トライアングル・フリート   作:アンギュラ

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お疲れ様です。

真珠湾攻撃中編になります。

それではどうぞ


天を泳ぐ悪夢    vs 超兵器

   + + +

 

インド洋

 

西進組で唯一超兵器や航空機との戦闘経験がない弁天クルーへの訓練が行われ、どうにか筑波から及第点を貰う事に成功した真冬は、シャワールームで汗を流しに来ていた。

 

 

 

そこに同じく汗を流しにきたもえかと遭遇する。

 

 

「おっ?なんだお前も来ていたのか」

 

 

「真冬艦長!?」

 

 

「いやぁ~参ったぜ。あの筑波ってオッサン、容赦ねぇからさ……」

 

 

「そ、そうですね」

 

 

疲れたように話す真冬の表情を見て、硫黄島での演習を思い出したもえかも、顔がひきつる。

 

 

だが真冬は直ぐに表情を戻しニッと笑った。

 

 

「それより知名さぁ。シャワー終わったら俺と飯食いに行こうぜ!この間の話も……な」

 

 

「わ、解りました」

 

 

もえかは頷く。

 

先日のヴェルナーとの会議の後、もえかは真冬の部屋で、明乃の件についての悩みを打ち明けた。

 

 

 

明乃の生い立ちや能力について、ろくに説明も無いまま出発した真冬は、珍しく驚愕し、そしてもえかに対し何も言うことが出来なかった。

いや、この複雑な内容に的確に答えられる者などいよう筈も無いのだが、それでも真冬は後輩の悩みに答える事が出来なかった事に責任を感じているようだ。

 

 

シャワーを終え、二人は食堂へと赴く。

 

 

「おっ!今日はシーフードカレーか、いいねぇ!」

 

 

「はい、私も大好きです!」

 

 

「ははっ!そいつは良かった。んじゃ速いとこ食っちまおうぜ」

 

 

 

二人はカレーを口に運ぶ、カレーの中に入っているスパイスの刺激と磯の香り、そして海老やイカのプリッとした食感が絶妙だった。

 

あっという間に、カレーを平らげた二人は、手元の水を一気に飲み干してグラスをテーブルの上に置くと、真冬が真剣な表情になるのをもえかは見た。

 

 

 

「それで、この間話してもらった件だが…上手くお前の悩みに答えてやれなくて済まなかったな」

 

 

 

「い、いえ。そんな事は……」

 

 

「あれから考えたんだ。お前の悩みは詰まる所、超兵器の意思よってアイツが壊れちまうんじゃないかってとこだろ?幼馴染みであるお前が近くにいなけりゃ尚更あいつの心に負担が掛かるんじゃねぇかってな。結論から言うが、そんな事は知ったことじゃねぇ」

 

「なっ……!」

 

もえかは真冬の台詞に言葉を失う。

 

 

「俺は思ってたんだ。今までずっとな。あいつから感じる違和感ってやつを」

 

 

「違和感……ですか?」

 

 

「ああ、お前はあいつとどんな事をしてみたい?仕事の話じゃねぇ。プライベートでだ」

 

 

「そ、それは。一緒に買い物したり、食事に出掛けておしゃべりしたりしたいです。あまりそんな時間が取れませんでしたし」

 

 

「そうだな。じゃあ今の質問をあいつ自身に言ったら何て答えると思う?」

 

 

「……あっ」

 

 

「気付いたみてぇだな。そうだ、お前と似たような事を言うだろうが、少し違う。あいつは公私関係なく、話す内容は仕事の事なんだろ?思えば不自然だったんだ。学生にしろなんにしろ、年頃の女が、艦っていう閉鎖的な場所に詰め込まれて自由を制限されれば、それなりにストレスになる、俺だってそうさ。だがあいつは、学生の時からまるで¨機械¨みてぇに業務に取り組み続けた。それは何でだ?」

 

 

「………」

 

 

「あいつには芯ってのがねぇのさ。心の芯ってのが……だから超兵器の意思とか言うのに簡単につけ込まれちまいやがる。何だっていいんだ。美味い飯が食いたいとか、お洒落したいとかでもいい。何かこの為に生きたい、生き残りたいって言う意思が無ければ。お前がいくら慰めても、焼け石に水ってもんだぜ。世界を守るだって?聞こえはいいが、何一つ中身がねぇんだよ」

 

 

吐き捨てるように言い放つ真冬にもえかは俯く。

 

 

彼女の言うことは、至極真っ当であったからだ。

 

 

 

 

知ってはいた、自分も含めたはれかぜのメンバーは艦長岬明乃ではなく、岬明乃という一人の人間を慕って集まっているのだという事を。

 

だが肝心の明乃自身は、その気持ちをあくまで艦長の自分に対して向けられていると無意識に思っているのだろう。

それを他人ではなく、明乃自身で気付かなければ意味がない。真冬の言いたいことはそう言う事であった。

 

俯き続けるもえかに真冬は、ニッと笑いかけた。

 

 

「悪りい悪りい!お前の幼馴染みの事だもんな。心配なのは当たり前だ。だが俺は、あいつは自分の力でその事を解決できる奴だって信じてるぜ!お前もそうだろう?」

 

 

「はい!」

 

 

もえかは目を見開き、真冬をまっすぐ見て答えた。

 

 

「んじゃ話は終わりだ。お前も自分を大切にして生き残ることを考えろ。あいつの為にもな!」

 

 

「ありがとうございます。それでは!」

 

 

もえかはお辞儀をして去って行く。

 

 

 

真冬はてを降って見送ると、表情を険しくして背後の人物を恫喝した。

 

 

「盗み聞きとは感心しねぇなぁ。相談役様よう……」

 

 

男は特に焦る様子もなく坦々と答える。

 

 

 

 

「言い掛かりですよ。宗谷艦長。あたなは私より後に座席に座られたのですよ。それを盗み聞きとは――」

 

 

「黙れ!テメェ素性は、調べがついてんだよ。¨元特高¨の佐々井忠幸」

 

自分のかつての役職を言い当てられた佐々井は、特に狼狽するまでもなく。席を立ち上がり、先程までもえかの座っていた席に移動して真冬と対面する。

彼女は今にも噛み付きそうな鋭い眼光で睨み付けるが、佐々井は全く意に介していないようだった。

 

 

 

何より真冬を苛立たせたのは彼の態度である。

 

 

 

 

色で表現するなら、正に無色透明と言ったような特徴のない表情。高くも低くもない、普通の声。

真霜から提供された異世界艦隊のメンバー表の写真で顔を確認していても、ヴェルナーの会議の後に顔を合わせていても、目の前に来るまで存在すら忘れてしまいそうな位、とにかくあらゆるものが希薄な男だった。

職業柄、海賊や他国の工作員への尋問、犯罪人の引き渡し等で顔を会わせる各国の関係者等、色々な人種と顔を会わせる機会が多い真冬であっても、目の前にいる男の思考を読むのは容易ではない。

 

だが、そんな事で引き下がる訳にはいかない真冬は毅然とした態度で佐々井に食って掛かる。

 

 

 

「テメェ…何を嗅ぎ回ってやがる」

 

「はぁ……仰られている意味がよくわかりませんが」

 

 

 

「しらばっくれんじゃねぇ!特高が何の理由もなしに動くわけがねぇだろ」

 

「ですから私は、ヴェルナー艦長よりブルーマーメイドの相談役として――」

 

 

ガシッ!

 

真冬は、佐々井の手首を掴んで引き寄せると、今にもキレそうなほど血管を浮かび上がらせ、彼に迫る。

 

 

「ご託は沢山だ。真実だけを正直に答えやがれ!」

 

「私は、本当に相談役役なのですよ。確かに、自分の世界では敵国へ潜入し、相手との会話から敵の重要施設等の位置情報を調査して、ウィルキアのエージェントに報告していたことは事実です。しかしながら、現世界に於いて、超兵器をある一国が所有しているわけでは無い以上、その必要はなく。戦闘員でもない私は事実上のお荷物なんです。故に、こういった形で少しでも限られた人員を有効に使って頂けるのは私としてはむしろ幸いであるところなんです」

 

 

 

 

真冬は少し焦りを覚えた。佐々井の言う内容は筋が通っていたし、何より掴んだ手首から伝わる脈や、瞳孔の動きからも嘘をついた形跡が見当たらない。

 

 

真冬は仕方なく佐々井から手を離した。

 

 

「チッ!取り敢えず納得してやる……で?軍属でもねぇテメェが、何で軍属と行動を共にしてやがるんだ?」

 

 

 

佐々井は、抑揚の無い声で語り出す。

 

 

「それには私の生い立ちから話さねばなりません。私は、貧しい農村の四男として生まれましてね。長男ならいざ知らず。それ以外の子供は¨口減らし¨や金の為に奉公や売りに出されるのが至極当たり前の時代だった。奉公先で下働きに明け暮れる毎日を送っていた私に、旦那様は良く声を掛けてくださり、みすぼらしい格好をした私に、『男は勉学に励むものだ』と古い教科書を譲ってもらい、下働きの合間にも勉強をするよう取り計らって下さったんです。後に知ることに成りました。その方がユダヤ人の排斥に異を唱えた樋口季一郎だと言うことを」

 

 

 

「樋口?知らねぇ名だな」

 

 

「成る程……日露戦争以降の歴史の違いによる齟齬ですね。此方の世界では、二度の世界対戦が起こる。その中で同盟を結ぶこととなったドイツは、ユダヤ人を迫害し、¨絶滅¨させようとしていた」

 

 

「ケッ!胸糞悪い話だぜ」

 

 

「同感ですね。勿論ユダヤ人は虐殺をおそれて方々へと逃げる。しかしその道中には、日本の支配する地区も含まれていました。同盟国ドイツへの配慮により、通常なら彼等を通すわけには行かない。しかし旦那様は彼等の通行を許可し、結果として一万人以上のユダヤ人を救った。私は憧れました。政府の意向に左右されず、大局的な観点から物事を見て行動できる人間でありたい。そう思ったんです」

 

 

「だがテメェは特高じゃねぇか」

 

 

「そう。記憶力を買われた私は、軍学校時代にの特高に引き抜かれた。そしてその内情を知ることとなった。軍事色の強かった当時、特高の仕事は敗戦思想や国家への不満に対する言動の徹底的な取り締まりです。この世界で言い表すなら、¨テロ等準備罪¨ですかね」

 

 

「調べたのか?俺達の国の内情を……」

 

 

「時間は限られていましたがね。まぁこの法律は、総理の意向では無いようには思われますが、言わば国民に対する言論や思想統制が目的の法律ですからね。もし仮に、明日から日本は世界に対し宣戦布告しますと言ったとして、それに反対すれば、それは国家に対するテロ、若しくはそれを企て、煽動したとして逮捕するといった内容です。私の仕事もそうでしたから」

 

 

「そんなの横暴だ」

 

 

「その通り。ですが、近所での世間話程度でも察知して見せしめとして逮捕、拷問を行い死に至らしめ、それを世間に意図的に流布すれば、会社でも家庭内でも¨日本万歳¨の声が鳴り響き、嘘でも繰り返し口ずさむ事で、一億総軍事国家というカルト集団を作り上げる事に成功した。誰しもが国家の為に、何時でも血を流して死ぬことを何よりの美徳とし、安穏とした当たり前の生を何よりも悪と断じたのです」

 

 

「………」

 

 

「しかし私は、その事がどうしても理解出来なかった。国の為に命をかけた結果が一億玉砕?間違っている。狂っている。だから私は、罪無き民衆を逃がした。捜査方法や範囲、内定の対象者は暗記済みでしたから。それらを意図的に知らせて身を隠して貰ったり、嘘でも国家を称賛するよう事前に勧告した。ですが同胞も馬鹿じゃない。私の行いが露呈するのも時間の問題だった。だがその前に日本はアメリカに敗戦し、進駐軍によって特高は解体されました。漸くこの国が開ける。そう思った矢先に――」

 

 

 

「超兵器……か」

 

 

「はい。真っ先に帝国に支持を表明した日本では、再び言論や思想の自由に制限を掛ける動きが再燃したのです。解体されたはずの特高も再び行動を再開する動きが見られた。故に私は、旦那様の様に国家に異を唱えるしかないと考えたのです」

 

 

「成る程…それでテメェがここにいるわけか」

 

 

「その通りです。ウィルキア共和国の関係者が拘束されている情報は掴んでいました。そして、それを解放せんとする一部の海軍軍人達の動きについても……故に私は、ウィルキア関係者が海軍軍人によって脱出が決行される日取りを、意図的に誤って流布し、それを手土産に海軍に近付いた。勿論信用はされませんでしたが、私はそれを告げた瞬間から海軍と行動を共にし、もし情報が誤りだったら私をその場で射殺してもらって構わないと言うと、私の解放軍への参加を認めてくださった」

 

 

「見かけによらず、危ねぇ賭けをしやがる……」

 

 

「ですが、国に異を唱えるには超兵器の打倒は必要不可欠であり、その為に帝国の機密情報の奪取は急務ですからね。軍人が荒事のプロであるなら、私は情報戦のプロです。敵地での捜査を解放軍のエージェントに提供し、機密情報を知ることで、彼等の限られた物資でも、敵に効果的な打撃を与えることが出来ます」

 

 

真冬はこの会話の最中、一瞬も佐々井から目を離さなかった。だがやはり、嘘は見えない。

 

 

 

ここは一旦引くしかないと観念せざるを得なかった。

彼女は立ち上がると、佐々井の横に立ち止まると、横目で彼を睨み付けながら言いはなった。

 

「テメェの事は解った。だが、完全に信用しちゃいねぇ。だが少しでも部下に妙な真似しやがったら…まぁいい。んじゃ、また何かあれば宜しく頼むぜ、¨相談役様¨!」

 

 

真冬は食堂を出ていった。

すると、今まで無表情だった佐々井の表情が急に真剣なものに変わる。

 

 

「彼女は¨シロ¨のようですね、フリッツ少尉。ですが味方になってもくれなさそうだ……」

 

 

 

佐々井が小声で話すと、真冬からは死角になっている耳の中に仕込まれていた小型のイヤホンから、フリッツの声がする。

 

 

 

 

『気付かれなかったか?』

 

 

「怪しまれてはいるでしょう。あなたのいう通り、とても勘が鋭いようだ。しかし会話もせずに雰囲気だけで性格まで解るとは、さすがですね。」

 

 

『茶化している場合か。バレたら、計画がおじゃんになるんだぞ!』

 

 

「想定の範囲内です。彼女は恐らく何も言わないでしょう。不用意に部下を不安にさせる人物とは思えない」

 

 

『了解した。容疑者の絞り込みは出来ているのか?』

 

 

「ええ、しかし確定には時間を要するでしょう。まぁ普通考えれば、少尉のいる東進組にいるのが自然なのですが……」

 

 

『固定概念は危険だ。あらゆる可能性を排除せず、引き続き調査を続行しろ』

 

 

「了解。また何かわかりましたら報告します」

 

 

 

 

佐々井は通信を切る。彼とフリッツは、小型の量子通信機で密かにやり取りを行っていた。

 

 

 

佐々井は表情をもとの無表情に戻し、ふと視線を前に向ける。そこには、真冬が口をつけていなかったコーヒーのカップがあり、彼はそれを手に取って口に運ぶ。

 

 

「勿体無いな。こんなに美味しいのに……」

 

 

 

温いがそれでも上質な薫りと苦味が口に広がる。

 

 

 

佐々井は、次なる調査の方法を頭でイメージし、そして結論を出すとコーヒーを一気に飲み干して自室へと戻っていった。

 

 

   + + +

 

リリー足掻く

 

 

 

とにかく、何かに這い上がれそうな所を見つけなければ、彼女の命は無いも同然であった。

 

 

(嫌だ!嫌だ嫌だ!死にたくない!私はこんなところで――)

 

 

 

 

 

キューン!

 

 

 

 

 

銃弾がすぐ真横を通過した。何名かその場で命を刈り取られる。

 

 

リリーの周りの美しい青色の海が赤く染まり、海とは違う生臭さが鼻を突く。

 

 

 

 

「ひっ…うっ、うぇぉ!」

 

 

 

思わず彼女は嘔吐するも、敵は休む間を与えてはくれない。

 

 

 

リリーは赤い海にプカプカと漂う自分の吐瀉物と、臓物を掻き分けながら泳ぎ続けた。

 

 

   + + +

 

 

「総員、救助体勢用意!」

 

 

 

 

明乃の号令で一気に艦内が慌ただしくなる。

 

 

 

彼女は、方々に支持を飛ばして、着々と救助の準備を進めて行く。

 

 

 

オワフ島に近づくに連れて黒い煙が増えていくのを見ているはれかぜクルーの緊張は極限まで高まっていた。

 

 

 

 

「主計部の皆は、救助と手当てに回って。砲雷部はみっちゃんヒカリちゃん、それにりっちゃんは救助班へ、じゅんちゃんとかよちゃんは、航空機が残っていたときに備えて迎撃体勢を万全に。航海部のさとちゃんは大型スキッパーで救命班の乗った救命ボートを牽引して現場に運んで、要救助者を救助して安全なところに避難させて。つぐちゃんめぐちゃんは、シュルツ艦長達から緊急の連絡が入るかもしれないから聞き逃さないで!万里小路さんは、ココちゃんと連携して湾内の海底座礁ポイントと障害物の確認をお願い!美波さんは治療の準備を!」

 

 

 

『了解!』

 

 

明乃の指示で各員が、準備を整える。

 

「シロちゃん!」

 

 

「やむを得ませんね……大型スキッパー免許は艦長始め、数人しか所持していません。行ってください!」

 

 

「ありがとう。はれかぜの指揮をお願い!」

 

 

「お任せください!」

 

 

明乃が急いで艦橋から離れて行くのを見送った真白は艦橋から指揮をする体勢を整える。

 

 

   + + +

 

 

ズドォォォン!

 

轟音と共に、トーマス・ワグナーから炎が上がって艦がいっそう傾いていく。

 

 

 

 

スミスは、爆風で体を吹き飛ばされ、甲板を転がった。

 

 

 

「うっ……くはっ!」

 

 

 

呻き声をあげつつも立ち上がろうとするも、左腕が骨折したのか、プラプラとして感覚が無く、体は最早言うことを聞いてはくれなかった。

 

 

 

(7機は落とした。でもここまでみたいね……)

 

 

スミスは傾斜する甲板に仰向けになる。

 

 

空を見上げた先には一機の急降下爆撃機が機体を翻し、こちらに向かって突進しようとしていた。

 

 

 

死期を悟ったスミスの脳裏には、自分の両親 学校の先生 海洋学校時代の同級生 自分が救って来た人々そして夫と子供たちの顔が次々と過って行き、瞳からは止めどなく涙が溢れてくる。

 

 

 

 

(あなた…トム…アマンダ……ごめんなさい。私は、良い妻でも良い母親でも無かったわね)

 

 

 

 

ブルーマーメイドは皆の憧れの仕事であり、給与も申し分無い。

 

 

 

だがその反面、現場の隊員は総じて長期間自宅に帰れないことも多く、緊急事態が発生すれば休みを返上して出動し、いつ死んでもおかしくない危険な任務をこなさなければならず、それ故に家族の関係が崩れるケースもあって、とても離婚率が高いことでも有名だった。

 

 

 

しかし彼女の夫は、スミスの仕事を尊重し、多忙ゆえに晩婚だった彼女に出来た待望の子供たちは、一月以上スミスが帰ってこなくとも、海のヒーローであるブルーマーメイドの母親を帰宅時には笑顔で出迎え、その日は決まって家族でご馳走を食べて多いに笑ったのだった。

 

 

スミスは目を見開く。

 

 

 

 

(そうだ…こいつらをこのままにしたら私の家族が――!)

 

 

彼女は無事な右手で腰にあった拳銃をなんとか取り出し、空へと向けると此方に向かってくる爆撃機に引き金を引いた。

 

 

 

パンッ!パンッ!パンッ!

 

 

 

 

(諦めない!最後まで抗って見せるわ!あなた達何かに、家族を奪われてたまるか!)

 

 

彼女は撃ち続ける。

 

 

だが当然の如く、そんなもので爆撃機を撃ち落とせる筈もなく、忽ちマガジンは空になってしまう。

 

 

スミスはそれでも、爆撃機を睨み付けて、一切目をそらさなかった。

 

 

そしていよいよ、爆撃機が爆弾を切りはなそうとしたその時――

 

 

ボンッ!

 

 

敵の体が突如として弾け、機体の制御を失い火を噴きながら、海へと落下した。

 

 

 

 

驚くスミスの視界を、美しい蒼の機体が、高速で飛び去っていく。

 

 

   + + +

 

リリーは思わず、空を見上げた。

 

 

突如現れた蒼い色の航空機が、敵を次々と落とし始めたからである。

 

 

「す、凄い……あんなに簡単に敵を――」

 

 

 

 

そこまで口にするとリリーは、我に帰る。

 

 

 

 

(いけない!今のうちに早く安全なところに!)

 

 

正直、彼女には体力はほとんど残ってはいない。

 

 

しかし今は目の前に一筋の希望がある。

 

 

リリーはその希望にしがみつく様に必死に体を動かして泳ぎだしていた。

 

 

   + + +

 

 

「凄い!何て機動性だ!」

 

江田は、セイランの性能に驚愕していた。

 

戦闘への介入から早3分で、十数機もの航空機を撃墜している。

 

 

だが――

 

 

 

「こいつ…性能はいいが、体への負荷が大……きい!」

 

 

当然だった。

 

 

そもそもセイランは人間が搭乗することを目的として作られてはいないからだ。

 

 

速度出そうと思えば軽く音速を超え、にも拘らずレシプロ機並みの旋回性能も有しており、その様な無茶な動きをしても機体がバラバラになる事はない。

 

 

 

一見理想的な機体にも思えるが、如何せん人間である江田には体にかかる重力の負荷が余りにも大き過ぎるのだ。

 

 

播磨戦の時にハルナが見せた操縦はメンタルモデルであるからこそ可能であり、かれには事実上不可能な芸当であった。

 

 

 

だが江田は、操縦桿とスロットルを絶妙に操作し、セイラン一機で対ジェット機対レシプロ機との戦闘を両方こなせるよう訓練をしていたのだ。

 

 

 

そして彼の視界には、新たな敵の姿を捉える。

 

 

 

 

「よし!いくぞ!」

 

 

江田は行った。

 

 

 

 

見た目とは裏腹の驚異的な速度で距離を詰め、ヒュウガに特別に取り付けて貰った主翼部の対空パルスレーザーを発射し、簡単に敵の体を射抜いて敵機を粉々に空中分解させてしまう。

 

 

「次っ!」

 

 

 

 

江田は直ぐ様次の行動に移る。

 

 

だが、予想以上に敵の数が多く、第二次攻撃隊の接近も間近だった。

 

 

 

彼の焦りがどんどん募っていく。

 

 

その時――

 

 

『待たせたな!』

 

 

 

突如通信が入った。その声の主は――

 

 

「も、モーリス隊長!」

 

 

江田が叫ぶとほぼ同時に、真珠湾上空をジェット機の群れが通過し、敵の第二次攻撃隊が接近してくる空域へと向かっていく。

 

 

『市街地を攻めてた奴等は片付けた。お前は湾内の敵を片付けろ!俺達が第二次攻撃隊の相手を引き受けてやる!なぁに、ちょっくら奴等の汚ねぇケツに一発みまってやるくらいわけないぜ!お前も、奴等に思い知らせてやれ。俺と一宮でお前を仕込んでやったんだ、10分ありゃ出来るよな?』

 

 

「はい!」

 

 

『ははっ!ちょっとは謙遜しろよな。奴等はダブルアタックを仕掛けてくるような連中だ……死ぬなよ』

 

 

「隊長も気を付けて!」

 

 

『へへッもうお前の隊長じゃねぇよ』

 

 

モーリスは、そういって笑うと通信を切る。

 

 

 

彼は眉をひそめたいた。

 

 

 

【ダブルアタック】つまりは第一次の攻撃で出来るだけ人の集まりそうな場所を破壊し、怪我人や生き埋めの人を助けようと集まってきた民衆やレスキュー隊、それに警察や医者などを、第二次攻撃で纏めて吹き飛ばす残虐極まりない戦法だ。

 

 

 

 

それをさせないためにも、江田は一刻も早く湾内の航空機を掃討する必要を強く心に刻む。

 

 

 

 

(モーリス隊長が引き止めいる間に出来るだけ敵を減らす。芽衣さん達が少しでも安全に救助出来る状況を作らないと!)

 

 

 

江田も表情を更に引き締め、残敵の掃討に入った。

 

 

   + + +

 

 

「艦長!蒼き鋼より超兵器二隻の特定を完了したとの報告が有りました」

 

 

「うむ、艦名は何か?」

 

 

「巨大潜水艦【レムレース】との事です」

 

 

「東に去った超兵器については?」

 

 

「残念ながら特定には至りませんでした……」

 

 

「そうか……よし!今は目の前の敵の撃沈を優先しよう。総員、対潜水艦戦闘用意!当超兵器に接近してやつの位置を伝え、蒼き鋼を支援する」

 

 

「はっ!」

 

 

ナギが敬礼を返し、配置に着く。

険しい顔のシュルツに博士が歩み寄った。

 

 

 

 

「たったの二隻……ですか。超兵器とはいえ、量産型で、しかも通常の潜水艦を少し巨大にした程度の艦です。我々の相手には、本来なり得ない相手ではありますが……強化や新型兵装の装備も考えられます」

 

 

「油断は禁物と言うわけですね?」

 

 

「ええ、レムレースの本来の戦い方のは、大量投入で敵を囲い込み、魚雷やミサイルでの各個撃破戦術ですから」

 

 

「解りました。伏兵の可能性を考慮して、音波探知での策敵を厳として行います」

 

 

 

 

 

 

ペガサスはソナーを起動し、超兵器の策敵に入る。

 

 

   + + +

 

 

 

「敵超兵器レムレース、機関の始動音を確認!」

 

 

「敵速は19ktですか……正直話に成りませんね」

 

 

「敵が俺達に使える兵装は、酸素魚雷と対潜誘導魚雷それに通常魚雷の三つ……クラインフィールドを抜くには役不足な兵装ばっかだぜ?」

 

 

401の艦橋クルーからの問いかけに、群像は暫し考え、呟く。

 

 

「簡単すぎる……」

 

 

「何だよ、この間の超兵器戦みたいな隠し球でも有るってのか?」

 

 

 

杏平が訝しげに群像を見つめる。

 

 

「それもあるんだが、もしかしたら――」

 

 

「敵艦、魚雷発射菅開きました。高速推進音感2!」

 

 

「来たか……よし!かかるぞ!」

 

 

401は、速度を上げ超兵器へと接近していく。

 

 

   + + +

 

 

 

 

江田は、湾内の航空機を完全に掃討していた。

 

 

「ふぅ、あらまし片付けたか……」

 

 

 

上空から見渡すと、あちこちから煙が立ち上っており、一刻も早い救助が必要なのは明らかだった。

 

 

(早くモーリス隊長と合流し、敵を一掃して救助に回らないと!)

 

 

江田がそう思った矢先――

 

 

『江田!聞こえるか?』

 

 

「モーリス隊長?どうされましたか?今から私もそちらに――」

 

 

『すまん……何機かに逃げられた。そっちに向かってる。相手を頼めるか?』

 

 

「りょ、了解!」

 

 

江田は直ぐ様レーダーを確認し、敵機の来る方向を確認して速度を上げた。

彼の表情は険しさを増す。

 

 

 

 

(まずいぞ……全機は撃墜できる。出来るが……)

 

 

 

 

江田の懸念はもっともだった。

 

 

 

セイランの性能は優れてはいるが、相手を出来るのは飽くまでも一機に絞られる。

 

 

 

そうなれば、残りの航空機が攻撃を始めてしまう。

 

 

 

況してやジェット機ともなれば、兵装はミサイルや航空バルカン砲、新型爆弾などを搭載しており、被害が甚大になるのは避けられない。

だが現状は、江田が何とか対処する以外に手だてはなかった。

そしていよいよ、敵機が視界に入る。

 

 

(五機か……後に取っておきたかったが仕方がない。¨空対空侵食ミサイル¨を使うしかないか)

 

 

江田は、正面から来る敵機に対空パルスレーザーを射撃、レーザーはあっという間に、敵機の体を貫通する。

 

 

 

 

 

「まず一機!」

 

 

だが、悠長にはしていられない。

 

 

 

直ぐ様機体を翻して次の敵に狙いを定める。

 

 

しかしジェット機である敵は、あっという間にセイランとの距離を開けてしまう。

故に今度は、敵に狙いを定めると操縦桿の頭にあるボタンを押す。

 

 

ピシュオオォ!

 

 

 

主翼の基部のしたに搭載されている小型ミサイルが発射されて敵機を追尾し、着弾すると同時にタナトニウムが機体を崩壊させる。

 

 

「残り3!」

 

 

江田は敵機を追い、高度を落として攻撃体勢に入っている敵にもう一発のミサイルを発射する。

 

 

「間に合え!」

 

 

ミサイルは猛烈な速度で飛翔し敵機に着弾し消滅させるが、残り二機は――

 

 

「くそっダメだ!間に合わな――」

 

ボォォォン!

 

 

「!?」

 

 

敵の一機が、突如ミサイルの直撃を受け爆発、粉々になる。しかし江田は、ミサイルを放ってはいない。

彼はそれが飛翔してきた方向に視線を向け、目を見開いた。

 

 

「あ、あれは……はれかぜ!芽衣さんか!」

 

 

   + + +

 

 

「よし、一機撃墜!かよちゃんナイスショット!迎撃システムは正常に稼働してるよ!」

 

 

芽衣は拳を前に突き出す。

 

 

 

だが、真白の表情は固い。体勢を立て直すために再上昇をかけている航空機がまだ残っているからだ。

 

 

 

 

残敵がいる以上、迂闊に救助の出動指示を出すわけにはいかず、一分一秒を争う救助の現場であっても、まず自分の安全を確保しなければならないのは基本であった。

 

 

 

何故なら今現在に於いて、救助出来る技術を持っているのは自分達しかおらず、もし何かあれば助けられる命も助けられない事を熟知しているからに他ならないからである。

 

 

 

故に真白は間髪を入れずに指示を飛ばす。

 

 

「立石砲術長!絶対に逃がすな!対空迎撃用意!」

 

 

「うぃ!じゅん……用意は?」

 

 

『バッチリ!何時でもズキューンといっちゃうよ~!』

 

 

「常に航空機の先端付近に照準を合わせて………おいて!」

 

 

 

 

志摩は順子からの返事に頷くと、直ぐ様航空機を見つめ軌道を読む。

 

 

(視認出来るだけ…砲弾よりは……簡単!)

 

 

 

 

敵機は機体を翻し、最重要の脅威であるはれかぜに向かって旋回を開始した。

 

 

 

 

彼女は瞬時に、対空パルスレーザーの弾速と航空機の軌道の予測を弾き出す。

 

 

 

 

 

 

「じゅん……今!照準の中心を航空機先端から左に1.5mmずらして!」

 

 

 

喋るのが苦手な志摩であるが、この時ははっきりと素早く指示を送り、対する順子も、それを瞬時に行動に移した。

 

 

 

 

 

青い光が高速に飛び出し、航空機へとひた走り――

 

 

 

ボォォォン!

 

 

 

レーザーは敵機のボディを貫通し、敵は炎上しながら海面に叩きつけられ粉々に砕け散る。

 

 

「よし!」

 

真白は思わず拳を握りしめた。

視線を横に向けると、志摩がVサインを出している。

 

 

だが、これで終わりではない。救助こそが彼女達の本当の戦場になるからである。

故に真白は表情を引き締める。

 

 

「今だ艦長!スキッパーを下ろして出動してください!」

 

 

『了解!シロちゃんも気を付けて!』

 

 

「了解!」

 

 

 

 

真白は通信を切る。

 

 

「納沙記録員、これ以上進めそうか?」

 

 

「もう少しだけなら……あまり深入りすると座礁の危険がありますね。バラストを排水する手もありますが、それだと敵が来た際に急激な動きを取りにくくなります」

 

 

『私もココさんの意見に賛成ですわ』

 

 

「万里小路水測員?」

 

 

『湾内の海底には多数の沈没船や障害物が山積しております。水深も浅いですし、敵がいらっしゃった場合も加味して、ある程度動ける位置にいた方が宜しいかと……』

 

 

真白は少し考えてから結論を出した。

 

 

 

 

「よし!ギリギリの所までは進もう。その後停止して、不測の戦闘に備えて待機。少し現場からは離れてしまうが、ここまで重傷者等を運んでもらうよう通達する。敵超兵器及び、敵航空部隊の殲滅の報が入り次第、本艦はバラストを排水して海底の障害物や座礁ポイントを避けつつ湾内の奥に進み、救助の効率化を計るものとする。救助班を含めたはれかぜ各位、了解か?」

 

 

 

 

「了解!」

『了解!』

 

 

真白は、全員の了解を受けて頷く。そして、黒い煙に包まれた湾内を眺めて表情を険しくした。

 

 

 

   + + +

 

明乃はスキッパーで、救助用ボートを牽引しながら、被害の甚大な湾内の奥へと進む。

 

 

 

辺りは黒い煙と悪臭が漂い、数多くの遺体が浮かぶ光景は思わず眉を潜めずにはいられない惨状だった。

 

 

 

「ひ、酷い……うっ!つぅ……」

 

 

 

 

明乃は、この光景を見はじめてから頭がズキズキと痛むのを感じていた。

 

 

 

 

《憎カロウ……》

 

 

「!!?」

 

 

《何故感情ヲ否定スル。ソノママ身ヲ委ネテシマエバ楽ニナレ――》

 

 

「おい、どうした?」

 

 

明乃はその声で我に帰る。

 

 

振り向くと救助の任務に随伴している大戦艦ハルナが此方に視線を向けていた。

 

 

 

 

 

 

「表情が優れないようだな。脈拍の上昇と急激な発汗を検知した。体調が優れないなら、スキッパーの操作を別の者に代える事を提案するが?」

 

 

 

 

 

 

メンタルモデル独特のまばたきの無い目に全てを見透かされいるような気がして、明乃はハルナから視線を逸らした。

 

 

 

 

 

「大丈夫です!行けます」

 

 

「そうか……で?私は何をすればいい?」

 

 

「残念ながら人手が足りません。船舶の内部に入って救助にあたる時間を取れないんです。だから――」

 

 

「了解した。全艦船の生存者をスキャニング中――完了。これより、任務を開始する」

 

 

ハルナは立ち上がる。

 

 

「ちょ……ハルナさん!?今立ち上がったら危な――」

 

 

そこには既にハルナの姿は無かった。

 

スキッパーから跳躍をしたハルナは、水面に着水する前に水面上を¨走り出し¨転覆している艦船に向かって、弾丸の如く突き抜けていった。

 

 

理屈は簡単だ、片方の足が水中に沈む前に上げて、もう片方の足を下げる、それを高速で繰り返すだけ。

 

言葉にするのは簡単だが、それを人間が行うのは不可能であり、その現実は彼女が人間ではない事をゆうに物語っている。

 

 

それを見て思わず呆けてしまった明乃は、慌てて表情を戻し、救助班に指示を送る。

 

 

「とにかく私達は、海上にいる人の救助を急ごう!一度に全員は無理だから、重傷者や衰弱してる人を優先して!残りの人には、救命胴衣を来てもらって、出来るだけ一塊になるよう指示するのも忘れないで!また、敵が攻めて来る場合も有るかもしれないから、はれかぜからの無線を聴き逃さないで!」

 

 

「了解!」

 

 

マリンスーツを着こんだはれかぜクルーが、一斉に行動を開始した。

 

 

 

 

 

 

   + + +

 

 

 

 

「敵艦から再び魚雷の発射音を確認!感4です!」

 

 

ナギの叫び声が艦橋に響き渡る。

 

 

 

「迎撃しろ!此方も爆雷、アスロックで敵の機動を奪うんだ!」

 

 

ペガサスは魚雷の迎撃にかかる。

 

しかし、異世界艦隊にとって不測の事態が発生する。

 

 

 

 

キィィィィィン!

 

 

迎撃された魚雷は突如、耳障りな騒音を海中に撒き散らした。

 

 

「なんだ!これは……」

 

 

 

 

シュルツは突然の事に動揺を隠せない。そこへ群像から通信が入る。

 

 

『シュルツ艦長!これはソナー感度を低下させる音響魚雷だ!海面の探索を厳としてください!雷跡を見逃せば大惨事になります!』

 

 

「了解しました!」

 

 

「艦長!ソナー感度低下及び超兵器反応も消えました!」

 

 

「エンジンを停止させたか……だが時間稼ぎに過ぎないぞ!」

 

シュルツがそう叫んだ時だった。

 

 

「!!?」

 

 

海面の二ヶ所から突然ミサイルが飛び出し、空高く舞い上がるとハワイに向かって飛行し始めた。

 

 

「あれは……まさか!」

 

 

『シュルツ艦長!あれは巡航ミサイルだ!はれかぜが危ない!』

 

 

「我々の兵装では間に合わない。401での迎撃は可能ですか?」

 

 

『残念ながら、発射地点から目標までの距離が近すぎる!これならはれかぜの方が早い!』

 

 

(クソ!さっきの音響魚雷は、SLCMの発射を気取られないためか!もし、弾頭に核が搭載されていたら……)

 

 

シュルツは慌てて、通信機をもぎ取り、はれかぜに危険を伝えた。

 

 

「はれかぜ!はれかぜ!聞こえますか?此方ペガサス、緊急事態が発生!応答せよ!応答せよ!」

 

 

シュルツの頭に最悪の事態が浮かび、はれかぜからの応答を待つ間がやけに長く感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お付き合い頂きありがとうございます。


地獄を救うことは出来るのか?


次回まで今しばらくお待ちください。


それではまたいつか。












とらふり! 1/144ちょうへいきふりいと




播磨
「レムちゃんやるぅぅ!私もあの位活躍したかったな…」


荒覇吐
「あんた終止砲撃ばっかだからね」


播磨
「なにさ!ろくにドリルも使わず真っ二つになったくせにぃ!」


シュトゥルムヴィント
「に、二隻ともその辺で…」


播磨
「ふん!スピードはピカイチで登場も早かったけど、沈むのも早かったあんたに言われたくないよ!」

荒覇吐
「そうね。そんなだから超高速輸送艦なんて言われるのよ!」


シュトゥルムヴィント
「う…ぐぅ…」


近江
「いい加減になさいなあなた達!まぁいいわ。レムレース達は飽くまで布石でしかないのだけれど。何か彼等に敗北感を与える何かを残せると良いわね」


シュトゥルムヴィント
「近江…また播磨達が……」


近江
「仕方ない娘ね……此方へいらっしゃい。一緒に彼女達の活躍を応援しましょう」


シュトゥルム
「…うん(うぅ……近江が旗艦だと良かったのに)」



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