ナザリック in オラリオ   作:タクミ( ☆∀☆)

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あれ、いつのまにか30話Σ(゜Д゜)

私の拙い妄想を読んでいただきありがとうございますm(__)m




暗躍

「おぃ、ディックス!街中でモンスターが暴れてる!ここも直ぐに見つかる。早く例の場所に逃げるぞ」

 

薄暗いホームの中でディックスと呼ばれた男はソファーに座り手に持った手記を眺めていた。慌てている男とは対照的に落ち着いて未だに座っている。その態度にたまらずグランは再度呼び掛けた。

 

「オイッ!ディックス!」

 

「うるせぇよ、聞こえている。行きたきゃ勝手に行けよ。()は持ってるんだろ?」

 

「そ、そうかっ?ヘッヘッ、悪いな。じゃあ先に行かせてもらうぜ」

 

ドタドタと音をたて走り出す男達を眺めながらディックスは大きくため息をついた。

 

「───あなたは逃げないのですか?」

 

一人取り残された筈のディックスに問いかけるが者が現れた。軍服と言う見慣れない服装をしたそれは今までディックスが見てきた商売道具(モンスター)とは明らかに隔絶していた。ディックスはそれが分かっていたかのように、何事も無く答える。

 

「逃がしてくれるのか?」

 

「逃げたいのならお好きにどうぞ。まあ、余りお勧めはしませんが」

 

「いや良い・・・」

 

「そこまで落ち込む必要はありません。我々の役に立てるのですから、これ以上の栄誉はありませんよ。それに私は貴方に、貴方の家系に、そしてあなたが飼っているペットに興味があります」

 

そのモンスターはグランが持っていた筈の()を手に持ち興味深そうに見つめている。

 

「そこまで知ってるのか───で、俺はどうなるんだ?」

 

「私達に忠誠を誓って貰えればそれで良いですよ」

 

そのモンスターの横に漆黒の渦が出来る。モンスターはこの中に入るよう指示を出した。

ディックスは選択肢など初めから無いのだろうと諦めた。黒は更なる漆黒によって塗りつぶされる。ディックスは地獄の釜の中に自らの足で入っていった。

 

───────────

 

「エイナァ~~~」

 

「大丈夫だった?ミィシャ!」

 

「うん、なんとかぁ。それよりもせっかくの休みがぁ~~~」

 

ギルドに入ってきた同僚の無事に安堵したエイナだったが、彼女はそれよりも休みが潰れたことに落胆していた。

 

「しょうがないでしょ。今、ギルドが全ファミリアにミッションを出したところだよ」

 

ギルドには様々な冒険者達が事態を把握しようと出入りしている。ギルドは市民を守るよう全ファミリアに街に溢れるモンスターを倒すように指令を出した。エイナも冒険者達や住民達の対応に追われ目の回るような忙しさだった。

 

「あれ、どうかされたんですか?」

 

エイナが気付いたのは金髪のパルゥム、ロキ・ファミリアの団長である【勇者(ブレイバー)】フィン・ディムナだ。その横には副団長のリヴェリアもいる。エルフの王族だったリヴェリアに思わず背筋が伸びる。

 

「そんな畏まる必要は無いよ」

 

笑顔で手を振るフィンだが、相手はロキ・ファミリアの団長と副団長だ。エイナは愛想笑いしかできない。

 

「それよりも何か変わったことはないかい?」

 

「いえ、このモンスターが現れてから冒険者の方が入れ替り押し寄せてるくらいで特別に何も」

 

エイナの報告に、そうか、とだけ答え考え込むフィンにエイナはただ黙って見つめていた。

 

「───金庫室はどうだい?」

 

フィンの言葉にエイナは質問の意図が理解できなかった。

 

「えっと、ギルド長が金庫室の鍵を管理しているので特に何も無いと思いますが」

 

「ロイマンはどこにいる?」

 

「自室にいると思います」

 

「すまないが会わせてくれ!」

 

正直、ロイマンが苦手なエイナは断りたいが、フィンの圧力にロイマンに話を持っていった。

忙しい、そう言われ追い返されたエイナは仕方なくその旨をフィンに伝える。

 

「すまないが、後で責任はとる」

 

エイナを振り切りフィンはロイマンのいる部屋へと向かった。忙しい、相変わらず怒鳴り散らすロイマンだがフィンはロイマンの異変に気付いた。

 

「リヴェリア、頼む」

 

リヴェリアが魔法を唱えるとロイマンは崩れるように倒れこんだ。

 

慌てるエイナにフィンはロイマンが操られていたことを伝える。

 

フィンはエイナに教えられギルドの金庫室へと向かった。

 

「まさかここに到達する方がいらっしゃるとは。少し甘く見ていましたね」

 

そこにはスーツを着た覆面の男が立っていた。ヒューマンに近いが男の背後から出ている禍禍しい尻尾は明らかにヒューマンでは無いことを窺わせる。

 

「君が首謀者かい?」

 

「───まぁ、そんなところです」

 

「何者だ」

 

「人の名を聞くなら、と言うところですが既に知っていますからね。【勇者(ブレイバー)】フィン・ディムナと【九魔姫(ナイン・ヘル)】リヴェリア・リヨス・アールヴ。私の名はヤオダバルド。以後お見知りおきを」

 

「だいたい想像はついているが、目的は情報かい?ここだけではないと思うけど、ファミリアのホームも狙ってるのかな?」

 

「さあ、どうでしょう。ただ、情報戦は戦いの基本ですから」

 

「それは我々と戦争を起こすつもりと考えて良いのかな」

 

「まさか、戦争になんてなりませんよ」

 

「それは大人しく投降するという訳では無さそうだね」

 

「ええ、我々が気を付けるべきなのは神だけだと───」

 

フィンは体に似合わない長槍で一気に距離を詰める。しかし、ヤオダバルドは何事も無く避けた。睨みあいが続くなか、空に輝かしい光の柱が上がった。

 

「さてこれで我々の目的は達成しました。これ以上の長居は無用です」

 

「逃がすとでも思っているのかい」

 

「フッフッ、では失礼します」

 

フィンの長槍は空振りに終わりヤオダバルドは黒い渦の中に消えていった。

 

 

───────────

 

「ちょっと、馬鹿シャルティアッ!」

 

虚ろな目をしたシャルティアはアウラ達守護者にスポイトランスで襲いかかった。アウラは他の守護者達のサポートを受けながら攻撃を避ける。

 

山河社稷図を使用し、シャルティアをイシュタルから隔離した守護者達は未だ操られたままのシャルティアと戦っていた。

守護者最強といえどLv.100のNPCが四人も居れば攻めきれない。ましてやイシュタルを倒すまでの時間を稼げば良いのだ。アインズから防御を重視して相手するよう言われている。

 

「この偽チチッ!」

 

手は出してはいけないと言われたが、口は出してはいけないと言われていないのでアウラはこれでもかと不満をぶちまける。

 

しばらくすると魅了が解けたのかシャルティアはその場に倒れこんだ。と同時にアインズが山河社稷図の異界空間にやって来た。倒れているシャルティアに驚き、守護者達に問いかける。

 

「シャルティアは無事か?」

 

「はい、私達は手を出していません。突然倒れました。それでイシュタルはどうなったのですか?」

 

「ああ、天界に送った。魅了は解けたと言うことか」

 

アインズは寝ているシャルティアを抱き抱えると、意識を取り戻したシャルティアと目が合う。

 

「あぁ、アインズ様・・・」

 

「すまん、私のせいでお前を危険な目に合わさせてしまった」

 

「いえ、アインズ様が悪いことなど何もありません。それよりも私はここで初めてを───」

 

アルベドが口を出そうとした瞬間、シャルティアは俊敏な動きでアインズにキスをした。キスと言っても歯に直接当たっているだけだが。

 

「な、な、な─────」

アルベドは開いた口が塞がらない。アインズも何度も沈静化をし、固まっていた。

 

「フッフッフッ、私の勝ちでありんすね。第一妃は妾に相応しいということが証明されたでありんす」

 

勝ち誇った顔でアルベドを見るシャルティアは完全に自分が魅了される前後の記憶を無くしていた。

 

「何を言っているの、私の方が先にしたわよ」

 

アルベドの爆弾発言に全員が固まる。

 

「アルベド、何の話をしているのだ?」

 

「お忘れになったとは言わせませんよ。公園でキスをしたではありませんか?」

 

「え───あれはキスなのか?」

 

アルベドに頭突きをくらった記憶しか無いアインズはアルベドにとって致命的な発言をした。

 

「やだやだ、ついに妄想と現実の区別もつかなくなったでありんすか?キスとは今、アインズ様としたものを言うのでありんすよ」

 

アルベドはシャルティアの言葉とそれ以上にアインズの言葉に超位魔法級のダメージをくらった。

 

「うわぁ~~~~~ん」

 

突然、アルベドは泣きながら鎧を脱ぎ出した。

アルベドの奇行にアインズも慌てて止めにはいる。

「何をしているのだ、アルベド!!」

 

「裸ですか?裸になれば抱いてくれるんですか?」

 

「ちょ、おま───」

 

「何でありんすか、それは?」

アルベドの言葉にシャルティアも脱ぎだす。カオスな状況は守護者達に止められるまで続いた。

 




果たしてギルドに忍び込む必要はあるのか・・・
というかどこまで情報を持っているのかorz
最後まで悩みましたが、なんかあるだろうと言うことと、モンスター達の指揮命令の意味で居たことにしましたm(__)m

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