後、追いかけ   作:RENAULT

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今日から二日間旅行だぜ!!
帰ってきて投稿するとは言ってないww

冒頭部分ちょっといきってみたww


第拾参局 

 

 セミの群衆の声が轟き、入道雲が闊歩し、暑さと熱気が蔓延る季節はプロ試験の季節だ。

 

「今日からプロ試験だな」

「今年こそは絶対にプロになってやる」

「それは此処に居る全員が思っていることだよ。和谷」

 

 茶化しながら言う伊角の目もとには焔が写っていた。

 

「まぁそんなこと言っても今日は外部の予選だから院生の俺たちは違うけどな」

「こういうところは院生楽よね」

 

 奈瀬がそんなこと言う。

 

「進藤、塔矢はどれなの?お前知ってるだろ」

「あそこの半袖のおかっぱ。オレに気づいたのに速攻で目をそらしたやつ」

 

ーアイツはどうせ上がってくるから別に心配はしてない。それよりあかりの院生試験だ。アイツ舞い上がってミスしそうだし、何より虎さんがそわそわしてるし。

 

「そう言えば皆昼飯どうするの?」

「考えてなかった」

「伊角さん。カレーライス奢って」

「奈瀬!? 何でオレが」

「伊角さんマジ神様」

「伊角さん本当にありがとう!」

「伊角さんイケメ~ン!」

 

 とりあえず全員で喫茶店に入り4杯のカレーライスを頼む。

 

「今年は誰かね?」

「アキラ君は確実ですよね? 桑原先生。」

「いやどうじゃろうな、あそこの真ん中ツンツンじゃない方の小僧は塔矢の倅に負けたことは無いらしいからのぅ」

 

ーわざとやってる! 桑原のじーちゃんめ!

 

「正直なところ誰でも良いんじゃ。そやつがどうかは碁を観れば解るしな」

 

 周囲はそうですかぁ……みたいな雰囲気になっている。

 

「誰が来ると思う? 普通に行けば、一枠は塔矢だろ?残り二つ、伊角さん、オレ、進藤、本田さんか?」

「私入ってないけど」

「奈瀬が受かるわけねぇもん」

「言ったなぁー!!」

「そんなこと言ってお前受かった前提で話してるだろ?」

「そう! だから残り一人だな。順位的に行けば、一位の伊角さんかな」

「二位の俺はダメって事なんだな和谷」

「和谷、進藤は俺に勝ち越してるぞ」

「はぁ、何でこういう時擁護するのさ、伊角さん」

 

(あかりさん今どの辺でしょうか?)

(オレと同じくらいならもうそろそろで終わるんじゃないかなぁ)

 

 ノコノコとあかりが喫茶店に入ってきた。

 

「あかり! こっちこっち!」

「あぁヒカル」

 

 こちらへ向かってくる。

 

「あかりどうだった?」

「受かったよ! 来月から来なさいって」

「おめでとうあかり。んじゃこの二人は紹介しないとな」

「???」

 

 和谷以外の二人は頭にはてなマークを浮かべる。

 

「オレの右に座っているのが伊角さん」

 

 どうもと頭を下げる。

 

「そんでこっちの和谷の横のやつが、奈瀬」

「初めまして、奈瀬明日美よ。あかりちゃんって読んでいい?」

「はい。全然」

「おやおやヒカル」

「「「こんにちは」」」

「桑原のじーちゃんどうしたの?」

「おまっ! 桑原先生だろ!」

「いいんじゃ、こやつは。お気に入りだしのぅ。あれ嬢ちゃんも一緒か?」

「桑原さん! 私も来月から院生です」

 

 無い胸を張るあかり。

 

「おっ! おめでたいの。昼飯でも奢ってやろう。君たちは食べたのか?」

「この子が来る前に食べ終わりました」

「そうかそうか。なら嬢ちゃん、好きなもの頼め」

「じゃ、カレーライスをお願いします」

 

 あかりが頼んだのを見て桑原がヒカルに言った。

 

「ヒカル。早くプロになれ、そろそろ本因坊は疲れてきた。お前が来るまでは守っといてやるがのぅ」

「来年はオレの席になってるから」

「ま、早く来い。じゃあな、皆頑張れ頑張れ」

 

 そしてヒカルが居た台のも含めて伝票を持って歩いていった。

 

「あのさ、前から気になってたんだけどさ。お前って何なの? 緒方さんに塔矢名人の研究会に誘われたり、桑原先生にじーちゃん呼ばわりしたりさ」

 

 皆も頷く。

 

「いやぁ~、オレの秘密を知ってる唯一の人」

「お前に教えてる藤原さんも?」

「知ってる」

 

(そうなんですか?)

(オレが院生になるときじーちゃんと打っただろ?)

(はい)

(そうだな)

(あの時打ったのが本因坊シリーズで打ち合った一局だったんだよ。最初に会ったときに普通にヒカルって読んでたから気になってさ)

(小僧意外と賢いな)

(意外で悪かったな)

 

「へぇー」

「へぇー」

「へぇー」

「反応薄いな!」

 

 ヒカルがツッコミをいれると皆が笑った。

 

「普通に会ってそう」

「桑原先生の子供だったり?」

「ちげーよ!」

「正直進藤の先生なんてどうでもいいのよ。それより、ねぇねぇあかりちゃんって進藤のこと追っかけかて院生になったんでしょ? 進藤と付き合ってんの?」

「付き合ってない」

 

 幼馴染みだよ。なんてあかりは言うが奈瀬は気にしてない。

 だって、聞いた瞬間あかりの顔が真っ赤に染まったからだ。

 

「まぁいいわ、私たちは来週から本戦だし」

 

 頑張りましょう、奈瀬は言い、この集団が解散された。

 

 ●○

 

「今日の試験どうだった?」

 

 帰り道あかりに聞く。

 

「楽しかったよ。ヒカルって強いんだね」

「何が?」

「先生に勝ったんでしょ?」

「あのときは勝った方が早いかなって思ったからさ」

「ヒカルの部屋で並べてもらっていいですか? あかりさん」

 

 佐為がウキウキしながら話しかける。

 

「わかりました」

「検討だな」

「終わったあとなんと言われた?」

「えーっと、『君は進藤くんのように打つが守りがしっかりしている分攻めが弱い』だったよ」

「あの人の目は良いですね」

「しっかりしている」

「そうだ! 検討したあと私と打ちましょう! あかりさん」

「夏休みだからってうちの家に泊めて寝かせない気だろう」

 

 てへっ!

 

「じゃねぇーー!!!」

 

 佐為に呆れるオレと虎さん。

 はあぁぁぁあーと長いタメ息を二人で吐き家に入った。




10/6 修正

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