アインズはウラノスに黒竜を倒したことを報告をするため、フェルズに連れられギルドの地下、祈祷の間に来ていた。今回はヘルメスも同行し、アインズの報告を聞いていた。
「黒竜は倒した」
アインズの簡単な報告にウラノスはそうか、とだけ答えた。しばらくの沈黙の後、アインズはウラノスに問いかけた。
「黒竜は何者なのだ?何故あそこまで全てを憎んでいる?」
「───分からぬ。初めはあそこまで人を襲うことなど無かった。ダンジョンを守る手段として襲ってきても、殺すことは無かった。しかし、ダンジョンから地上に進出した日を境に変わっていった」
ウラノスの話にアインズが考えた暴走の可能性を強く感じ、アインズ自身そしてNPCがどうなっていくか静かに考えた。
「───永遠を生きるお前達は何を思う?生物は子孫を生むために生き、生涯を終える。それが無いお前達は、神は何のために存在する?」
アインズの、鈴木悟の質問に神、ヘルメスは答えた。
「そんなに堅苦しく考える必要はないさ。神と言っても様々さ。子供達のために生きるもの、戦いに生きるもの、愛を求めるもの、趣味を謳歌するもの、神だって万能じゃない。自分の好きなようにしていけばいい」
その答えにアインズは今まで考えていた想いをぶつけた。
「俺は、───私は今はいない友のために、世界中の全ての者にアインズ・ウール・ゴウンの名を知らしめる」
「そうか。それが君の望みなんだね」
アインズは頷くと、ヘルメスはできる限り手伝おうと言ってくれた。
部屋を出ようとしたアインズだが、ヘルメスから一つ質問があった。
「───そう言えば今度から彼がモモン君をやるの?」
先程の雰囲気とは変わり、ヘルメスは笑みを浮かべていた。アインズはパンドラズ・アクターのことだと分かり、否定しておいた。
───────────────
「モモンさん、今日はうちに寄っててよ!」
「モモンさん、この前はありがとうございました!」
「モモンちゃん、安くするよ。どうだい?」
「兄貴、良い情報を手に入れたんですよ」
アインズは見ず知らずの飲食店の店主や
(あいつはいったい何をしたんだ。俺はダンジョンで無理はするなと言った気がしたが・・・)
アインズはパンドラズ・アクターへ命令した内容を思い出してみた。
『────パンドラズ・アクター、お前はモモンとしてダンジョン探索を任せる。メンバーはお前の好きに決めよ。ただし、中層以下に行くことは許さん。
アインズは理解した。パンドラズ・アクターは命令通り忠実に任務を遂行したのだと。モモンはずっとオラリオに居た、そう思わせるだけで良かったアインズとは違い、パンドラズ・アクターは文字通り存在を遺憾無くアピールした。
モンスターに襲われ危機に瀕した冒険者を颯爽と助け、道に迷った老婆が居れば案内し、悩みを持った女性が居れば悩みを解消する。パンドラズ・アクターが扮したモモンは急激に知名度を挙げていった。
もちろんランクアップし、人気の出てきたモモンを妬む者も居るが全て返り討ちに逢った。さらにそれだけにとどまらず、そんな者まで相談に乗り一緒に酒場に行き飲んで騒いでモモンの配下に取り込んでいった。
(どうするんだ、これ・・・。)
モモンの回りに集まる人集りに戸惑いを覚える。そもそも知らない人物に親しくされても対応できるほどコミュ力は高くない。モモンはギルドに行くと言い振りきっていった。
「あ、モモンさん。相変わらず凄いですね」
アインズにとっては久々だがパンドラズ・アクターが仕事をしていたのでモモンとしては毎日会っていたのだろう。いつもと変わらない挨拶をしてきた。
「それにしてもモモンさんのイメージが変わりました。モモンさんってもう少し固い人かと思ってました。でもダメですよ、女の人に余り思わせ振りな態度をとるのは。綺麗なお嫁さんも居るんですから」
年下の
──────────────
「『休日』・・・ですか?」
「そうだ、思えばここに来てから休みなく働かせていた。それではいざという時に充分な働きができまい。しっかりと体を休め、リラックスすることも重要な仕事だ」
鈴木悟の時にブラック企業で毎日遅くまで働いていたアインズは自分が上に立った今、同じ道をましてや仲間達の子にさせるのは忍びなかった。
「あの、アインズ様。アンデットの妾には『休日』というのは不用かと思いんすが」
「ちょっとシャルティア、自分だけズルい。アインズ様、私もこの【リング・オブ・サステナンス】があるから『休日』はいらないです」
アインズの思いとは裏腹に守護者達は休日を断った。アインズのために働くことこそが生き甲斐の彼らに『何もするな』というのは苦痛でしかない。
「あ、あのアインズ様、『休日』とは何をするのですか?」
マーレの質問にアインズは戸惑った。そもそも鈴木悟の時は休みがあればユグドラシルに一日中ログインしていた。それ以外の過ごし方など何も思い付かない。
「マーレがしたいことをすれば良いんじゃないか?ほら、例えば・・・・・・・買い物とか?」
「僕はアインズ様と一緒に居たいです!」
「妾も『休日』をいただけるなら、アインズ様と一緒に居たいでありんす」
(それじゃあ、いつもと変わらないんじゃ・・・)
休日を強要したため過ごし方にまで強く指示をすることはできなかった。こうして日替わりで守護者達はアインズと過ごすこととなった。
男性守護者とは仲間達がユグドラシル時代に憧れて作った大浴場【スパリゾートナザリック】に入りに行った。お互いに背中を洗ったりしたのは良い思い出だ。女性守護者達が風呂場で暴れルシ★ファーが設置したゴーレムが作動したのは洒落にならなかったが。
コキュートス、デミウルゴスとアインズでバーにも行った。もちろんアインズはお酒は飲めないが、副料理長の計らいで数種類の香りを楽しむお酒を用意してもらった。コキュートスは前回の失敗を引きずっていたが、アインズは軽く気にするなと言うと涙は流さず大人泣きしていた。泣き上戸なのか、アインズはコキュートスの意外な一面を知ることが出来た。
別の日にはアウラとマーレで視察も兼ねて支配下においたエダスの村までアウラのお気に入りの魔獣、フェンリルとクアドラシルに乗って行った。エダスの村は様々なヒューマン、デミヒューマンがおり、もちろんエルフ居るためアウラやマーレが外の世界を知る機会になると感じた。ゆくゆくは教育のために学校をつくるのも良いなと村の開拓シミュレーションを練っていった。ついでに回りにいるモンスターも掃討し、しばらくは安全に過ごせるだろう。
良い思い出が出来た、アインズは本当にそう思っていた。だが残りの二人を思い、無いはずの肺でため息をついた。共に謹慎経験のある二人だ。反省はしているだろうが心配になる。そんな時、二人から話があると連絡があり部屋に呼んだ。
「アインズ様、次の『休日』ですが私とシャルティアとでオラリオで過ごしたいのですがいかがでしょうか?」
「何?一人一日でなくて良いのか?」
「はい、私もシャルティアもアインズ様にご迷惑をかけたこと深く反省しております。私達に『休日』をと言っていただけるなら、アインズ様も『休日』を過ごす必要があるかと思います。その一日を私達からお渡しできれば幸いです」
シャルティアも同じ意見だと頷く。
「お前達、そんな気を使う必要は無いんだぞ。だがお前達の思い、嬉しく思う」
「では明日はごゆっくりお過ごし下さい。明後日、アインズ様とオラリオを楽しめるようにしたいと思います」
「そうするとしよう」
アインズはアルベド達から貰った一日がパンドラズ・アクターによって振り回され、またモモンのキャラクターが変わってしまったことにまた一つ頭を悩ませる事が増えることになった。
ダンまちのOVA面白かったヽ(*´▽)ノ♪
私とブルマを秤にかけるのは止めなさい(笑)
ヴェルフ・・・
来週から楽しみです