 

 

 

 

「コレよりはれかぜはヴィルヘルムスハーフェンを解放して皆を助ける!総員配置に就いて!」

 

 

 

「艦長、いつでも良いよ!」

 

 

『合点でぃ!』

 

 

 

艦内から一同の声が次々と聞こえ、明乃は大きく頷く。

 

 

 

「はれかぜ――出航!」

 

 

ブォォン!

 

 

汽笛が鳴り響き、スキズブラズニルから手を振って見送る船員達の声援を受けて彼女達は再び海へと漕ぎ出した。

 

 

 

この世で最も死に近い海へと……

 

 

 

 

「リンちゃん。今の内に新機構のテストをしておこうよ」

 

 

「う、うん!そうだね。勝田さん、大丈夫?」

 

 

 

『バッチリぞな!どんな風になるか楽しみぞな!』

 

 

 

「じゃあお願い。マロンちゃん、機関の出力を上げてくれないかな?」

 

 

 

『任せろぃ!』

 

 

 

「じゃ、じゃあやってみるね」

 

 

「宜しくリンちゃん」

 

 

 

『それじゃいくぞな!』

 

 

 

カチッ…ガゴン!キィイイイ!

 

 

 

「え、えぇ!?ちょっ…うそうそうそ!えぇええ!?」

 

 

 

新な機構の凄まじさに明乃だけでなく、はれかぜの全員が驚愕した。

 

 

 

 

   + + +

 

 

ヴィルヘルムスハーフェン

 

 

 

超兵器の襲来より先んじてヴィルヘルムスハーフェンへ戻ったミーナ達は驚愕する。

 

 

 

「なっ――」

 

 

「何故こんな艦艇があるんだ?それなまだ人が……避難を始めていたんじゃないのか!?」

 

 

 

彼の街には未だに人が行き交っており、電磁防壁を搭載していない艦艇も残っている。

 

 

テアの目には所々でブルーマーメイドの隊員が住民を説得する姿が目に入った。

 

 

 

「こちらノイッシュバーン。応答せよ!」

 

 

 

『こちらヴィルヘルムスハーフェン支部だ』

 

 

 

「何故住民を避難させない!防壁を搭載していない艦艇もだ!超兵器の到着は報告しておいた筈だぞ!」

 

 

 

『それが……』

 

 

 

勿論ブルーマーメイドは早期に非常事態宣言と避難命令を出し、住民に対して自制と避難を促していた。

 

 

しかし、超兵器の急な進路変更によって着の身着のままの避難を余儀無くされた住民のストレスは尋常なものではなく、更にそれらの住民が自宅に残してきた金品や食料を狙った略奪が横行しているとの情報が避難途中の住民の耳に入り刺激してしまったのがいけなかった。

 

 

 

主要な幹線道路は避難の車と逆走してまで自宅へ引き返す車列で渋滞し、挙げ句の果てには車を捨てて歩きだす者までいた。

 

 

そして略奪者と住民、帰宅を制止され怒りで暴徒と化した住民と警官の間で激しい銃撃戦が街の到る所で起き、街1つを巻き込んだ巨大なパニックが発生する事態となってしまったのだ。

 

 

ブルーマーメイドは体面上、事態を見過ごす事は出来ず、防空システムや防壁の搭載が間に合わなかった艦艇を避難させる事が出来なかった。

 

 

 

更に彼女達の不運は続く。

 

 

彼等の怒りの矛先は、超兵器接近の情報を伝えたブルーマーメイドに向けられた。

 

 

 

海の平和を護ると謳っていた彼女達が、超兵器を打倒出来ず住民の避難を半ば強制的に強いた事への苛立ちが遂に爆発したのだ。

 

 

 

世界各地では、超兵器の出現から海上での行き交いが事実上停止している。

 

 

理由は様々だが、各国による貨物船に対しての渡航の自粛命令と、あらゆる機関がパニックを恐れて超兵器に関する正しい情報を積極的に公開しなかった事により、マスメディアが連日恐怖を煽り立てる根も歯もないニュース報道の流布を繰り返した結果、漁業関係者や海運会社の労働者が海への渡航を拒否した事が大きい。

 

 

 

貿易や物流の停滞は経済に打撃を与え、先行きの不透明感が軒並み株価の乱高下を生み出して海運とは全く関係の無い企業にも影響を及ぼしていた。

 

 

 

更にだ――

 

 

 

海での物流の停止が各国の内陸にある農産物や畜産物の値段を爆発的に高め、住民は慢性的な品薄と物価の過剰な上昇に苦しめられ、自身の暮らしへの不満を募らせて行った結果、彼等の納めた税金が経済の建て直しや治安維持ではなく防空システムを始めとした戦闘に割かれると知れば最早黙ってはいられなくなる事は必定だった。

 

 

 

 

住民はヴィルヘルムスハーフェン港に大挙して押し寄せる。

 

 

この時点での住民の避難は、街全体の¨約2割¨程度しかすすんでいなかったのである。

 

 

そこへ最悪とも言えるタイミングでテア達の艦隊が訪れてしまい、それを見た住民の苛立ちは臨界に達したのだ。

 

 

 

「お願いです!避難してください!ここは危険です!避難を――!」

 

 

 

「黙れ人魚め!いや……お前達は¨魔女だ¨!何が超兵器だ!何が平和を護るだ!お前達は家に押し入ってくる¨ハイエナ¨共だって追い出してくれないじゃないか!」

 

 

 

「お願い!赤ちゃんのミルクが手に入らないの!少しでいいから分けて下さい!」

 

 

 

「終わりだ!俺の会社はもう倒産寸前…皆お前達のせいだ!責任を取れ!俺は家族を食わして行かなくちゃいけないんだぞ!お前達みたいにただ艦に乗っているだけで金が貰える訳じゃないんだ!」

 

 

 

「そもそも本当に超兵器が来るのか?海に出れない状況でどうやって確認したんだよ!何か企んでいるんじゃないのか?」

 

 

 

 

 

「お願いです避難をっ!本当です!ここは危険なので早く――」

 

 

 

「うるさい魔女め!」

 

 

 

ゴッ!

 

 

 

「あ゛ぁっ!」

 

 

 

 

住民を宥めていた隊員達に次々と投石がなされ、額から血を流す隊員もいた。

 

 

彼女達は、この状況においても住民達の説得を根気強く行うも、焦れてきた住民達はの怒りは収まらない。

 

 

 

 

 

「おい!きっとこの中には食料がある筈だ!奴等に独占させるな!」

 

 

 

「解った!奴等の好きにはさせない!行くぞ!」

 

 

 

「ちょっ、待っ――」

 

 

 

「退けぇ!」

 

 

 

「うっ――」

 

 

隊員の一人が突き飛ばされ後頭部を激しく地面に叩き付けた。

 

 

 

「あ゛っ……!」

 

 

 

濁った悲鳴をあげた彼女の頭から血が流れ出し、彼女は虚空を光を失った虚ろな瞳で見つめて動かなくなってしまう。

 

 

驚いた隊員の一人が彼女に駆け寄る。

 

 

 

「アデリナ!ねぇアデリナ!しっかりして!返事をしてお願いっ!」

 

 

 

 

幾ら強く揺すっても、彼女は決して動かない。

 

 

 

彼女の異変に気付いた周囲の民衆が立ち止まる。

 

 

 

「嘘…嘘でしょ?こんな…あっ、あぁっ!」

 

 

 

叫んではいけない。

 

 

彼女の死を悟られては成らない。

 

 

何故なら…。

 

 

 

その悲鳴は、虫の息だった彼等の¨理性¨に【確実な死】をもたらすからだ。

 

 

 

 

「あぁあアぁアアあアぁっ!」

 

 

 

 

耳を覆いたくなるなるような絶叫の後に訪れる不気味な静寂と――

 

 

 

「うぉおおおっ!」

 

 

 

完全に暴徒と化した住民達がブルーマーメイドの基地内へ雪崩れ込んでくる。

 

 

 

 

「や、止めっ……あ゛っ!」

 

 

 

遺体も、それに覆い被さる隊員も徹底的に足蹴にされる。

 

 

 

だが、事態はそれに留まらない。

 

 

 

「おい!コイツらの身ぐるみも剥いじまえっ!」

 

 

 

「なっ!ちょっ、やめて!い、いやぁああ!」

 

 

男達の一部がブルーマーメイドの隊員達を襲い始めたのだ。だがそれだけではない。

 

 

 

抵抗できない弱い女性や、赤ん坊を抱いた母親、更には少女に到まで、歯止めが利かなくなったやり場の無い生存本能は、無慈悲な暴力と化して弱者を蹂躙する。

 

 

 

ミーナは最早我慢の限界であった。

 

 

街を壊滅させるべく押し寄せる超兵器を打倒し、民衆を護る事が先決と大義名分を理解していたとしても、目の前で起きている余りにも過ぎた暴虐を見過ごす事など出来る筈もなかったのだ。

 

 

 

彼女はテアに掴み掛かり、涙で潤んだ瞳を鋭く吊り上げる。

 

 

 

 

「艦長!こんなの酷すぎる!主砲による空砲の発砲、若しくは機銃での威嚇発砲の許可を――」

 

 

 

「ダメだ!そんなことをしたら、今度こそ完全に秩序が失われてしまう!」

 

 

「艦長っ!」

 

 

 

「……!」

 

 

 

「既に失われています……!」

 

 

 

「くっ!」

 

 

 

 

何故こうなったと彼女は思う。

 

 

 

彼女達は民衆を護る為に存在する。

 

 

しかし、今はその民衆が自分達に¨無秩序¨と言う名の牙を向けてきたのだ。

 

 

 

人種も、況して住んでいる世界すらも異なる異世界艦隊が団結した事も、意思ある人類の成せる技なのだろうが、一方で極限の状態置かれた時に顔を見せる¨生物¨としての凶暴な本能。

 

 

それを兼ね揃えてうえで¨人間¨を定義するのだとすれば、この現状は正に人間の不完全でグロテスクな一面を顕著に現した例なのだろう。

 

 

 

テアは葛藤していた。

 

 

事は戦場の様に判り易いものではなかったのだ。

 

 

生と死

 

 

そして敵と味方。

 

 

 

それさえ考えていれば良いなら楽で済んだと言うのに……

 

 

 

 

 

苦悩するテアに焦れてきたミーナがもう一度掴み掛かろうとした時だった。

 

 

 

『か、艦長!』

 

 

 

「どうした!?」

 

 

 

彼女が返答の途中で理解した。

 

 

 

いや、耳に入って来てしまったのだ。

 

 

 

本当の¨敵¨が迫り来る音を……

 

 

 

ゴォオ!

 

 

 

「な、なんだ!?」

 

 

住民達は、空を見上げる。

 

 

雷鳴にも似た轟音が空から降り注いできたのである。

 

しかしそれは雷鳴よりも長く響き、何かが迫り来る様に音が大きくなってきた。

 

 

 

 

「来た……」

 

 

 

 

テアは轟音が鳴る空を睨んだ。

 

 

 

分厚い雲の中から、複数の黒い点が1つ現れる。

 

 

 

いや――

 

 

 

 

「そんな……まさかあんなに!?」

 

 

 

雲の中からは次々と黒い点が出現し、会話が聞き取れなくなるほどの轟音が回りを支配する。

 

 

テアは声を張り上げ、迎撃の指示を飛ばした。

 

 

 

「来るぞ!総員、攻撃準備!」

 

 

 

砲が動きだして天を仰ぎ、住民達はどよめきながら事態を見つめた。

 

 

 

「まだ引き付けろ!ウィルキアから提供されたECMシステムを起動。ミサイルの迎撃の準備を併用して進めるんだ!絶対に後ろに通すな!」

 

 

 

轟音が近付き、隊員達の額から汗が流れ落ちて床に跳ねる。

 

 

その音すらは聞こえてしまう程に隊員達の神経は極限にまで研ぎ澄まされ、同時に押し潰されそうな緊張で空気が張り詰め――

 

 

 

 

 

 

 

「今だ!攻撃始め!」

 

 

 

「街を護れぇ!」

 

 

 

ズガガガ! バシュウ!

 

 

 

艦艇から一斉に機銃とミサイルが放たれる。

 

 

住民達は、突如開始された戦闘の轟音に思わず耳を覆って悲鳴をあげた。

 

 

 

一方の放たれた数多のミサイルは逃げ惑う航空機を追尾して次々と空中で粉々に砕いて行く。

 

 

 

ゴォオオオ!

 

 

 

「隊を分散した!?ミーナ、各国の艦艇に伝えろ!フランスとオランダは右を、イギリスは左!私達は正面を叩く!」

 

 

「はいっ!」

 

 

テアの指示によって、各国のブルーマーメイドは其々の敵を追う。

 

 

 

彼女達ドイツ勢は、正面から突っ込んでくる航空機達に狙いを定めた。

 

 

 

ところが――

 

 

 

「航空機が一ヶ所に集まっている!?何故だ!固まれば不利だと言うのに」

 

 

 

「か、艦長!」

 

 

 

「どうした!」

 

 

「解りませんが、急にロックオンが利かなく成りました!他の国の艦艇も対処を求めて来ています!」

 

 

 

「くっ、敵も何らかの¨妨害装置¨を有しているのか!とにかく弾幕を張れ!奴等の好きにさせるな!」

 

 

 

 

 

激しい弾幕が飛び交う中、航空機の群れが機体を翻しながらテア達の頭上を通過して行く。

 

 

 

その際に彼女は群れの中に紛れ込んでいた黒い機体を複数目撃した。

 

 

 

「奴等の中に妙な形の機体がいる……ミーナ!ウィルキアから提供された敵航空機リストを出せ!」

 

 

 

「はい!」

 

 

 

彼女は手渡された端末から急いでリストを見つけ出す。

 

 

 

その中の¨要注意¨欄に記載された二種類が目に飛び込んでくる。

 

 

 

   ▽ ▽ ▽

 

超音速戦略爆撃機

 

【B-3 vigilanteⅡ】

 

※ステルス性有リ

長距離誘導爆弾の搭載を確認

 

 

 

 

超音速戦闘機

 

【F-41c BeelzebulⅢ】

 

※ステルス性&誘導妨害有リ

 

指揮官機の護衛並びに敵地偵察としての出撃を確認

 

 

   ▽ ▽ ▽

 

 

 

特にB-3の機体は航空機の概念の無い彼女達にとって正に異形の存在であった。

 

 

主翼が機体の最後尾付近にあり、コクピット部がまるでペリカンの嘴のように前に飛び出た前進翼タイプの機体と、漆黒のカラーリング。

 

 

そしてとてつもない速度と機動性。

 

 

 

幾ら最新の装備を搭載したとしても、対空戦闘事態の経験が薄い彼女達には余りにも荷が重い相手と言えよう。

 

 

 

「くっ……奴が指揮官機か!」

 

 

B-3は彼女達の攻撃を交わし、市街地へと向かって行く。

 

 

 

「まさか……ダメだ!」

 

 

 

悲鳴にも似たテアの声が艦橋にこだました。

 

 

無情にも、不吉の象徴とも言えるカラスの姿はどんどん離れて行く。

 

 

 

誰も追い付けない凶速で――

 

 

 

弾幕を回避したB-3は、機体下部にあるハッチを開いた。

 

 

 

「ダメだぁ!」

 

 

 

彼女脳裏に先程のリストに掲げられていたB-3の兵装が過る。

 

 

 

サーモバリック誘導爆弾

 

 

そして――

 

 

 

「やめろぉおおお!」

 

 

 

テアはまるで祈るように叫んだ。

 

 

 

手にした端末にはある兵器の名が記されていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【特殊弾頭誘導爆弾】

 

 

 

 

 

 

ドクン…ドクン……!

 

 

 

 

テアの心臓の音がやけに大きく鼓動した……

 

 

 

 

 




お付き合い頂きありがとうございます。


人間の光と影。


そして異世界艦隊が強者とするなら、通常艦艇は…。



久しぶりに描いた、一般常識VS非常識との戦いに成りましたが、航空戦力が無いとここまで無力かと思うと、ホントに敵の方がチートであると改めて思い知らされます。



次回は言わずもがなの展開です。



今しばらくお待ちください。



























  



とらふり!  1/144ちょうへいきふりいと


グロースシュトラール
「皆、お疲れ様」



ヴィルベルヴィント
「はふぅ~お疲れ様です!」



尾張
「お疲れ様でございます」



駿河
「艦隊旗艦おん自らのお出迎え……誠に恐悦至極に御座います」




パーフェクトプラッタ
「     」



ジュラーヴリク
「お疲れ様ですん♪」




グロースシュトラール
「ナハト?」



ナハトシュトラール
「よくもまぁヘラヘラとしていられますね。総旗艦のお役にも立てずあっさりと撃沈された恥さらしが……!」




グロースシュトラール
「君はホントに真面目だね。でも現実逃避はいけないなぁ。策を労したにも関わらず君は今ここにいる。それが現実じゃ無いのかい?」



ナハトシュトラール
「戯れ言を!」



グロースシュトラール
「重要なのは時間だよ。今回はいろんな意味でこちらも時間が欲しいからね。私達は見事敵を分断し、物資や心を疲弊させた。後は主や総旗艦が上手くやってくださる。軍艦である以上、命令には過不足無く答えるのが基本だよ?」


ナハトシュトラール
「……」


グロースシュトラール
「君は理想が高すぎるんだ。見てごらん彼女達を――」




ジュラーヴリク
「お久し振りねん播磨♪ 」


播磨
「それより何で女言葉なの?アンタ航空機だから男――」



駿河
「姉上、それ以上は無情な呟きかと……」



播磨
「なんで駿河は武将言葉なの?」



パーフェクトプラッタ
「    」



播磨
「こっちは何を言ってるのか解らないし…あっ!言葉も透明なんだ!」





近江
「よく頑張ったわね尾張。姉として誇りに思うわ」



尾張
「いえ……お姉様に比べたら私など大したものでは御座いませんわ〃〃」




シュトゥルムヴィント
「速かったね~♪ 」



ヴィルベルヴィント
「速かったよ~☆」




ナハトシュトラール
「何と……破廉恥な!」



グロースシュトラール
「アレでいいんだ。私達に決定権が有る訳じゃない。全ては彼の艦達がお考えになる事だからね。それに干渉しようなんて、それこそおこがましい事じゃないのかい?」


ナハトシュトラール
「そ、そんなつもりでは……」



グロースシュトラール
「解ったなら行っておいで。あの子達も君を待っているよ。だって君は、私と同じ統括旗艦。あの子達を任された艦なのだからね」



ナハトシュトラール
「ええ、解ったわ……あっあの!」


グロースシュトラール
「ん?」


ナハトシュトラール
「出迎えてくれて……ありがとうございます〃〃」



グロースシュトラール
「うん……さぁ、行っておいで」



ナハトシュトラール
「はい!」



グロースシュトラール
(さっきはああ言ったが、総旗艦や直衛艦隊旗艦の考えは我々にも未知数だ。果たして何をお考えなっている事やら……)

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